妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ) 作:初見さん
いつからか、紅葉は彼女をずっと追っていた。最初に会った時は、とても元気な子だなと思っていたが、ゲームが大好きで、ホラーが大の苦手な女の子だった事に少し驚いた。
スポーツは確かに得意な彼女だが、それ以上にゲームが大の得意なことは紅葉としてはかなり驚いた事であるのだ。
「理沙ちゃんゲーム上手いね」
「理沙でいいよ。ねぇ紅葉もゲームしない?」
「良いの? あんまりやった事ないけど……」
「楓と一緒にやろうよ」
彼女はかなり上手かったのを覚えている。自分はかなり弱くて相手にもならなかったのだが、流石に歳下に負け続けるのもアレなので、頑張る事にした。少し経ってから、といってもお互いを呼び捨てにするくらいの時期まで俺はついていけるようにした。
「わぁ……紅葉頑張ったねぇ!」
「新手のラスボスみたいなこと言うなよ……」
「ごめんごめん、昔は下手くそだった紅葉が結構ついてきてるから驚いてさ」
「理沙が満足出来るように頑張ってんだよ。楓はあんまりゲームしないし……それに……」
「それに?」
「あー……いや、幼馴染だからちょっとでも2人と仲良くしたいから。楓も理沙も」
紅葉は彼女にそう言ったが、正直なところ恋愛的な意味で趣味を合わせておきたいというのが強かった。それでも、彼女は先に行く。何度か大会に出て、入賞したり優勝したりでトロフィーをいくつか飾ったのを見て彼は置いて行かれた気がした。だが、彼は諦めはしない。
「楓、理沙と付き合いたいからゲーム付き合ってくれ」
「めちゃくちゃ下心しか無いじゃん……」
「理沙の事が好きなんだ。なんとか意識してもらえるように趣味を合わせたいから少しだけ頼むよ」
「お兄ちゃんがゲームなんて珍しいと思ったら理沙関連かぁ……いいよ私もお兄ちゃんと理沙が付き合ってくれれば気苦労しないし」
「お前何歳だよ……おばあさんみたいなこと言うなし」
「おばあさんになっても仕方ないからお兄ちゃんと一緒にゲームしてあげるよ」
「理沙がおばあさんになってもゲーム上手いのだろうか?」
「流石に厳しくない?」
おばあさんになった理沙が若いプレイヤーをキルし続ける光景を思いながら、それは流石にないかと2人で笑ったのだった。
☆
「そんな過去があってな……やっと今回のイベントで理沙と並ぶスタートラインに立てた気がする……」
「紅葉……それ多分スタートラインどころかぶっちぎりって言わないかな?」
時はギルド対抗戦の後。学校の図書館でオセロをしながら紅葉とかなでは話をする。理沙と付き合えたという紅葉の言葉に祝福の言葉を与えたかなで。紅葉が元々どんな事があって理沙を好きになったとか、話していた。
「気がついたら好きになってた、だから気合いでなんとかした」
「好きになったのは良いけどさ……気合いでゲームに手をつけた挙句、理沙さんの実力を凌駕しそうな強さなのはヤバくない?」
「俺が理沙を凌駕する?? ははっ、ご冗談を」
流石のかなでもその点に関しては変な事を言うと彼は笑ったが、かなでは普通に真面目である。
「君なら気づいてるでしょ? NWOのあのステータスは……流石に異常だよ」
紅葉はかなでの言葉に頷きはするが、どうしようもないと伝える。2人が同じNWOというゲームをしていて、同じギルド【楓の木】に所属しているのは知っている。だからこそ、こうしてゲームの話をしているが、大半の話は一体全体何をやったらあんなステータスになるのかという事である。
「STRとAGIが4桁なんてありえないよな普通」
「言いたくないし聞きたくないけど……違法な事とかは……」
「してると思うか?」
流石に紅葉も苦笑いした。仮にチートを使っていたとしても今のゲームセキュリティは昔よりも強くなっている。少しばかりデータを改造してしまっただけでも運営から強制的にプレイ出来なくするシステムが働くのもあり、1ミクロンでもそういった事は難しい。
「まぁ、紅葉がそんな事してるとは本気で思ってないけどさ……」
「疑いたくはなるよな」
流石にかなでの意見に本人と言えども肯定せざるをえない理沙本人から聞いたりはしているが、基本このゲームのカンストは3桁くらいである。妹のメイプルこと楓が装備やらスキルやらで4桁になっているだけでも珍しいのに、紅葉はSTRと AGIが素で4桁。バフをかければ軽く6桁なんて、倒すのが無理ゲーにも程がある。
「運営がどうにかしてくれるのを待つしかねぇだろうな……とりあえず、これからも何とか頑張ろうぜ」
「まぁ、紅葉が味方なら良いよ、味方なら……」
「イズさんみたいだな」
「敵に回ったら僕でも無理だからね」
「俺が先陣で、みんなの役に立つように頑張るわ」
「役どころか紅葉1人で試合終わりそうだけど」
なわけ。と言いたいところだが、理沙達からNWO初心者講座を受けたのもあって、全力否定が出来ない紅葉であった。
「そう言えばさ、かなで。今度理沙とデートするんだけど……」
「良いじゃん、どうしたの?」
「や、やっぱり付き合ってるから……」
「付き合ってるから……何?」
「手とか繋いだ方がいいのかな……?」
「とりあえず……紅葉はそのまま純粋でいてくれれば良いと思うよ……」