妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ)   作:初見さん

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二刀流と第十層の第八層2

「カナデ、暗号解読を頼む」

「OK、そういえば兄さん。なんで兄さんも暗号解読しないの?」

「謎解きはお前の専売特許だろ?」

「まぁ、そうなんだけど……兄さんも元首席でしょ?」

 

 カナデはコウヨウが攻撃ばかりで暗号解読しない事に疑問を思った。首席というと語弊はあるが、コウヨウだってカナデまでは行かなくても推薦で学校に行けるくらいは頭は良いので、一緒にやれば良いのにと伝えた。

 

「やっても良いけど、万が一俺とカナデとメイプルで答えバラけたら三択になって余計混乱するだろう。メイプルかカナデなら二択なんだから俺やサリーは無理に入る必要は無い」

「サリーは馬鹿だからともかく、お兄ちゃんの言うことも納得出来るかも」

「メイプル君正座」

 

 ちょっとサリーがキレた。確かに現実では馬鹿でアホでマヌケなサリーだが、ゲーム内ではほぼ頂点の実力である。というか最近現実世界では成績が良いのだけれど。

 

「結局なんて書いてんだ?」

「お兄ちゃん、守護神と弓使いどっちが良い?」

「二択の次元が違うんだが……まぁ、みんな遠距離苦手だし、守護神でいいだろ」

「接近戦なら楽かもね」

 

 そう言って4人は部屋に移動した。黒いキューブしかなかった部屋だが、その黒いキューブは人型にトランスフォームした。

 

「大剣持ちか」

「兄さん、行けるよね?」

「隙ついて斬る。援護お願いしたい」

「OK、【大規模魔法障壁】……って壊されちゃった!?」

 

 カナデが作った障壁がキューブが変形した、大剣を持つ剣士によって一刀両断された。カナデは驚いたが、コウヨウは眉ひとつ動かさない。

 

「大剣……力はあるようだな」

「コウヨウ! 来るよ!!」

 

 ——ガギィィィィィィ!! 

 

 剣士は大剣でコウヨウを真っ二つにしようと試みたが、コウヨウは……刀も抜かずに片手で止めた。

 

「「「え!?」」」

「おいおい、俺の昔のプレイスタイル……忘れたわけじゃねぇよな?」

 

 片手1つで止めた彼に驚いたが、最初にカナデが気づく。その瞬間、短刀になっていたテイムモンスターが姿を現した。

 

「そうか、ムサシが……」

「テメェさっきから高みの見物してるくらいなら手伝え、大剣豪宮本武蔵といえども、今は俺のテイムモンスターだぞ?」

「だからこうして守っているだろう……全く、師匠使いが荒い弟子だ……」

「まぁ、助かったぜ。行くか……【コネクト】」

 

『ムサシとのコネクトを開始します。この瞬間、ムサシとコウヨウの力と絆が【極み】になりましたので【精神同期】が発動します』

 

【精神同期】

 ムサシの【変身】を使う事が可能になり、手足を刀に変えられる。集中すれば自信が武器になることも可能。

 

「こいよ……俺の神髄見せてやる」

 

 そのまま大剣を弾き返したコウヨウは宙に浮いて……日本刀に変身した。

 

「お兄ちゃんが刀になった!?」

「アレ、ムサシの能力じゃない……?」

「兄さんが前に言ってたこと……現実になっちゃった」

『コウヨウ一天!!』

 

 コウヨウ刀はモンスターに突っ込んでいき、剣士の脚を一閃した。体勢を崩した剣士に対して、すぐ人間姿になったコウヨウは刀を抜かずにそのまま手刀で大剣を持っていない方の腕を斬る。

 

「最早コウヨウが剣になってる……【コネクト】ってあんな強いの?」

「しかも兄さんの速さもあってかまいたちの様にモンスターが勝手に斬られている様にしか見えない……」

「これ避けるの無理じゃない!?」

「「メイプルはガードで」」

「私のVITすらも超えてくるなら無理だよね!?」

 

 コウヨウの力に耐えられないのかすぐに剣士はドーム上にエネルギーバリアを張ったのだが……

 

「カナデの分だ」

 

 今度はコウヨウが【青龍以下略】を1本のままで真っ二つに斬った。だが、コウヨウは少し頭を抑えながら……

 

「後は頼む……」

「えっ、お兄ちゃん?」

「我は……もう力が出ん」

「えっ、我って……ちょっとお兄ちゃん!?」

 

 敵を木刀で斬らずにわざとぶっ叩いて、ノックバックをさせた後、すぐにメイプル達の元に行ってから気絶したコウヨウ。

 

「サリー! お兄ちゃんが!」

「メイプルはそこでコウヨウを守ってて! カナデ、行くよ!!」

「うん、兄さんがかなりダメージを減らして……あれ?」

「カナデ!!」

「あ、うん。ごめん……【呪いの炎】【大凍結】!!」

 

 カナデはコウヨウが一撃で沈めなかった事に疑問をもったが、サリーの言葉でその考えを破棄して魔法陣を展開する。

 

「【セクスタプルスラッシュ】!」

 

 結果だけ言うと簡単に倒せた。コウヨウがHPを2割まで持って行った事が大きく、難なく粒子に変えたサリー。だが、問題はこの後……

 

「お兄ちゃん……起きてる?」

 

 メイプルの声かけに対して少し唸り声を上げたコウヨウ。そして少し眼を開けてから、彼はゆっくりと立ち上がる。

 

「あ、コウヨウ……怪我は……」

「主は……今不味いことになっている。私が代わりに前に出よう」

「その口調……もしかしてムサシ?」

 

 サリーの問いかけにコウヨウの身体を貰ったムサシが声を出した、今コウヨウは意識を失っており、プレイヤーを動かすことが出来ない状態であるらしい。

 

「なんとかして主は元に戻そう、私の責任でもあるしな」

「ムサシの……? ねぇ、ムサシ、お兄ちゃんは無事なの?」

「分からないから私がなんとかするのだ。私の命を代わりに使ってでも、弟子は元に戻す」

 

 行くぞと、ムサシはまずこのダンジョンをクリアしてギルドホームに戻って、コウヨウを安全な場所に持っていくために歩くことを提案した。

 

「ムサシ……君は本気で何者なの?」

「私は……怨念だ」

「怨念? それはコウヨウが前に言っていたわらしと同じやつ?」

「あぁ、思い出したんだ。私は【魔王】と共に異世界に来た。だが、この存在は私達が少しでも生きて、戦っていたいと思った事によって出来てしまった邪な怨念なのだ」

 

 自分達がこのままでは、このゲームに悲劇しか生まないとムサシは全てを話した。今は何にもなくても、わらしの様な怨念を呼び、いつプレイヤーに呪いをかけてしまうか分からない。今回に関しても、コウヨウの身体の中にムサシの怨念が入りすぎてしまったので、完全に気分を壊してしまったせいでコウヨウが自我を保てず気絶してしまったのだと言う。

 

「えっと……君たちがこのままだと、いつかこのゲームで死者が出るって事?」

「そうだ。だから主に……このコウヨウと言う男に、私と【魔王】……夢想権之助を倒して天に帰して欲しいのだ」

「夢想……それが【魔王】の正体なの?」

「ねぇ、ムサシ。一つ聞いていい?」

「なんだ、妹君」

「お兄ちゃんは絶対帰してくれるんだよね?」

「私が助ける。最悪の事態にはさせない。だから、今回は私を信じて、この先の攻略だけをお願いしたい。主には私達を殺してもらい二度とこんな事が無くなるようにして貰いたいのだ」

「無論、そのためなら主の身に何かあっても私が死なせないように手は尽くす」

 

 頼むとムサシはコウヨウ本人の姿で頭を下げた。サリーは怨念に対して怯えてはいるが、メイプルとカナデは真剣に話を聞いていたので、自分も恋人のために話を聞いた。

 

「サリー、攻略しよう」

「うん……そうだね……」

「サリー、ビビっちゃダメ。お兄ちゃんに一生を捧げるなら、これくらい信じてあげて」

「全く……兄さんは出会った時から無茶苦茶だったけど……本当に呪われてるねぇ」

「ごめんねカナデ、私の愚兄が」

「ううん。コウヨウがそれくらい偉大な人だって実感したからそれで良いよ……話を聞いた僕達も逃げられそうにないしね」

「ね、ねぇ……ムサシ……」

「なんだ姫君」

「コウヨウは……ムサシと【魔王】を倒したら……今はこんな化け物だけど、ちゃんと人間に戻るよね?」

 

 サリーの問いに対して、ムサシは笑って……

 

 ——主は私がいてもいなくても、刀の才はあったぞ。それ以外は人間だ。

 

「やっぱりこの兄妹化け物の生まれ変わりなんだ……」

「サリー、齧るよ??」

 

 今度はメイプルがキレた。そんなことをしてる場合ではないとは分かっているが、なんとなくメイプルは兄は無事なんだろうなと思っていたのである。

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