妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ) 作:初見さん
大規模にしてトップクラスのギルド【炎帝の国】ではギルドマスターのミィ崇高する者が多くいる。全てまではいかなくても、大多数の者はミィやミザリー、マルクスの強さや凛々しさに憧れを抱くのが普通であった。
「見ろ、炎帝様だ」
「流石、考えている姿もカッコいいな」
「恐らく、次回のイベントやギルドについて考えてくれているのだろう。前のイベントでは負けてしまったからな」
「でも、あのミィ様がどこぞの馬の骨かも分からん人間に敗れたって聞いたぞ? 実は炎帝様といえども大した事は無いんじゃないか?」
「言葉を慎めバカ。確かに炎帝様が負けた話は俺たちも聞いたが、その敵がミィ様に頭を下げて味方になったんだ。そいつがどれだけ強くても、全体的なミィ様のカリスマ性には負ける」
「ふむ……確かにこのゲームは強さだけが全てじゃないな」
「しかもその相手が【楓の木】で最強の二刀流だと言われているんだからな。そんな人間が頭を下げるほどミィ様は偉大な訳だ」
「それは……確かに」
そんな会話を下のものがしていることを知らぬミィは考える仕草をしながら、こう思っていた。
(どうしよう……無性にコウヨウ君に会いたい……)
コウヨウの事が頭から離れないミィはカリスマ性とか放っておいて彼のいるギルドに移動を開始したのだった。
☆
「ごめんねコウヨウ。どうしてもこのクエストをお前に頼みたくてな」
「口調混ざってますよミィさん……別に、そんな言い分使わなくてもミィさんが呼んでくれるならいつでも来ますよ」
「そ、そう……ありがとう」
会話をしながら何故かモンスターをぶん殴っているミィとコウヨウ。結局あの後、ミィは【楓の木】に遊びに来る建前でコウヨウをクエストに誘った。
そのクエストは『拳で語れ!!』というもので、死霊モンスター含めた敵をスキルを借りて戦うというもの。
【
格闘技をモンスターに当てるとダメージ量が2倍になる。死霊モンスターならそれが4倍になる。
このスキルのせいで、コウヨウとミィは殴る蹴るなどの格闘技でモンスターを倒さないといけなかった。ミィもSTRがある方だが、コウヨウはその何十倍もある。
また、前のイベントでフレデリカを殴り飛ばした話も聞いていたので、コウヨウのSTRに頼りながらで無いと少し怖かったのもある。
「にしても、なんで俺なんです?」
「うん……まぁ、コウヨウに会いたかったからかな」
「そうですか」
ミィに言われると普通の男ならトキメキしか出ないのだが、彼はサリーという彼女が居るのでそんな感情は無かった。ただ、嬉しいと伝えてそのままモンスターに卍固めをかました。
結局何も苦労せずにクエストは終わったので、仮のスキルも報酬で手に入れて、そのままコウヨウの釣りに付き合う事になった。
「そういえば、釣りばかりで飽きないの?」
「まぁ、コンプリートしても魚料理美味しいですから。正直戦いより釣りたいですね」
たまにイズから魚の素材依頼も来るからと伝えながら、開始30分で50匹釣り上げるコウヨウ。正直釣りばかりで飽きないのか疑問だったミィも、彼の楽しそうな顔を見て心から釣りを愛している事が分かった。
「似てるね」
「え?」
「楽しそうな顔が、メイプルの笑った顔に似てる」
「兄妹なのに似てなかったら一大事でしょ」
「まぁ……そうなんだけど……それでもあそこまで仲がいいのは聞いた事は無いかも」
「兄妹喧嘩はあまりしなかったですしね」
昔からコウヨウは己を律してサリーとメイプルが得をするように仕向けていた。自分の好きなケーキがあっても、やりたいゲームがあっても、メイプルやサリーを優先して我慢はしていた。
ただ、それを辛いと思った事は一度もない。争いや喧嘩が嫌いなコウヨウは兄妹喧嘩や幼馴染喧嘩は避けてきた。
「喧嘩しないと分からない事もあるとは分かってますが、進んでしようとは思いません。あの決闘くらいです」
「あの決闘?」
「俺とメイプルが決闘した日です」
「ちょっとまて……それはどっちが勝ったんだ?」
「ミィさん口調」
俺の負けだとコウヨウは言うが、ミィはどうにも信じられない。メイプルが強すぎるのも分かっているからコウヨウが負ける事もあるのは分かっているが、彼は自分の実力を逆の意味で見誤っているので、信用ならない。
「具体的に教えろ」
「だから……まぁ、いいか。メイプルのHPは0にしましたが、メイプルはシロップを使わなかった。テイムモンスターを使ったのは俺だけです」
「なるほどな……それでも……あのメイプルを……倒せたのか……」
「兄妹喧嘩はHPが0になるまで終わりませんから」
別にメイプルを嫌っていたとかそう言うわけでは一切ない。単純にお互い全力で
「それがどれだけ凄い話なのかお前には分かるまい」
「仮に凄くてもここはゲームです。現実でこんなの出来たら世界が滅びます」
現実世界で化物やら黒龍やらが暴れ回るわけ無いだろとコウヨウは笑いながらミィに伝える。
「そんな事よりミィさん、1つご相談があります」
「メイプルを倒したのをそんな事だと……まぁ、いいかコウヨウだし……それで、どうしたんだ?」
「サリーと冷静にキスするにはどうしたらいいですか?」
「は?」
「サリーと冷静にキス……」
「聞こえているしなんでお前の顔の方が私より真っ赤なんだ!?」
コウヨウは顔を赤ながらミィに相談した。最近サリーからキスをせがまれる事が多くなったのだが、コウヨウは恥ずかしくてキス一つするにも顔を真っ赤に染めなければならなかった。
「たまには男らしく、キスくらい余裕でしたいんですよ」
「話してる時点で顔赤いから無理じゃないかなぁ」
「ですよねぇ……」
正直コウヨウの耐性0に驚いた。コウヨウのそっちの知識は紙装甲である。
「え、えっと……うん。無理だね」
「ミィさんにすら見捨てられた!?」
結局コウヨウの相談はいつまで経っても解決せず、いい加減慣れろとサリーに怒られたのはそこからすぐの事である。