妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ) 作:初見さん
「よろしくお願いします……全員斬り伏せるぞムサシ!」
「まさかコウヨウが私達に稽古をつけて欲しいと頼むとは……」
「いや、稽古の必要なくない? 開始早々みんなほぼ一撃で斬られてるんだけど……」
「ジシンモテ、アルジ」
「分かっている! 【極天二刀】!」
「いや、ちょっとま……」
「速すぎてなにも……み……」
「言葉言う前にみんな斬られているんだが……」
「ミィ様に私達も戦えるところを見せるんだろ! お前らしっかりし……」
「口閉じろ、殺されるぞ……俺にな」
「マルクス! ミィ! 見てないで助けて下さい!? もう持ちませ……」
「【魔法削除】【呪斬】」
ミィとマルクスが会話している間にミザリーが死んだ。場所は【炎帝の国】の練習場内であり、【楓の木】を抜けたコウヨウは道場破りのような事をしていた。
下の者どもを爆速で斬り伏せて、魔法も斬って、弓も斬って、挙げ句の果てには……
「この人で無し! ミザリー様を斬るとは……【多重石弾】!!」
「俺はともかくムサシに斬れねぇものはねぇ」
「な……正面……とっ……ぱ……」
「これが俺の戦い方だ。横も斜めもあったもんじゃねぇよ」
「まずいよミィ……あのコウヨウ、いつもの釣りしてるコウヨウじゃない……」
「何があったのかはわからないが……私達を本気で潰しに来ている事は分かった……」
大岩だろうが光の大楯だろうがテイムモンスターと共に斬り刻んだ。ステータスが10000を越えた彼とその半分のステータスを受け継いだムサシに斬れないものなどあんまり無かったのだ。
「よぉ、ミィさん……お相手よろしいですか?」
「【炎帝】!!」
「肯定前に魔法使ってんじゃねぇよ!?」
「ふん、貴様はコレくらいしないと倒せないからな……いや、コレでも無理か……おうち帰りたい……」
「素が出てますけど」
「黙れ! 貴様のせいで私の仲間が全員練習場から消えたんだぞ!」
「俺は貴方達より強くならないと行けなくなりましたので」
「な、何を言っているんだ……お前……」
コウヨウの無双に対して流石に弱音は隠せないミィ。マルクスも負けじとトラップを仕掛けていくが……
「ミザリーの仇だよ!」
「きぇぇぇぇい!!」
「いや……嘘でしょ……火柱やら爆弾やら仕込んでのに何もかも斬られてるんだけど……」
「またつまらぬものを……いや、割と面倒なものを斬ってしまったな」
「【火炎牢】!!」
「うらぁ!!」
「これすらも斬るのか!? もう何でもありだなこの男!?」
「もう俺は負けられなくなったんですよ……ムサシのためにも」
「本当に……お前は一体……」
一度見た技は既に見切ったコウヨウ。ミィの火で出来た牢獄を斬りながらそのまま突撃する。それでもミィは負ける訳にはいかないと、最近手に入れた切り札を出した。
「くっそ……イグニス!!」
「うぉっ!? テイムモンスター!?」
「貴様が何を考えているか知らんが……恐らくお前に取ってその行動は誰かの利益になることなのだろう。ならば少しでも協力してやる!!」
「このイグニスが私の切り札だ!!」
「火の鳥かよ……ムサシやるぞ」
「マケルナ」
「おうよ!」
コウヨウは足を止めたが、少しばかり炎が掠りダメージが入る。ミィは炎で包まれた大きな鳥の上に乗りそのまま空中で距離を取った。
「空を飛ぶ鳥だから攻撃しずらいだろう。第七層で手に入れてな、今は忠実なテイムモンスターだよ。さぁ……コウヨウ、お前に何があったのかは本気でわからんが、私も私でそろそろお前に地をつけなければならないから決めさせてもらうぞ」
「【浮遊】」
「いやちょっと待て!?」
「なんで空飛べるのあの人……」
流石にコウヨウでも空中までは来ないと思ったミィ、流石に彼女も普通に宙に浮き出したコウヨウを見てマルクスと共にツッコミを入れた。
「何か問題でも?」
「何で黒龍に変身してないのに空飛べるんだ!?」
「カリスマ吸血鬼から貰いました」
「また変なスキルか!? 何でこのシステムはコウヨウにだけ甘いんだ!?」
「メイプルも同じでしょ」
みんなが目を離したらすぐに訳の分からない装備やスキルを持ってくる所は妹のメイプル譲りである。しかも普通に強い。マルクスは生きてはいるが空を飛びながら攻撃も難しいので、火柱のトラップを仕掛けようとするが、2人がかなり高い位置にいるので範囲外になってしまった。
「ミィごめん! 僕は使え無さそうだから1人で頑張って!!」
「薄情だぞマルクス!?」
「僕、ちょっとミザリー迎えにいくから!」
「仲間思いだな、行ってこい」
「コウヨウが決めることじゃないだろ!?」
ミィのツッコミも虚しく、1VS1が始まってしまった。ミィは正直勝つつもりは4割くらい無かった。コウヨウには一度勝ったとはいえ、それはメイプルとペインの3人で打ち破ったから。たとえ自分の代わりにメイプルが来ようが、ペインが来ようが、天地がひっくり返ろうが、彼に1VS1を挑んで勝てるわけがないのは彼女自身思っている。
それでも、今回手を合わせた理由は意地とプライド。もう1つは、コウヨウの身の心配である。メイプル達からコウヨウがギルドを辞めたとチャットが届いてから少ししてミィの元に彼が現れた。彼の心を知るためには戦いからそれを知るしかなかった。
「最初お前にあった時、普通に惨敗した。ギルドの奴らも全員お前にやられたよ」
「一度負けましたけど、次は負けませんよ」
「そうか……お前はアレを敗北と見るんだな……」
「俺は油断が出来ない男なので」
「お前は……コウヨウは一体何を考えているんだ?」
「俺の平穏のため。そのためには貴方達を倒して強くなる」
「もしかして自分が強くなれば勝負を仕掛けてくるやつがいなくなるからか?」
「未来を斬り変えるだけです」
「未来を?」
ますます意味がわからないミィだが、絶対ここで今倒しておかなければならないとここが練習場とはいえ彼女は思った。今の彼は何かおかしい。なんとなく嫌な予感がするのだ。彼女はテイムモンスターに乗りながら、コウヨウに突っ込んで行き、そのままスキルを発動させる。
「コウヨウ、私はお前を倒す。メイプルにも勝つ。【炎帝の国】ギルドマスターとして、プライドをかけてお前に挑もう」
「ミィさん申し訳ない……」
ミィの言葉に対して、コウヨウは謝罪しながら二刀を鞘に納めた。少し驚いたミィだが、その瞬間とてつもない殺気が彼の周りから感じ取った。
「っ!? イグニス離れるぞ!!」
「【コネクト】」
流石にまずいと思ったミィはイグニスに指示を出して、一度彼から離れる。宙に浮いた彼は、ムサシに指示を出して、テイムモンスターを1つの刀に【変身】させる。
「に、二刀流をやめたのか?」
「俺は宮本武蔵じゃねぇんですよ……ただの釣り師のコウヨウです」
【極天二刀】は発動しない。それでも、そんなものはもはや要らない。
「【二天一流】」
「き……消え……た!?」
彼の姿が消えた時には既にミィの後ろにいた。そうして、現れた無数の斬撃エフェクトはイグニスに当たるのではなく、全てミィ本人に直撃した。たった一本の刀を持った彼の速さは目に追えず、いつ斬ったのかもわからない。一本になったから身軽になったのかはゲームシステムのミゾを知るが、負けたのは確実にミィだった。
「ぐっ……あああああぁぁぁぁ!!!?」
「俺は守りたい未来があるので、いっぺん死んで下さい」
結局ミィはまたしても、コウヨウに勝つ事は叶わなかったのであった。
☆
「なぁ、ミザリー良いのか?」
「ええ、あの装備は私では使えませんから」
コウヨウはやるべき事があると行って、すぐに別の場所に向かった。あの後モノの見事にフルボッコにされた【炎帝の国】メンバーは全員さらにやる気を出してミィと共に訓練に勤しむ決意をした。そんな中でミザリーが彼に1つ装備を渡したのだ。
「白装束の服なんてコウヨウに似合うとは思わんが……」
「正直腹いせです」
「ミザリーすぐにやられちゃったもんね……」
「それもありますが……私じゃサイズが合わなくて……特に胸元が……」
「「装備にサイズってあるんだ」」
だからこそ渡したというミザリーだったが、何やかんやでコウヨウなら大事にしてくれるだろうと確信していた。理由は単純にカスミの刀を使う場面を見ていたからだ。
「あの二刀流の刀ってすごく強いじゃないですか……でも、【楓の木】から貰った装備を使っているなんてなかなか出来ませんから」
「それでコウヨウがまた強くなったらどうするんだ?」
「いやぁ……流石にじゃない? ステータスの+値まだ低い方でしょ?」
「でも魔法使えるんじゃないか?」
『白装束の衣装』DEX+20、INT+20
聖なる者にしか装備が出来ないと言われた幻の衣装。男女兼用。【水弾】と【多重水弾】が使えるようになる。
今回ミザリーがくれた装備は魔法が使える装備だが、コウヨウのいつも着ている装備は外れてしまうので、剣豪装備のステータスAll100が使えない。だからこそマルクスは問題視しなかった。
「なぁ、コウヨウの未来を斬り変えると言う言葉といい、アイツのあの真剣な恐ろしさといい……なんだか嫌な予感がするんだが……」
「確かにあの時のコウヨウさんはまるで強者のような殺意がありましたが……それでも彼は何か悪いものに飲まれている感じではなかったですよ。まぁ、装備に関しては……流石にDEX+20、INT+20ですから……大丈夫ですよね???」
「なんで疑問なのさ……まぁ良いや、コウヨウがギルド抜けたと言うから少し心配してたけど、ミザリーから見て何もなさそうなら大丈夫じゃないかな? とりあえずミザリー、僕疲れたから甘い物食べに行くけど一緒にどう?」
「行きます」
「即答だな……まぁ、確かにあいつの言葉から危ない発言もなかったし……私も鍛え直すか……」
そう言って今日の訓練は終了したという。