妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ)   作:初見さん

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 誤字脱字報告ありがとうございました。


防御特化と本条楓

 私はお兄ちゃんが……本条紅葉が大好きだ。今はカナデという恋人はいるけど、カナデと出会う前は最悪お兄ちゃんを恋人にしても別に良かった。法に触れるから諦めて幼馴染の理沙に譲ったけど、それくらいお兄ちゃんは好きだ。たまにユイとマイもお兄ちゃんを狙ってるけど……正直お兄ちゃんが可愛くて性格の良い子達と付き合うなら私は何も言わない。もう私はカナデが好きだし。

 だけどお兄ちゃんは自分の気持ちをあまり言わない。私達が歳下で我儘ばかり言ってたからか、兄としてのプライドなのかは分からないけど、お兄ちゃんが我儘言ってるのは、ゲームで戦いたく無いとか言い出したくらいである。

 

「もう少し我儘になって欲しいんだけどなぁ……」

 

 お兄ちゃんだって人間だから欲しいものとか何かしたいとか、願望を口に出してもいいはずだ。というか、理沙と付き合ってるのに、手を繋ぐのもキスをするのも理沙からって……お兄ちゃん性欲無いんかとツッコミ入れたくなるくらい草食系男子だと思う。痺れを切らして最近理沙がお兄ちゃんを襲った事はとりあえず了承してあげよう。私もカナデとしてるし。お兄ちゃん遅すぎ。

 話がそれちゃった……とにかくお兄ちゃんは優しくて、私達のことを1番に考えて動いてくれるとずっと思っていた反面、私たちもお兄ちゃんに何かしてあげたいって思ったんだ。だけど、返ってきた言葉は……私達にとって最低最悪の一言だったけどね。

 

「メイプル、頼みがある」

「どうしたのお兄ちゃん?」

「【楓の木】を抜けてムサシと特訓したい」

「頭壊れた? お兄ちゃん」

「頼む」

「馬鹿なの? お兄ちゃん」

「冗談じゃないよ」

「なんで……」

 

 何を聞いても返ってくるのは私達のギルドを抜けるという言葉だけ。理由を聞いてもやりたいことが出来たと言って聞かない。

 

「特訓くらいギルドにいても出来るでしょ」

「特訓しかしないからクエストもイベントも参加できるか分からない。幽霊部員になるくらいなら抜ける」

「サリーが泣くよ?」

「サリーとも少し距離を置こうと思う。アイツも結構思い詰めてるみたいだから、一回好きなようにさせておく」

「みんな心配するよ?」

「謝ることしか出来ない」

「ユイとマイ……お兄ちゃんを追いかけるかもよ?」

「その時はギルドマスターとして止めてやれ」

「私は……嫌なんだけど……」

 

 お兄ちゃんは何も言わなかった。ただ真っ直ぐ、私の目を見ながら淡々と言葉を繋ぎ、最後は頭を下げた。メイプルなら、【楓の木】なら、俺がいなくても大丈夫だと言った……いや、言いやがった。

 

「ふざけないで!!」

 

 STRは0の私だけど、少なくともお兄ちゃんの心には私のビンタは届いたようだ。何故か私と違ってVITが0なのにダメージが通ってないけど……

 

「装備のせい……か……」

「本当はサリーから食らうつもりだったんだがな……」

「私だって怒るよ」

「好きなだけ恨め」

「怒るよ!!」

 

 本当になんなんだこの兄は……でも、何故だろうか、何となく、こうなりそうな気がしてはいた。最近のお兄ちゃんは恋人とも少しギクシャクしてたし、クエストも簡単に終わらせて釣りでもするかと思えばソファに横になっている回数が増えた気がした。

 

「お兄ちゃん……」

「なんだ……」

「鬱病?」

「ちげぇよ!?」

 

 なら良かった。危なく本気で病院連れて行くところだった。急なやる気の減少はそう言った病気の傾向だと何かで読んだから念のためだ。

 となると妹としてやらないといけない選択肢は……うん。一つしかないよね。

 

「なら、早く出てって」

「いいのか?」

「どうせ教えてくれないんでしょ……だったら早く出てって。じゃないとみんなの分の【機械神】ぶちかますよ」

「逃げますね」

 

 私がそういうとお兄ちゃんはすぐ逃げた。ウサギみたいに逃げた。あの兄は一度サリーに殺されればいいんだ。そんな事を考えていると、木の影から人が出てくる。

 

「終わった? メイプル」

「うん。ありがとう、カナデ」

 

 実を言うと私はお兄ちゃんがギルドから抜けようとしてたとは知っていた。カナデが念の為にと私にだけ教えてくれたのだ。信じられなかったのはあったけど、本人が言ったから事実だった。

 

「良かったの? お兄さん……行っちゃったけど」

「お兄ちゃんのことだからまた『仕方ねぇな』って言って帰ってくるよ」

「帰って来なかったら?」

「無いね。多分、お兄ちゃんやらないといけない人助けしてるんだ。ユイやマイ、サリーが待ってるんだから放っておくわけないし。帰ってくるよ」

「流石兄妹……よく分かってるね」

「んじゃ、カナデ」

「どうしたんだい?」

「知ってること、全部教えてね」

 

 私がそう言うとカナデは少し固まる。お兄ちゃんがギルドから抜けたがっているとしか、私はカナデに聞いていないのだが、きっとそんな事をカナデが言うって事はお兄ちゃんから何かしらの全てを聞いている。

 

「でも、お兄ちゃんの事を伝えたのは自己判断かなぁ?」

「どう……して……」

「女の子は勘で道を切り開くからね。ちなみに教えてくれないと……毒盛るよ?」

「コウヨウ……いや、兄さん。許してくれ、僕の危機だ」

 

 カナデはそのまま私に包み隠さず教えてくれた。どこに行くのかは流石に教えてくれなかったけど、お兄ちゃんの目的が分かれば今はそれで良い。お兄ちゃんは今度ぶん殴るどころか毒に沈めてやろうかな。

 

「お兄ちゃん……水くさいを通り越して本気でムカつくなぁ……ね、カナデ?」

「ハイ……ソウデスネ」

「毒飲む?」

「兄さんは許せません!!」

「良く言えました、んじゃ、後で私と仲直りのキスしてね」

 

 結局お兄ちゃんはいつ帰ってくるのか……そんな事は全く分からないけど、ムサシのためだもんね。それにしても……【魔王】かぁ……もしお兄ちゃんが強くなったら流石に倒せるでしょ、サリーもいるし。早く戻ってきてサリーとイチャつけ。ユイとマイでも良いけど。

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