妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ)   作:初見さん

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二刀流と不在4

「もうすぐ第八回イベントだが……みんな知っての通りコウヨウがいない」

「プレイヤー個人の戦いである事に安心したが、やはり堪えるな」

「コウヨウ……本気で戻ってくる気ないんだよね……」

 

【楓の木】メンバーはこれから始まるイベントの作戦会議中ではあるが、そんな雰囲気ではない。コウヨウ不在の……というかギルドメンバーから脱退して初のイベントである。

 未だに理解出来ていないメンバーもいて、悲しみに暮れる幼馴染のサリーがいた。

 

「初めてのことばかりで戸惑うと思うが、ここで参加する以上モンスターを倒しながら上位に食い込もう。コウヨウが帰ってきた時、強くなった俺達を見せてやろう」

 

 クロムは自らメンバーを奮い立たせる。本来ならメイプルの役割であるが、メイプルの今の状態から声出しができるとは思えない。だからこそ、大人であるクロムを筆頭にイズとカスミがしっかりとみんなをまとめる。

 

「コウヨウ君がいないのは残念だけど……きっとすぐ戻って来るわ。根拠はサリーちゃんがいるからだけど……」

「コウヨウのサリー好きには私達もドン引きするからな。きっと今回のイベントもサリーを守るためにどこかでこっそり参加するかもしれない」

「マイちゃんやユイちゃんもいるしな、弟子を置いて逃げるほどあいつは薄情ではないだろ」

 

 曖昧な答えではあるが、ハッキリと事実を交えて可能性を信じる事にしたのだった……のだが……

 

「私のせいだ……」

「え?」

「私がコウヨウに構わなかったから怒ってどこか行ったんだ!!」

「サリー、落ち着いて、お兄ちゃんは……」

「世界を壊してしまえばいいと〜破滅的な総譜に合わせて〜!!」

「サリー!? 歌いながらダガーを振り回すのは辞めるんだ!!」

「おいメイプル! サリーちゃんを止めろ!?」

「どうして、どうして、どうして、どうして……!!」

 

 このせいでいよいよサリーの精神がぶっ壊れかけていると確信して【楓の木】が頭を抱えたという。

 

 ☆

 

「許せサリー……しばらくはお別れだ」

「準備は出来たか? コウヨウ」

「はい、お願いします。ペインさん」

 

 第八回イベントの前にコウヨウは【集う聖剣】のギルド内にいた。

 

「しかし、コウヨウが【楓の木】脱退して、うちに来るなんてよ」

「これなら【楓の木】相手でも大丈夫だろうな」

「ちょっと男ども、あくまでコウヨウは【楓の木】に強くなってもう一度入るために来ただけでしょ。向こうに戻るために、こことイベントで特訓して行くなんてペインがよく許したもんだけど……」

 

 私達も舐められたものだとフレデリカは笑う。コウヨウはムサシと戦いながらも他のプレイヤーやイベントモンスターとも刀を交える事を選んだ。なので、ミィやペインに特訓に付き合ってくれと頼んだのだ。正直に話すと強くなって【楓の木】の役に立てるようにしたいというのはコウヨウの建前であり、目的はまだ見ぬ敵モンスターである事をフレデリカは知らない。

 今回イベントはペイン達と協力関係を望んだコウヨウ。その条件としてはコウヨウと【集う聖剣】である程度協力して挑むこと。なお、コウヨウはギルドに所属はしないが、モンスターを倒した時のドロップアイテムとお金は全て【集う聖剣】に寄付をして行く事。コウヨウは刀以外物欲が無いので全く問題無かった。【楓の木】で特訓する事も確かにあったのだが、やはりギルドに無所属でただどこかと協力関係にあった方がコウヨウとしては楽に動ける可能性があったのだ。

 

「ついでにこれ渡します、前金です」

「なんだこれ……1億!?」

「お礼です。魚売りすぎて金だけ貯まったので」

「いやいやいや!? 流石に貰えないだろこれは!?」

「コウヨウ、あんまり自分を安売りするな。お前はトッププレイヤーの1人だと俺は認めているんだ」

「別にどんなプレイヤーでも、ギルドに尽くすのは当然では?」

「お前……」

「俺の目的は最強を殺す。それだけです」

 

 コウヨウはサラッと答えてそのままお金を渡した。ペインはお金をフレデリカに渡しながらよろしく頼むと頭を下げているコウヨウを見ながら考え込んでいた。

 

『ペインさん……もしもこのゲームに【魔王】がいるとしたら……そいつを斬りたくありませんか?』

 

 どうして自分のギルドに来たのかとペインはコウヨウに問うたとき、彼が口にした言葉だ。最強ならともかく【魔王】なんて想像も出来ないことを言われて戸惑ったが、彼の瞳が嘘や冗談を言ってるわけではなかった。

 

(【魔王】なんてNWOの攻略サイトには一切載ってない……それっぽいモンスターもいない……次のアップデートだって……だが……コウヨウのあの目は冗談でもない……一体どう言うことなんだ……?)

 

 真剣に悩んでいるペインを見ながら、コウヨウはしばらく口を開けて彼の行動に驚いていたドレッドとドラグにも挨拶をした。コウヨウが言う【魔王】……一体どれほどのやつなのかと。そんな時に、フレデリカがコウヨウに一言物申すつもりだった。

 

「ねぇ、コウヨウ。うちに来るのはいいんだけど……サリー達のギルドを解消するなんて流石にやりすぎじゃ無い?」

「例えば、フレデリカさんに彼氏がいたとしましょう」

「急に何!?」

「例え話です。その彼氏が、『俺はゲームでお前に勝ちたいからデートに行けない』って言って、ずっとゲームしてたり、現実世界でもずっとゲームの話ばかりしてたらどう思いますか?」

「コウヨウ、今度会ったらサリーを殴り飛ばしなさい。私じゃコウヨウの仇は取れないけど、その現状で貴方がここに来たのなら私は本気で応援するから」

「つまりはそう言う子供じみた事情もあるんです」

 

 物申す前に彼の味方が増えた。男性陣は苦笑いをしているが、フレデリカが立っている間、座りながら泣きそうな声で話しているコウヨウの頭を撫でていた。もしかしたらフレデリカの方が、自分より大人なのかもしれないと思いながらも、イベントに参加する事を決意した。

 

「ムサシ、やるぞ……【魔王】は俺達で斬る」

「タスカル」

「わらし、良いか?」

(ウィッスー、マスター強くなれー)

 

 目の前に現れた刀型テイムモンスタームサシと、前からコウヨウの影に潜んで言葉を交わしていなかったわらし。コウヨウの言葉に頷きながら応えた。

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