妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ)   作:初見さん

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二刀流とホラーハウス

「ここを滅ぼせばサリーが欲しい装備が手に入るんだな」

「滅ぼしたらダメだよ?」

「どっちでもいいから……早く……出たい……」

 

 コウヨウの背中にしがみつきながら怯えるサリーに対してコウヨウはメイプルと話をする。この洋館にはかなりの死霊モンスターがいて、サリーは使い物にならなかった。

 

「仕方ないな……わらし、ムサシ」

「キュルルン!!」

「やっほー」

「ひぃ!!?」

「大丈夫、襲わないからサリーは俺の後ろで隠れてろ」

「う……うん……」

「そんなにビビるなよー、泣くぞー」

「いや、お前が撒いたタネだろ……」

 

 わらしのトラウマがサリーを虐めるが、彼女もコウヨウのテイムモンスターである。心の底から嫌いにはなれない。念のため何があっても困ると考えた彼はサリーに伝えておく。

 

「ムサシ、何かあったらサリーの言う事聞くんだぞ」

「キュルルン!!」

「それじゃあ行こうかお兄ちゃん!」

「んだなぁ」

「何で2人ともそんなに冷静なの!?」

「俺は呪われてるしな」

「私は普通に平気だし……あ、わらしちゃん可愛いね!」

「ありがとー、妹よー」

「お兄ちゃんはマスターなのに私の方は妹なんだね!?」

「まぁ、幽霊だしメイプルよりは生きてるだろ」

 

 そんな会話をしながら洋館のドアを自慢のSTRで蹴っ飛ばすコウヨウ。メイプルはお邪魔しますと挨拶をして、サリーは絶叫した。そして、3人は洋館の中に入ったのだが……

 

「あれ? メイプル? サリー?」

「お兄ちゃん? サリー?」

「こ……コウヨウ? め……メイプル??」

 

 移動系のトラップか何かを踏んで3人がバラバラになってしまったのは割と早い段階である。

 

 ☆

 

「サリー!! どこだ!?」

「キュルルン!? キュルルル!?」

 

 転移したと分かった瞬間全力で走ってサリーを探すコウヨウ。1番タチが悪いのは思いっきり壁をぶっ壊し、床も叩き割ってサリーを探しまくっている姿である。

 勿論壊れてもすぐオブジェクトは復活するので問題無いのだが、両手に魚、空中に魚というわけ分からん装備が大問題である。

 

「畜生! 『秋刀魚』と『太刀魚』更には『シャチ』で壁ぶっ壊して進もうとしても進めねぇのか!? 大人しく扉から行くしかなさそうだな……」

 

 挙げ句の果てにはサリーに間違えたことを伝えたコウヨウの最悪なミスである。恐らくムサシがここにいると言うことは……

 

「サリーに指輪付けるの忘れてた……俺としたことが……流石に興奮しすぎた……」

 

 あの冷静なコウヨウでもミスをした理由はサリーである。幼少期から一緒にいる少女であっても身体つきは女性として成長している。

 そんな恋人に状況はともかくずっと抱きつかれている状態ならば、流石の彼でも鼻の下くらいは伸びるのは必然。メイプルと普通に会話していても、やはり興奮して、冷静な判断はできなかった。だからこそ指輪を渡すのを忘れたのだ。

 

「嘆いても仕方ねぇな……ムサシ、ちょっと乗るぞ!」

「キュルルン!!」

「突撃だぁぁぁぁ!!!」

 

 ここまでルートを規制されたら急ぐ方法はムサシにライドオンしてゴリ押すだけである。コウヨウは一刻も早く恋人の元に急いだ。

 

 ☆

 

「サリー! どこ!? お兄ちゃん! どこ!?」

 

 メイプルはメイプルでサリーとコウヨウを探していた。全力で走ろうにも、VITしか振っていないメイプルは歩くのも一苦労である。

 

「うーん……私は大丈夫なんだけどサリーがなぁ……」

 

 メイプルは自分や兄よりも幼馴染を探す事にした。サリーはホラーが大の苦手であり、昔からいつも自分かコウヨウの背中に隠れていた。だからこそ、ゲームであっても心配であったのだが……

 

「でも、お兄ちゃんが王子様みたいにサリーを助けるシチュエーションもありかなぁ? 最近2人の距離ぎこちないし……」

 

 正直、コウヨウとサリーが少しギクシャクしているのはメイプルも知っていた。8割はサリーの負けず嫌いが発動して、コウヨウの誘いを断り彼氏よりゲーム特訓を優先したサリーのせいである。

 残り2割はコウヨウもそれを知りながらサリーの好きにさせている点である。たまには恋人らしく、俺だけを見ろなどと我儘を言ってもバチは当たらないだろう。でも、コウヨウは兄として、1つ歳上として、我慢をしすぎているのだ。

 

「私だってカナデとハグしたりキスしたり……まぁ、それ以上の事もやってるけど……でも、そう言うのはお兄ちゃんが先なんじゃないの!?」

「へぇ、そう言うもんなのか?」

「そうでしょ!? お兄ちゃんが先に結婚して妹の私を安心させ……て???」

「とりあえずメイプルか俺のどっちかがゴールインする話はさておいて……だな!!」

「ちょ!? わわわわわ!?」

 

 不意に男の声が聞こえた瞬間、メイプルは宙に浮いた。そうして、着地したのは確実に刃物の上であり、そこにいたのは……

 

「とりあえずそんなに俺の心配をするならば、カナデとの関係を報告するのが先なのではないか?」

「お……お兄……ちゃん……」

 

 顔を真っ赤にしながらメイプルの独り言を聞いていたコウヨウその人であった。

 

「ムサシ、サリー探すぞ」

「ウン」

「ウン!?」

「コイツなんか喋れるらしいぞ。片言だけど」

「カタコト」

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