妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ) 作:初見さん
「それじゃあ、始めるぞコウヨウ」
「お願いします。本来、All right、侍なので」
「意味わかんないわよ」
イベント前の最終調整で、コウヨウは【集う聖剣】の全員から特訓を受けていた。場所はギルド修練場で、まさかまさかの1VS4。コウヨウが4人を相手する事が普通になっている。
「【多重炎弾】!」
「【断罪ノ聖剣】!」
「【神速】!」
「【バーンアックス】!」
「【極天二刀】、【豪傑にして英雄】、【封印解除】、【魔法削除】……ってかなんでいつも4人相手なんですか!?」
「我慢しなさい、アンタのせいでサリーに殺されかけたんだから」
「理由にすらなってない!?」
「多少誤魔化しといたからこれくらい許しなさい」
「仕方ない……ムサシ、アレをやろう」
正直トップギルド4人相手に立ち向かっているコウヨウもアレだが、さも当然の如く4人相手を提案する4人も4人である。
「因みにコウヨウ、次のイベントはテイムモンスターをあまり使うなよ」
「ふざけてるだろ!?」
ペインは自身の攻撃をガードされながらコウヨウにイベントの際の条件を伝えた。どうしてだと理由を彼が聞くとペインならではの策があった。
「勿論特訓という意味もあるが、今回のイベントはモンスターを退治する。勿論プレイヤー妨害もあるが、どちらかと言うとモンスターの対策をしておきたい」
「モンスターの対策とは……なんですか?」
「もしもだ……モンスターがプレイヤーの数より、なんならお前がたまに口にし出した、プレイヤーよりも最強格のモンスターが大量に湧き出てくるイベントであるならば、俺たちだけでなくコウヨウ自身も攻略不可能になるはずだ」
まさかとコウヨウはペインの言葉を聞き返す。だが、その可能性は否定出来ない。今回のイベントは主にモンスターの狩中心だ。もしかしたらコウヨウでも退治できないモンスターがいるはずである。
【集う聖剣】やテイムモンスター達と一緒に戦いながら倒すべき事ではあるが、それが大量に来られたりしたらコウヨウも負けるとペインは言った。
だからこそテイムモンスターは最終手段にして、コウヨウはコウヨウ自身を強くして欲しいとのことである。だからこそ、今の最強プレイヤーに値する4人をなるべくテイムモンスターを使わずに相手にしろとも伝えた。
「因みに言うが、俺はコウヨウにしかこれを頼まないし、やらせない」
「そうだな、メイプルやサリー、【楓の木】だけじゃなく【炎帝の国】。もっと言えば俺たちの中でも絶対に頼まねぇよ」
「なんで俺なんですか?」
「決まってんだろ。ペインだけじゃなく、メイプルや俺達に傷をつけたんだ。コウヨウ、今回のイベントで何かあったら、お前が俺達の救世主になれ」
「予選はプレイヤー同士の争いもあるかもしれないけど本戦は助け合いになりそうな予感がするからねぇ」
フレデリカが言った言葉に少し考えながら攻撃を翻すコウヨウ。それを勝機と見たドレッドが彼に迫る。
「よそ見してていいのか? 【神速】!!」
「よそ見しようがムサシがこっそり鳴いてくれたので分かりますよ……【吹っ飛ばし】」
「うお!!?」
「ドレッド!? た、【多重水弾】!!」
「ペインさん、お願いします」
「え? 何を……うわっ!?」
「ペイン危な……」
ドレッドを簡単に止めて吹っ飛ばした後、フレデリカが魔法を放つが、コウヨウはスキル効果が終わって少しばかり隙ができたペインを水弾に向かって吹っ飛ばした。なんとか避けはしたのだが、1発だけ背中をかすり、ダメージを負った。
「味方だろうが敵だろうが、ここではフレンドリーファイア適用エリアなので」
「少し油断したな……だが、ドラグ!!」
「おう! 覚悟しろコウヨウ! 【パワーアックス】!!」
「【呪斬】」
ドラグのスキルをサリーの回避術を真似することで避けながら彼の腹部に斬撃を掠りではあるが当てる。コウヨウのSTRで多少なりともダメージを受けたドラグだが、それでは彼を止めることはできない。
「この程度の傷……いや、かなりダメージ受けてるが……これくらいでは俺は倒れない。行くぞコウ……」
「【コネクト】」
そのまま突っ込んで行こうとしたドラグだが、自身の変化に気がついた。どうにも足が言うことを聞かず、ゆっくりな動きになる。それを見切ったコウヨウはコッソリムサシを装備して……
「あ、足が……一体なんだ!?」
「我の刀は人を守るべき刀……覚えておいてください……【二天一流】」
ドラグを瞬時に斬り裂いた。コウヨウがドラグの後ろに行くと、すぐにドラグの身体から無数の真空刃がエフェクトとして出てくる。
「こ、コウヨウ!? お前何をした!?」
「俺達の本気です」
「テイムモンスターはあまり使っては……」
「俺は刀を握っただけですけど?」
「物は言いようだな……」
ドレッドの質問を正確に答えず、ペインには抜け穴を伝えたコウヨウ。粒子になったドラグを無視して他の3人を見た。
「後で答えてあげます。ただ、今は試合中なので手の内は明かしませんよ……【多重水弾】!」
「え!? 魔法……」
「装備が変わっただと!?」
【
戦いの中で装備を変えた回数が一定を超えると使える。装備のインベントリを操作しなくてもなりたい装備を身につける事ができる。
「何あのフリフリの白装束可愛いんだけど……」
「フレデリカ騙されるな、見た目よりもエグいことしてるんだから」
「刀使いから魔法使いか……ますますアイツを倒したくなった……【断罪ノ聖剣】!!」
コウヨウの放つ【多重水弾】がフレデリカに直撃した。負けずにペインは怯む事なく彼に突っ込んでスキルを直撃させたのだが……彼のHPは僅かしか減らなかった。
ほぼノーダメージに対して驚いたペインだが、コウヨウの黄金の姿を見てその謎に気がついた。されどそれはもはや遅く、そのまま額に光の矢が突き刺さり、ドラグの次に粒子となったのはペインである。
「これくらい不意をつかないと貴方には勝てないので」
サジタリアスの矢はほぼ一撃必殺の矢である。装備の特性上命中率が0なので、その分0距離で撃たないと当たらないが、それを可能にしてるのはステータスを全てVITに振る黄金の装備だった。ペインの攻撃スキルをわざと受けて攻撃すれば流石に当たると見抜いたのだ。
一方で見たこともない黄金装備に流石のフレデリカやドレッドも冷や汗を流す。
「ちょっとなんなのあの装備!? ペインのスキルを諸共しないどころか弓矢持ち出して一撃粉砕って……」
「装備変わっただけで攻防一体とか……マジでメイプルやサリーよりも厄介なんじゃないか……」
「話してる暇は無いんですけど」
「今度は侍か!? くっそ……フレデリカ、一か八かで援護を頼む、2人でやるしかない!」
そうして【集う聖剣】が手配したコウヨウの特訓は、有意義すぎて運営すらも触らぬ神に祟りなしという意識をつけさせたことは言うまでも無い。
「因みにドラグさんの足が止まったのは追加効果が入っただけです。相手のAGIを消し去る効果ですけど」
「なにあれ……前に戦った時より化け物になってない??」
「最早勝てるやついるのかアイツに……」
「行くぞ、サジタリアス」
「「『神弓 サジタリアス』ってアレの事か!?」」