妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ) 作:初見さん
「師匠、これどうしたら良いんですかね?」
「知らねえよ……そもそもそんなスキル聞いたことねぇぞ?」
「お兄ちゃんが2人いる……」
「しかもムサシみたいに白髪じゃなくて本物のコウヨウと同じ髪色……かろうじて声とセリフで判断できるくらいかぁ……」
「お姉ちゃんどうしよう……」
「へ? えっ……なんかゾクゾクしたけどユイだよね?」
「コウヨウにお姉ちゃん呼びされてマイが新しい扉を開いた」
「ユイが言ったけど俺の姿でお姉ちゃん呼びされたから気持ち悪いだけだろ……」
「ちょっと気持ちよかった……」
「お兄ちゃんこれアウトじゃない??」
アウトです。マイはコウヨウのもとに行ってもう一度お姉ちゃんって呼んでほしいって言いやがった。というか、一番大変なのはコウヨウ(声だけスワさんバージョン)である。
「え? ユイじゃなくて俺なの?」
「一度でいいので……」
「えっと……マイお姉ちゃん」
「ゴフッ……」
「お姉ちゃん鼻血!?」
「ガハッ!?」
「マイが吐血した!?」
コウヨウ本人の破壊力にマイもやられた。いや、元々サリーと同じくコウヨウの事が男として好きだったユイとマイなのでマイがこうなる可能性は前からあったのだ。挙げ句の果てにコウヨウ(声だけななかさんバージョン)のお姉ちゃん呼びにも良い意味で大ダメージを受けたマイ。
とりあえず、コウヨウ化したユイをどうすればいいのかを考えていると……
「いた! コウヨウ! 頼む!」
「え? ミィさん……一体どうし……」
「どうしても今日までのクエストを手伝ってほしいんだ! メイプル、サリー、申し訳無いがコウヨウ借りるぞ!!」
「えっ……ちょっと私は……」
【炎帝の国】のミィがコウヨウの手を引いてそのまま走っていってしまった、急な出来事に残された4人は……
「お兄ちゃんがミィに誘拐された!?」
「いや、コウヨウ連れてクエスト行っただけでしょ……まぁ、なんか急ぎで大事そうだし、コウヨウいれば速いから今日くらいは許そうかな。ね、マイ……」
「こ、コウヨウさん! どうしますか!?」
「「え??」」
「あの野郎今度会ったら炎反射して燃えるゴミにしてやるから問題無いです」
「え? お兄ちゃん……??」
「連れて行かれたのはユイだ……まぁ、いいか」
「あー……確かに冷静に考えたら……そうですよね」
「良くはなくない!?」
「ユイが危ないよ!?」
メイプルとサリーは頭を抱えた。だが、コウヨウとマイは冷静に……
「「ユイなら大丈夫(です)」」
「根拠は?」
そうしてサリーの疑問に笑いながら答えた2人。サリーとメイプルはそれを聞いて苦笑いと戸惑いを隠せなかった。
☆
「ど、どういう事だ!? お前は……コウヨウじゃなくてユイ!?」
「はい……すみません……こんな格好で……」
「ミィ……流石に人違いはちょっと……」
「いや、ミザリー流石にこれはミィでも分からないでしょ……」
「というか……お前は誰だったか……?」
「ユイです。一応……【楓の木】の……メイプルさん達の仲間です」
「あ……確かコウヨウと……あ!? クレーター作ってた女か!?」
作りたくて作ってるわけでは無い。コウヨウ化したユイを連れて来てしまったミィは大声でコウヨウでは無いと否定するユイの話を聞いた。
「そんなスキル聞いた事ないぞ……」
「私だって謎です。私は師匠を愛してますが師匠になりたいわけではないので」
「でもそのスキルあればコウヨウの技使えるんでしょ?」
「私は師匠から免許皆伝を貰ってません」
そう言ってユイはコウヨウの姿で大槌8本を取り出した。相手は死ぬ。ミィ達はコウヨウ(声だけスワななかバージョン)が大槌8本を持っているところを見ながら冷や汗をかいた。
「えっと……とりあえずどうしますか、ミィ。コウヨウさんじゃないなら……」
「いや、ユイ。一緒に行かないか?」
「え?」
「私ですか??」
ミィは考えた。今回に関してはミィのミスではある。それでもコウヨウじゃないので帰ってくれなんてそんな非道な事を言うつもりもない。ユイはコウヨウとは違うが、あの化け物一家である【楓の木】メンバーの1人。マルクスやミザリー、コウヨウのスキルもあったがミィ自身も彼女に追い詰められたことは事実。
「お前はコウヨウを倒したんだろ? 今回のクエストは簡単ではないが、お前の実力や立ち回りであれば一緒に攻略出来るはずなんだが……」
「私は師匠ではありませんよ?」
「だからこそだ。たまには違うギルドと手を組んで攻略するのもどうだろうか?」
無論コウヨウのスキルを使えとは言わない。お前のやりやすいようにやれとミィは続けた。少し悩んでからユイは頷く。
「それならご一緒します。すぐやられちゃうかも……なんて昔は言ってましたが、今は師匠の力も借りられるので、多少はなんとか……」
「そんな話はどうでも良い。お前が行きたいか行きたくないかだ」
ユイはミィの言葉に耳を傾けるミィは冷静ユイに告げた。
「コウヨウから聞いた。お前はNWO最強プレイヤーになって、コウヨウを退屈させないようにすると言ったそうだな。ならばその覚悟を見せてみろ、お前が最強になると言うことはコウヨウを倒すだけではなく、ここにいるマルクスやミザリー、シンに私。【集う聖剣】に【ラピッドファイア】、【thunder storm】など色んなプレイヤーを倒すということだ。クエスト如きで弱きになるな」
「ミィ、流石に言い過ぎでは……?」
「分かりました。じゃあ、全員倒します」
「へぇ……意外と肝は座ってんだな……お前」
ユイはそれにも頷く。コウヨウの姿で頷いてはいるが、その眼は本気で喧嘩を買うコウヨウそのものであった。
「ただ、師匠からの教えは守ります。『1つ、喧嘩や戦闘は売られたら買え』私からは基本的には攻めません。『2つ、大事なものを守るなら自ら斬りに行け』今回の場合は私が師匠のプライドと顔を守るために戦いますので」
「分かった、流石コウヨウの弟子だな」
「ねぇ、その教えどれくらいあるの?」
「師匠曰く無限との事です。自分が大事だなと思って且つ私達にも伝えるべき事だったら増やすとの事……とりあえず今は14とかですかね?」
「「いや割と多いな!?」」
「コウヨウさんの弟子なら私も賛成です。ミィ、一緒に行きましょう」
「ワンチャンコウヨウのスキル見れるから対策出来そう」
ミザリーはミィの耳打ちに苦笑いした。本当の目的はそれかと。そうしてユイは【炎帝の国】とクエストへ行くのだった。
「とりあえずその大槌8本どうにかならんか? コウヨウの姿でそれ出されたら悪夢なんだが」
「そう言われましても……私は大槌使いなので……」
「でもこれじゃコウヨウが大槌使いになったって誤解されない? 結構目立っちゃうよね?」
「うーん……あ! ならこの刀装備します。一応元凶なので……」
そう言ってユイは【陽刀 向日葵】を装備して、もう一方にいつもコウヨウとの特訓で使っていた【木刀】を装備した。
「マジでコウヨウじゃねぇか……」
「普通にしてたらコウヨウだよね……声が可愛いだけで……」
「マルクス浮気ですか?」
「ミザリーは怖いよ!?」
「因みにコウヨウのレリフル姿の声も可愛いぞ。どこから声出してるのかは知らんが……」
「それじゃあ……行きましょうか」
ユイが言ったその台詞を聞いたユイ除く4人は威圧された。まるで本物がそこにいて、今から確実に斬りに行くように。そんな錯覚をしてしまった。
「師匠、私頑張りますよ」
とりあえず手始めに刀で10体ほどのモンスターを一瞬だ斬り刻んだユイはコウヨウの姿をしながらも自分が誇る最高のSTRのみで突き進むのである。
「「「「いやちょっと待てぃ(待ってください)!?」」」」
「え? 何ですか?」
「ミィ……これは……」
「【楓の木】は油断出来ん奴らしかいないのは分かるが……ユイまでこの実力とはな……」
「脅威なのはコウヨウとかメイプルやサリーだけじゃ無かったんだね……」
「クロムやカスミも強いがこの双子もかなりやりやがる……どんなSTRしたらこんなことできんだ……??」
「師匠が最強なので私はオマケです。私が倒せないなら師匠に勝つのも無理ですよ?」
☆
「ユイ、来るぞ!」
「はい! 【ダブルスタンプ】!!」
「ユイ、後ろは私が……」
「【ツバメリバース】」
「なんでAGI0なのに瞬時に動けるんだ!?」
「殺気があれば準備をしておけ、遅くても位置や動きが感じ取れれば勝てると師匠が言ってましたので」
「それはサリーが前提なのでは……??」
「サリーさんを贔屓していると言うよりは、サリーさんの戦略すらも自分の物にしてしまう師匠の凄さが前提です」
「「「コウヨウ(さん)ヤベェ(です)」」」
ダンジョンに潜ったユイ達はモンスターと戦闘を開始する。元々普段はミィが先陣を切ることが多く、ミザリーは後方支援、マルクスは必要に応じて前に出てトラップを仕掛けたり、探知で逆張りされた罠を見てからミィを前に出して後ろに構える事があるのが【炎帝の国】トップ3人の動きである。しかし、そこに今日は【崩剣】シンもいるので前衛が安定した4人。
そしてまさかの【楓の木】大槌使いのユイという人材が加わった事で、シンとユイが前衛でモンスターを刈り取るという新しい陣営が完成した。
「それにしても……中々やるな。コウヨウの姿で大槌振り回されるとこっちが恐ろしくなるが……」
「私はコウヨウさんでは無いです。ただの大槌使いです」
「ははっ、まるでコウヨウと話してるようだ。姿もそうだが、言葉の使い方も似てる」
「マルクス、罠探知を頼む」
「うん……ここには二つほどあるから解除するね」
「どこにありますか?」
「えっと……こことここ、1つは針が出てくるみたいでもう一つは……」
マルクスが罠を見つけた後、ユイがその位置を確認する。そうしてユイは刀を1本装備してその罠に向かう。
「ユイさん、そっちは針が出てきますよ?」
「【魔法削除】」
ミザリーの言葉を聞きながらも、刀1本でその罠装置を真っ二つに斬ると、罠は作動せずにそのまま消滅した。まさかユイがコウヨウのスキルをそのまま使えるとは思わなかったので、普通に驚いた。
「わーい、出来ましたー!」
「嘘……本当にコウヨウのスキルが使えるなんて」
「おいおいやべぇなこりゃ……もしかして俺の【崩剣】も消せるか?」
「いいえ、分かりません。STRに依存するスキルですから、師匠なら全部消せますが、私はそこまで無いので」
「お前で無いなら私達はもっと無いぞ!?」
「もう、意味がわかりません……」
流石にコウヨウのSTRを比較するわけにもいかないが、ユイのSTRは3桁越えであるのでほぼ確実に消せるのではと思った4人である。
「うーん……やっぱりコウヨウさんに失礼だから刀持つのもうやめようかなぁ……」
「別に失礼では無いと思うが?」
「でもコウヨウさん……いや、師匠は最強の刀使いなので私が刀振り回してもただの人じゃないですか」
「罠一個刀で破壊できるやつはただの人ではないぞ」
「師匠には師匠の武器と流儀があって、私にも私の武器と流儀があるので。やっぱり師匠の刀に憧れましたけど、私は大槌で頭空っぽでぶん殴るのが楽しいです」
「ひでぇ通り魔だ」
ユイの発言に対して何処かで聞いたことのあるセリフを発するシン。
「あーあ……師匠と一生このゲームしたいなぁ……」
「もう結婚すれば??」
「「マルクス死刑だ(です)」」
「え? なんで……あ、やっば……」
「コウヨウよりはサリーがキレるな」
流石に守れなさそうなマルクスの一言に邪悪オーラ全開のミィとミザリー。だが、ユイは少し笑いながら伝えた。
「確かにコウヨウさんと一生ゲームしたいですけど、コウヨウさんにはメイプルさんとサリーさんの勉強を見るという大事な役目があるので、かなり寂しくなるだけですよ」
ユイが伝えると4人は少し考えた。そういえばアイツらそんな季節だったと、シンも少しばかり【楓の木】や本人から聞いていたので発した。
「それなら今度お前がコウヨウを大槌で殴るか」
「え?」
「最後にコウヨウと試合をして、大槌で本気でやってみたらどうだろう、無論、私たちもコウヨウに対して一勝はしたいからな。みんなで1VS1で決闘しよう」
「なら、みんなで観戦できる訓練所にしようか。コウヨウ相手にミィが何秒持つか知りたいし」
「秒単位なのか!?」
「僕とミザリーは後衛だから秒も持たないよ」
「なら私達はシンと3人で戦いましょうか」
「なんで俺は1人で戦わせてくれないんだ?」
「「「顔面一撃で沈んでるなら無理だろ(でしょ、ですよね」」」
「それは……そうだな……くっそ……」
「そういえば師匠は顔殴るの好きでしたね」
好きではないです。みんなの会話を聞きながら笑顔を少しずつ見せてくれたユイ。確かに最後くらいはプレイヤー全員でコウヨウに挑んでも楽しそうだと、改めて思った。
「なら、皆さんで師匠を倒しましょうか。トドメは私がやります」
「はぁ? お前だけにいい顔させんぞ?」
「そうだよ! というかコウヨウとユイのコンビに僕とミィは勝ってないからそっちでもやろうよ」
「「「それは死ぬからやめてくれ(ください)」」」
「あははは!!」
結局、笑い話をしながらもこの珍しいコンビはクエストを確実にクリアしていくのであった。
☆
「ねぇ、コウヨウ本当に大丈夫なの??」
「うん」
「はい」
「マイまで……」
一方ユイの事を全く知らないコウヨウ、マイ、メイプル、サリーの4人は2人心配、2人余裕の顔をしていた。
「お兄ちゃんがそこまで言うのって、やっぱり弟子だから?」
「それもあるがちゃんとしたのもある」
「教えて」
「一つは連絡がない事だ」
コウヨウはみんなに伝える。元々はミィがコウヨウとユイを間違えて連れて行った話ではあるが、ユイは馬鹿正直な真面目ちゃんなので自分はコウヨウではなくてスキルで変身したと伝えるはず。対してミィもあんな感じだが【炎帝の国】のギルドマスター。使えない者に対しては容赦は無く返すはずだ。
「割と時間は経っててもユイやミィさんからの連絡は来ない……つまりミィさんがユイを認めてクエストに連れて行った。だから俺は何も問題無いと思っている」
「確かに……でも、クエスト結構急いでたから強そうなゲリラクエストだと思うけど」
「だからそうなったらそもそも連れてかないって。実力認めて連れて行ってんならユイが仮に死んでも責めはしないだろうし、何かあれば連絡一つは来るだろ。ユイもミィさんもなんやかんや頭イカれてるけど真面目なんだから」
「お兄ちゃん、暴言って知ってる?」
「言葉が過ぎたな……アホだが強い。んでたまにバカやるけど真面目になるから」
「暴言変わりないよ!?」
逆に言うとそれくらいはユイとミィを認めてるし、好いているのだ。とりあえず自分達はクエストをこなしながらしっかりとアイテムを手に入れていると……メッセージが入った。
『師匠! 【二天の無紅へ】発動していいですか?』
『私は一向にかまわん。逆に出来るならやってくれ』
「「いやちょっと待てぃ!!!」」
「え? 何?」
「ユイ……なんてものを使えるようになってるの……」
流石にメイプルとサリーは黙ってなかった。マイはマイでもはや空いた口が塞がらない。ユイこそがコウヨウ。ばっかもーん、そいつがコウヨウだ。そんなセリフをどこかで聞いた気がするコウヨウ本人はのんびりとモンスターを斬りながらみんなに伝えた。
「別に、ユイが楽しめるならいいだろ」
「お兄ちゃんが……いやユイのせいだけど、手の内明かしてどうするのさ……」
「いや、俺は別にいいよ。だってユイがやる【二天の無紅へ】は未完成にも程があるから」
「どう言うこと??」
「あいつには【無詠唱】は無いからな」
「それってわらしちゃんの……」
「あいつがどれだけ俺のスキルを使おうが、ミィさん達に唆されようが、【無詠唱】は俺だけのスキルだ。誰にも予測は出来ん」
ユイ以外は今の所なと、コウヨウは伝えた。結局誰がコウヨウの真似をしても、それが自分の恋人でも弟子でも勝てばしないのだ。それがコウヨウのたった一言、【無詠唱】が無いと言う事だけでメイプル達は納得したのだった。
「師匠! ただいまです!」
「おう、おかえり元に戻れたんだな」
「刀を持ってコウヨウさんの動きを想像したら変身しちゃうみたいで……刀をしまってしばらく大槌で戦ってたら戻りました」
「刀禁止にするか?」
「いえ、師匠から貰った刀があれば寂しく無いので禁止にはしないです」
「そうか」
「師匠! 頭撫でていいですか?」
「俺の??」
「よしよし師匠ー、コウヨウさんー撫で撫でー」
「くすぐったいよユイ……おいサリー、ダガー首につけるな怖いわ」
「私もモフる」
「俺獣じゃねぇんだけど」
コウヨウもふもふ
あ、なんとか熱は治りました。