妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ)   作:初見さん

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二刀流と第三層ボス

「お兄ちゃん! 第三層ボス討伐行こう!」

「え? 嫌だ」

「行こうよ!?」

「釣りしたい」

「サリーと喧嘩してるからでしょ?」

 

 メイプルの言葉にぐっと言葉を飲み込むコウヨウ。別に喧嘩をした訳ではない。あの練習場の出来事があってからやはり話しかけづらい。普通に逃げたからである。

 

「戦いたく無いから逃げたのにサリーが許してくれなくてな……」

「そりゃそうでしょ……お兄ちゃんと本気で戦いたいってずっと言ってたんだから……」

 

 あの後、帰った後も何かとちょっかいかけてくるかと思ったコウヨウだが、サリーはそのまま素直に帰って行った。その時の目を忘れられない。どこか悲しそうで、サリーの心が珍しく分からないのだ。

 

「それにしてもお兄ちゃん凄いね」

「何が?」

「あの時、サリーは確実に負けてたって言ってたよ」

「ペインさんにも言ったが、俺は逃げただけだ。というか、メイプルあんまり言いふらすなよ」

「でもムサシが朧を倒したんでしょ? サリーをムサシと囲めばダメージ与えられたかもよ? 私が思う強いプレイヤーはお兄ちゃんとサリーだし」

 

 実を言えばあの試合はサリーにとっては完全に近い敗北だったと彼女は語った。あの後、朧はいくら呼んでも来なかったし返事もなかったので、ステータスをみたら普通にデスしていた。恐らくあの時痺れを切らしてムサシは朧に手を出したのだろう。もしあの時また突っ込んで行ったら、恐らくコウヨウではなくムサシに斬られていた可能性はある。

 しかも、あの時普通に体勢を崩されたのだ。万が一、頭突きとかされよう物なら確実に何かしらのダメージは入っていたとサリーはメイプルに語った。

 

「俺は逃げたから敗退。それでいいだろ、サリーには後で謝っておく」

「あれ、メイプルどうしたの……って、コウヨウ……」

「生意気言ってすみませんでした」

「謝るの早!?」

 

 爆速で仲直りしたかったコウヨウはサリーに普通に土下座で謝った。結局、サリーは苦笑いしながらも少しだけ彼を許し、メイプルが中心になりアップデートで追加された第四層に行くために第三層ボスを攻略する事になった。

 

 ☆

 

「ゴーレムか。硬そうだな」

「【幻影世界(ファントムワールド)】! これなら大丈夫でしょ!」

 

 メイプルが【暴虐】状態になって、サリーの魔法により4体に増える。これなら文句無いだろうと、サリーは安心して座り込む。

 

「サリー、戦いの途中なんだが」

「別にメイプルがいれば平気でしょ、それとも何? 俺がメイプルを守るって言って、また一撃モンスターにやる気?」

「そんなつもりは……ってか、なんか拗ねてねぇか?」

「そんな訳ないでしょ? 一撃で相手沈めて、あのペインさんも追い詰めた最強の二刀流釣り師が、私との恋人との戦いを逃げただけで誰が拗ねるもんですか。バカコウヨウ、アホコウヨウ、負け犬コウヨウ。ペインさんとミィさんに稽古つけて私には何もしないなんて……散れコウヨウ」

「めっちゃ言うじゃん。だから俺はそう言うのは……」

「ど、どうしよう! 全然削れない!!」

「「え?」」

 

 メイプルの方を見ると、ゴーレムのHPはほぼ減っていない。その瞬間コウヨウは気がついた。運営達が、攻撃力じゃなく、防御を硬くしてきたのだと。

 

「これは私達が何とかするしか無いか」

「まぁ、メイプルだけで攻略されたらついてきた意味も無いしな」

「んじゃ、やろうか、最強の二刀流さん」

「お前もダガーだけど同じだろ。やるぞ回避盾プロゲーマーさん」

「プロゲーマーじゃないっての……」

「俺だって最強じゃねぇよ」

 

 そう言いながら、サリーとコウヨウはゴーレムに対して刃を振るうのだが……

 

「ふ、2人とも速すぎて見えないよ……」

「コウヨウ!」

「へいへい……ムサシ、サリー」

「キュルルン!!」

「分かってるって!」

 

 なんで名前しか呼んでないのにそれぞれモンスターの3方位に位置して陣形を崩さずに攻撃が出来るのか。しかも割と縦横無尽に動いているのに、なんでお互いを斬らないのか。コウヨウとサリーは【超加速】を使いながらゴーレムを斬り裂いていくのだが、全く2人が斬り合う事もなく、普通にダメージをモンスターにだけ与えていく。

 

「何で2人ともお互いを斬らないの?」

「「恋人を斬ってたまるか!!」」

 

 サリーもコウヨウも高速で動いてはいるが、お互いの動きを見ながら、回避してゴーレムにダメージを与えていた。サリーはともかく、ゲームが下手なコウヨウがこれを出来るのはメイプルも驚いた。タネを明かすと、コウヨウはすでにサリーの動きをある程度分かっていたのと同時に……

 

(今一瞬サリーが左足を前に出したな……右手のダガーを引っ込めてタメを作るか……?)

(コウヨウが右側に避けた?? あ、私の動きを見たのか……んじゃ、遠慮なく……)

 

 普通にコウヨウがサリーの癖を理解していたからである。結局、メイプルを後衛に下げ、前衛で戦う事にしたサリーとコウヨウは斬り刻んだり、たまに魚でぶっ叩いてゲージを減らす事にしたのだった。

 

「ミスったなぁ……」

「そこまでのことでは無いだろう。まぁメイプルの攻撃が効かなかったのは予想外だが」

「コウヨウがいて良かったよ」

「サリーだけでも時間はかかるが突破は出来たと思うけど」

「私は……まぁ、火力が少しね」

「お兄ちゃん! サリー! 第四層ついたよ!」

 

 第四層は夜に近い雰囲気ではあるが、和風の建物が並んでいた。探索するかとメイプルは聞くが、【楓の木】全員でしたほうがいいと言うコウヨウの意見もあり、そのままギルドホームに戻った。

 

「ユイ、マイ。餅つきの時間だぞ」

「ぺったんぺったんですか!!」

「楽しそうです、コウヨウさんが作った餅米を叩くんですか?」

「いや、ゴーレム」

「「え??」」

「第三層ボスのゴーレムをぺったんぺったんします」

「「訳がわかりません!?」」

「餅米ならぬ餅岩です」

「それはもうただの破壊行為だろ……」

「クロムさんもやります?」

「遠慮する……」

 

 結局、その後しばらくしてギルドのメンバー全員でボスのゴーレムに挑むのだが、ユイとマイ、コウヨウの打撃武器でぺったんぺったんボコボコ餅つきにして瞬殺したので苦労とかなかった。

 

「サリー? どうしたの?」

「ねぇメイプル。私って弱いのかな?」

「普通に強いと思うけど?」

「そっか……メイプルからすればそうなんだ……でも……コウヨウがなぁ……」

「サリー?」

「ユイ、マイ、この前作った餅食べる?」

「本当にお餅ついてたんですか!?」

「お姉ちゃん、私もう師匠にツッコミ入れたらダメだと思うんだ。師匠私に下さい! お腹空きました!!」

「ほら、マイも食おうぜ……もぐもぐ」

「美味しいです師匠!」

「本当だ……美味しい……」

「おいロリコンヨウ」

「サリー誤解だ。餅食うか?」

「私の事をぺったんぺったんつるぺったんって言ったよねバカコウヨウ」

「俺なんも言ってねぇんだけど、理不尽だからメイプルに全部餅渡すわ。メイプル、みんなに配っといて」

「お兄ちゃんきな粉ある?」

「あんこしかねぇ」

 

 ボスと戦った後、サリーが吐いた言葉にメイプルが何事かと疑問に思った事はコウヨウが知る由もなかったし、普通に全員で餅食って第四層に向かった。

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