妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ)   作:初見さん

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二刀流とフレサリカ

「ごめん、フレデリカ、待った?」

「すみません、俺が行きたくないって駄々こねました」

「ううん。大丈夫……ってどうしてアンタが!?」

「釣りしてたら誘われたんです。嫌なら俺は帰りますけど……」

 

 サリーと待ち合わせをしていたフレデリカ。本当は2人で決闘をしてからクエストに行こうと思ったのだが、サリーに誘われたコウヨウがいた。サリー曰く、どんなモンスターがいるのかわからないのもあったので用心棒として彼を連れてきたらしい。

 

「私とフレデリカだけでも良いんだけど今回行くクエストがまだ情報入ってなくて……コウヨウもいれば前衛と後衛でバランス良いから安定するかなって」

「はぁ……まぁ、良いわよ。サリーの彼氏さんだもんね」

「い、いや!? そ、そう言うわけじゃなくて……」

「フレデリカさん。俺は冗談抜きで命かけて本気で釣りをしていただけです。貴方が嫌なら俺は普通に帰りますよ?」

「べ、別に……嫌なわけではなくて……ちょっと怖いだけよ……というか釣りに命かけてるの!? 命かけるところおかしくない!?」

「俺は釣りが1番ですから。因みにフレデリカさんが俺のこと苦手なのは……まぁ、普通に俺が殴りましたからね」

「はっきり言うなぁこの人!!」

 

 正直コウヨウもフレデリカとは少し気まずいのはあった。赤の他人の女の子とはいえ、有名ギルドの人間がサリーを襲った事もあり、躊躇いなしに腹をぶん殴った挙句、リンチした記憶しか無いからである。

 因みにフレデリカも殴られただけじゃなく、黒龍に変身したあのスクショを見たせいで、もう何が彼の本性なのかわからなくなった。

 

「あの時はすみません。でも、基本的にはやりません。俺はゲームであっても人殺しはしない主義なので」

「口でどれだけ言ってもフレデリカが怖がるのは無理ないと思うよ」

「それもそうか……とりあえず今日は平和にクエスト行きましょう。普通に仲間なので」

「う、うん……よ、よろしく……コウヨウ?」

「ええ。俺はコウヨウです」

「名前……忘れた訳じゃないわよ?」

 

 そうして恐怖に怯えるフレデリカと付き合って間もなく甘々な2人のクエストが始まった。

 

 ☆

 

「大変申し訳ないのですが、お二人とも戦ってくれません?」

「だ、だって……お、お化け……コウヨウぅぅぅ!! 怖いから無理ぃぃぃ!!」

「魚怖い、殴られた怖い、刀怖い、殴られた怖い……」

「あれこれ無理じゃね?」

 

 悲惨なクエストであった。情報を一切手に入れていないクエストの中身が、斬撃が効かない幽霊討伐クエストであり、サリーが彼の背後で震えながら泣いている。コウヨウが『秋刀魚』と『太刀魚』である打撃の魚武器を出すと、いつかの腹パントラウマのせいでフレデリカも震えながらプレイ自体を躊躇っている。

 正直コウヨウがいてもいなくてもサリーは使い物にならないし、フレデリカに関しては怯えても怯えなくても1人では攻略が無理である。

 

「サリー!! お願いだからせめてフレデリカさんの後ろで隠れてくれ!? 動きづらい!!」

「どうしてそんな悲しいこと言うの!?」

「2人きりなら嬉しいが状況が違うだろ!?」

「魚……怖い……でも……戦わないと……」

「頼む! ムサシの指輪貸しておくから今回はフレデリカさんと大人しく守られてくれ!」

「コウヨウがいないと嫌だぁぁぁぁ!!」

「うるさいわ駄々っ子がよぉぉぉぉ!!」

「あ……モンスター……【多重炎弾】……」

 

 サリーとコウヨウが言い争う中で、フレデリカはなんとか正気を取り戻し(虚ろな目)、魔法を放ってモンスターを倒していく。コウヨウはもうどうにでもなれとサリーを背中に乗せながら、彼女が落ちない為に首を絞められながらなんとか全滅をしていくのだった。

 

 ☆

 

「本当にごめん!!」

「いいよ……情報も無かったんだろ? お化けならすぐに辞めてたけど、知らずに進んだんだ。俺にも責任はある」

「私も……ごめんなさい」

「フレデリカさんは割と自己防衛してたから助かりました」

 

 クエストクリア後、フレデリカとサリーの3人で四層のカフェに行って、お茶をしながら反省をしていた。

 サリーは正気を取り戻したのもありコウヨウに全力で謝った。彼もかなり手こずったクエストではあるが、クリア出来たから良いと気にしなかった。

 フレデリカも恐る恐る謝ったのだが、コウヨウは丁寧に言葉を返した。別に彼は怒ると性格が狂変するDV男ではない。自分の大切なものを傷つけるものに容赦がないだけである。少なくとも、フレデリカが味方であるならばこんな被害は起きなかった。

 

「こ、コウヨウは……もう、私を殴らない?」

「分かりません」

「ひぃ!?」

「い、いや……あの時は本当にすみませんでした。サリーの為とはいえ……やり過ぎたので……でも、もしフレデリカさんがまた殺意を持ってかかってきたら、拳じゃなくても、倒します。それだけは……分かってください」

「確かにプレイヤーに殴られるなんてコウヨウくらいしかないと思うけど……後さ、フレデリカだって最強ギルドの一員なんだからちょっと怖がりすぎじゃない?」

「ま……まぁ……そうだよね……あの時はイベントだから真剣勝負だったし……私こそ、ごめん。たかだかプレイヤーに攻撃されただけなのに……怖がっちゃって……【集う聖剣】の恥だ……」

「別に、フレデリカさんが弱いわけではないでしょう。怒ってたのもあって、なりふり構わず暴走した俺がみんなの虚を突いて勝った。ただそれだけです」

「それでも殴られただけでHPを持ってかれて吹っ飛ばされるって……どんなSTRしてるのよ……」

「装備とバフ込みで5桁から先は覚えてませんね」

「そういえばさ、フレデリカは私にボコボコにされてるのにどうして私には向かってくるの? いつも通りそれと同じでコウヨウにも向かっていけば良いじゃん」

「ぐっ……何も言い返せない……けど、私にも言い分くらいあるわ」

 

 絶望的なサリーのアドバイス……と言うより疑問である。あそこまで完膚なきまでにやられて、彼にまた挑むのはペインくらいだ。ドレッドやドラグ、ミィも可能性はあるが、フレデリカにはそんな気は一切ない。

 

「次は拳を封印して、刀で勝ちます。正々堂々、真剣勝負。お情けは無用です」

「私を遠くまでぶん投げたのにそんなこと言う?」

「え!? 投げられたの!?」

「うん。というか、あの試合は確実に私がダメージ受けてたんだから」

「俺が逃げた事により、サリーの現プレイに何の支障も無いからOK」

 

 サリーがダメージを受けた可能性があったという衝撃の事実を聞いたフレデリカ。挙句にサリーに見せてもらった怪獣写真もあったので、恐る恐る聞いてみた。

 

「め、メイプルを倒したんだよね……?」

「シロップ出さなかった時点で俺の負けです」

「ミィさんもペインさんもメイプルも私も倒されちゃったから多分NWOの1VS1最強は私の記憶上現段階ではコウヨウだよ」

「普通に釣りしてただけなんだけど……というかサリーには勝ってねぇよ」

「そりゃ……勝てるわけないなぁ……」

 

 ほぼ拳1発で沈められたフレデリカは苦笑いをしながら、彼の事を心の中で尊敬するのだった。

 

「そういえば、サリーはお化けは苦手だけど、コウヨウは何が苦手なの?」

「俺が大事だと思っている人や物を傷つける存在と……後は……うん。争いとか喧嘩とか殺雑としたことですかね」

「「後者は嘘でしょ」」

「あ、後は俺メイプル程じゃないですけどピーマン苦手です。食べられるけど、苦味が強いので」

「そこはちゃんと兄妹なのね」

「確かにコウヨウはメイプルのピーマン食べてあげてるけど、顔めっちゃしかめ面してるしね」

「美味しいのは分かるけど苦いんだもん。ゴーヤとかも無理」

 

 NWO最強の二刀流釣り師は争いとピーマン(苦味物)が苦手な様です。




 フレデリカ可愛いよフレデリカ。
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