妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ) 作:初見さん
「それではいつもの様にギルドマスター定期会議を行う。今日の議題は『何故メイプルがギルドマスターなのか?』だ」
「「ちょっと待てぃ」」
たまに行われるメイプル、ペイン、ミィの三人での交流会。今回はそこにコウヨウが加わった。基本この三人が集まるとただクエスト攻略とか、お互いの進捗を食事しながら話すのだが、今回はコウヨウも連れて来られた。そこで聞いた議題はコウヨウとメイプルにとって意味不明な議題である。
「それはどういう事ですかペインさん」
「そうですよ! 確かに私はマヌケでおっちょこちょいで、モンスター食べたり、転んだり、なんかよく分からないスキルとか取ってきてるってサリーに言われてますけど……」
「サリーは後で説教な」
「落ち着けメイプル、この前ベルベットがコウヨウの強さを見て疑問に思っただけなんだ。何故ここまでの強さを持ってコウヨウがギルドマスターではないのかとな」
「ベルベットはミンチにしとくか」
「お兄ちゃん気持ちは分かるけど殺さないでね!?」
ミィの言葉でキレたコウヨウ。その後、正面から正々堂々コウヨウに勝負仕掛けられて全力ミンチにされたベルベットがしばらくコウヨウと目を合わせられないトラウマ事件があったのだが、今はそんな事どうでもいい。流石に相棒のヒナタもベルベットを叱ったのでよしとした。
「確かに……お兄ちゃんの方が強いもんね……」
「でもそれはサリーも同じでは?」
「確かに現状コウヨウかサリーがギルドマスター候補ではあるがな」
「ペインテメェ勝手に候補に選んでんじゃねぇよ」
「ひっ……こ、コウヨウストップだ……」
「お兄ちゃん落ち着いて!?」
普通にペインに対しても敬語を抜いた程キレそうになるコウヨウ。というか、キレてる。刀抜きかけてるし悪魔の様な目つきで睨みを利かせており、隣のミィもかなり怯えてる。
「別に俺はメイプルがギルドマスターに相応しくないとは言っていない。俺が言いたいのは、メイプルがギルドマスターなら、サブギルドマスターにコウヨウを選んだらどうだろうという事だ」
「「サブ??」」
「世に言うNo.2だな」
ミィの言葉にペインは頷く。ペインやミィはやってはいないが、一応このゲームにはギルドマスターとサブギルドマスターを管理するシステムもある。だからこそ、コウヨウの妹であるメイプルがギルドマスターであるならば、その兄のコウヨウがサブギルドマスターでも良いのではないかと意見したのだ。
「そんなもの貴様らが決める事じゃねぇだろ」
「お兄ちゃん本当に落ち着いて!? す、すみません今お兄ちゃんめっちゃ怒ってて……」
「あぁ、分かっているさ。現にもう俺の首にムサシが刀構えているからな」
「主の妹君を侮辱するならここで貴様を斬るぞ若造」
「お前はなんでそんなに冷静なんだペイン!?」
「謝ってもどのみち斬られるからな……まぁ、今回の議題はかなり悪ふざけが過ぎた事謝罪する。だが、一応そう言うシステムも存在はするんだ。俺達やミィは強さと言っても四人くらいしかいないから決めかねるところもあるが、【楓の木】は9人それぞれ実力者揃いだからな」
サブギルドマスターの1つも視野に入れたらどうだろうとペインは天下無双の威圧を放つ2人に刀を向けられながら、冷静(笑)に話をした。
「ムサシ……戻れ」
「良いのか?」
「命令だ、戻れ」
「主が言うなら……」
この化け物テイムモンスターを収められるのはコウヨウのみである。コウヨウは最初の発言こそ許せなかったものの、事情は理解したので今回は見逃してやろうとムサシに言った。ペインもペインで彼に対して頭を下げるが……
「妹に下げろ」
「あ……あぁ……メイプル……すまない」
「い、いえ……ペインさんの言う事も理解出来ますから……」
「それで……あくまでそっちの意思にはなるがコウヨウはどうするんだ?」
「別にサブギルドマスターじゃなくても妹の世話出来るからやらねぇっすね」
ミィの言葉に対して何も考えずそのまま言葉を発したコウヨウは、そうだ、と思い返した様にメイプルに伝えた。
「サリーで良くね?」
「「「え?」」」
「メイプルとサリーはベストフレンドだし、元々メイプルのギルド作る時の資金援助はサリーだし、名実共に全く問題ねぇだろ」
「サリー……かぁ……」
「不満か?」
「ううん。ただ……サリーをサブギルドマスターにしたら……」
「したら?」
「権力振りかざしてお兄ちゃんを性的にゴリゴリ襲いそうで……」
「よし、この話は無かったことにしよう」
「「とりあえず木刀持つのはやめてくれ」」
「お兄ちゃんストップ!?」
サリーにバレても困るのでコイツらの頭木刀でぶっ叩いてこの記憶だけ無くそうとしたコウヨウだがメイプルに全力で止められたのである。
☆
「って事があって……」
「だから私ミンチにされたんすね」
「「本当にやりやがったあの人!?」」
「でもベルベットも悪いと思うよ」
メイプルは少し前の会議をサリー達に伝えた。サリーは成る程と少し考えて、ベルベットはコウヨウにミンチにされた事を思い出して身体が震え、リリィはそんなベルベットを叱った。
「確かに私も言葉足らずだったっすよ……コウヨウさんが強いからギルドマスターって言われてもおかしく無いって意味合いでペインさんにちょっと同意を求めただけで……別にメイプルさんが弱いとか、ギルドマスターに相応しく無いとかそんなつもりは全く無かったんですから……すみませんメイプルさん」
「ううん、ベルベットがそう思うのも少し分かるよお兄ちゃん私より強いし、頭も良いし、なんでも出来るから……でも、昔からお兄ちゃんってリーダーとかそんなのにはならないんだよね」
「そうなんですか?」
メイプルの言葉にリリィが尋ねる。サリーもそこに口を出すが、コウヨウは昔から誰かを引っ張るなんてことはした事ない。メイプルやサリーは幼馴染なのもあってお兄ちゃんらしくリードをする時はあるが、学校や現実世界では裏方の仕事などをやって表に出る様な性格では無かったと言う。
「お兄ちゃん曰く、『俺には俺の出来る事や出来ない事、メイプルやサリーには出来る事や出来ない事がある。適材適所を考えないと意味は無い』って……だから、リーダーは俺じゃなくても良いだろって言ってるんだよね」
「後、コウヨウは【楓の木】に入ったのが1番最後だからリーダーなんてもってのほかって言ってたよね」
「改めて聞いても凄い人っすね」
「なんか、大人の人より大人だよね……」
頭脳は大人、精神は子供。身体は……サリーとメイプルくらいしか知らない。そんなコウヨウは理性が強い。多少は我儘を言っても良いとメイプルやサリーは言うが、あまり自分の想いを言わずに我慢してしまうのはコウヨウの良いところと悪いところである。
「そういえば最近お兄ちゃんあんまり笑わなくなったよね」
「笑わないというか……ずっと難しい顔をしてるよね」
「何かあったんすかね?」
「うーん……サリーのせいかな?」
「なんでさ?」
「お兄ちゃんに家事全任せだし、自分の気分でお兄ちゃん襲ってるし」
「クズ男じゃないっすか……と言うか前に反省したのにまだ直してないんすか?」
「コウヨウに先回りされてます。私の事は全部お見通しだから先に掃除しといたぞって……」
「コウヨウさんにも問題ありますよねそれ……」
「お兄ちゃんサリーの事になると親バカになるから」
「せめて恋人ってイッテクダサイ」
サリーヒモ兼ダメ男説が完全に事実になった。話題を変えて、メイプルはサリーに問いかける。
「それで、サリーどうする?」
「あぁ……私も遠慮するよ。メイプルがギルドマスターでしょ」
「え? もしかして私について行きたくない?」
「いや、そう言うわけじゃなくてね、ほら、メイプルって化け物でしょ?」
「サラッと人間扱いしないのやめて欲しいな」
「それは無理かな。でね、化け物って化け物とじゃないと分かり合えないんだよ」
「サリーも同族じゃない?」
「私は私よりもコウヨウの方が化け物だと思うんだ。メイプルとコウヨウこの2人がギルドを背負って欲しいなって思うんだけど、そのコウヨウが断るならギルドマスターだけで良いと思うよ」
「正直私達も【楓の木】でギルドマスター2人とか構えられたら死にかけるので嫌っすね」
「ベルベットは後で私の異形達からミンチね」
「それだけは勘弁してくれっす!?」
結局サブギルドマスターの件は無くなったのだが、コウヨウもサリーもギルドマスターはメイプルしかいないと改めて伝えて彼女を前に立たせる事を改めて2人は決意したのである。
「ベルベットさんお疲れ様です」
「ひぃぃぃい!? 殺さないでくださいっす!?」
「コウヨウ本当にどこまで拷問したの……」
「ミンチカツになるまで」
「メンチじゃなくてミンチなんだ!?」