妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ) 作:初見さん
ノリで(妹と幼馴染に脅されて)参加した第二回イベント。イベント開始してすぐ、コウヨウは何も考えずただイベントで飛ばされたマップの釣り場に来ていたのだが、どうにもおかしいところがあった。
「なんか島あるんだけど……こんなとこあったか??」
いつもならユイとマイが一緒にいるのだが、2人はこっそりと大人しくしていると言われて別々の戦い方でイベントに参加を希望。つまりは離れ離れである。そんな時に見つけたのが、湖の釣り場に出来た孤島。イベント限定なのかも知れない。
「試しに泳いでみるか」
釣りをしながらたまに池などに落ちて溺れた(ギリギリで生き残った)のもあり、【水泳】は手に入れていたので少し泳いで到着した。中は階段が続いており、その先には闘技場ではなく、何故か砂浜と海が分かれたエリアになっていた。そこに立っていたのは両方の腰に2本の刀をつけた女侍みたいな人間。
「ほう、私よりも遅く来るとは……貴様出来るな」
「いや、知らねえよ。遅刻じゃねぇからな……ってか誰だお前!?」
「私は
「武蔵? カッコいい名前だな。俺はコウヨウだ」
「ダサいな」
「うるせぇよ! 俺の親に謝……いや、コウヨウは俺が決めたのか……確かにそのまんまだしな……」
NPCに対して突っ込んだコウヨウだが、クエスト画面にはしっかりと『天下無双の二刀流』と書かれていた。なるほどと理解した彼はすぐに肯定のボタンを押す。
「とりあえず頑張ってクリアするからなんかくれ、意外にもクエストは初めてなんだ」
「いいだろう、見せてやる。我が
「え? お前ガチの
二天一流なんて言葉は宮本武蔵しかコウヨウは知らない。割と彼も戦国武将系統は好きだったので、覚えていた。武蔵と名乗ったNPCの侍は刀を手で掴んでしばらく動かなくなった。何かのバグかと思っていると、『居合スキルを発動して下さい』とポップアップが出てきた。
「まさか一撃勝負か? というか条件が【居合】持ちなんだな」
「あくしろよ」
「うるせぇよ……しゃーなしだ……行くぞ」
覚悟を決めたコウヨウは自身も刀を手で掴んで戦闘体制に移る。そして、侍とコウヨウは目を合わせて真剣勝負に移る。
「【極天二刀】、【居合極】」
「はぁぁぁぁぁぁ!!!」
「な、なんという踏み込みの速さだ……!!」
自分のスキル発動と同時に突っ込んでくる侍に対して普通にビビるコウヨウ。他のプレイヤーでは見ることが出来ない速さで刀を抜刀し、切り裂いてくる。だが、コウヨウの方が僅かにスピードとパワーは上であった。
二分の一であるステータスだが、それでもスキルポイントは多く手に入ったのもあり、とうに3桁は余裕で超えていた。ひと足先にコウヨウの刀が侍の皮膚を斬った。
「まだだぁぁぁぁ!!」
「何だこの【ウィンドカッター】みたいなの!? コイツ魔法も打ってくんのか!? だったら……一か八かだ!」
斬られた敵が怯まずにコウヨウに対して刀を振ると斬撃エフェクトの真空波が出てきた。それをコウヨウは二刀で受け止める。その間ではあるが防いでいるのにHPバーが減り続けていく。
「これ防げないの!?」
まるで毒蛇と戦ったメイプルの様なセリフであるが、これではまずいと思ったコウヨウ。すぐにそれを止めながら対策を考える。
「だ……だとしても!! 俺は、コイツを……斬るしかねぇ!!」
「宮本武蔵かなんだか知らないけど……お前だけは……落とす!!」
そう言ってコウヨウが全力で両刀を振り切ると、真空波が消えた。
その後、クエストの仕様か分からないが、コウヨウのHPは戦いが終わったのに一瞬で1になり、斬られた侍は負けを認め、無念だ、なんて呟いた。
「無茶苦茶だろこのクエスト……刀は両方ぶっ壊れたし……勝ったのにHP1かよ……これからどうやって戦えばいいんだ……」
「見事だ。お前は私より強い様だな。ならば、私はこれからお前について行こう。よろしく頼む主」
「いや、来なくていいけど……って何だこれ指輪?」
「キュルルルン!!」
「え? 誰?」
急に現れた刀の形をしながら、目はまん丸で可愛げのあるモンスターがコウヨウの前に現れた。侍が消えた場所には宝箱と指輪が一つずつ置いてあった。
『スキル【
「なんかスキル増えてるし……ってか、すげぇな侍装備だ。カッコいいなぁ……」
コウヨウが指輪を持ちながら宝箱を開けると装備が入っていた。
『剣豪宮本』
STR+100 【
『剣豪佐々木』
STR+100 【
【吹っ飛ばし】
刀で攻撃した時、相手を斬らずに遠くへ飛ばすことが出来る。威力はSTRの数値分上がる。
【物干し竿】
大剣を装備した時STRが2倍になる
『装備剣豪シリーズ』
伝説の二刀流使いである男侍が装備していたもの。豪傑にして英雄の彼が持つ意志を継ぐものは最強になれる。全てを装備すると全ステータスが+100になる
「ってかアイツ男かよ!? でも……助かった、刀もある。すげぇなこれ、全部付けたらステータスオール100アップかよ……じゃあ、この指輪は……」
『天下無双の指輪』
刀型モンスター、ツルギを従える事が出来る。完全に懐くと真の姿や力が解放される。
『ツルギ』
天下無双の侍に仕えていた伝説のモンスター。
刀の形をしているが、恥ずかしいので基本は姿を消す。
たまに大剣などいろんな刃物に変身したり、ある時は……になれる。
……を外す鍵にもなると言われているが、それを証明するものは無い。因みに大剣になった時、プレイヤーはそれに乗る事ができる。
このモンスターが認めたプレイヤーはツルギ全てを身につける事ができ、天下無双の侍になれる。
「へぇ、このゲームってモンスターをテイム出来るのか。所々読めないところあるけどまぁ、天下無双とかカッコいい言葉使ってるし、強いんだろ。んじゃ、名前変えられるからさっきの奴にちなんでムサシで」
「キュルルン!」
「大剣になれるなら【物干し竿】と相性はいいな。もしかしてこれメイプルやサリーがイベント前に言ってたユニーク装備ってやつかも。初心者にしてはめっちゃ強いし」
二刀流と聞くとやはり宮本武蔵を思い出したコウヨウはそのままツルギの名前をムサシに変えた。鳴き声は可愛いが、なんかとんでもないやつな気がするのはコウヨウの気のせいだと信じたい。
ツルギことムサシはすぐに姿を消したので、早速装備した『剣豪シリーズ』を見てみるが、どう見ても江戸時代の強者感が凄かった。顔は変わらないが、草履やら袴やらなんか全体通して武士の様な格好に、本来短い髪が少し長くなり髪結びで結ばれた。
「髪は似合えば別に長くなっても良いけど、欲を言えば背をどうにかして欲しいんだが」
コウヨウは実際身長が低かった。妹のメイプルよりは高いが、自分は158センチなので、全体平均が大体170センチである彼の学校の同級生をやはり羨ましく思う。幼馴染のサリーでさえ155センチくらいなので、もう少し伸ばしたい。
「そうじゃないと……何かあった時に泣いてる楓や理沙を抱きしめて撫でられないし……あ、今はサリーとメイプルか……いや、あいつらが成長しすぎなんだよ……」
彼の幼馴染である理沙は本気で彼に惚れている。だが、同級生の女子もいつもお弁当を楓や理沙に作ってあげていることを知っているのもあり、料理や勉強、運動も出来る万能学生として密かに人気を得ている事を彼は知らない。
そのせいで紹介してくれと他の女の子に言われた理沙が嫉妬の炎に包まれて、粛清した事も知らない。身長にコンプレックスがあるコウヨウだが、多くの人から見ればそんなもの気にしていないのだ。
「まぁ、これ以上得るものも無いし、回復して帰るか。これから宜しくなムサシ」
「キュルルルン」
「あれ? 消えた……なんなんだアイツ……?」
そう言って、クエストクリア報酬で銀メダルを3枚程手に入れて、天下無双の二刀流まがいになったコウヨウはその場で消えたムサシとクエストの島を後にした。因みにこのクエストは、運営の完全なる悪ふざけで作られた過去最悪の最恐クエストであった事をコウヨウは知る由もなかった。
因みにツルギ(ムサシ)の姿はドラクエのモンスターに出るひとくいサーベルがめっちゃ可愛くなった姿です。目がまん丸で腕無しの。