妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ)   作:初見さん

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二刀流と第七回イベント

「塔へ到達したって言うギャグも、俺にしか聞こえんな」

「マスター、意味わかんないー」

「聞いてんのかい」

 

 第七回イベントの塔攻略を進めながらコウヨウはテイムモンスター達と話す。普通なら1人なのであまり喋らないが、ムサシはともかくわらしがちゃんと日本語を話すのでめっちゃ喋っていた。因みに既に折り返しまで来ていて、6階を攻略中である。

 

「にしても……なんか嫌な予感がするな」

「なんでー?」

「敵が弱すぎる、この後ヤバいの出そうだな」

 

 正確に言うとお前が強すぎるだけだ。最近釣りも満足に出来ない分、メイプルと修練場で軽い腕試しやクエストを繰り返していたコウヨウは確実にプレイヤースキルを上げていた。だからこそ……と言うべきか、運営のイベントごときで立ち止まる程の実力ではないのだ。

 だが、コウヨウは怒りさえ無ければ慎重かつ冷静に謙虚な男である。自身の強さを決して驕る人間では無いのが逆にタチ悪い。

 

「そう言えば最近なんでか腕を試す機会が増えたな……」

「マスター戦いたくないなら戦わなければ良いのにー」

「なんでだろうな? まぁ、今現在の話に戻すが俺がダメージを受けないならともかくこうして受けているなら油断は出来ん」

 

 コウヨウは感覚がおかしくなっていた。メイプルやサリーがダメージを一切受けないのが当たり前になっているせいで、自分もノーダメージを目指さなければならないと多少なりとも本気で思っているのだ。

 だからこそ、彼は驕らない。ダメージを受けたら終わりだとわけわからん理論が頭の片隅にあったので、ダメージを受けている間は油断をしないのだ。

 

「後四階だが、油断するなよわらし、ムサシ」

「任せろー」

「キュルルルン!!」

「武士道精神で突撃だ!!」

 

 こうしてコウヨウは誰よりも早く塔の最高レベルをソロで攻略したのだった。

 

 ☆

 

「嘘だろ!? あの塔を全部登ったのか!?」

「一応。じゃあやること無くなったので食えそうな魚釣ってきますね」

「待て待て待て待て待て!!?」

 

 塔を攻略した後、その趣旨をカスミとクロムに伝えて、釣りに行こうとするコウヨウをクロムが全力で止めた。ツッコミどころしか無いのもあるが、異次元級の速さでついていけなかったのもある。

 

「どうやって攻略したんだ!?」

「落ち着いて、一歩一歩、歩みを止めずに」

「そんな格言みたいなセリフはいらん!!」

 

 事実を言っただけのコウヨウだが、カスミとクロムは本気でついていけなかった。お前人間じゃないなと2人は本気で思ったが、そんな言葉は言えない。

 

「とりあえず言えることは……うん。ごめんなさい……正直……つまらなかったです……」

 

 コウヨウの口調から確実に本気で出た言葉にカスミもクロムも固まった。本気で申し訳なさそうに、自身の本気の想いを伝えてきたコウヨウに対して、全く何も言葉を返せなかったのである。

 

「な、なぁ、クロム……最近のコウヨウ少しおかしくないか?」

「今日はおかしいと思うが……最近なのか?」

「釣りを最近してなかったからか……はたまた違う理由なのか……なんだか嫌な予感がしてな……」

「うーん……カスミの言葉を疑う気はないが……流石に気のせい……だと思うが……」

 

 結局、その後は特に普通の態度だったコウヨウだが、クロムとカスミの違和感は離れなかったと言う。

 

 ☆

 

「お兄ちゃん、今回からテイムモンスターが当たり前になったみたいだよ!!」

「そうなのか? ならみんなテイムモンスターを持てるのか」

 

 コウヨウとメイプルは第七層で話をする。この層ではテイムモンスターを手に入れることが出来る代わりに、【虹の架け橋】の効果が改善され、1人1匹になったらしい。

 

「そういえばコウヨウはなんでムサシとわらしがテイム出来たの? 1人1体だよね??」

「ムサシは……何だっけ……【天下無双の指輪】だからじゃないか?」

「「【天下無双の指輪】って何!?」」

 

 全く知らない指輪である。でも、コウヨウにとってはこの指輪が当たり前であった。それじゃあとメイプルはわらしは何の指輪なのかと聞くと、指輪なんてないと答えた。

 

「クエスト報酬だと思うけど、わらしを従える指輪とか無いぞ」

「私はマスターが気に入ったー、遊んでくれるからー」

「もう無茶苦茶でしょ……」

「んじゃ、ちょい探索するわ」

「あ、お兄ちゃん一緒に……」

「メイプルはサリーと行きたいだろう、俺は少しやる事もあるから1人で行くよ」

 

 メイプルの誘いを断り戸惑う彼女に優しく微笑んだ。彼が去った後、メイプルとサリーは少しだけ2人で話す。

 

「最近……お兄ちゃん冷たい気がする」

「そう? 向こうでは普通だと思うけど……とりあえず私達もコウヨウに追いつけるようにしないと!!」

「サリー……最近お兄ちゃんと遊んだ?」

「ううん。確かに恋人だからそういうのも大事だけど、コウヨウに追いつくのが先だから」

 

 サリーの言葉にメイプルは少し悩んで、たまには彼氏と遊ぶことも大事だと伝えておいたが、サリーはあまり考えなかった。

 

 ☆

 

「アルジ」

「ムサシ? どうしたんだ?」

 

 少しばかり第七層の道を歩いているとテイムモンスターであるムサシに話しかけられた。ムサシがこうして片言で話すのは最近あるが、こうして自分の名前を呼ぶのは恐らく初めて……いや、一回あったか? それくらいである。

 念のため話を聞く姿勢になったコウヨウだが、次の瞬間、ムサシは彼の首近くにある布……つまりは服に刃先を引っ掛けてそのまま引っ張った。

 

「うわ!? なんだムサシ!? 急に……」

「コイ」

 

 そうしてそのまま引っ張られるコウヨウ。そこにたまたま散歩していたカナデがコウヨウが引っ張られる姿を目撃した。

 

「あれ……コウヨウ、どうし……」

「カナデ、お前も道連れだ!!」

「え? ちょ……うわぁ!?」

 

 そうして彼ら(1名無理矢理)はムサシによってそのまま別の場所に連れて行かれたのだった。

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