妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ) 作:初見さん
イベント当日。コウヨウは予選を勝ち上がるためにモンスターを斬っていた。だが、今のコウヨウはコウヨウでは無い。
「全く……ペインさんも無茶苦茶……ですわね」
「マス……お母様ーこれ心地良いよー」
「わらしはベビーカーによく入れましたわね」
「サイズはピッタリー」
口調を変えて、装備も変える。更にはキツネのお面を被って顔を隠すコウヨウがいた。因みにテイムモンスターのわらしが長髪の髪を束ねてすごく可愛い美少女になりながら大きめのベビーカーに乗っている。コウヨウにそんな命令をしたのはペイン本人。理由はコウヨウと【楓の木】を思っての事である。
コウヨウは【楓の木】を抜けた。それでも、ペイン達【集う聖剣】と特訓して、今が全盛期と言わんばかりの立ち回りと新たなスキルを手に入れた。
そんなコウヨウに【楓の木】が予選で会ったら驚いてイベントどころでは無くなる。コウヨウが居ない時点でそれどころでは無いのだが、今のコウヨウは【集う聖剣】に協力しているし、みんなで少しばかり誤魔化しているのもある。念のためメイプルには一言だけ話はしていたが、メイプルとカナデはコウヨウの目的は知らずとも話だけは聞いていたので頷いたのはコウヨウも知らない。
大事なイベントでコウヨウと【楓の木】に新たないざこざを作るわけには行かないと伝えたペイン。特訓の時にテイムモンスターをあまり出すなと伝えたのも正直この理由がある。
そうしてペイン含む【集う聖剣】達はコウヨウからもらったお金を彼のオーダーメイド装備(お面)に変えてイベントに参加させるようにしたのだ。因みに口調はフレデリカから聞いた、とあるお嬢様である。
「コウヨウ、今のお前はレリフル。それで良いな」
「はい……じゃなくて、分かりましたわ。名を考えたのはわたくしですから……ペインさん、感謝致します」
「それはお前が【楓の木】のコウヨウとして俺に刃を向けた時に言ってくれ」
「マスターは負けないー」
「わらしも言葉変えるか……お母様って呼んでくれます?」
「おっかぁ」
「舐めんなテメェ」
「落ち着けコウヨウ」
コウヨウはレリフル(紅と葉をそれぞれレッド、リーフに変えて繋げただけ)と名乗り、刀は1本装備に変えた。刀は前にカスミから貰ったイズ特製の刀を装備している。
『狐の嫁入り』DEX+30
結婚式中に盃を交わす花嫁が身につけていた面。スキル【絶対必中】が使える。
【
たまにしか発動しないが、魔法で攻撃すると必ず当たる。
ミザリーがくれた白装束に対しては魔法が急に使える装備だったので、全員がなんとも言えなかった。
「まぁ、わたくしは普段遠距離魔法を使えないですから……割と遠くの敵には楽ですわね……まぁ、あのスキルはある程度隠しておきましょうか」
「全く、とんでもない数のモンスターだ……な」
「く、クロ……おほんっ……ぷ、プレイヤーの方ですの?」
レリフルはモンスターを倒しながらプレイヤーを見るが、そのプレイヤーは昔も今もお世話になっているクロムであった。
コウヨウは元々声が低い方では無いので、少し演技して高い声を出しているが、それでもクロムは気づかない。
「そ、そうだが……お前は……? 子連れなのか?」
「わたくしは……レリフル。この子は……サダコですの」
「ちわー」
「恐ろしい名前なんだが……いや、悪い、失礼だな」
「だろうな……」
「え?」
「いえ、何でも……はっきりと言わせていただきますが、わたくし貴方と戦う気は一切ありませんの」
「レリフルか……顔は見えないが女のプレイヤーなんだな。それに、その女の子もよく見たら可愛い少女だ。それよりも敵でなくて良かった……俺は……」
「クロムさんですわね」
「俺の名前をよく知ってるな」
「貴方はご存知無いと思いますが、結構有名でしてよ……【楓の木】のメンバーですから」
「そりゃ、どうも」
「お母様ー、なんかいっぱいいるー」
「モンスターですわね」
「その子話せるのか?」
「ええ。一応は」
コウヨウことレリフルは自分で演技をしているが、正直心は痛い。自分が悪いのは分かっているが、やはり苦しかった。
クロムは逆に、戦う気は無いという彼女(彼)の言葉を聞いて安心した声色である。
「なら、少し良いか?」
「何ですの?」
「今俺達はモンスターに囲まれているわけだが……半分こって感じで倒さねぇか?」
「ええ、構いませんわよ。ただ、条件が一つ……」
「なんだ?」
「斬った数なんて分からなくなるのがオチですから……どちらかが余計に多く斬っても文句無しで構いませんこと?」
「ああ。むしろ協力してくれるならありがたい……あ、でもその子は……」
「抱えれば問題ありませんわ」
そうしてクロムとレリフルはモンスター大群相手に背中合わせで戦う事にした。レリフルはクロムと一緒にあまり戦った事がないなと考えて、最後に戦った時を懐かしみながら、わらしを片手で抱えてモンスターを斬り裂いていく。
レリフルことコウヨウはクロムを知っているので放っておいても全く問題無いくらい信頼していたので、後ろすら向かなかったが、クロムはこのレリフルという女(男)を知らない。だからこそ少しばかり彼女を見るが……
「な、なんつう速さだよ……」
「甘いですわね……というか、貴方が遅すぎますわ!!」
「いや、お前が速すぎるんだよ!? どう見ても子供抱っこしながら出せるスピードじゃないだろ!?」
「お母様ー頑張れー」
「子供もビビってねぇ……何だこの親子……」
姿は変わっても、ステータスはそこまで変わらない。しかしながら、コウヨウ自身のレベルが最大まで上がって、とうとうSTRが5桁に足を踏み入れた彼女(彼)は同時にAGIも5000である。
最近のアップデートでどれだけAGIがあっても、全く見えなくなるという完全不利なゲーム性が無くなり、コウヨウにとっては酷いゲーム使用にはなったのだが、クロムからすればあいも変わらず時速200キロ以上のスピードで野球ボールが飛んでくる感覚である。一切見えないわけでは無いが、瞬きすら許せない程一瞬でモンスターの足と腕と首。全てに斬撃を入れてHPを0に持っていく。
1番クロムが驚いているのは、モンスターに掠っただけでも粒子に変える異次元のSTR。クロムはそんなプレイヤーなんてたった1人しか知らない。
「こりゃ、まるで……こ、コウヨウみたいな……」
「クロムさん! よそ見している場合ですの!?」
「うお!? す、すまん! レリフル!」
「まぁ、これで貴方が死んでしまっても、わたくしが繰り上がりで本戦に行かせていただきますから」
「手厳しいな……」
「おいちゃんー頑張れー」
「俺はまだ若いんだが!?」
勿論そんなつもりは一切無いし、本心で思っていないが、ちゃんと戦ってくれと思った節はある。正直コウヨウはクロムが自分の名前を言ってくれた事の嬉しさが勝っていた。
だが、これはイベント当日の真剣勝負。予選であっても油断は許されないのだ。1デスまでに多くのモンスターを倒さないといけないので死んだら終わりである。だからこそ……レリフルは少し挑発した。
「それよりも……ええ、そうしましょう……その方が……」
「ど、どうした? レリフル?」
「クロムさん。お互い争う気が無いのでしたら少しばかり共闘いたしませんか?」
「な、なるほど。確かにその手もあるな……だが……」
「わたくしはレリフル。刀使いですの、ステータスはお見せできませんが……こちらをお渡ししますから、少しばかり信用してくださる?」
流石に女(男)と言っても、初対面であるプレイヤーを怪しみながら彼女(彼)を見るクロム。レリフルはそんなクロムにそう言って、5本程回復ポーションを渡す。クロムは戸惑いながらもそれを受け取り、声をかけた。
「お前は……どうしてそこまで俺を信用しているんだ? 初対面だろ?」
「それは……そうですね。貴方は覚えていらっしゃらないかも知れませんが……わたくしには妹がおりますの。クロムさんに助けられたとメイ……いえ、ウィンディがわたくしに言って来ましたので妹経由で多少の信用はしておりますことよ」
「ウィンディ??」
ウィンディはレリフルであるコウヨウが勝手につけた名前である。現実が楓なのでツリー(木)とウィンド(風)。これを適当にくっつけたのだが、よくもまぁ、ここまで偽名と演技をスラスラとやってのける女(男)である。
これをもし【楓の木】や【集う聖剣】が話を聞いたら苦笑い通り越して拍手喝采(意味不明)だ。それでも、クロムは気づかず、少し照れながら、覚えていないが誰かのためになった事があるなら嬉しいと彼女(彼)に伝えた。
「それなら……まぁ、協力させてくれ」
「それはこちらの台詞ですわ」
そう言って、クロムとレリフル(コウヨウ)は囲まれながらもモンスターを全力で撃退するのだった。しばらくして分かれた2人ではあるが、クロムは彼女(彼)レリフル達の姿をずっと見ていたらしい。
「戦い方、それに歩き方……すごくコウヨウに似ているが……兄妹か何かか? いや、でもコウヨウにはメイプルがいるしなぁ……しかも……」
「あの幼女何処かで見たような……」
女性版コウヨウが完成しました。