妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ)   作:初見さん

35 / 159
二刀流と(血)祭り

「ムサシ、本当に助かるぜ」

「キュルルルン!!」

「お兄ちゃん!! 楽しいね!!」

「コウヨウ! さっきの戦いすっごいカッコ良かったよ!!」

「お前そればっかだな……」

 

 3人は楽しく会話をしているのだが、他のプレイヤーからすると地獄絵図である。

 コウヨウはテイムモンスターのムサシを30メートルの大剣に【変身】させて、その上にライドオンして低空飛行の高速移動をしながら二刀流でプレイヤーを切り刻む。

 メイプルは【暴虐(ぼうぎゃく)】を使い、サリーとカナデの【幻影世界】で7体に増えて蹂躙した。

 因みに今は何をしているのかというと、【炎帝の国】が他のギルドに襲われているので、そっちも漁夫の利とか考えながら攻めてみようという話である。

 

「ペインさん達より全然話にならねぇな」

「【集う聖剣】が強すぎただけでしょ……いや……コウヨウもヤバイか……」

「まぁ、サリーの言う通りあいつら強かったしな……あ、メイプル。俺ちょっと抜けるわ」

「え? お兄ちゃん?」

 

 そう言ってコウヨウはあるところに向かった。そこは【炎帝の国】のトップ3人が集まっているエリア。コウヨウは3人に話しかける。

 

「ミィさん、ミザリーさん、マルクスさんこんにちは」

「こ、コウヨウ!? くっ……やるしかないのか!」

「今俺さ、大剣あるんだけど乗ってかない?」

「え?」

 

 戦闘態勢に切り替えようとした3人だが、彼の言葉で呆気に取られるしか無かった。

 

 ☆

 

「どうです? 乗り心地」

「よくこんな大きな大剣を……でも、トラップ投げやすいね」

「これは一体なんなんですか?」

「大剣では無い、モンスターです」

「いいのか? 私たちは敵同士だぞ?」

「今喧嘩売られても流石に【楓の木】が勝てそうですから、先に【炎帝の国】を攻めてきたこいつらをやった方がいいと思います」

「ぐっ……」

 

 コウヨウの真面目な話の態度にミィ達はぐうの音も出ない。現実問題コウヨウの後ろではメイプルが7体暴れているのもあるし、自分が死んでも何かあればサリーやカスミが前に出てくれる。ユイやマイも優しいので自分が死んだら心配して仇ぐらい打ってくれると考えていた。

 

「しかも敵だのなんだのって……もしそのつもりならそちらも乗らないでしょ」

「ま……まぁな」

「敵にも関わらず、乗せて頂いてありがとうございます」

「気にしないでください。せっかくのイベントですから、最後くらい祭りしましょう」

「そのお祭りも血が飛び交いそうなお祭りだけどね」

「このゲームそんなグロいゲームじゃないでしょう?」

「というか、このモンスターなんなんだ……巨大戦艦みたいになっているぞ……」

「戦艦では無い。モンスターだ」

「いや、訳がわからないよ」

 

 コウヨウの言葉にマルクスが突っ込むが、誰も否定しないのが答えである。ミィやミザリー、そしてマルクスは一斉に攻撃を開始して、攻めてきた敵を倒していくのだが、コウヨウはムサシの上で座り込んだまま動いていなかった。

 

「コウヨウ? どうしたんだ?」

「遠距離スキルが無いので何も出来ないです」

「え? そうなの?」

 

 少しだけ驚くマルクスに対してコウヨウは3人にありのままを伝えた。魔法を反射する事は出来るが、自分は刀使いであり、魔法スキルは一切ない。刀使いの中でも魔法は使えるが、コウヨウは釣りと多少の自己防衛が出来ればいいのでそんなものは破棄した。【毒竜】は一応あるが、メイプルの十八番をそう簡単にポンポン使うわけにもいかない。MPも限りがあるし。

 

「なので俺は魔法が飛んできたら反射しますけど、基本ムサシが弾き返すので出番は無いです」

「おかしいな、そんな情報を聞いたらプレイヤーの弱点だと喜べるのだが……」

「コウヨウさんが言っても何も喜べないですよね」

「だっておかしいでしょ。ミィと戦って圧倒してからその後あの【集う聖剣】の最強メンバーを纏めて斬ったんでしょ!?」

「メイプルがいなければ死んでいた」

 

 手柄は取られたが、なんやかんやで妹の【暴虐】に対して感謝はしているコウヨウ。あれが無ければ本気で死んでたし、【楓の木】もどうなっていたか分からないのだ。

 

「メイプルといいコウヨウといい……兄妹揃って化物とは思わなかったよ」

「普通に釣りしてただけなんですけどね」

「どこがだよ!?」

「そういえば、あの小さい双子の子達が、貴方のことを師匠って呼んでたと思うのですが……」

「する気は無かったけど一応弟子ですね。メイプルは防御技、サリーは回避などの立ち回りで俺がいなくてもアイツらは成長していたけど、1番最初に会ったのは俺です」

「その弟子2人に何回か飛ばされたんだよね僕達」

 

 正直なところ、フィジカル特訓だけならメイプルとサリーだけでも充分であるのだが、双子曰く、自分達の決意を固めてくれたり、双子が動きやすい戦いの作戦を考えてくれたり、大事な局面で考える思考などを与えたのはコウヨウであり、パーティ申請を断られ続けた双子と共に戦ってくれたのは彼1人だった。彼の料理も美味しいので完全に胃袋を掴まれた。

 そんなことを知らないコウヨウはメイプルとサリーがいれば充分だと言うが、彼に対しての双子の想いは生半可なものでは無い。

 結局、コウヨウは自分がNWOを最初にプレイした思い出話(ミィ達からすると伝説)をしていたのだが、しっかりと敵は壊滅させていたらしい。

 

「そういえばコウヨウ。お前戦ってた時よりも穏やかだな」

「元々これですけど? と言うか俺もみんなが歳上なのにタメ口使ってすみませんでした」

「キレると怖いパターンなんだね」

「反動の差がとてつもない気がするのは私の気のせいでしょうか?」

「コウヨウを怒らせたらみんな死ぬから気をつけよう」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。