妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ) 作:初見さん
「な!? ムサシがまだいる……!?」
『私は魔王だぞ? 二度の敗北は無いわ!』
まさかのコンティニュースキルを使っていた魔王はそのままバリアを張りながらもう一度二刀を抜いてコウヨウに挑む。コウヨウは呆れながら、早く死ねやと悪態をついた。
「魔王は一度や二度ではしなん。このバリアを破壊すれば私の刀の餌食になる……どうする、最強の刀使いよ……」
「バリア貼っただけじゃん」
コウヨウは少しステータスを見て考えるが、さっきの一撃でHPはほぼ無い。更にはバリアを展開されて割ると秒も経たずにダメージが入るならもはや手も足も出ないが……
「仕方ねぇな、お邪魔しますね」
「「おい待てバカ!!」」
普通にバリアの方まで歩き出したコウヨウとそれに突っ込むメイプルとサリー。別に策なしではないが、上手くいく策とも思ってない。それでも進まないと勝てないので歩くことにした。バリアまでもう拳が届く場所で止まったコウヨウに対して宮本武蔵は笑う。
「どうした? 怖気付いたか? だが、この能力を使っても近づいて来る者は貴様くらいしかいるまい。褒めてやろう」
「そうか、じゃあ、褒美が欲しいな」
「褒美だと? 何がいいのだ……?」
そうだな、と少し考えるふりをしてコウヨウは……
——俺とお前の命だな
【無詠唱】で【エンゲージ】を発動した後、拳でバリアをぶち壊した。少し怯んだ宮本武蔵の……魔王の心臓に向かって……
「俺と風呂入ろうぜ、最も五右衛門風呂より温度が高い火の海風呂だけどな」
「貴様……刀を捨てたか!?」
「名乗った事はないな、だって俺は……」
——釣りが好きなだけだしよ。
砲弾を目の前で爆発させたのである。
☆
『魔王は滅びました。これによりクエストクリアです』
インフォメーションが出てくるが、【楓の木】、【集う聖剣】、【炎帝の国】、【ラピッドファイア】、【thunder storm】のメンバーはその場から動けなかった。鎖が付いてるわけではない。魔王は倒した。だが、代わりに1番の功労者と大切な人を失ったのだ。
「まぁ……よくはねぇけど……これでクリアなんだよな……?」
「お兄ちゃんがいないからクリアしてないよ……」
「コウヨウのバカ……メイプルならともかく自爆なんてしたら死ぬに決まってるじゃん……」
「な、なぁ? 確かコウヨウにはコンティニュースキルがあったよな? それで、本当は生き延びてましたーとかは……」
「テイムモンスターのムサシがいねぇんだから無理だろ」
「なんか……本当に……悔しいっすね……いや、クリアしたから嬉しいっすけど……」
みんなそれぞれ、感想を言う。コウヨウはいない場所はやはり暗くなるのだ。
「よし……メイプル、また行こう。時間はあんまりないけど……コウヨウがいれば、大丈夫でしょ」
「俺は休みたいから行きたくねぇよ」
「そうだね……お兄ちゃんとまた一緒にクリアしてから、私達も勉強しようか」
「勉強はして下さい」
「「「「「いやなんでいるんだ貴様は!!?」」」」」
前言撤回、やっぱいた。嘘だろと言いながらカスミはコウヨウに声をかける。
「貴様なんでいる?」
「カスミさんに貴様って呼ばれたらちょっと興奮しますね」
「「刺すぞ」」
「サリー、カスミ、ストップ……んで、なんでお兄ちゃんは生きてるの?」
「【冥界の施し】」
「テイムモンスターはいないだろ? ムサシは死んだんだ、コウヨウにはもうテイムモンスターは……」
1人いた。コウヨウはハッキリと武蔵野が自分のテイムモンスターとして扱えたことを伝えたのだ。
「あいつはどうやらゲーム区分ではスキル補助系のテイムモンスターらしい」
「スキル補助系だとしてもあの女自分で大砲ぶっ放して無かった??」
【エンゲージ】を使うためのテイムモンスターだったみたいである。とにかく、コウヨウは無事だった。
「でも、武蔵野が消えちまった……」
「今度はノーダメージでやろうよ」
「「いや無理だろ」」
メイプルの慰めに突っ込むしかないサリーとコウヨウ。だが、3人は笑っていた。
『よくぞ余を倒してくれた……』
「「ま、魔王……!?」」
「アイツまだ生きて……」
「よう、武蔵生きてたんだな」
コウヨウは何事も無かったかのように宮本武蔵こと魔王の元に歩いていく。
「お兄ちゃん殺されるよ!?」
「メイプル、落ち着いて……多分アイツコウヨウには何もしない」
『貴様のおかげで余達の怨念は遠い別の所へ飛んだ。人間どもが恨みある分完全に消えるわけではない……』
「まぁ、人間は強欲だしな」
コウヨウは知っている。喜怒哀楽、嫉妬、悔しさ、負の感情なら一通り体験した。そんなコウヨウを武蔵は見て笑う。
「これをやる」
「なんだ……? これ?」
『称号【
「聞いたことある……なんだっけか?」
「私よりも最強の武士だ。今の主にはそれが似合う。それと、妹君」
「えっ……私?」
「貴様の魑魅魍魎はかなり効いた。まるで魔王より魔王。だから貴様にもこれを渡す」
『デモンズハート』
血のように濃い赤色をした未知の宝石が嵌め込まれた、魔王が保持していたブローチ。
その見た目から魔王の心臓、『デモンズハート』と名付けられた。
宝石には魔王の魔力の一部が残っている。
【魔王】
発動することで異形を周囲の空中に呼び出す。
「えっ? 私【魔王】なの!?」
「いいじゃねぇか、魔王様」
「お兄ちゃんまで!?」
「俺は……へぇ、何装備しても【破壊不能】か存分に力技出来るな」
まだ本気じゃなかったのかと聞くメイプルだが、コウヨウは本気は出していた。たまに耐久値を気にする事もあったが、それはこの称号で無くなった。
「主、その装備は奪い取らん。いつかまた……」
「怨念持ってこないならいつでも相手になるぜ。宮本武蔵も夢想権之助もな」
しっかりと魔王に対して握手を交わしたコウヨウはそのまま後ろを振り返った。
「また変なスキル覚えたのメイプル?」
「異形はもう嫌なんだが……」
「私だって【魔王】呼ばわりとか嫌だよ!?」
「コウヨウの称号に関しては私も知っている。昔剣豪と呼ばれた将軍の師匠の名前だ」
「って事は刀使い最強はコウヨウか、刀では勝てないってわけだな」
「師匠はやっぱり師匠ですね!!」
「師匠はスーパー凄い剣です!!」
「俺は刀じゃねぇぞ」
「【魔王】!!」
「なんか……二刀持ってね?」
「これコウヨウが言ってたさっきの凶エスターk」
「「ストップサリー」」
どうせなら魔王の衣装でも着てみるかとコウヨウのセリフに笑う【楓の木】メンバー。
「とりあえず……みんなで祝勝会しようか」
「んじゃ、帰りますか。みなさんありがとうございます。お疲れ様でした」
「「「「んじゃ帰るか、最強」」」」
俺は最強じゃねぇと笑いながらもみんなで祝勝会をするためにギルドに戻って行ったのだった。