妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ) 作:初見さん
「【死の瞳】は封印だ。いや……確かにMP消費やばいから一回しか使えないけどあれは強すぎる。呪いだよ呪い」
「キュルルルン?」
コウヨウは1人で(厳密に言うと透明なムサシと)話しながら、スケルトンの群れ及びボススケルトンと対峙した。ここに来るまで大変だった。訳の分からないほぼ全てのトラップに巻き込まれて、槍が降ってきたり、嵐が起こったり、モンスターが襲ってきたりしたのだが、刀を振り回してムサシにも協力してもらってやっと辿り着いた。
「こんなやつと戦うのにトラップでダメージ受けるなんてマジで運ねぇな」
コウヨウの今のHPは半分くらい。トラップでダメージを受けたので少し厳しいが、彼ならばこのモンスターは余裕である。
「一気に斬るか。ムサシ頼む」
「キュルルン!!」
ムサシの斬撃やコウヨウの首輪解除バフを使いながらしっかりとダメージを与え……るよというよりも一撃でボスのHPが半分まで減った。
「油断しなければいけるか?」
ハッキリ言うと油断してもいける。結局コウヨウが苦労したのはこの部屋に辿り着く前段階のところだけであった。
☆
「イベントから出て息抜きに釣りしようとしたら雨かよ」
全部今コウヨウが語ってくれたが、第五層にはダメージを受ける雨エリアがあった。最初ムサシが大剣になってコウヨウを雨から守ったり、コウヨウ自身も刀を振り回して無効にしようとしたが、ダメージを受けたため断念した。
「どうすっかなぁ……」
「コウヨウ、一緒に入ろう」
ふと、自分の頭に傘をさされた。横を見ると最近一緒にクエストに行って無かったのでやっと会えたサリーの姿。周りを見たらメイプルとカスミがいた。
「みんな揃ってここに来たのか?」
「あぁ、メイプル達と攻略しようとしたんだが、コウヨウが傘も刺さずに刀を振り回して雨を無効にしようとする暴挙に出たのを見ていたぞ」
「流石に止めてください」
「お兄ちゃんなら行けるかなって思ったけど無理だったんだ」
「ムサシもダメージ受けたから無理だな」
「ごめん途中笑って見てた」
「サリーも止めような?」
普通に恥ずかしいと言ったコウヨウのツッコミ虚しく、そのままカスミとメイプルがそれぞれ傘をさし、サリーとコウヨウは相合傘で突破した。
ボスエリアでは雲がモンスターかと思えばそこから出る水滴が人の形をしたのでどちらが本体なのかよく分からない。
「トランスフォームは俺とメイプルだけで充分だけど……」
「言ってる場合? 特訓の成果見せてやるわ……【糸使い】、【水柱】」
「おお、空中戦とか出来るのかこのゲーム……いや、メイプルも空飛べるからアレか……」
「コウヨウも黒龍で飛べるだろう」
「せめて人間の姿で飛びたかったです」
彼がそう言っている間、サリーは手から蜘蛛の糸を出して縦横無尽に空中を駆け回り攻撃していく。普通に凄いなと思ったコウヨウだが、少しばかり雨に対して色々試した事に疲れたので、さっさと勝負を決めたかった。
「【全武装て……」
「【死の瞳】」
だから、メイプルがスキルを発動する前に彼はスキルを使った。コウヨウの目が赤く光ってモンスターを睨みつける。瞬間モンスターのHPが0になった。急に粒子となって消えたモンスターに対してサリー、メイプル、カスミはいまだに何が起こったのか分からない。
「これ誰にでも効くのか……怖いからやっぱり一生封印だ封印」
「ちょっと待て何だそのスキル!? コウヨウお前一体何を……」
「なんかイベントで進化したスキルです。【悪鬼羅刹】の進化らしいですけど条件は不明でした」
「こ、効果は?」
「自分の元々のSTR分広範囲のモンスターHPを削るらしいんですけど、ボスは効かないかなと思って試したら効きましたね」
「お兄ちゃんが人をやめた……」
「お前もそうだろ」
「私はまだ人だよ!? 目も赤くならないし……」
正直このスキルの条件が分からないコウヨウが戸惑いながらも、ボスを倒した事に喜ぶかと伝える。だが、サリーは1人浮かない顔をずっとしていた。
「もう……どうしたらいいの……全然分からない……」
「サリー、どうした? 帰るぞ?」
結局コウヨウの言う通りにはならず第二形態のボスが出てきたのだが、爆速で攻略したのだった。それでも倒したところでサリーの顔が晴れなかったのは言うまでも無かった。
「そういえば、何で道中で使わなかったんだ?」
「MP全部持ってかれます。一応もう一つそんなスキルありますけど……強力過ぎて封印です。後、これ使ったら動けない時間あるのでメイプルおんぶして」
「何で私?」
「サリーはなんか絶望してるから」
「無理だよ……こんなのって無いよ……コウヨウに勝てないよ……」
「いや、勝つとかもういいだろ……」
「私はコウヨウに勝ちたいの!!」
「俺はサリー達がいればそれで良い」
「ふ、2人とも落ち着け……」
「私AGI無いから足遅くても良いなら良いよ」
「動けないよりマシだ、ありがとう」
そしてコウヨウは初めてメイプルの背中に乗ったのだった。