妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ)   作:初見さん

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 前編です。


二刀流と喧嘩(前半)

「コウヨウのバカぁぁ!!」

「サリー!? ちょっと待て!」

 

 平和なギルドホームで事件は起こった。先程まで彼に膝枕をされながらのんびり過ごしていたサリー。彼女を膝に乗せていた彼も優しそうな顔で頭を撫でていた。普段は化物とか最強だとか言われるコウヨウ中身は年頃の男。流石に恋人から膝を貸せと言われたら断りも出来ない。

 クロムやイズ、カスミの3人は微笑ましく見ており、メイプルはカナデと最近仲がかなり良いのかオセロをしながら楽しく話している。

 ユイとマイは用事があってログインしていないが、それでも師匠であるサリーとコウヨウを祝福しながらたまに見守ってくれていた。

 そんな時に、サリーが大声を出した。何事かと思って時には既にホームのドアから出て行った後だった。

 

「サリー!? どうしたの!?」

「カスミさんサリーをお願いします」

「分かった……メイプル! サリーを追いかけるぞ!!」

「カスミ、それはお兄ちゃんの役目でしょ!?」

「カスミさん、メイプル。頼む、多分今のサリーに俺が何言っても聞かない」

「えぇ……仕方ないなぁ……後でちゃんと説明してね」

「サリーが言うから分かる」

 

 コウヨウも今ばかりはカスミとメイプルにサリーを任せた。後で理由を聞くからとメイプルに言われたので頷いたが、頭を下げた彼の顔は少し赤くなっていたのだった。

 

 ☆

 

「んで、何があったんだ?」

「サリーにキスを迫られたので恥ずかしくてそっぽ向いたらこうなりました」

「だからサリーがショックで逃げたんだね」

「そうだよ」

「コウヨウ君の顔がとても赤い理由が分かったわ」

 

 残った3人(クロム、イズ、カナデ)は三者三様で彼の答えに返事するが、コウヨウは顔を赤くしたまま、テーブルに伏せる彼。そもそも、公の場でそんな発言をするサリーも悪いのだが、それよりもコウヨウがそう言った知識に対して耐性が一切無いことが問題であるとコウヨウ自身が指摘する。

 

「恋人って……やっぱりそういうのしないとダメですかね……」

「そうねぇ、一概にそうとは限らないけれど、恋人同士のスキンシップとして必要な事なのも事実よね」

「寧ろコウヨウがそこに耐性が無かったのは驚いたがな」

「サリーとメイプルがたまにそんな話をしてるのは知ってますし、年頃だから理解はしてますけど……」

「自分の立場になると恥ずかしいんだね」

「サリーもメイプルもそういうお年頃だからなぁ……」

「コウヨウ君の問題なのにどうして達観してるのかしら?」

「助けてください」

 

 カナデ達の言葉にコウヨウは頷きながら、カナデに対して男同士だから少しは分かってくれるかと問うとカナデは彼にこう返した。

 

「僕も……えっと、とある女の子の事が好きで……まぁ、キスとかしたいなぁって考えてはいるけど」

「メイプルか……あいつ割と鈍感だからなぁ」

「え?」

「コウヨウお前カナデの好きな人知ってたのか!?」

「へぇ、クロムさんの反応からやっぱりメイプルなんだな」

「うっ……計ったな……コウヨウ」

「いや、なんとなくというか、前から分かってただけです。確定は今ですけど」

「今のはコウヨウ君の勝ちみたいね……ごめんなさい私も知ってたわ」

「やっぱりバレてたんだ……」

 

 コウヨウは他人のことなら鈍感では無い方だと信じている。正直サリーと一緒にいる時は、メイプルに構ってあげているのはカナデだったなと考えていたのだが、やはりそういう関係だったかと彼は考えた。

 カナデが戸惑いながら話していたのは自分が本当の兄であることを知っているからか、あるいはまだ半信半疑でハッキリと言わない事に越した事はないと思ったからだろう。

 

「んで? 付き合ってんのか?」

「い、いや、まだだけど……って言うかコウヨウはいいの?」

「メイプルが好きになるなら多分大丈夫。アイツは天然だが馬鹿じゃないし」

「いや……それは……そうだけど、僕が言うのもアレだけどゲームの中の人でしょ?」

「お前がそう思っているならそうなんだろう。だが、お前も気づいているだろう?」

「それは……まぁ……意識しないようにしてたから……」

 

 ハッキリとカナデに伝えた。カナデがコウヨウの正体を知っているように、コウヨウもまたカナデの正体を知っているオセロを通して知っただけではあるが、あの戦略は確実に見た事のあるものである事をお互いに気がついていた。それからというもの、コウヨウに関しては現実世界でもカナデに色々話していたので正直カナデになら現実の話もゲームの話もバレても問題無いとは思っていた。

 

「な、なんだ? コウヨウとカナデって知り合いなのか?」

「さぁ? 知りません。でも、俺はカナデを信じる事にします」

 

 疑問を返すクロムに対して軽く惚けてそう言ったコウヨウ。そんな事よりもサリーと仲直りするためにキスの1つでもしないといけないのかと義務感でするのは嫌だと思いながらも、こうしないと彼女と仲直りも出来ない事を嘆くコウヨウがいた。

 

「素直に恥ずかしいって言えばいいんじゃないか?」

「言ってますし、向こうも知ってます」

「難しい話ね……サリーちゃんとコウヨウ君がお互いの線をしっかりと決めないと仲直りも出来ないし」

「イズさんの言う通りですね。俺のそういったことの限界ラインとサリーの限界ラインを調節しながら妥協しないといけない」

「なるほど……僕も今後の参考にしようかな」

「お前は早くメイプルに好きだと伝えるのが先だろ」

「うっ……」

 

 コウヨウが兄としての発言どころか、真っ当な結論を出したせいで、流石のカナデもタジタジである。

 

「それにしても、コウヨウ、お兄ちゃん、師匠、二刀流、釣り師と来て、今度は兄さんか……呼び名多すぎだろ」

「どうして兄さんなのかしら?」

「カナデならお兄ちゃんって呼ぶより兄さんって呼んできそうだからです」

「コウヨウ、お前意外とノリが良いんだな……一応そこまでにしとかないとカナデがさっきのコウヨウみたいに真っ赤だぞ」

「に……兄さんって……僕が……メイプルと……結婚……」

「お兄ちゃんでもいいぞ」

「コウヨウって意外と鬼だな」

「クロムさん、首斬りますよ」

「助けてくれイズ」

「クロムは少し調子に乗りすぎよ」

 

 こりゃ、先行きが心配だなとコウヨウが思いながら刀をクロムの首に当てて脅していた。その瞬間、ギルドホームのドアが大きな音で開けられた。そこにいたのは、メイプルとカスミ、そしてカスミの後ろで少し泣いているコウヨウの悩みの種であるサリー。何事かと思った瞬間、メイプルがコウヨウに近づいてこう伝えた。

 

「お兄ちゃん、兄妹喧嘩しよう。私と決闘受けて」

「は?」

「お兄ちゃんがサリーの事を大事に思っているのか、父親として確かめるよ」

「お前サリーの親父じゃねぇだろ」

「いいから決闘してよ、カードは拾ったから」

「なんの決闘する気だ??」

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