ブルアカ×ゴジュウジャー キヴォトスナンバーワンバトル!   作:伊勢村誠三

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なるだけ歴代戦隊っぽいタイトルをつけていきたい。


第二話 ブンどれサンクトゥム!俺のタワーだ!

「車使えんのもここまでか」

 

「はい。流石にこれ以上は我々は兎も角、吠先生は車諸共ハチの巣にされてしまいます」

 

 連邦生徒会直轄のD.U.郊外までヘリコプターと車を乗り継いでやってきた六人はあまりの惨状に顔をしかめた。

 

「……なあ、本当にヘリコプターだけじゃダメだったのか?」

 

「吠先生、人生初ヘリコプターが大変満足のいくものだったのは我々としても喜ばしいのですが、今は事態が事態です」

 

「なんか吠先生って子供みたい。

 キヴォトスの外って、ヘリってあんまりメジャーな乗り物じゃないんですか?」

 

 リン曰く立派で暇な物の1人、羽川ハスミが尋ねる。

 吠はまだ遠くと言っていい距離で暴れる生徒たちを観ながらあいまいに答えた。

 

「そうなんじゃねえか? えっと……」

 

「あわただしすぎて自己紹介もまだでしたね。

 トリニティ統合学園の正義実現委員会に所属しています羽川ハスミです」

 

「ハスミだな。

 そっちの眼鏡がチナツで、さっき携帯見せてくれたのがユウカ、で銀髪のお前は……」

 

「トリニティ統合学園がトリニティ自警団所属の守月スズミです」

 

「スズミか。

 ……その正義ナンチャラと自警団って何が違うんだ?」

 

「話すと長くなるので、シャーレがまともに機能するようになったら時間を作ってお話ししましょう。

 まずは……」

 

 それぞれ銃火器を取り出し構える。

 

「吠先生は下がっていてください。

 戦闘は我々が行います」

 

 確かに銃弾一発で致命傷になる自分に出来ることはないのかもしれない。

 だが、先ほどローブの男は戦いの時が来れば何かが使えると言っていた。

 

「悪いがそれはこいつ次第だ」

 

「あれ? 吠先生の指輪の形が変わってる?」

 

 人差し指に嵌めたはずの狼の顔を模したテガソードレッドリングは違う物になっていた。

 狼の顔を模しているのは同じだが、それは狼を模した仮面と言った方が近い。

 吠が指輪を外すと同時に右腕に金色の光が宿り、青い刃のついたガントレットとなった。

 

「その武器……吠先生、あなたはまさか!」

 

 リンの驚く声を無視して吠は出現した金のテガソードとゴジュウウルフリングを構える。

 

「あ? なんだあの大人……」

 

「見ろよ! 持ってる武器剣だぜ!」

 

「よっぽど強いかよっぽど阿保かだな。撃っちまうか?」

 

 不良たちが口々に嘲るのを無視して吠は頭に浮かんだ言葉を唱える。

 

「エンゲージ!」

 

 掛け声と共に金色のテガソードのスロットにゴジュウウルフリングをセット。

 

<クラップ・ユア・ハンズ!>

 

 鳴り響く待機音に合わせて右上に掲げた金のテガソードを二回クラップ。

 テガソードが左上に来るようにステップを踏んで一回クラップ。

 正面に刃で円を描いて二回クラップ。

 そして最後にターンしながら頭上で一回クラップ。

 

 それは内に眠る闘志を呼び起こす儀式(セレモニー)

 さあ、喝采で迎え入れよ。

 遍く最強に挑まんとする一匹狼のリングインだ! 

 

<ゴジュウウルフ!>

 

「アオオオオ────────ンッ!」

 

 雄たけびを上げる吠の姿は赤と黒、そして金に彩られたバトルスーツと仮面に包まれていた。

 

「ちょっと待ってください! 

 例の赤い奴等は金色の指輪に銀のガントレットのはずでしょう!? 

 なのになんで先生が!?」

 

 慌てて駆け寄ったユウカに吠は振り向きつつ、仮面の下で怪訝な顔を作る。

 

「赤? 銀? 悪いが俺にも良く知らねえ。

 けど一つだけ確かなことがある」

 

「確かなこと?」

 

「俺がこのキヴォトスの『ナンバーワン』になる為に、まずはタワーをブンどる!」

 

「あの赤いの、今いろんな自治区で噂になってる奴じゃ……」

 

「怯むな! 向こうはたった5人そこら、それもうち一人は憎き連邦生徒会の制服! 

 数に物を言わせて圧倒しろ!」

 

「出来るもんならやってみろ! ユウカ、俺と来い! 

 残りはリン守りつつフォローしろ! 俺がかき回す!」

 

 一方的にそう告げて走り出した吠に面食らうユウカだが、連邦生徒会のロビーでローブの男の言葉を鵜吞みにせず冷静に事実確認を行った姿や、ヘリコプターに目を輝かせて「本当に飛ぶのかこれ!?」などとはしゃぐ姿を思い出すとどうにも疑う気になれない。

 

「な!? あーもう! 分かりました! 分かりましたよ! 

 代わりにちゃんと説明してくださいね!」

 

 吠がエンゲージした戦士、ゴジュウウルフの性能は高かった。

 軽快な動きと頑強な刃で銃弾を弾いて接近し、剣先から放つ衝撃波で不良生徒を次々気絶させる。

 

「ハスミ! スズミの目くらましの跡にデカいの叩きこめ! 

 空いた穴に俺と殻着こんだユウカで突っ込む!」

 

「了解!」

 

「せめてシールドって言ってください!」

 

 スズミの投げ込んだ閃光弾の後にスズミの貫通弾が指揮官役のヘルメットを叩き割り、その隙に前進したウルフとユウカが制圧。

 遮蔽物に隠れ、撃ち尽くした弾倉を交換しながらユウカは尋ねる。

 

「吠先生、指揮なんてできたんですね。

 キヴォトスの外では何をなさってたんですか?」

 

「この前はコンビニでレジ。

 その前は宅配で、レストランのホールとクレープ屋台もやったな」

 

「……え? もしかしてずっとアルバイトで食いつないでたんですか!?」

 

「ああ。どこも長くて三カ月でクビになってるけどな」

 

「吠先生、貴方本当に何者なんですか?」

 

「はぐれ者だよ。これからはお前らの先公らしいけどな」

 

 等と話していると、後ろからハスミたちも追いついて来た。

 

「流石は連邦生徒会長に指名されるだけのことはありますね。

 今やすべての自治区の悩みの種と言っても過言ではない赤の戦士の1人で、しかもここまで個として指揮官としても強かったとは」

 

「……そう言えば、なんで俺はお前ら戦い方知ってたんだろうな」

 

「指輪の力だよ」

 

 いつの間にか吠の隣にはローブの男が座っていた。

 

「うわああああ! なんでいるのよ!」

 

 思わず銃を向けたユウカに「黙れクソガキ」と吐き捨てながらローブの男はゴジュウウルフの左人差し指に嵌ったテガソードレッドの指輪を指さす。

 

「指輪一つにつき一つ、戦士の力とは別に特殊能力が宿っている。

 その中でもちょっと例外的な立ち位置なのが五つのテガソードの指輪の共通能力『嚮導(ティーチング)』だ。

 先生たる立場の者が生徒を指揮する際にその最適解を啓示のごとく受け取れる」

 

「なんでテメェはそんなこと知ってるんだよ」

 

「我が神テガソードのお告げだよ。

 さ、そんな事より本日のメインイベントだ」

 

 そう言ってローブの男が指さす先には一台の戦車があった。

 

「あれって、さっきユウカのスマホで見たやつだな」

 

「巡航戦車クルセイダー一型……トリニティの正式採用戦車と同型のものです」

 

「横流し品と言うことですか」

 

「なんで学校が戦車持ってんだよ……」

 

「諦めろ遠野君、ここはそういう狂ったん場所だ」

 

 そう言ってローブの男はゴジュウウルフのバトルスーツに金色のベルトのバックル、爪がバックルを指さす。

 

「だがどれも子供の浅知恵。

 真の力の前には無力さ。それを証明すると良い」

 

 そう言うとローブの男は遮蔽物を飛び越える。

 

「おい待て今そっちに行ったら!」

 

 呼び止めようとした吠だったがその姿は見えず、銃弾が飛んで来ただけだった。

 

「たく……このベルトが何だって?」

 

 試しに触ると爪の付いた両手のようなパーツが左右に分かれ、指輪を一つ収納できるようになっていた。

 

「それは、連邦生徒会で把握している赤の戦士の持つ指輪と同じ形!」

 

「面白ぇ、使ってみるか」

 

 前面パーツを回転させ、絵柄を揃えると金のテガソードにウルフの指輪と入れ替えるようにセット。

 

<センタイリング!>

 

 右に二回、左に一回クラップしてトリガーを引く。

 ゴジュウウルフの姿は赤いプロテクターパーツとツメガバックルをそのままに別物と言っていい程違う姿へと変わった。

 

<ゴレンジャー!>

 

「アカレンジャー!」

 

 アカレンジャーへとエンゲージを果たした吠の手には五色のラグビーボールがあった。

 

「そのボールは一体……」

 

「どうやら秘密兵器らしい。

 いくぞお前ら! 戦車の準備が終わる前に一気に叩く! 

 ゴレンジャーハリケーン……コルク栓!」

 

 吠はリンににボールを渡して走り出した。

 

「ち、ちょっと吠先生!? 

 えっと、えーっと……ぱ、パス!」

 

「はい!?」

 

 リンはさっさと隣に居たチナツにボールを渡した。

 

「何をする気か知らねえがさせるんじゃねえ! あのボールを奪え!」

 

「ちょっと代行! あーもう! スズミさん!」

 

 チナツが思い切りボールを蹴った。

 綺麗な放物線を描いてスズミの元まで飛んで行く。

 

「させるな! ブロックだ!」

 

 スズミとボールのコースを塞ぐように立ちはだかる不良だが、逆にスズミは近くに居た不良の脚を蹴って跪かせると肩を純プ代替わりに飛び、空中でキャッチしたボールをハスミに投げる。

 

「次は銃弾で押し出してそのままユウカに!」

 

「はい!」

 

 精密射撃で軌道が変わったボールがユウカの胸元に飛び込む。

 ユウカはそれを両手で上下から挟むように構えた。

 

「吠先生!」

 

「エンド……ボォオオオ──ールッ!!!」

 

 ジャンプキックでけり込まれたボールはなんと中空で三回ほどぶれたように見えた後、コルク栓に姿を変えて戦車の砲身にすっぽりと収まってしまった。

 

「あ、あれ!? 弾が出ないぞ?」

 

「馬鹿お前! 砲身塞がってる!」

 

 として次の瞬間、コミックのように方針が膨らんだと思うと戦車は破裂して爆破炎上してしまった。

 

「……待ってください。本当に待って!? 

 ノリと勢いでエンドボールまでやりましたけどゴレンジャーハリケーンって何!? 

 コルク栓ってなんで!? 

 なんで今戦車がト〇とジェ〇ーみたいな感じで爆発しんたんですか!?」

 

「邪魔な奴は全員蹴散らせたんだからいいだろ。

 入口に群がる連中は任せるぞ。

 制御とかいうのは俺とリンでどうにかする!」

 

 そう言って再び通常のゴジュウウルフにエンゲージした吠を見送りユウカは大きなため息をついた。

 無茶苦茶な吠に今後も振り回されるのは違いないだろうと確信が生まれたからだ。

 


 

 シャーレの執務室にて。

 狐の面をかぶり、和装のような制服を着た狐の特徴を持つ生徒が居た。

 160㎝あるかないかの小柄な体躯からは想像もできない破壊と略奪の限りを尽くし停学になった彼女の名は狐坂ワカモ。

 ローブの男曰く御大層な『厄災の狐』の二つ名を持つ生徒である。

 

「うーん、これが一体なんなのか全く分かりませんね。

 これでは破壊するにしても……」

 

 そんな彼女の手には今、愛銃のほかに白いタブレットが握られている。

 何やら連邦生徒会にとって大切ななにかのようでどんな物か知りたかったが余程強固なセキュリティがかかっているのか、中身を見ることが出来ないのだ。

 

「テメェだな? 

 罰部屋抜け出してこの騒ぎ起こしたなんちゃら狐ってのは」

 

 そんな彼女だけがいた部屋に入ってくる人影があった。

 不良共は何をしているのかと振り返ると、そこには赤いバトルスーツと仮面に身を包んだ男、ゴジュウウルフこと遠野吠がいた。

 

「あら。

 どなたか存じ上げませんが、貴方も素敵な仮面をお持ちのようで」

 

「知らねえんなら教えてやるよ。

 クビになること幾星霜、ついに掴んだ正規雇用! 

 はぐれ一匹、遠野吠! 

 先公なんでな、まずはテメェの補導からだ!」

 

 名乗った吠にワカモも仮面の下で獰猛な笑みを浮かべながら名乗り返す。

 

「破壊と略奪は淑女の嗜み。

 厄災の狐、狐坂ワカモ! 

 これが貴方の最期の仕事です!」

 

 走り出した2人のテガソードと銃剣が火花を散らす。

 先程から幾度となく痛感していたが、キヴォトスの生徒は膂力も頑強さも全く見た目通りではない。

 気を抜けばゴジュウウルフと言えどパワー負けした挙句に一方的に押し切られるだろう。

 更に付け加えると吠はまだゴジュウウルフの力を使いこなせているとは言い難い。

 

「まずは、それからいただきますわ!」

 

 触れ合う刃を器用に操りワカモが金のテガソードを掬い上げた。

 不意をつかれた形のゴジュウウルフの手から武器がすっぽ抜ける。

 武器のない相手を一方的に下すなど容易い話だ。

 

「甘えなっ!」

 

「なぁっ!?」

 

 これがキヴォトス人同士の喧嘩ならそうだっただろう。

 だが、この喧嘩は遠野吠の喧嘩だ。

 姿勢を崩しながらも無理矢理距離を詰めた吠の頭突きがワカモの仮面に炸裂する。

 一瞬とは言え視界を完全に遮られたワカモは足払いをかけられて、仰向けに倒れた。

 

「しまっ────」

 

「貰った!」

 

 武器を中程で踏みつけられ、そのままマウントを取られた。

 

「武器もなきゃ喧嘩もできねえ子供に負ける程、柔じゃねえんでな!」

 

「っ!」

 

 あの悪名高き厄災の狐が奇妙な戦闘服があるとは言え、ヘイロー持たない者に負けるのか? 

 追いついたリンは目の当たりにしつつも信じられない心持ちで振り上げたゴジュウウルフの

 

「てい」

 

「は?」

 

 拳ならぬデコピンが仮面を完全に砕くのを見届けた。

 

「……え?」

 

「なんだ。思ったより可愛い顔じゃねえか」

 

「な、なんで……」

 

 この時リンとワカモの心は偶然にも一致した。

 そのまま殴り伏せて連行した方が諸々手っ取り早かったはずだ。

 なのに吠は流石に武器を遠くに放り捨てるぐらいはしたが、トドメを刺さずにマウントを解く。

 

「なんでもなにも、今日から俺は先公で、もう給料出てるみてぇだからな。

 生徒ボコしてクビになるわけにもいかねえだろ。

 それに」

 

 倒れたままのワカモの手を取り立ち上がらせたゴジュウウルフはエンゲージを解除する。

 

「なっ!」

 

「罰部屋抜け出して暴れた件は兎も角、お前がなんで停学になったのかも知らずに頭ごなしに怒鳴るのもなんか違えだろ」

 

「……し」

 

「し?」

 

「失礼しましたぁあああ──ーっ!」

 

「は? おい待て! どこ行くんだ!? 

 せめてそのタブレット置いてけ!」

 

 吠の声が届いたからかは定かではないが、ワカモが走り去った方向から投げられたタブレットをどうにかキャッチできた。

 

「変な奴……で、リン。こいつが例の箱か?」

 

「は、はい。それが連邦生徒会長の遺した『シッテムの箱』の筈です」

 


 

 そんな吠たちの様子をローブの男は監視カメラをハッキングして見ていたが、吠がタブレットを操作するとスマートフォンの画面にノイズが走り何も映らなくなった。

 

「おめでとう遠野吠君。

 箱の主にして最後の指輪の戦士。

 君の参戦により指輪バトルは真の幕開けだ。

 あとは、少しずつ資格なき者を消していくだけ……」

 

 そう言うローブの男前には吠質の前から姿を消して戦車を倒すまで短い間に徹底的に痛めつけられただろう百鬼夜行の制服を着た生徒が転がっていた。

 朦朧とする意識の中、彼女はローブの男の足元に落ちた金色の指輪……シンケンジャーのユニバース指輪(リング)に手を伸ばすが男は無慈悲にそれを取り上げた。

 

「あ、ああ……」

 

「お前みたいなクソガキには過ぎた力だ。

 ま、ヘイローから鉄砲に至るまで全部そうだけど」

 

 誰にいうでもなく呟いた男はその場を後にした。




〇キャラクタープロフィール
名前:???
所属:???
立場:テガソードの信奉者?
学年:大人の為、なし
年齢:?歳
誕生日:?月?日(?座)
身長:?㎝(吠と大差ない)
趣味:?
演者:?
所持指輪:33、?(第二話時点)
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