妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ) 作:初見さん
「あんまりこの姿になった事ないけど楽だなこれ」
第六回イベントは死んでも死ななくてもどうでもいいような内容だった事を知ったコウヨウはジャングルで空を飛んでいた。
こういう時にしかHPなどを気にせず居られるからという理由で、元々のHPを犠牲にして【呪龍 ミラ・マキナ】を唱えて黒龍になった。
「空中だけどお散歩楽しいなぁ」
「ど、ドラゴン!? いや……あれ? こ、コウヨウ??」
「ん? あれ、ミィさんじゃん。こんにちは」
「コウヨウ……何だよな?」
「オレです。オレオレ」
「生きる黒龍伝説は本当だったのか……」
「生きる黒龍伝説ってなんですか……」
空中散歩中に火遊び大好きな美少女(ギルドマスター)に会ったので、乗せてあげる事にしたコウヨウである。背中に乗ったミィから話を聞くと、先程からイベントの噂で黒龍モンスターがジャングルの空中を散歩しているという話があったらしい。因みに誰かが攻撃をしてもHPが減らないのでこれはオブジェクトなのではないかと言う噂もあり、生きる黒龍伝説などと言う話が上がったそうだ。
「まぁ……ステータスAll5000だしなぁ……」
「そりゃ攻撃が通らないわけだ……」
☆
「お兄ちゃんとお散歩楽しいね!」
「んだなぁ、久しぶりにイベントでこんなのんびりと出来るわ」
「出来れば人間として散歩して欲しかったんだが……」
「やっぱりとんでもないな。この兄妹は……」
あの後ミィを乗せて世間話をしていたコウヨウ(黒龍)は同じくペインを頭に乗せたメイプル(化物)と出会った。コウヨウとメイプルは再会を喜んだが、ペインとミィは苦笑いである。
「お兄ちゃん、モンスターいるよ」
「知ってる。燃やしとくわ……あ、ミィさん後ろのやつお願いします。俺図体デカいんで見えないです」
「わ、分かった……」
「メイプルの背後は俺が守っておこう」
「ありがとうございますペインさん」
メイプルがモンスターを指摘するとコウヨウは口から火を吐いて瞬殺する。コウヨウの指示にミィは戸惑いながらも頷き、彼の背中付近にいるモンスターを炎魔法で瞬殺した。ペインはしっかりと剣を使って勇者らしく戦っていたが、正直まともな奴はこの中にいない。
「サリーは何処にいるか分からないし……はぁ……ロマンは無いがジャングルデートはお預けか……」
「サリーは1人で特訓してるもんね」
「コウヨウ」
「何ですかミィさん」
「女なら私がいるだろう」
「火遊びする人は無理です」
「好きで火遊びしてる訳では無いけどな!?」
たまたまプレイヤースキルが炎魔法と相性が良かっただけである。何ならサリーだって【ファイアボール】を撃てるし、カナデだって炎魔法は撃てる。
だが、コウヨウの中では1番の炎魔法使いはミィだけであった。頼りにはなるし強いのは分かっているが、料理をしている事や、武士道精神ある者として、炎の危険さを分かっている。
「マッチ1本で火は起きるんですよ」
「それは分かっているぞ!? お前は私を何だと思ってるんだ!?」
「【炎帝】」
「それだけか!?」
彼女の言葉に頷く事しか出来ないコウヨウ。リアルのミィなんて演技をやめた臆病ミィ以外知らないし、大人なのかも分からない。
ペインもクロムもそうだが、コウヨウは実の妹であるメイプルと実の幼馴染兼恋人のサリーしかリアルを知らないのだ。
「そんな訳で、ミィさんもペインさんもハッキリした事は知らないです」
「性別変更は出来ないのでそれだけは分かりますが、中の人が火遊び大好きな人かどうかも分かりませんし、【炎帝】さんと【聖剣】さんでいいでしょう」
「ま、まぁ……確かにな……」
「なんだか……そんな現実的な話をされたら、コウヨウが大人に見えるんだが」
「俺は学生です。なぁ、メイプル」
「うん。お兄ちゃんは推薦確定してる学生ですよ」
「厳密に言うともう卒業した」
「学生相手に俺たちはムキになって3人で束になったのか……」
「なんか……人として負けた気がする」
メイプルはともかく、ミィもペインもコウヨウよりは歳上のはずである。それでも学生相手に負けられないと彼の妹も連れて強引に1VS3を挑んだ挙句……圧勝すらも出来ないくらいに追い詰められてギリギリ勝ったのだ。一言で言うと大人げない。
「そういえば、女王蜂を倒したのだが、蜂蜜を手に入れたんだ……俺は料理スキルが無いから誰かいるか?」
「お兄ちゃんで良いと思いますよ、料理スキルMAXですから」
「俺にくれたら刺身に蜂蜜乗せてみんなに振る舞いますけど」
「ならコウヨウに渡しておこう。料理楽しみにしている」
「コウヨウの料理は美味いからなぁ……ギルドの中でもそういう人1人は欲しいんだが……」
「【炎帝の国】とか人の塊なのにいないんですか?」
「みんな戦闘狂だからな」
「俺も釣りギルド作るかぁ」
「お兄ちゃん【楓の木】を裏切るの!?」
「ギルド2つ持ちとか出来ないのかね?」
兄妹の会話に対して、ペインとミィはコウヨウをギルドマスターにして【楓の木】、【集う聖剣】、【炎帝の国】の3ギルドの強者を参加させたギルドをつくれば最強なのではと頭の片隅で思った。
「いつか全員と1つのギルド組めたらいいなぁ」
「その時は真っ先に滅ぶのが運営だろうな」
「いや……まずはコウヨウを倒すのが先か……?」
「ちょっと待てそこの勇者もどき、焼き払うぞ」
「お兄ちゃん、めっ!」
「すみませんでした」
ペインに対してこの口を聞けるのはコウヨウくらいである。
「はぁ……コウヨウがもう少し戦いに興味を持ってくれればなぁ……」
「人は斬りたくありませんが……最近モンスターが弱すぎてミィさん達と稽古してた方が好きです」
「俺はコウヨウとやり合うのは楽しいからいいけどな」
「私もだ」
「ペインさんとミィにここまで言われるお兄ちゃんってやっぱり凄いんだなぁ……」
「俺は正直美味い魚が食えれば良いんだけど……」