妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ)   作:初見さん

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二刀流と第十層の第八層

「ここが第八層の奥底か」

「ねぇコウヨウ、なんで『潜水服』着てないの?」

「無念夢想があれば呼吸など要らぬ。53分は問題ない」

「もう北の伝承者だよね!?」

 

 因みにコウヨウはサリーと違って徹夜は耐えられない。サリーはゲームに限り一週間寝なくても……

 

「大丈夫な訳あるか」

「お前徹夜してフレデリカさんにやられそうになってんだからそうだよな」

「でも昔サリー何日寝なくても平気か実験してたよね」

「記憶無いです」

「僕は慣れたよ」

「やるな、慣れるな」

 

 そんな実験してたらそうだろうなと、コウヨウは途中で白目剥いて気絶していたサリーをベッドに寝かせた時を思い出した。

 

「キョンシーにでもなったかと思ったぞ」

「サリー白目剥いてたからね」

「記憶無いです」

「ってかカナデは寝なくても平気なんだな」

「徹夜は好きだからね」

「寝ろや」

 

 そう言いながら4人は水中神殿の奥底に向かった。因みにコウヨウはというと……

 

(にっこにっこにー)

「くだらないシグナル出さないで。あと『潜水服』着ろ」

 

 侍装備で泳いでた。しばらく泳ぐと神殿が見えて、そこに4人は着地する。

 

「広いな」

「メイプルとサリーの準備は大丈夫そうだね……ってなんで喋れるの???」

「気にすんな。呼吸法だ。カナデは?」

「魔導書の用意くらいなら」

「念のため聞くけど……お兄ちゃんは?」

「木刀は研いだぞ」

 

 木刀は研ぐものでは無いです。カナデの手札も普通の魔法使いよりは多いので、正直今のメンバーなら問題なく攻略が出来る。

 

「え? また泳ぐの?」

「だから『潜水服』着ろって言ってるでしょ……しかもまだ息続いてるの!?」

「手先が狂うから嫌なんだよなぁ……心臓止めながら動ける方法ない?」

「ある訳ないじゃん、バカなのお兄ちゃん」

「流石に僕も酸素を供給する魔法やスキルは無いかなぁ」

 

 悩んだ結果、仕方なく装備する事にした。本物の第八層にいた時は【水泳】だけでなんとかなったが、今回はそうも行かないみたいだ。仕方なく潜りながら、小魚の雑魚敵を切り刻むが、割と小さいのやら大きいのやらがいて結構厄介である。

 

「【身捧ぐ慈愛】! 【救済の残光】!」

「これは……強行突破するしか無いんじゃ無いかな」

「なら、いい技がある」

「コウヨウ何か策があるの?」

 

 策というよりかは……と前置いてコウヨウは【二天の無紅へ】を使おうと言った。硬直時間は長いが動けなくなったらサリーの【糸使い】で妹のメイプルと自分を運んでもらい突破する策である。

 

「かなりの広範囲攻撃ならこれしかない」

「なら、僕も広範囲攻撃を念のために撃っておくかい?」

「いや、カナデは温存。MPならポーション飲めば回復するが、カナデのインデックスは回復しないしな」

「【神界書庫】だよ兄さん。禁書目録ではないよ」

 

 どっちも反則なんだから良いだろとコウヨウは伝えてサリーのスキルに腕をつける。

 

「んじゃまぁ遅れますわ……おい、貴様ら」

 

 ——消えろ

 

 瞬間、【無詠唱】で【二天の無紅へ】を発動したコウヨウの姿が消え、大群の後ろまで高速移動した。斬撃のエフェクトが無数の魚を斬り裂いて確実に全ての魚を葬った。

 

「運んでくれ!!」

「OK!!」

 

 コウヨウの合図でメイプルとコウヨウはサリーの糸で引っ張られた。これにより、次の大群が攻めてくるまでに脱出をしたのである。

 

「一旦出られたな。んじゃ、行くか」

 

 コウヨウがみんなに伝えてそのまま奥に進む事にした。

 

「サリー、気配探知って出来るー?」

「出来るけど……まだしなくていいかな」

「「なんで?」」

「なんか、近づいて来ないんだよね」

「え? あ、本当だ……なんかいたけど隠れちゃった」

 

 普通のプレイヤーが出来ないことをやってのけるサリーではあるが、そんな能力すらもいらなかった。どうしてかは分からないがモンスターはいるのに向かってくる気配が無い。カナデがふと、先ほどいたモンスターが怯えて逃げて行ったのも確認した。

 

「はぁ? そんな訳ないだろ、モンスターだからこそ俺達に攻撃を仕掛けてくるんじゃないのか?」

「お兄ちゃんのいう通りだよ。モンスターが向かって来ないとかゲームじゃないじゃん」

「いや、多分主のせいだぞ」

「「「ムサシ??」」」

「え? 俺?」

 

 コウヨウのテイムモンスターは人型になって4人に話した。真の強者は何者も寄せ付けない。眼と少しの動きだけで敵は怯えて逃げていく。

 

「主さっきから刀の鞘を握っているが、隠しきれん殺気を出している自覚はあるのか?」

「いや、全く。モンスターいたら斬ろうかなって」

 

 ムサシも眼を大きくして驚いた。無意識で出したコウヨウの殺気はモンスターを威嚇し近づく事すら悪である証明を見せつけたのだ。

 

「じゃあお兄ちゃんがゲームバランス壊してるんだ」

「んな訳……じゃあ刀から手を離すぞ……おーい、お前ら出てこいよー」

 

 ——来たやつ全員殺すから

 

 コウヨウがそう話したわけでもないが、周りで隠れているモンスターはコウヨウがこう言っているように見えたので怯え続けた。

 

「えぇ……マジで出てこねぇじゃん……どうする?」

「先……進もうか……なんか……うん。実は私もコウヨウ結構やばいなって思ってたし」

「えっサリーわかってたの??」

 

 実を言うとサリーは気づいていた。あえて気づかないフリをしていたのは、コウヨウが心とは裏腹に鼻歌を歌っていた事や、奥にいるボスが殺気でも放っているのかと誤解していた事もある。

 

「やけに近いなぁとは思ってたけど……うん。もう諦めた」

「あ、1匹出てきた……」

「死ね」

「惨い!?」

「漫画とかドラマとかで見るけど、犯人追い詰めたらさっさと殺せば良いのに銃とか刀とか向けるだけでくっちゃべってるの何なんだろうな」

「「「よし、今のこの人にモンスターを人質として渡してはいけない」」」

「いや、モンスターの人質とかいらねぇのよ」

 

 出てきたら出てきたでコウヨウが最速で斬った。サリーの気配察知でどこにモンスターがいるのかみんな分かってはいたが、結局斬るのはコウヨウだけであった。というか今のコウヨウはもはや悪人のような台詞を吐いている。今のコイツならモンスターを人質取ったらそれを5秒で斬るだろう。人質とは……? 

 

「あ、中ボスだ。流石にこれは……」

「コロサナイデクダサイ」

「「「ボスが命乞いしてる!?」」」

「却下だ」

「イタイ……」

「「「また一撃なんだ!?」」」

 

 中ボスはクラーケン。普通に中ボスなのでコウヨウといえども殺気如きじゃ逃げないかなと思ったが普通に命乞いしてた。

 だが、中ボスの役割だからか逃げられないので、大人しくコウヨウに一撃で葬られるしかなかった。

 

「体力は高いみたいだが……無念夢想には勝てん」

「宮本武蔵真剣……二刀一流の伝承者はやっぱりすごいなぁ」

「触れたら終わりか……避けながら攻撃を仕掛けないと……でもAGIでは負けるから……トラップもありか……

「サリーがめっちゃお兄ちゃん攻略の糸を考えてる……」

「この首取りたくばいつでも来るがいい、我が二刀一流に一片の隙なし」

「「「ケンオウじゃん」」」

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