妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ)   作:初見さん

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二刀流と八層蟹もどき

「兄さん達がいれば大丈夫かな」

「なんでだ?」

「ボスが強い」

「メイプルもサリーもいるから平気だろ」

「多分カナデはそんなレベルじゃない喜びなんだと思うよ」

 

 メイプルの言葉にカナデは頷く。コウヨウがわちゃわちゃやりながら、【楓の木】は【魔王の魔力】集めをしていた。コウヨウも本当は一緒にクエストに行くつもりだったのだが……

 

「今日は特別にお兄ちゃんがいるし、ほら見てよ。サリーだって喜びのあまり目を瞑ってモンスターの攻撃避けてる」

「危ねぇからやめろや」

「あはは……まぁ、最初から兄さんを誘いたかったんだけどアレだけ家事しながら自分とメイプル達の勉強教えてるのを現実世界で見たら誘いづらくて……」

「まぁ、実を言うと真面目にキツイ部分はあった」

「家事と家庭教師含めて平均10時間労働だもんね」

「「本当にすみませんでした」」

 

 元はと言えばメイプルとサリーが現実のコウヨウに頼りすぎなだけである。朝5時くらいに起きて深夜に寝る生活が続けば、流石にちょっとムサシと刀の訓練しながらクエスト情報集めだけでも御の字のゲームプレイであろう。

 

「どれだけ情報集めても【魔王の魔力】にEXがあるなんて聞いてねぇけどな」

「またゲームシステムじゃない説ないかなぁ?」

「あるかもな、とりあえず俺も斬ろうか」

 

 現在第十層の中にある第八層でカナデが謎を解き、メイプル、サリー、コウヨウがモンスターを狩るという鉄壁どころか最強布陣が出来上がっているので、しっかりと攻略をして行こうとしている。

 

「雑魚くらいは斬らせてくれ、ボスは任せた」

「ちょっと待てコウヨウ。なんで木刀一本しか装備してないの?」

「ちょっと基礎を磨く。声をあげて、さぁ出航だ、我ら【楓の海賊団】」

「私達海賊じゃないよ!?」

 

 カナデとメイプルが謎解きをしていると当たり前のように雑魚モンスターが出てきた。コウヨウは木刀一本という明らかに第十層後半で出すような武器ではないものをぶら下げているので流石のサリーも突っ込んだのである。

 

「そもそも斧持ってるモンスターに木刀で挑んだら壊れるよ」

「紅葉の打ちということ……敵の太刀を打ち落とすという事だ」

「だから木刀が破壊されて……」

 

 ——バキャアアアア!! 

 

 されどコウヨウは止まらない。そのままモンスターが振りかぶった斧を木刀一本で止め、そのまま弾いて打ち落とした。そしてそのまま……

 

 ——スパッ! 

 

 そんな綺麗清らかな音と共にモンスターは木刀で一閃斬られて消滅した。呆気に取られるサリーはともかく、謎解きをしているカナデもメイプルも流石に手を止める。

 

「えっ……? 今お兄ちゃん木刀で斬ったの?」

「というか破壊は!?」

「この木刀【破壊不能】なんだよ」

 

『最強木刀』【破壊不能】

 耐久値100の木刀2本を合成すれば手に入る究極の木刀。

 ステータスは上がらないが、プレイヤーの技量によって打撃ダメージから斬撃ダメージに変わる。この能力は並大抵のステータスや技量では扱えない。

 

「竜クエの配合じゃん」

「配合した。その前に『強木刀』ってあるからその木刀2本を合成させるんだよ」

「4体配合ならぬ4本配合じゃん」

「気に入ってる」

「ってか木刀でモンスター斬れるんだ……」

「攻略法とか僕も見るけどそれは聞いたことがないなぁ」

 

 4本配合によって作られた化け物の刀(木刀)だった。因みにこれで敵を斬るには全てのステータスが装備込みで100を超えていることや刀使いのPSが全プレイヤーの中で1位に登り詰めたプレイヤーしか使えないのは彼が伝説となった瞬間に発表されるのである。

 本来なら生産職くらいしか装備合成やメンテナンススキルは使えないのだが、コウヨウには【刀造り】があったのでノリで合成したらやばいのが出来ただけだった。

 

「というか……斧すら叩き落とすって何……?」

「紅葉の打ちってやつが五輪書にあってな」

 

 意味不明なので閑話休題。そのままボス戦へ。

 

「オモシ蟹……か?」

「ヒタギさんじゃないんだから……しかも茹でてないのに赤いし……」

「お兄ちゃん、殺さない程度に一回様子見で斬ってきて」

「うっす。カナデバフ頼む」

「殺さない程度にってメイプル言わなかった?」

「ハサミギロチンは一撃必殺だからな、警戒して損はない」

「ゲーム違うけどね!?」

「蟹美味しそう……」

「お前らが大事な時期乗り越えたら買ってやるよ」

 

 そう言ってコウヨウは刀を……木刀を抜いた。蟹はコウヨウに気がつくと、ハサミをミサイルのように飛ばしてきた。

 

「コウヨウ避けて!!」

「拍子を制すれば戦いを制する」

 

 普通に木刀でぶった斬りやがった。

 

「みんみんみん、みんみんみん、はーさみんって言葉があるように、はさみん星は17歳の少女が住んでいると言い伝えがある。つまり俺の方が年上だ」

「「まるで意味が分からんぞ!?」」

「はさみん星とか懐かしいなぁ……僕そのアイドル好きだったよ」

「カナデ浮気?」

「お前もとうとうサリーと同じ道通りやがったな」

 

 大蟹はそのままコウヨウ達に近づいてくるので、コウヨウは走って行って、蟹に対して攻撃を仕掛ける……

 

 ——ガギィィィィィィ!! 

 

「え?」

「はぁ!?」

「へぇ……」

「ありゃ? 止められちゃった? 仕方ない……ならばアレをやろう」

 

 普通に木刀を止められたコウヨウは次の一手を考えるが、メイプルとサリー、そしてカナデはやべぇどうしようと冷や汗を流す。

 

「サリー、攻撃マシマシで斬っちゃってよ……多分ダメージ入るから」

「多分って何!? いや、コウヨウのバフ無しの攻撃でも止められたならほぼ無理じゃん!?」

「いや、諦めんなよ。せめて腕にシルバー巻くとかさぁ……後、カナデバフかけて」

 

 コウヨウは流石に呆れたが、サリー達はそれどころではない。ただでさえ装備無しでもSTR10000あるのに、それが止められたのならサリーやカナデがいくらバフをかけてもかなり厳しい状況が……

 

「【呪斬】……お、ダメージ入った」

「「よっしゃ! これで勝つる!!」」

「2人ともテンション高くない?」

 

 キャラ崩壊である。

 

「【砲身展開】【攻撃開始】! サリー、私達もやっちゃおう!!」

「ならばわたくしもお供致しましょう。メイドの嗜みでございます」

「「いつ着替えたの!?」」

 

 メイプルの合図に反応したのはメイコウヨウこと【無詠唱】【エンゲージ】でメイド服を着たコウヨウ。サリーとカナデはあまりの速さに驚くしかなかった。

 

「「いっけぇえええ!!」」

 

 瞬間、メイプルはレーザー光線を、コウヨウは砲弾を1発放つ。されど威力は化け物級。メイプルのレーザーは大蟹を焼いてダメージを2割、コウヨウの砲弾は大蟹を爆破させダメージを3割。計5割。要は半分のダメージを削り切った。挙句の果てにはコウヨウの砲弾で辺り一面が火の海に包まれるので一種のボヤ騒ぎどころか火災が発生した。

 

「消化しないとやばくない!? 【水鉄砲】!!」

「「そのままでいいよサリー」」

「メイプル、コウヨウ、君達は鬼かい?」

 

 悪魔である。生きてはいるが、モンスターが丸焼けになっている光景と一面火の海の光景がもはや生き地獄であったので、カナデは流石に恐怖で体が震えていた。サリーもサリーでこの兄妹を本気で怒らせたら金属の牛の中に放り込まれて焼かれる未来しか見えなかった。

 

「と、とりあえず兄さん達の撒いた火を消火しながらモンスターも攻撃しようかな……【トルネード】!」

「【水鉄砲】!! 【水鉄砲】!! 水……もう無理!! MP勿体無い!!」

「「だからそのままで良いって言ったんだよ」」

 

 割とこの兄妹はサリーよりも頭は良いのでMPの事までしっかり考えての発言であった事に今更カナデが気づいて苦笑い。サリーは普通にこの馬鹿兄妹と怒った。

 

「それじゃあ、まだまだ行こうかな……【水底への誘い】!!」

「なるほど、蟹にはタコか……ならば俺は龍にはもうなれないけど、ほらよ!!」

 

 蟹はダメージを受けてもハサミを飛ばしてきたので、メイプルは触手でコウヨウは【始祖龍 ミラ・オリジン】を指鳴らしで使用。雷が1発で複数のハサミをまとめて焼き焦がした。

 

「相変わらず反則なことで……私だって……【超加速】!!」

「俺も行くよー」

「「速!? いや……速!?」」

 

 続いてサリーがモンスターに突っ込んでいけばコウヨウも【雷加速】で一瞬。モンスターは目の前だ。

 

「【クインタプルスラッシュ】!!」

「コウヨウ二天」

「「いや、1人スキルじゃないよね!?」」

 

 メイプルとカナデが連続で夫婦ツッコミをするが対象はコウヨウのみである。嫁のサリーは隣にいたが、本気で斬りかかったコウヨウの姿を捉えるのは不可能だった。

 

「えっ……いつ斬ったの……???」

「もう10撃入れた……だが硬え……仕方ない。五輪書読むか」

「戦い途中で本読むな!! ってかもう読んでる!?」

 

 一瞬でコウヨウは蟹から離れて絵本(?)を読み出した。しばらく読んでからなるほどと一言言って……

 

「秘密兵器を出す。メイプル、サリー、カナデ。俺が合図したら蟹をよこせ……たたらたったらー、『倍斬カタナ』!!」

「「「ナニソレ??」」」

 

 コウヨウどころかクロムくらいの身長……180センチ程ある馬鹿でかい大剣がコウヨウのインベントリから飛び出した。そうしてそれを構えて彼はそのまま静止する。

 

「【倍斬トウ】……2……4……6……」

「何するか分からないけど……タメ攻撃なら……メイプル! カナデ! コウヨウを援護しよう!!」

「「任せて!」」

 

 メイプルとカナデは魔法を使ったり、盾で蟹をガードしたりして蟹をコウヨウの意識から反らせる事にした。

 

「【挑発】!!」

「【炎弾】!!」

「こっちだよ、大蟹! 【ダブルスラッシュ】!!」

「16……18……20……」

 

 コウヨウのカウントはまだ続く。もう既に30秒は過ぎているが、まだ止まることを知らない。

 

「コウヨウ、まだなの!?」

「30……32……34……MAXだ! 蟹よこせ!!」

「メイプル! コウヨウに!!」

「【暴虐】!! お兄ちゃん! 本当にお願いね!!」

 

 メイプルは【暴虐】で怪物になりながら、大蟹をコウヨウに向けてぶん投げた。その瞬間コウヨウはムサシにモンスター化してみんなを乗せろと伝えた。戸惑う3人だが、刀に変身したムサシに乗った瞬間。

 

「バイ、キル、トウゥゥウウウウ!!」

 

 ——ズドォォオオオオオオ!!! 

 

 大剣が大蟹を地面に叩き伏せた。甲羅は割れ、身体は潰れて、地面にめり込んだ挙句、その地面すらも耐えきれずにユイと作った以上、いや、その倍の超巨大クレーターが発生した後……

 

「落ちろよぉぉおおおお!!」

「「「いやコウヨウ(お兄ちゃん)も落ちてるよ!?」」」

 

 地面が壊れてそのまま蟹とコウヨウは落ちていったのだった。そうして数分の沈黙。もはや地面など一切ない。だが……

 

「ふわーふわ、氷のダイヤにー……触れられるかぁあ!!」

「「良かった生きてた」」

「足場が無いなら宙に浮かべば良いじゃない」

「「それはお兄ちゃん(兄さん)だけです」」

「そんな事よりあの刀なに!?」

 

 サリーだけはマジで気になるみたいである。

 

『倍斬カタナ』

 この刀を持った時のみ【倍斬トウ】が使える。

【倍斬トウ】

 タメ攻撃によってその一撃のみだが、STRを倍にする。3秒ごとに2倍になり、最大54秒、36倍まで上昇する。

 

「刀合成して遊んでたら出来た。タメ攻撃とか隙だらけだからあんまり出番ないかなと思ったけど持っててラッキーだったな」

 

 サリーやメイプル、カナデは強い。今のモンスターでも問題なく攻略出来るだろう。

 それでもコウヨウはその先を行く。知恵と実力、そしてアイテムを駆使して、このゲームを攻略する為になら全力でタネを隠さない。

 

「コウヨウが強いのは奥の手でもすぐに出すからか……」

「サリーはやっぱりお兄ちゃんと戦いたいんだね」

「うん……そうだね……」

「カナデ、飯行こうぜ。ついでに女装付き合え」

「僕がそれでうんって頷くと思ってるの?」

「最近メイプルと女装して責められてるの知ってるけど」

「誰か僕を殺して」

「どうだった?」

「最高だね……やめてそんな目で見ないで」

 

 カナデが一番キャラ崩壊している気がするコウヨウだった。




 キスをしましょう、アララギ君。(うろ覚え)
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