妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ) 作:初見さん
「おいちょっと待て!? どうしてこんな事になるんだ!?」
コウヨウが現在いるのは第四層のクエスト。どうしてこうなったのかも分からずじまいだが、冷静に事の端末を思い出す。
あれは【楓の木】全員で第四層に足を踏み込んだ時、みんなで個人個人の探索を義務付けられた時だった。広いマップをみんなで探索して情報収集すると言う作戦は良かったし文句一つも無いのでそのまま絶好の釣りスペースに向かったコウヨウ(探索しろよ)
だがそんな時、彼の持っていた刀が1本赤黒く光出した。名前は『
「ちっす、元気?」
「ど、どちら様?」
「俺と勝負しろ。勝てれば我の力をお前にやろう。まぁ、無理だと思うけど……どうする??」
「戦いたくないです」
「刀を既に抜いておいてか?」
「いや……違う! この刀が勝手に!?」
そうして出てきたのはクエスト『呪われた黒龍』
「うーん……せっかく探索来たからやっておくか……」
コウヨウは何か情報が掴めそうだと思ったのもあり、そのまま承認。その瞬間、影が真っ黒く大きな黒龍に変化した。
「誰!?」
「ウィッス俺黒龍。名は……お前が勝ったら教えてやる。ってか、お前俺の姿見えんだな。その刀呪われてるから……結構お前って霊感強い方??」
「いや、知らないっすね。ってか……この龍サリーが別のゲームで討伐苦戦してた奴に似てる……」
「へぇ、俺が見えるやつって大体呪われてたり、霊感強かったりするんだけど……まぁ、行くぜ?」
「え? ちょっと待て……ムサシ!」
「使えるわけねぇだろ?」
「危ねぇ!?」
急に突っ込んできた黒龍に慌てたコウヨウは二刀流で立ち向かおうとしたが、使える刀は『呪刀 血眼』のみである。黒龍が吐いた炎をAGIでギリギリ避けて距離を取る。
「テイムモンスターも使えないし、使える刀がこの一本だけかよ……!? な、何だ? しかもこの刀……文字が光って……」
そして、その刀のUnknownが変化して新しい文字になった。その能力は……
『呪刀 血眼』STR+100
HPが10になる代わりに全ステータスが10倍になる。(スキルバフ重複不可)
「つ、強いけど……こんなの装備しても勝てるかぁ!!?」
「頑張れー、お前強そうだから本気で行くわー」
普通に強いがHP10が邪魔をして攻撃を仕掛けられないのだった。因みに首輪も外せません。
☆
「逃げてばっかでつまんねぇな」
「当たっただけで即死なんだよこっちは!!」
「んじゃ、殺してやろうか?」
「鬼か!?」
「龍だけど??」
黒龍は容赦なく襲いかかってくる。刀の能力は別に彼の元々あるHPが10まで下がるのではなくて、10/10に強制的になるのだ。回復しても無意味である。
「死ぬってこれ!?」
「ははっ、まぁ無理無理お前じゃ……」
コウヨウ初めての敗北の可能性を視界に入れながらも、黒龍に仕方なく立ち向かっていく。それでも彼が隙を見て一撃入れると、黒龍は痛みで吠える。
「あ……? い、痛い痛い痛い!!? な、何だその攻撃力!? 頭おかしいんじゃねぇのか!?」
「あれ? 結構効いてる?」
本来ならばそんな動作はしないだろうが、4桁越えのSTRの10倍なら流石に黒龍も焦るレベルだ。二刀流だけでなくムサシも使えない今、首輪も外せない。頼れるのは刀とスキルのみ。
「なるほど……スキルバフが無理という事は……【極天二刀】は無理として、【豪傑にして英雄】も無駄なのか……【居合極】のバフもかからない……腕っぷししかねぇみたいだな!」
一撃くらえばどのみち死ぬのでなりふり構ってはいられないのだ。暴れる黒龍に対して、コウヨウは冷静に火の弾を避け、爪も避け、とにかくダメージ判定がありそうな黒龍の行動はしっかりと避けたヒットアンド回避によってゆっくりと確実に黒龍を削っていく。
「くっそ!? 何で……痛い!? こんな……攻撃が……お前何なんだよ!?」
「ただの釣り師だ馬鹿野郎!!」
「攻撃力おかしいだろ……痛たたたた!!?」
「効いてるみたいで何よりだ」
「しかもお前の回避術……なんなんだ……!? 当たり判定ギリギリで避けやがって……痛い痛い痛い!!?」
「コイツで……トドメだといいなぁ!!」
「ガァァァァァ!!!?」
本当にギリギリである。HP的な所はあるが、コウヨウのPSとしての集中力を発揮しないと確実に死んでいたのだ。コウヨウはサリーみたいにPSが高くは無いし、クロムやイズ、カスミの様に古参でもない。カナデの様な頭脳も持たないし、メイプルみたいな強運や化物スキルは手に入れられければ、ユイやマイの様にSTR極振りでもない。
だが、彼には共に戦いたい、プレイしたい人達がいる。その人達に近づくために、装備にも頼ったが、最初の頃は3日間8時間スライムを斬り続ける集中力と、怒ろうが的確に相手の動きを見ながら斬っていくコウヨウ自身にしか持たないPSによって、強くなれた。
「別に俺は強くない。装備が強いけどな」
「ふざ……けんな……よ……」
「ただ、たまには装備だけじゃどうしようもねぇ時あるだろう」
「つまり、そういうことだ」
「くっそ……俺の負けだよ馬鹿野郎!!」
「いっぺん……死んでこい!!」
そう呟きながら、コウヨウは刀を黒龍に振り切ったのだった。
「仕方……ねぇな……俺の名前教えてやるよ……」
「黒龍に名なんてあるんだな」
「ミラ・マキナ。それが俺の名だ……大事にしろよ」
「え? 何を??」
☆
「お兄ちゃん! 探索どうだった?」
「変な龍に絡まれた。ついでに新しいスキル覚えたぞ」
「変な龍の時点で嫌な予感が微レ存」
「サリー、ネット用語はお兄ちゃんに伝わらないよ……」
「というかまたかよ……なんか怖いな……」
一回ギルドホームに集まって、情報共有をした【楓の木】のメンバー。コウヨウの言葉にクロムが少し恐怖する。ユイとマイが見たいと、メイプルも見せてくれと、興味津々だったのでそこら辺のモンスターに対して、スキルを使う事にした。
「今日使うのはこの刀です」
「ひぃ!? 怖いよ! 何その刀!?」
「それ、前に見た怖い刀ですよね?」
「えっと確か師匠の……【呪刀 血眼】でしたか??」
「うん。よく覚えてたな。ユイが血眼とか言うのは怖いけど……」
「なんか黒すぎるな……私も刀使いだが、そんな刀見た事ないぞ……」
第二回イベントで手に入れたよく分からない刀『呪刀 血眼』をコウヨウが見せるとサリーはお化けと勘違いして怯えたが、ユイとマイは怖がりながらも恐る恐る聞いた。コウヨウがこれから見せるスキルは、この刀でないと無理らしいので、彼の刀に気味悪がりながらも、何とか視界に収める。
「それじゃあ、行きますよ……【
彼がスキルを唱えると、赤黒い刀がコウヨウを包み込み、完全に彼を飲み込んだ。
「コウヨウが闇に飲まれた!? か、カッコいい……って言ってる場合じゃない!! や、闇の炎に抱かれて消える!?」
「サリー、落ち着いて、厨二病出てるよー」
驚きのあまり厨二病言葉を叫ぶサリーとそれに突っ込むメイプルだが、しばらくするとその赤黒い塊は段々と形を変化させて……
「グガァァァァァァァ!!!!」
メイプルの【暴虐】と同じくらいの全長の黒き龍が現れたのだった。火を吹きながら、爪でモンスターを切り裂き、長い尻尾でモンスターを叩きつける。因みに食らったモンスターは第四層といえども即死である。
【呪龍 ミラ・マキナ】
『呪刀 血眼』を装備中のみ使用可能。呪われた伝説の黒龍に姿を変える。
姿を変えている間はHPとMP以外の全ステータスが常に5000固定になるが、HPが0になるとHPとMPが完全回復して元の姿に戻る。1日1回まで使用可能。
「HPとMP以外全ステータス5000固定なんて聞いたことねぇぞそんなチートスキル!?」
「【暴虐】よりカッコいいねお兄ちゃん」
「こ、コウヨウも化物になっちゃった……」
「メイプルでも恐ろしいのに、コウヨウは龍か……兄妹揃って怪物とか……もううちのギルドは魑魅魍魎だな……」
「おい、聞こえてるぞカスミさん」
「声は届くのか!?」
「新しいタイプのスーツを着た感じですね。ロボット操作に似てるけどまさか火を吐くとは思わなかったんですけど」
「お兄ちゃん似合ってるよ」
「「コウヨウさん(師匠)カッコいいです!!」」
「まぁ……ビジュアルはメイプルよりはマシ……か?」
「味方ならいいわ……味方なら」
「流石メイプルのお兄さんだねコウヨウ」
「メイプルに続いてコウヨウが化物になってる……」
もう本条家は終わりだとボソッと呟くサリーではあるが、本当にそうかもしれない。
いつか新チャンネル、白峯理沙(サリー)の厨二病伝説 〜あの時の黒歴史を思い出せ〜をスタートさせたいと思う本条紅葉ことコウヨウでした。