妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ) 作:初見さん
「全く、一体何をしているんですの貴方は……」
「め、面目ありません……ってか、たまたま会っちゃったのよ!!」
【炎帝の国】のメンバーであるマルクス、ミザリー、シンの3人に囲まれたフレデリカを助けようとレリフルは刀を抜く。流石に【集う聖剣】のフレデリカといえども、有名ギルドメンバー3人がかりでは不利であった。
「な、なぁミザリー、フレデリカはともかく【集う聖剣】にこんな奴いたか?」
「いえ、全く存じ上げません……新人の方でしょうか?」
「わたくしは【集う聖剣】の新人、レリフル。おあいにく様、貴方達と争うつもりはありませんわ……というかミザリーさんは気づいてないのか……自分でくれた装備なのに……」
「でも、妨害はありだよな!!」
少し嘘を交えたレリフルの言葉を無視して、シンが【宝剣】を発動。そのままレリフルに刀を投げる。やばいと思ったフレデリカは途中危ないと叫ぶが……レリフルはその剣を殴って跳ね返した。
「うお!? 危な!? ってか拳で跳ね返された!?」
「危ないのはそちらの方ですわ。乙女2人に刀を抜くなんて、野蛮な方ですわね」
「それでは女性ならいかがですか? 【ホーリーランス】!!」
「コウ……いやレリフル! 流石にこれは……」
「全く……面倒だなぁ……【魔法反射】」
もはや面倒ごとに巻き込まれるのがオチのレリフルはコウヨウの動きでミザリーの魔法を刀で反射した。相手に飛ばした光の矢が、自分達に飛んできたのを見て、驚きながらも懸命に避ける。追撃をしようとどうにか試みるが、レリフルが【多重水弾】で威嚇射撃をする事で何も出来ない状態にした。
「わたくし達はこれからモンスターを斬る予定がありますの、それではごきげんよう」
「まったねー【炎帝の国】の人達!」
「お待ちなさい……くっ!? 私の魔法が……」
「な、何なんだあの女……俺の剣だけじゃなくてミザリーの魔法すら跳ね返した……」
「【魔法反射】なんてコウヨウしか見た事ないけど……あの人相当やばいね……逃げる速さもほとんど見えなかった」
「今のやつは関係ないけどよ、コウヨウってやっぱり強かったんだなぁ……」
「ミィを1VS1で負かしましたからね。私は見てませんが、あのペインさんやメイプルさんでも負けたと聞いてます」
「マジで最強の二刀流釣り師なんだな……」
「でも、噂だと【楓の木】を抜けて僕達に特訓を受けてから行方不明になってるって聞いたけど……」
いつの間にか行方不明にされていたレリフルことコウヨウだが、先ほど会ったのが本人だという事は誰も知るよしが無い。というかミザリーは自分があげた装備なら気づけ。
「あれ?」
「どうしましたマルクス?」
「一応さっきの2人が罠にかかってるけど……落とし穴だから不発かも」
途中あの二人組は落とし穴に引っかかって落ちかけたのだが、見えない大剣が、2人を運んだということも、一切知るよしはないのだ。
「本当に……言いたくはありませんが……マジで調子乗るなよフレデリカさん」
「いや、その……あの……本当に……申し訳ないです……はい」
恐らく年上が恐らく年下から説教を受けているのは稀な光景である。
☆
「一体全体何の騒ぎですの? ここで蹴りをつけるなら先にモンスターを狩ったらどうです?」
「コ……レリフル! 邪魔をするな!」
「な、何だこいつは……私とペインの剣をたった1本で止めた……ってお前コウヨウか!?」
「俺ですわ。ミザリーさんは気づいてなかったですけど」
レリフルはフレデリカと分かれてまたモンスターを狩り倒していたのだが、歩いていた先にいたのはまさかの【集う聖剣】ギルドマスターにして一応自分のリーダーであるペインと、【炎帝の国】のミィであった。
流石に一時的な関係といえども、自分の味方してるギルドマスターがピンチなのに助けないわけには行かないので、刀1本とSTR依存で2人のスキルを止めた。
「ペインさん、落ち着いてくださいまし。邪魔をしたのは謝罪いたしますが、今回のイベントでわたくしに大事な事を教えてくださったのは他でもない貴方ではありません事?」
「そ、それはそうだが……」
「それに、一時的と言えどギルドマスターが戦っていらっしゃるのでしたら、助太刀するのは当然ですわ」
「どけろ! 【炎帝】!!」
「邪魔を……しないでくださいまし!!」
ペインを言葉で落ち着かせるレリフルだが、ミィは彼女の正体を知りながらもスキルを発動した。だが、彼女(彼)にとってはその選択肢は絶対的悪手である。
結論言うとだ……【炎帝】の炎は斬られた。
「な!? 【炎帝】が無効化された!? やっぱりお前コウヨウか!」
「だからそう言ってるじゃありませんか……」
「言ってなかったぞ!」
「言いましたわよ!?」
「コウヨウ落ちつ……」
ペインが声をかけた瞬間、レリフルの刃物はミィの首に向けられたのである。あまりの速さにミィもゲームの中といえど冷や汗をかく。
「さ、流石の速さだ……お前……何でここにいる?」
「わたくしはレリフル……【集う聖剣】の新人ですわ」
「因みにこの世界最強プレイヤーだな」
「世界最強プレイヤーはコウヨウ以外ありえないが?」
「だからだよ」
「ミィさんはわざとボケてますの??」
「コウヨウ……なのか?? 本気でコウヨウなんだよな!?」
「この人病院連れて行きません?」
ミィは久しぶりだと訳の分からない事を言っているのだが、もはやコウヨウの女装で頭が回らないだけである。ミィは彼に抱きつきながら質問を重ねた。
「あの特訓からどこにいたんだ、何をしていたんだ、どうしてここにいるんだ!!?」
「落ち着いてくださいまし……いや、落ち着いてください」
「これが落ち着いていられるか!? 【楓の木】を辞めるまではいいが、うちのギルド来たあの後から姿がなかったんだぞ!? 心配にも程があるだろう!?」
「いや、この前チャットしたでしょう……」
「あ……そ、そうだった……すまん」
チャットはしていたというコウヨウの言葉でミィは落ち着きを取り戻した。とりあえず軽く事情を説明する事でミィは納得したのだが……それでもコウヨウの肩を掴み続けた。
「みんな心配しているんだ……今日は……まぁ、興が冷めたからまた今度にしよう……」
「そうだな、その状態のお前を切るわけにもいかないし」
「2人が暴れたら俺が斬りますからね?」
「「それはやめてくれ」」
彼が言うと洒落にならない。テイムモンスターを連れて強くなったペインとミィであっても、本気の彼に勝てるかどうかはやってみないとどころかやっても難しいと察したからである。というかミィに関しては普通に負けた。
「まぁ、お二人が無事なら……危ない!!?」
急に2人の前に出たコウヨウはすぐに装備を変えた。白装束と仮面は取らずとも、刀を二刀流装備にして立ち向かう。その瞬間レーザーの光が彼を襲った。コウヨウは刀をそれに当ててガードする。
「コウ……レリフル無事か!?」
「今は普通に呼んでもらっても……ってか凄い威力だなこれ……メイプルめ……光線打つのも大概にしろよ……」
「コウヨウ! 私も手伝う……」
「問題無しです……わ!!」
そう言うと彼はレーザーを叩き斬ってかき消した。【魔法無効】はレーザーですらも斬り裂くことを改めて証明した瞬間である。一息ついたが、無数のレーザーが彼らを襲ってきたので、一旦この場を去ることにしたのであった。
「コウヨウ……見つけた……でも……ミィは後で殺そう……私の旦那にくっついたし……まだ会う決心が……無いけど……」
そこから離れた場所で、青い装備に身を包んだ少女が、女装した彼を見ていたのは別の話である。