妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ)   作:初見さん

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二刀流と一刀流

「コウヨウ。頼みがある」

「何でしょうか?」

「私と戦ってくれないか?」

「嫌です」

「だろうな」

 

 どうしてそんな事を言ったのかとコウヨウがカスミに問う。カスミ曰く、新しい刀や立ち回りを第四層で覚えたのもあり、稽古をしたかった。

 基本クロムやカナデとよくその稽古をつけてもらっていたのだが、クロムやカナデ以外とも戦わないと分からないことがある。

 かと言ってサリーは立ち回りの訓練にはなるが避けられ過ぎてダメージが入らない。メイプルはそもそも攻撃が通らないので却下。ユイとマイは可哀想なので、というか良心が痛む。イズは一応非戦闘要員なのでその選択肢も消えた。

 

「私だって悩んださ。コウヨウは戦いを好まないのはサリーからもよく聞かされているからな。それでも……いや……やっぱり秒で私がコウヨウにコテンパンにされて決着が付くから却下か……?」

「俺を何だと思っているんですか?」

悪鬼羅刹(あっきらせつ)だな。あのシンに対して回し蹴りでデスらせたのだから」

 

 最早鬼扱いである。コウヨウは1つ息を吐いて、カスミに伝えた。

 

「わかりました、やりましょうか」

「良いのか? それならお願いしたいのだが……」

「俺がカスミさんの攻撃を何とかして避けたり刀で止めたりすれば良いのでしょう? どこまで行けるか分かりませんが、木偶の坊くらいにはなりますよ」

 

 その言葉に苦笑いをしたカスミだが、正直反撃されたらなす術もない。結局、コウヨウからはカスミの許可無しで攻撃しない事になった。

 

「あ、俺もやってみたい立ち回りがあるのでついでに付き合って下さい」

「え?」

 

 ☆

 

「はぁ……はぁ……嘘……だろう……?」

「やっぱり当たり判定ギリギリはキツイな……」

 

 サリーと戦った修練場でコウヨウとカスミがいた。開始から約20分程、かなり息を切らしたカスミと涼しい顔で自分の削られたHPゲージを見る彼。

 どっちが優先であるという事は決闘ではないので気にはならないが、明らかにカスミが疲れていた。

 

「ど、どう……して……当たらないんだ……」

「そりゃ、避けてますから……当たり判定ギリギリで。まぁ少し当たりましたけど……」

 

 コウヨウはこの時間カスミの攻撃を刀やムサシで一切受け止めていない。カスミの刃が当たるギリギリの所で避け続けていた。

 

「す、スキルでは無いのか?」

「スキルですか……強いて言うなら……【攻撃誘導(こうげきゆうどう)】?」

「そ、それは……サリーの……嘘では?」

「スキルでは無いので嘘ですね」

 

 コウヨウは結局何が言いたいのか。簡潔にいうと、カスミの攻撃をサリーみたいに回避しているだけだ。ただ、コウヨウはサリーの様にとてつもないレベルのPSは無い。

 その代わり、攻撃をギリギリでも回避出来るAGIはサリーよりも持っている。

 

「あまり知らないですけど、野球で言うところの、スイングスピードでタイミングをカバーして球を当ててる感じです」

「つまり、私の攻撃はサリーみたいなベストなタイミングでは避けられないが、少し反応が遅れてもそれをAGIで補っていると」

「左様です。サリーから、コウヨウはとにかくメイプルみたいに何でも攻撃を受け止めすぎだと。刀が壊れたりしないように避ける事も戦略だと、そう言われまして。まぁ、破壊不可ですけど一応ね」

「それが私をダシにしてやってみたい事か……恨むぞコウヨウ」

「俺が戦わないと分かっているのに頼んできたので少しだけ年下がお灸を据えてやろうかと」

「な、生意気だ……でもその余裕ある顔、男らしくて私は好きだぞ」

「サリーを愛してるので、カスミさんは大人しくイズさんとクロムさんを取り合って下さい」

「私はクロムとはそんな関係ではない!!?」

「嘘だ!!」

 

 コウヨウの言葉に顔を真っ赤に染めたカスミは少しの焦りと共に突っ込んでくるが……

 

「【攻撃誘導】!!」

「くっ……また翻された……!?」

「そろそろ終わらせて、現実世界側で妹と幼馴染の飯作りたいので抜刀許可下さい」

「も、もうそんな時間か? 仕方ない。最後は本気で私の全力だ。紅葉! 刀を抜け!」

「はいよ……って何で俺の名前を!?」

「一切言うつもりは無かったがサリーがこぼした! 今回言ったのは2人きりだからというのと、お前を動揺させないと勝てないからな!! 【一ノ太刀・陽炎】!!」

「そんなせこい手に負けるかぁぁぁ!! 【極天二刀】、【豪傑にして英雄】、【居合極】!!」

 

 結局その日の決着はお互いの最高火力で叩き斬ったのだが……

 

「カスミさんがくれた刀、本当にカッコいいですね……威力強いわこれ。たまに、というか今も使いましたし」

「そ……そう……か……」

「ありがとうございます。後、俺はここではコウヨウです……って聞こえてますかね?」

 

 最終的には消えたカスミに対して貰った刀のお礼を伝えるコウヨウがこの戦いに勝利したのだった。

 

「サリー、メイプル」

「どうしたのカスミ?」

「コウヨウをこれ以上強くさせないでくれ……私達が霞んで見える……」

「「それは無理」」

 

 後日、コウヨウの強さにクレームを入れたカスミをメイプルとサリーはコウヨウだからと突っぱねた。

 それからというもの、コウヨウが戦闘に参加した時は、刀を抜かずに攻撃を回避する姿が多く目撃され、コウヨウは彼女であるサリーから血を輸血されたとか、実はもう結婚していて2人はどちらの意味でもお互いの身体に魂が溶け込まれているとか、とてつもない噂話がされたのは言うまでもない。

 

「サリー、新しいスキル覚えた」

「へぇ、嫌な予感はするけど……どんなの?」

「【攻撃誘導】」

「え? 本当にあったの??」

「そんなスキル無いよ」

「???」

 

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