妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ)   作:初見さん

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紅葉と理沙

「紅葉のバカ、殴ってやる。勝手にギルド抜けて、ゲームも抜けたと思ったらゲーム内で女装して……変態!!」

「急に人の家に乗り込んできてそれはないだろお前」

「うるさい! 紅葉のバカ、アホ!」

「ふざけんな、理沙のバカ! アホ!」

 

 楓不在のある日、現実世界で理沙と紅葉が喧嘩していた。あのイベントの後、ゲームで仲直りすると決意したサリーだが……正直無理だった。我慢の限界である。紅葉の家に殴り込みに行くと、彼はベッドで横になりながら本を読んでいたので理沙はキレた。

「何でアンタは平気で本読んでんだ!」

「毎日女の子と仲違いした時の謝る方法を雑誌で調べてた」

「楓に聞け!」

「ギルド抜けてんだから話しづらいったらありゃしねぇよ」

「自業自得でしょ!? いつまでも紅葉にもコウヨウにも会えないし、お弁当は……食べてるけど、楓を通してしか返せてないし、恋人なんだから会え! バカ!」

「お前だって恋人なんだからゲームばかりしてないで俺にも構えバカ! どれだけ寂しい思いしたのか分かってんのか!」

 

 お互い子供の様な言い合いをするが、こんなに言い合った事は初めてである。いつもはどれだけ理沙や楓が怒っても、それを宥めて、謝って、なんやかんやで仲直りするのが紅葉である。

 ムサシの頼みがなければ、ゲームではあまりプレイヤーを殺さないように、現実世界でも言い争いは嫌いなのだ。それでも、今回に関しては流石に黙っていられなかった……

 

「せっかく恋人の私が誘ったんだからもっと遊んでよ!」

「せっかく恋人の俺がいるんだからゲーム以外でもデートしろよ!」

 

 お互い譲らないのだが、何故か言い争いをしながら理沙が紅葉を彼のベッドに押し倒す。構え構えとお互い言い争いながら、距離は近づいていた。

 

「なぁ……なんか喧嘩してるのに近いんだが……」

「喧嘩してもやっぱり紅葉が好きだから仕方ないでしょ」

「俺だって……好き……だけど、もう至近距離なんだけど」

「うるさい、黙って」

 

 そう言って、理沙から紅葉にキスをする。少し驚いたが、仕方なく受け入れた。しばらくそれは続いたが、口を離して理沙が紅葉に話す。

 

「私も寂しかった……正直、誘ったのは私。でも、私より強くなったメイプルやコウヨウを見てたら、嫉妬して、負けたくないって……」

「だからずっとゲームに引き篭もりやがったんだなヒモ女」

「ヒモ女って何!? 人を引き篭もりみたいに言うな! 大体紅葉が強すぎるんだよ!!」

「それは……ムサシにキレてくれ……ってか、ゲームでは確かに外にいるが、実際は部屋で寝っ転がってんじゃねぇか」

「うっ……」

 

 紅葉の事実に理沙も口が回らなかった。言い返せない。紅葉は割とアクティブな方なので、ゲームもするが、外でウォーキングもしていた。勿論理沙だって全く外に出ないわけではないが、最近はめっきりNWOの世界で散歩すると言う引き篭もりをしているのは事実である。

 

「別に……俺は強くなりたくて強くなったわけじゃねぇ……わけわからん呪いのアイテムとテイムモンスターに救われただけだ」

「そのわけわからん装備とテイムモンスターが私を嫉妬させたんだけど」

「だから、それが無ければサリーとメイプルの3人で仲良くゲームが……いや、どのみち出来なかったか……」

 

 正直なところコウヨウと言うプレイヤーは装備に恵まれていた。装備やアイテムが無ければただただ普通の刀使いとして、釣りしたり、戦って勝ったり、負けたり、本当に普通にプレイしていはずだ。

 だが、仮にそうなっても、メイプルやサリーのステータスや実力とは並べない。だからこそ、2人は強くなり、自分は普通にプレイするとなると一緒にクエストに行けるのかすら分からなかった。

 

「前にも言ったけど、紅葉が弱くても私も楓も誘ってるよ」

「それが、俺は嫌だって言って……あぁ、なるほどな……なんか、理沙の気持ちも分かるわ」

「今更?」

 

 理沙も、紅葉と同じであったのだ。妹や恋人が強くなって、自分が置いていかれる感覚を、彼女も感じていたのだと。彼はそれに気がついて、一言理沙に謝った。

 

「でも、恋人を無視するなよ……それだけだ、俺がお前に対して怒ってるのは」

「それは……ごめんなさい……でも、せっかく誘ったんだから、楽しむって言ったんだから勝手に消えないでよ……それだけ、私が怒ってるのは」

「ごめんな」

 

 そう言って、紅葉は理沙をそのまま抱きしめて……

 

「お兄ちゃん……ごめんね急に……理沙どこにいるか知らない……よ……ね!?」

「か、楓!? どうしてここに!?」

「俺の家なんだからいるだろ」

「あ……えっと……お、お邪魔しました!?」

「楓待って!? ってか紅葉離して!?」

「恋人なんだから良いだろ。誤解じゃあるまいし……」

「今この状況で寝ないで!? 楓……待ってぇぇぇ!!?」

「理沙、愛してるぞ」

「今言うなぁぁぁぁ!!」

「なんだ……やっと仲直りしたんだ……あのバカ2人」

 

 結局、そのまま理沙を抱きしめて眠った紅葉。理沙は顔を真っ赤にしながらそのまま顔を紅葉の胸元に埋めたが、当の本人はそれを無視して眠っていたらしい。

 その後、2人で眠っている現場を楓に写真を撮られて揶揄われたのは別の話だが、その後NWOでメイプルとカナデが仲良く寝ているのをサリーが写真を取ったのは別の話である。

 

「あ……【楓の木】に今度謝るわ」

「今じゃダメなの?」

「今は【集う聖剣】にいるから無理」

「紅葉の裏切り者!!」

「レリフルが勝手にやった事だから」

「レリフル? というか紅葉って女装したいの? 私の服着る?」

「したくないし、なんでノリノリなんだ!?」

「前にお嬢様口調ノリノリで話してたからかな」

「どこから見てた……というか、なんでレリフルを知ってんだ?」

「ペインさんとミィさんの剣を刀1本で止めたお嬢様がいたところから、アレやっぱり紅葉だったんだ」

「お前あの時いたのか!?」

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