妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ) 作:初見さん
「ぷ、プレイヤーがいる……どうするお姉ちゃん?」
「1人だけだから、私達なら大丈夫……だと思う」
「じゃあ、行こう。お姉ちゃん!」
そう言って【楓の木】メンバーであるユイとマイは自身のテイムモンスターであるユキミとツキミに乗る。双子が合流した後にプレイヤーを見つけたが、どうやら白装束の人間らしい。何故かベビーカーに小さい女の子を乗せて散歩しているが、プレイヤーなら妨害したい。気が付かない今がチャンスだと双子はそのプレイヤーに突っ込んでいく。
「ツキミ、【パワーシェア】、【突進】!!」
「師匠の仇……ユキミも行くよ!!」
姉のマイがツキミに、妹のユイがユキミに命令をして、そのプレイヤーに突っ込んでいく、コウヨウは死んでないのにそう吐いたユイは確実に背後をとって、攻撃を仕掛けたつもりだったが……
「危ねぇな……」
「「き、消えた!?」」
「こっち……ですわ……」
白装束のプレイヤーは口調を変えながら寸前で消えた。双子が驚きながら止まったのだが、その背後に彼女(彼)がいたのだ。双子は驚いて振り返るが……女(男)は片腕に少女を抱きながらそのまま自由な方の手を上げて答えた。
「わ、わたくしは争う気がありませんの……ユ……お二人ともプレイヤーを倒そうとしているのは分かりますが、わたくしはモンスターを倒したいだけですわ」
「お母様の弟子ー」
「「え??」」
「こら、サダコ……わたくしの娘が失礼な事を言いましたわ。すみません」
危なくユイとマイの名を呼ぼうとし、わらしの失言を慌てて謝罪でもみ消す白装束の仮面女レリフルこと、最強の二刀流釣り師でありユイとマイの師匠である男コウヨウ。双子は気づいていないが、少しばかり戸惑う。
「わ、私達を倒そうとはしないんですか!?」
「しませんわ」
「は、ハッキリと……言われた……」
「わたくしはレリフル。おあいにく様、先程申し上げた通り、貴方達とは戦いたくありませんの。【楓の木】にいらっしゃる双子。ユイさんとマイさんですわね」
「私達を知っている……?」
「STR極振りで有名でしてよ。つい先ほどクロムさんにもお会いしましたし」
「クロムさんとですか!?」
「ええ、僭越ながら共闘させていただきましたわ」
「おいちゃん元気だったぞー」
「「おいちゃん???」」
「サダコ、それ以上は口を挟まないでくださいまし」
自分の弟子にこんな言葉を使っている事に慣れないレリフル(コウヨウ)だが、今は赤の他人の振りをしておくのが1番であると思った。
双子は双子で警戒心はあるが、クロムの名前を出されたことと戦う気が無いという彼女(彼)の話から安心しだす。
「プレイヤーだ!! 数減らしとけ!! 妨害するぞ!」
「「て、敵!?」」
「私含めた人数的な意味で三つ巴から抜け出したいのにどうして4人目がいらっしゃいますの……」
双子とレリフルが話をしていると、関係ないプレイヤーが自分達を倒しに来た。その数3人ほど。恐らく結託しているのだろう。
双子は身構えるが、レリフルは落ち着いて溜息を吐いた。
「ここはわたくしにお任せくださいまし」
「え? で、でも……3人もいますけど……!?」
「たかが3人でしょう? モンスターが50匹くるよりマシですわ」
「わ、私達も手伝います!!」
「大丈夫ですわ……10秒も入りませんので……」
「「え……」」
「倒せ! 相手は女3人だけ……」
「お前らなんて1人で充分だよ」
「やったれマスター」
「何だこいつ……早い!?」
「魔法少女舐めんな」
相手プレイヤーが構える瞬間にレリフルとわらしは一瞬だけいつもの口調に戻り、3人のプレイヤーをまとめて斬り裂いた。というかお前魔法少女じゃないだろ。双子の体感5秒くらいか分からないが、本当に一瞬で刀を抜いて、目に追えない速さで、一撃で切り裂いたのだ。
何が起こったのか分からないが、少なくとも分かるのは先程までいた3人が、彼女が刀を振った瞬間に粒子になった事だけである。
「さて……わたくしはここで失礼します。プレイヤーはあまり斬りたくはないので。まぁ、今回は特別ですけれど……」
「あ、ありがとう……ございました……」
ボロが出る前に一言言って立ち去ろうとするレリフル。ユイが彼女にお礼を言うと、少し手を振り返してそのまま歩いて行った。ふと、マイが彼女の姿を見て声をこぼした。
「こ、コウヨウ……さん?」
「え? 師匠??」
彼女達の言葉は聞こえていたが、振り返ると大変な事になりそうなのでそのまま歩ききった。双子は少しばかりレリフルの話をする。
「師匠な訳ないと思うけど……お姉ちゃん急にどうしたの?」
「い、いや……さっきの速さと強さ。まるでコウヨウさんみたいな……戦い方も似ていたし……それにさっき弟子ってあの女の子が……」
「うーん……流石に違うと思うよ? あの人……レリフルさん? 女性の声だったし……それに……」
「それに?」
「あの人が仮に師匠と雰囲気や戦い方が似ていたところで、本物の師匠に勝てるわけないよ」
ハッキリとユイが言った。どれだけ自分達より強いプレイヤーが現れても、師匠であるコウヨウには絶対に勝てないと彼女は本気で信じているのだ。
「うん、確かに。ユイの言う通りだね……」
「師匠……今頃何してるんだろう?」
「釣りやってたりしてね。あるいは……」
NWOの中で、こっそりと、ひっそりと。どこかで戦っているのではないかとマイは期待している。2人は今会った女性が、実は男性であり、それが2人の師匠である事は、今は分からずじまいなのだ。
「行こう、お姉ちゃん。メイプルさんのところへ」
「うん。レリフルさんに助けてもらったし、その話もしておこうか」
そう言って、2人はそれぞれのテイムモンスターに跨って、地図を頼りにメイプルの元に向かうのだった。
☆
「コウヨウ……いや、レリフル。本当……フフッ、口調も姿も似合うね……」
「笑い事じゃないでしょ、フレデリカさん……」
「食うぞ女ー」
「やめて、アンタの化け物姿見たらサリーが卒倒するわよ」
「しましたわよ」
「見せたんかい!?」
「あの時マスターずっとサリー可愛いって言ってたー」
「あの後めっちゃ怯えながらわたくしに抱きついて来ましたので」
「本気で仲良すぎでしょ……何で距離置いたの……」
たまたま会えたフレデリカに対してレリフルはコウヨウに戻りながら話をしていた。装備は白装束のままだが、口調は所々変えている。【集う聖剣】のみんなからはこの格好と口調に違和感が無いので笑いの種である。
「でも、クロムに双子かぁ、類は友を呼ぶというか……やっぱりあんたは【楓の木】にいるのが1番いいわ……うん。その方が良い……」
「今は【集う聖剣】の協力しています。なので、しばらくはここでサポートさせてもらいます」
「早く戻ってサリーに謝って来なさいよ。あいつ、結構泣いてたから」
「うっす」
「口調戻して」
「御意ですわ」
「それはお嬢様口調じゃないでしょ!?」
そんな会話をして、クロムと同じようにフレデリカとも分かれた。ずっと他プレイヤーといても、モンスターは来ないので自らレリフルは探しに行くのである。
「はぁ……サリー、早くあいつに会いなよ……じゃないと私が本気で戦えないじゃん……」
「だから死にかけるのでは?」
「アンタ一回表出ろ」
「いいぜ? かかってこいよ」
「うっ……なんか、やっぱり今のアンタ変ね」
コウヨウの言葉に対してフレデリカはそう独りごちた。