妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ)   作:初見さん

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二刀流と宮本武蔵

「60戦無敗だ」

「テメェの戦績は知るか」

「何で僕連れて来られたの……」

「俺も分からん」

 

 ムサシに連れて行かれた場所は第七層の隠れた洞窟。コウヨウもカナデも何が起こったかわからないまま、この洞窟に連れてこられた。

 お互いに事情を話してコウヨウもカナデも事情を知らない(カナデは当然だが)事を知った2人はこの洞窟で急に人型になったコウヨウのテイムモンスタームサシを見ながら驚いた。

 

「主には言わなければならないことがある」

「コウヨウ……これは?」

「俺が知るか。ただ、ちょい1人は寂しいし、面倒なクエストだったら困るからな。カナデがネギ背負ってて良かった」

「つまり僕はとばっちり食らった訳だね」

「何かあったら頼む」

「ムサシ相手は流石の僕も無理かなぁ……」

「話を聞いてくれ主」

 

 結局ムサシは何が言いたいのか、コウヨウはさっさとここに連れてきた理由を言えと伝えるとムサシはコウヨウに言った。

 

「闘いがつまらないと言ったのは主ではないか」

「え?」

「あぁ……なるほど、聞いてたか」

「私も同じ事はあったからな……」

「あぁ……コウヨウ、そんな事言ってたね」

「そんなわけでこれから主には私の力を身につけてもらいたい」

「本末転倒では??」

 

 コウヨウとムサシの会話これだけでカナデはある程度ここにコウヨウが連れて来られた理由察した。つまりはコウヨウが強すぎてつまらないと感じてしまったのが原因。だが、何故ムサシはここで変身して彼と話しているのかわからない。というかムサシの力をコウヨウに与えてしまうともはや手がつけられないのではとカナデは思ったが、何だか嫌な予感がした。

 

「俺をここに連れてきたのは……お前が変身出来る洞窟だからか?」

「ああ。ここには不思議な力があるらしくてな。私は人になれるし言葉も話せる」

「ムサシのおじちゃんー」

「わらし、こいつ女なんだが……」

「生前は男だ。どちらでもいい。わらしちゃん……私が怖いか?」

「ううん。幽霊よりマシー」

 

 お前が言うなとツッコミながら、コウヨウは話を聞く。わらしは何故かカナデの元に行って、彼の手の中に収まった。

 

「どうしたの?」

「ムサシとマスター大事な話するー、私は部外者ー」

「なるほどね」

「主、貴方は強くなりたくないとは言うが、誰かを守りたいと言った。間違いはないな」

「んだな。俺は釣りが出来たりメイプル達と遊べたらそれでいい」

「主、ならば頼みがある」

「頼み?」

 

 ムサシは1つ息を吐いてコウヨウに話をする。

 

「私をこの姿にした元凶を、妹君達と倒して欲しいのだ」

「嫌だよ? さっきの話聞いてた?」

「この頼みが終われば自由になれるぞ」

「全く分からん、元凶ってなんだ」

 

 ムサシは語る。コウヨウと会う前に自分は人間だった事を。死んで転生というものをしたらこのゲームに入っていたと。そしてムサシは語る。自分はこのゲームで一度負けたと。

 

「60戦無敗の私は負けたのだ。人ならざるものではあったが、事実負けた。だからこの姿になってしまったのだ」

「主、私を元に戻すため、強くなってその者を倒して欲しい」

「急にごちゃごちゃ言いやがる……そもそも俺が何かする道理なんてないだろ」

「私は負けて、呪われた。その呪いは凶悪なもので出来ていて、私だけでは耐えきれなかった。だから私は自分と別の物の2つに呪いを分けた……後は分かるな?」

「ほう……ムサシ、テメェ俺を餌にしやがったな?」

「わざとでは無い。たまたま拾ったのが主、私は自分の呪いを首輪に移してぶん投げただけだ」

 

 少しばかりニヤリと笑ってムサシはコウヨウを見る。もうその瞬間からコウヨウは冷や汗ダラダラで、カナデも片手で頭を抱えながら悟った。恐らく彼に逃げ場は無いと。

 

「ふざけんな、俺は普通にプレイしたいだけだったんだぞ。こんな呪われた首輪やらお前やらに好かれたせいで周りが最強だのわけわからん事言って勝負挑まれて……とにかく却下だ却下」

「お願いだ主。助けてくれ……」

 

 データ消してやるとちょい怒ったコウヨウではあるが、少しばかり考えた。多分消しても意味ないだろうなと思いながら、何となくムサシが寂しそうなめをしていたから。

 

「なぁ……お前が負けた相手は誰だ?」

「さぁな……だが、確か【魔王】がどうとか言ってたな……後、データ消してもステータスは元に戻るが私達は初期段階からついてくるぞ?」

「お前マジなんなんだよ……そもそもそんな情報NWOの攻略にも公式にもないぞ?」

「僕も聞いた事ないかなぁ……【魔王】なんて聞いてたら【楓の木】どころか【集う聖剣】も黙ってないと思うけど」

「まだ、奴は完全ではないのではないかと思う」

「未来人みたいな事を言うんだね……それで、コウヨウはどうするの?」

「俺が何をしたっていうんだよ……データ消してもコイツらついてくるんだろ? やるしかねぇじゃん」

「というか何そのチート……」

 

 

 仮にゲームやめてやろうなんて言いたかったコウヨウではあるが、それを言ってしまうとサリーやメイプルとプレイするという目的や信念に矛盾が生じるので言い出せなかった。

 

「主、私は別に強くなれなんて命令したつもりはない。自分にプレイするなら勝手にすればいい。ただ……主は今敵が弱いと言っているが、これからとてつもなく強い奴が出てくる。それで攻略もままならず、妹君達と遊べ無くなったら、1番悔やむのは主ではないか?」

「ん? ねぇ、ムサシ……」

「なんだ神童」

「カナデの事神童っていう奴お前くらいだ……」

 

 ムサシとコウヨウの言葉に苦笑いしながらも、カナデは質問を続ける。

 

「もしもさ、僕達……メイプルやサリーがその【魔王】? を倒せなかったら諦めるとかするはずだけど……その場合はコウヨウも諦めているならムサシは選ぶ人を間違えたって話になるんじゃない?」

「アホかカナデ」

「ん?? 今なんて?」

 

 まさかのコウヨウからアホと呼ばれたカナデは戸惑いながら返答を返した彼に聞くと、ムサシも一緒にコウヨウのセリフに口を挟んだ。

 

「「あいつらが諦めると思うか?」」

「えっ!?」

「サリーとメイプルだぞ……しかも【楓の木】全員が諦めるなんて選択肢ねぇよ」

「多分若造……ペインとミィだったか? そんな奴らと合同でチームでも組んで挑むと思われる……そうなると必ずやそこに主の力も必要なのだ」

 

 カナデは驚いた。ムサシが言うならともかく、コウヨウも同じ台詞を吐いたのだ。かくいうカナデも冷静に考えて諦める気は話を聞いても全くないことに気が付いたが。

 

「全く、メイプルはお前の彼女だろ? あいつの考える事くらい分かれよ。諦め悪いんだ、あの女は」

「そんなこと言われても……」

「なぁ……ムサシ」

「なんだ主」

「仮によ、そいつを倒したら……俺は好きにして良いんだよな?」

「構わん。私は元に戻りたいだけだ。前世は主と同じで、戦いなどしたくはなかったし、生きるために仕方なく戦っていただけだからな」

「釣りは?」

「あんなに楽しいものはない。座学も然りだ」

「そうか、気が合うな」

「だからこそ私は貴方を選んだ」

 

 仕方ねぇなと呟いて……そのまま彼は急に出てきたクエストの承認ボタンを押した。

 

『【真クエスト 剣豪からの願い】を承認しました』

 

「帰るぞカナデ、わらし。ムサシもさっさと元に戻れ」

「ちょ……コウヨウ……待って!?」

「んだよ、話はここから抜けてからな」

「感謝する。ありがとう主」

「黙れエセ剣豪」

 

 カナデ達を連れて、その洞窟から後にした。洞窟を出て歩き続けるコウヨウに対してカナデは少し口を早くして言う。

 

「いいの? コウヨウ戦いたくないんでしょ? しかも敵が弱いならそれを理由にしてやる気無くしたとかでも戦うことやめられるんじゃないの?」

「60戦無敗……」

「え?」

「そんな奴が、形はなんであれ、既に負けた俺に頼み込むなんてしねぇだろ」

 

 正直100%理不尽である。コウヨウはただゲームしたいだけでこんな奴らに好かれ、訳の分からない頼み事をされた事に対して、怒りはある。

 ただ、それでも理性が抑えきれたのは、無敗のムサシが既に負けたコウヨウに対してサジを投げるどころかいまだに付いてきていること。

 

「俺は一度決闘で負けてる。それでもこいつが付いてくるならクエスト条件はノーデスでも、ノーダメージでもねぇ……俺はな、ムサシはシステムに関係ない奴だと思ってる」

「え? ムサシってシステムのテイムモンスターじゃないの?」

「俺の考えだがな。イズさんもそんな予感はしてるらしい」

 

 そう言いながらコウヨウは呪いの首輪を手で掴みながらカナデに言う。もしもこの首輪とムサシがシステムでは無いのだとすると、このまま放っておいたらヤバそうな気がするのだ。

 

「散々攻略サイト漁ったけどよ、【二天一流】なんてスキル存在すらしてねぇからな、【魔王】って奴もユニークモンスターとかの可能性がある以上に、なんだか放っておけなさそうだ」

「それはコウヨウしか持ってないからじゃ……」

「ユニーク装備でスキルあるならともかく、正直何もしてねぇのに【二天一流】とかそんなもんでねぇだろ……だから、確かめてみる。コレが……ムサシがどんな奴なのか」

「それで、もっと言えば俺をこんな理不尽に追い込んだのはムサシが負けたから。だから、そいつをぶっ飛ばせば俺は好きにプレイが出来るってもんだ」

 

 現実世界では既に暇人学生のコウヨウ。忙しい時期を乗り越えたので正直このゲームくらいしか熱中するものはない。だから、少しばかり、本当に微塵だけだが……

 

「そいつを倒す強さくらいがこのゲームのゴールなら、さっさと終わらせよう。俺は平穏を取り戻すために戦う事にする」

「多分そこまでの強さになったら平穏が消えると思うよ」

 

 うるせぇとカナデのセリフに対して毒を吐いたが、コウヨウはムサシの方を見て、仕方ないから特訓されてやると、ムサシに稽古つけるように指示を出したのだった。

 

「あ、そうだカナデ……ちょっとお願いがあるんだが……」

「何?」

「流石にコレは俺とお前の秘密にしたいからさ、ちょっと──」

「そんなことしたらサリーが泣き喚くよ!?」

「メイプルにも蹴られそうだ」

「え……本当に行くの??」

「おう。ムサシとわらし。3人で少しばかり……な」




 因みに本物の宮本武蔵は現実世界で一回負けてるとか負けてないとか。
 今回は現実世界で無敗の諸説をモチーフにしてます。
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