妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ)   作:初見さん

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二刀流と最終イベント3

「メイプルはこの先でミィと戦っている」

「ありがとうございます」

 

 ペインはリスポーンをこの場所に指定した。相手から逃げるために別の場所にリスポーンする選択はあったが、コウヨウに伝えたい事があったのでここに残ったのだ。それが最初の言葉だった。

 

「なぁ、コウヨウ。お前はなんでそんなに強いんだ? さっきのは確かに俺のプライドを完全に捨てた不意打ちだった。それすらも斬られるとは思わなかったんだが……」

「知りません。元々は俺の強さでは無かったので」

 

 原点としてはサリーに誘われてメイプル達より遅くログインして、刀を選んで、【呪斬】と【居合極】を手に入れて……

 

「宮本武蔵と合わなければこのスキルだけで戦ってました。でも、【呪いの首輪】つけられて、奴に会って、わらしに会って、なんかもう知らん奴もいっぱいいました。お前達もだよな、綾波、武蔵野」

「なのです」

「そうね」

「えっ……!?」

 

 コウヨウの言葉に突然現れた2人の女に対してペインは驚く。

 

「タッグ組んでいたのか?」

「俺はソロですよ」

「まさか……テイムモンスター……?」

 

 御名答とコウヨウが言うと、ペインは大笑いした。そうか、お前は全く本気では無かったと言う事だったんだなとペインが言ったがコウヨウは首を振る。

 

「俺の本気は臨機応変です。確かに出してないスキルや手はありますが、ペインさんにはペインさんを、メイプルにはメイプルを倒すための手段があります。それを見極めて戦わないと、同じスキルの連続ではいかに強くても勝てませんよ」

 

 特に、レイや【断罪ノ聖剣】に依存してはいけないとコウヨウは教えた。ペインは真剣に聞いて、なるほどなと、一言。

 

「俺だって何も考えてないわけではない」

「でしょうね、でも、俺に勝つには足りません」

「そうだな……さっきの不意打ち。すまなかった」

「構わん。いつでも来い」

 

 2人であぐらをかきながら、向かい合って地面に木の棒で落書きしながらコウヨウはペインに兵法を教えた。

 

「いたぞ! コウヨウと……ペイン!?」

「あいつらまさか……ペアか!?」

「なんかきた……どうしようかな。メイプルの元に向かいたいんだけど……」

「先に行け。ここは俺がやる」

「良いんですか?」

 

 コウヨウとペインの話を邪魔するのは20人程のプレイヤー。コウヨウなら一瞬なので戦ってもいいが、メイプル達に合う時間のロスになる。だが、ペインがこの場を収めてやると言ってくれたので礼を言うコウヨウ。

 

「勝者の特権だ。ここは俺が持とう。お前はメイプルの元に行くがいい」

「助かります」

 

 そう言ってコウヨウはスキル無しだが車並みの速さでそのまま走っていった。

 

「コウヨウがペインを裏切った! よし、みんなペインを……」

「裏切る? 違うな。奴は行っただけだ、俺よりも大事な人の場所に。それを何も知らずに言葉にするのはやめてもらおうか」

 

 ペインはそのまま敵に向かって走る。敵を斬り倒しながらペインは考える。最強の刀使いに教えてもらった事を反復しながら。

 

「役に立たぬ事をせざる事……か、アイツがゲームを離れたら、俺も二刀で遊んでみるかな」

 

 結局、【聖剣】に勝てるものはいなかったが、ペインは彼らを倒すと同時に新しい技術をこれから掴むのである。

 

 ☆

 

「メイプルに会うなら私を倒してから行ってくれ」

「断る」

「【炎帝】!!」

 

 そう言って彼女の隣にいつの間にかいたコウヨウに対して、赤髪の女は魔法を唱えるが、それすらも避けた。

 

「急が無いとアイツらの試合見れないじゃ無いですか、邪魔すんなミィ」

「そうもいかん。お前と戦える絶好の機会だからな」

「【聖剣】に続いて【炎帝】なんて俺が戦う順番間違えてませんか?」

「何だと……既にペインを斬ったかだが、【爆炎】!!」

 

 スパッと、炎を斬ったコウヨウに対してミィはやっと刀を抜いたかと笑った。

 

「安心しろ、メイプルにはさっき会ってな、負けてきた」

「何も安心要素がないですね、さすが俺の妹だ」

「メイプルには負けた。だが、この私に二度の敗北は……存在しないぞ!!」

「うるせぇ奴だな……」

 

 なんか知らんがスーパーハイテンションのミィに対して、少しひいた。というかミィに関してはメイプルに負けてコウヨウにも負けるのはプライドが許されない。

 

「【フレアアクセル】!!」

 

 ミィはすぐにコウヨウと距離を縮めた。コウヨウに対しては遠くても近くてもどのみちやられるのは分かっていたので、それならば近づいておいた方がマシだと考えたのだ。

 

「私だって魔法だけでは無い!!」

 

 ガキンと、ミィの短剣とコウヨウの刀が重なった。【フレアアクセル】で加速した分の勢いもあり、あまり弾けなかったコウヨウだが、しっかりと防いだ。

 

「イグニス【巨大化】!! 見せてやろう、これが私の全力だ!!」

 

 そう言ってミィは巨大化させたイグニス、不死鳥に乗って空を飛んだ。コウヨウが空中に来る前に、素早く大技を仕掛ける。

 

「【インフェルノ】!!」

 

 超巨大な爆発が、下にいるコウヨウを襲う。コウヨウはそれでも刀を鞘に収めてミィを睨みつけた。

 

「流石の最強もこの炎から逃れられまい」

 

 声は聞こえない。爆発の影響で黒煙が上がってコウヨウのいる位置が全く見えなくなった。本気で返事がないのもあり、倒せたか、倒せてないかは微妙だが、それでもダメージは避けられないだろうとミィは少し笑う。

 まぁ、その笑いはすぐ終わるのだが。

 

 ——ズドォォオオオオオオ!!! 

 

「へ?」

 

 大きな音とミィへの衝撃。その瞬間もうミィは空中スカイダイビング状態だった。

 

「な、なんだこれ!? イグニス!? いつ離れ……いない??」

「堕ちろよ(みかど)

 

 ミィが声のする方を見ると、涼しい顔で右手を伸ばして指示のようなものを出していたコウヨウと、見知らぬ獣耳をつけた少女が2人。その内の1人は船のような武装をして、砲術から煙が出ている。

 

「な、何をした……コウヨウ!!」

「インフェルノはわざと泳がせた。避難した後声を発さず、テメェのモンスターを焼き鳥にしただけだ」

 

 単純な話。インフェルノは【雷加速】で遠くまで逃げて避けた。その後、スナイパーのように声を殺して、武蔵野に【エンゲージ】で砲弾を撃ってもらった。それだけである。イグニスを秒で失って、そのまま落下したミィだがHPはギリギリ残っていた。

 

「んだよ、諦め悪いな」

「な、お前……ペアを組んでいたのか……」

「紹介する。鬼神ちゃんと武蔵野様だ」

「綾波は綾波なのです」

「妾と指揮官に歯向かうとは愚かな人ね」

 

「いや待て……ペアは2人1組なはずだ! なのになんで……!?」

「テイムモンスターだからなんでもありだよな」

 

 またやべぇテイムモンスターを連れてきやがったとミィはもはや頭を抱えることしかできない。それでも、なんとか残ったHPで、コウヨウを追い詰めるとこまで頑張る事にした。

 

「【火炎牢】!! 流石に閉じ込めればそんな砲弾も打てまい!!」

「【身代わり】」

「な!? 新しいスキル……??」

 

 普通にコウヨウを牢に閉じ込めた……はずだった。

 

「%%####%#!!?」

「いやなんですかこの化け物は!?」

 

 思いもよらない事態に対して流石にミィも敬語である。それはそうだ。確実に捕まえたコウヨウ……ではなくて目玉が3個、赤く血塗られたスライムの様な異形をしたモンスターよりもモンスターが【火炎牢】の中にいたからである。

 

「%#☆♪→!」

「いや、何言ってるかわからん!? くっそコウヨウどこだー!!」

「よそ見厳禁なのです」

 

 訳の分からないスライムに目を向けている場合ではない。コウヨウのテイムモンスターである綾波がミィの後ろから攻撃を仕掛けてくるので、短刀で防いで距離を取るしか無かった。

 

「うわ、くっそ……コウヨウめぇ……また変な……しかもまた女か!! あのロリコンヨウ!!」

「綾波はロリではないのです、小さいのは認めますが、精神的には貴方とは変わらないと信じてるです」

「うるせぇよこんちくしょうがぁぁ!! コウヨウ出てこい!!」

 

【火炎牢】にいるモンスター(異形)を放って置いて、そのまま攻撃を綾波に仕掛ける。綾波は事前にコウヨウからミィのスキルを避ける術を受け継いでいたので、かする程度で済んでいるが……

 

「ぶ、部が悪いです……」

「もはやこれまでだ! コウヨウは強くてもテイムモンスターも厄介だからな! みんな纏めて散れ! 【インフェ……る……】」

 

 最高火力を出す寸前に、最早勝負はついていた。後ろから、確実なる殺気。後ろを振り向く時間は無い。

 

「背中の傷は剣士の恥だ。だが、魔法使いなら許してやる」

 

 背中から一閃仕掛けたコウヨウは問答無用でミィを粒子に変えたのである。

 

「あれお前だったのかよ!?」

「#%☆♪ →」

「やめろ普通にメイプルより気持ち悪いぞ!」

 

 結論。【火炎牢】にいたのは間違いなくコウヨウである。流石に逃げられないと考えたコウヨウは【名状しがたい何か】を全力発動して、自分を異形に変化させた。言葉は喋れなくなるが、仕方ないと思いながら、異形のまま火炎牢で吠えていたのだ。

 

「綾波が斬りに行ったのはコウヨウとスピードに隠れて挟み撃ちではなくて……」

「貴方のMPが尽きるのを待った。後は……まぁ、最悪脱獄とか楽なんで」

「綾波はヒヤヒヤしたのです」

「指揮官、そう言った事を何度もやられると……妾もお説教をしなければなりませんよ」

「今回だけだ」

 

 そう言ってコウヨウは新たなテイムモンスター達と笑った。それを見ていたミィは……

 

「メイプルみたいな自爆特効だな」

「俺は賭けですけどね、メイプルは防御あっての策でしょ?」

「行くのか?」

「ええ、試合見に」

「もし試合前にコウヨウが襲われたらどうする……って聞くまでも無いか……」

 

 刀をトントンと指で叩くコウヨウは、とりあえず斬りますと回答したのである。

 

「やはり強いな……この先にメイプルがいたから、お前のAGIならもう少しだろ」

 

 行ってこいとミィの激励を受けて、コウヨウは進んでいくのである。

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