妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ)   作:初見さん

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二刀流と告白

「私、大きくなったら紅葉と楓と結婚する!!」

「私も理沙と結婚する!」

「俺はまだ結婚しない」

「「なんでさ?」」

 

 昔そんな約束をした記憶が理沙の中である。1名だけ約束をぶっ壊すものがいたが、彼に対して理沙は理由を聞いた。

 

「俺はまだ楓と理沙を守れないから」

「どういうこと??」

 

 彼は理沙と楓に言った。彼はまだ自分は子供だ、だからこそ意地悪な人や理不尽な事から2人を守れないからと伝えたのだが、理沙も楓も何を言っているか分からない。

 

「今はわからなくても良いよ……でも、俺がもし強くなって、2人を守って愛せる様になったら、理沙と結婚する」

「本当!?」

「お兄ちゃん私は!?」

「兄妹は結婚出来ないぞ」

 

 紅葉の当たり前だよなぁ体操の発言もあり、楓は少し落ち込んだが、彼は妹に言った。

 

「いつか、楓を守ってくれる人が現れるから落ち着けよ」

 

 そう言って彼は妹に対して笑いかけるのだった。

 

「お兄ちゃぁぁぁぁん!!」

「なんだなんだどうした??」

「理沙がいじめるぅぅ!」

「楓が悪いんでしょ!!」

「とりあえず事情を聞かせろ」

 

 紅葉はいつも2人の喧嘩を止めてくれる。今回も、2人が喧嘩をすればそういって彼は事情を聞く。最後には言葉で諭して楓と理沙の仲を仲裁してくれる。

 

「楓、理沙、この近くって迷子センター無かったか?」

「あ、お兄ちゃんがまた女の子連れて来た」

「紅葉のバカ……」

 

 もはや恒例となった紅葉の迷子センター係。高確率で楓と理沙の3人で大型ショッピングセンターとかに出かけると、男女問わず(女子9割)小さい子供を連れて迷子センターを探している紅葉の姿が目撃されることが多かった。

 

「この子なんだけどさ、お母さんとはぐれたみたいで……」

「お兄ちゃん? 誰と手を繋いでるの??」

「女の子だけど?」

「ねぇ……紅葉、だ、誰もいないんだけど??」

『お前はお母さんじゃない……』

「え?」

 

 結局その女の子は普通に幽霊だったのは理沙にとって恐怖話ではあったのだが、お願いだから幽霊だけは連れてこないでくれと彼女は心からそう思った。

 

「ほら、今日遠足だろ? お弁当作ったぞ」

「お兄ちゃんの料理大好き!!」

「紅葉ありがとう!!」

 

 彼はイベントの時は仕事している親の代わりにいつも2人のお弁当を作ってくれたし、料理も食べさせてくれた。そんな紅葉に対してふと、理沙はこう思ってしまった。

 

(紅葉が愛おしい……ってかやべぇ、紅葉の子供欲しい……)

 

 そんな出来事が多かったからだろうか、昔は紅葉に守ってもらうお姫様に憧れはあったが、いつしかそれは自分が紅葉を守ろうという決意に変わっていたのだ。幽霊は無理だが。本当に勘弁して欲しいが。

 

「楓、私紅葉が好きなんだ」

「そうなんだ、理沙なら大丈夫だと思うよ」

「それでね、紅葉に家の事任せて私が働くの」

「え?」

「どんな事があっても私が紅葉を守るの。私のお姫様は紅葉だから。後、普通に紅葉と子供作って3人で暮らしたい」

「理沙……貴方疲れてるのよ……」

「私の楽園の中に彼を牢獄し、彼の心が私の想いで蝕ばまれていく……やがて紅葉は観念して私に跪き……私の支配下に身も心も落ちる事になる……これが海の摂理だよ」

「理沙……そろそろ痛いよ?」

「楓もいつかわかります……大切な人が出来た時、自らのものにしたいという欲求が新たな扉を開く事を……」

「そんな扉あったらぶっ壊すよ」

 

 理沙の意味不明な決意のせいで楓の口調も崩れまくったのは言うまでもない。因みにこの頃から『アトランティスのラグナロク』は創られはじめていた。

 

 ☆

 

「紅葉には……本気で悪いって思ってるんだ……」

「寝ぼけんなよサリー、俺はコウヨウだぞ」

「あ……ごめんコウヨウ」

 

 サリーが目を覚ますと、彼女はコウヨウに膝枕をされて眠っていたことに気がついた。起きあがろうとしたが彼に止められて、そのまま横になりながら会話をする。

 最初に出てきた言葉は謝罪と今の状況であったが、コウヨウが今は敵も来てないし少しみんな休んでいる話を伝えると、彼女は安心した。

 

「本当は紅葉を前線に出す気は無かったよ」

「知ってた……流石に釣りしてて良いよ。なんてサリーであってもゲームの世界では冗談でも言わないからな」

 

 サリーは本当はコウヨウを戦わせる気は無かったと伝える。みんなと話し合ったのは事実だが、コウヨウの存在は誰も知らないから隠れながら敵を驚かせるなどという策など、サリーは建前で言ったに過ぎない。

 本来はコウヨウに隠れて戦わせない様に、人気の無い釣り場を指定して向かわせた。まさか彼が戦っているとは一切思わなかったのだが。

 

「しかもあの夜の後帰ってきてすぐにオーブ4〜5個? を寄贈なんて……そもそもいつから手に入れてたの? 戦う気が無いなんて、嘘っぱちじゃん……だからここら辺の近く漁ってもオーブ見当たらなかったのかぁ……」

「【楓の木】のためだ。俺だって本当は戦いたく無い。みんなにもそう伝えた。それでも、メイプルが悲しそうな顔は見たくねぇのは分かるだろ?」

「シスコンだもんね」

「ああ。因みに全部盗んできた」

 

 否定はしない。メイプルが可愛いのは確かだし、家族として愛してるし、この歳でもメイプルと一緒にお風呂入ったり眠ったりしてるのは事実だし。

 

「ねぇ……フレデリカは?」

「あいつは……死んだ……みんな死んだんだ!!」

「本当になんなの、コウヨウって……」

「ただの釣り師だ」

「釣り師があの面子を倒せるわけないでしょ……私でも難しいって……」

 

 かなりドラマの演技みたいに悲しそうな顔をしてコウヨウは彼女の死を告げたのだが、サリーは目を開いてあの数十人だけでなく【集う聖剣】のフレデリカすらもたった1人で倒したという事実に驚くだけである。

 彼女の言葉にコウヨウは少し笑って返した。あれは偶然だと。ちょっとキレたら倒せてたと彼は伝える。

 

「俺の愛する者を倒そうとした罪は重い」

「ふぅん……愛する者を……ねぇ?」

「言わんとしてることくらい分かるだろ……」

「はっきり言ってくれないと分からないかなぁ……」

「サリー……お前ってやつは……どこまで俺を虜にすれば気が済むんだ」

「ねぇ、コウヨウ。私はコウヨウが好き。コウヨウはどう思ってるの?」

 

 正直サリーもコウヨウの態度に気がついていた。それでもはっきり言って欲しいのだ。コウヨウもまた彼女に言うタイミングが遅くなったのもあり、1つ息を吐いてから、伝える。

 

「サリー、俺はお前のことを愛している。お前は俺が守る事にするから……その……」

「両思いね。じゃあ結婚前提に付き合えバカコウヨウ」

「そこまで行くのか!?」

「当たり前でしょ、私は昔からコウヨウが好きだったんだから、今度は私がコウヨウを守るし、正直逃す気は無いから」

「俺は戦いは嫌いだが……サリーとメイプルのためなら……豚箱に入ってでも斬ってやる!」

「最後は流石にやめてね?」

「うっす。ユイとマイにも伝えておくか……サリーと付き合ったって」

「ロリコンヨウ」

「やめてね」

 

 そう言いながら、サリーはコウヨウから借りたムサシの指輪を抜いて渡そうとした。その行動を見たコウヨウはサリーに少し待てと、1つ策を伝えてみる。

 

「なぁ、結婚指輪って訳じゃねぇが、こう言うのはどうだ? 作戦は……」

「なるほど……それは面白いかもね」

「上手くいけば……【炎帝の国】をやれるぞ?」

「ねぇ、ちょっと聞いて良い? コウヨウ、戦うのになんでそんなに笑顔なの?」

「さぁな? 少なくとも昔から想いを馳せていたやつと両想いになったから嬉しいんじゃねぇの?」

「戦うならもう少しテンション下がると思ったけど??」

 

 サリーの言葉にコウヨウも少し考える。ほんの少しだけ……ではあるが、サリーを逃してあのメンバーに立ち向かった時高揚していたのは確かだ……まるで、自分であって自分でないような……

 

「もう1人の俺が侍なのかもな」

「コウヨウも厨二病?」

「もう1人の俺!」

「クリクリー」

「それ違う相棒だろ!?」

 

 コウヨウとサリーはこうして結ばれたのだが、この2人がこのイベントで破壊衝動に駆られるのは言うまでも無かった。

 

「サリー……好きだ……愛してる」

「ちょっとくすぐったいけど……嬉しいな」

 

 いつぶりだとコウヨウはサリーに問いかけながら頭を撫でたのだが、サリーからしたら昨日のことであった。

 

「昨日ムサシに乗せる前に私の頭撫でたの覚えてない?」

「キレてたからそれどころじゃ無かった」

「コウヨウはお酒と怒りは控えた方がいいかも……」

「DVはしねぇぞ」

「フレデリカ……女の子殴ったのに?」

「サリーとメイプルを傷つける奴は男女平等パンチって相場が決まってる」

「幻想でも殺してそうだね」

「刀使いなのにパンチなんて基本しねぇよ」

 

 そう言って、彼は少しばかり笑うのだった。

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