ブルアカ×ゴジュウジャー キヴォトスナンバーワンバトル!   作:伊勢村誠三

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やっと他のゴジュウジャー出せた。


第三話 スーパー秘書来たる

 遠野吠が連邦捜査部シャーレの顧問になり、特ちゅうの黒と赤の制服に袖を通すようになって一か月が過ぎた。

 常識が根底から違うキヴォトスにおいて吠は本当に大変な苦労をすることになった。

 

「吠先生パソコン使えないんですか!?」

 

「俺みたいなはぐれ者がそんな贅沢品持つこと自体夢のまた夢だったからな」

 

 現状数少ないシャーレ所属の生徒であるユウカたちに手伝ってもらって書類仕事がまともに出来るようになるまで二週間を必要とし、そこからたまりにたまったのを消化するのに更にニ週間かかった。

 たまった仕事だけなら一週間でどうにかできたのだが、その間もイザコザの仲裁や部室そのものを健全に機能させるための点検や生徒や学園からの頼まれごとなどトラブルにこと欠かなかったからだ。

 

「お疲れユウカ。

 悪いなお前も自分の学校の生徒会……セミナーとか言ったか? があるのに」

 

「ねぎらいの言葉は嬉しんですけど、なんで先生は燕尾服姿で菓子パンを齧ってるんですか?」

 

 休憩室のソファーに深く座った吠はユウカの言う通りに燕尾服にレースのような柄の黒いマスクと白い手袋といったシャーレ制服とはまるで違う姿だった。

 

「パンの耳以外でこれが一番安いからな。

 バイト代も入ったし、久々の贅沢な夕飯だ」

 

「もうすぐ日付も変わろうかと言う時間ですけどね。

 ん? 待ってください吠先生、今日は外回りと聞いていたんですけど、なんで日雇いバイトなんてしてるんですか?」

 

「この前ハスミと一緒に来て手伝ってくれた奴がいただろ? 

 アイツが急用でどうしてもコンカフェのバイト抜けなきゃいけないから代わりに出てくれって頼まれたんだ。

 着替える間も無かったし、特別手当でもらえることになったから次の仕事にもこの格好で行ったんだ。

 バイト自体は午前中だけだったぞ」

 

「その格好でシャーレの先生として活動したんですか?」

 

「礼服だしいいだろ」

 

「礼服……まあ、礼服と言えば礼服、ですかね?」

 

 ちなみにお客様……特に一部女子生徒からはかなり受けが良かったことは余談である。

 

「給料と言えば、もう後何分かで給料日ですね」

 

 確かこの前自分で月末締め二十五日支給と言っていたので間違いないだろう。

 

「そうだな。案外もう振り込まれてたり……嘘だろ!?」

 

 シッテムの箱で確認した吠はソファーから飛び起きた。

 

「え? どうしたんですか?」

 

「見ろユウカ! 俺の給料……五十万だってよ!」

 

「ゴジュウ……五十万? 本当に五十万なんですか!?」

 

 この時ユウカの脳裏をよぎったのはこの激動の一か月だった。

 

(この手の事務仕事に全く不慣れな吠先生ではさばききれない仕事量に加えた各方面のトラブルや諸問題の対処で潰れそうになりながら働いて……たったの手取り五十万?)

 

「正規雇用様様すぎだろ……こりゃ今日は肉食ってもいいな。

 いや、このまま仮眠室に住みこんで家賃浮かせ続ければ毎日でも食える! 

 ユウカ! 下のコンビニにフランクフルト買いに行ってくるぜ。

 お前も来るか?」

 

「吠先生」

 

 ユウカは静かに涙を流しながら、あの激務に対する報酬として五十万が破格だと本気で思っているどころか本日の当番以外では先に帰らされていたせいで知らなかったが家賃を浮かせるために仮眠室に住み込んでいた吠の両肩を掴んだ。

 

「明日からでいいですからお金の勉強しましょう」

 


 

「てことがあってな。

 資産運用とか節税とか経費での落し方とかこの五日で色々教えてもらったんだ」

 

「今日のお昼ご飯吠先生……というあシャーレのおごりだから上限500円だったんですね」

 

 現在吠は何とも言えない表情のまま心底ユウカに敬意と今度食事でもおごろうという決意を抱いたスズミと共にある場所に向っていた。

 そこでは違法兵器の取引が行われているとタレコミがあり、シャーレが捜査することになったのだが、場所こそD.U.内だがトリニティとの境にそれなりに近かった為ハスミよりかはフットワークが軽く実力も申し分ないスズミに白羽の矢が立ったのだ。

 

「ここですか?」

 

「だるいことにぶん殴って終わりには出来ねえ。

 慎重に行くぞ」

 

「はい」

 

 建物の敷地に入った二人は物陰に隠れながら中の様子をうかがう。

 スーツ姿のロボ市民とサングラスをかけた犬獣人が用心棒として雇ったのだろう傭兵たちと共に中身を確認してからアタッシュケースを交換している。

 

「ケースの中身見えたか?」

 

「片方は現金、もう片方はトリニティでは違法では有りませんが、D.U.ではガッツリ規制されている爆弾ですね。

 多分、この前のタワーでの騒ぎの余熱に浮かされて暴れようとしている不良やスケバン辺りに売りさばくハラなんでしょう」

 

「よし、証拠は押さえた。カチコむぞ!」

 

 金のテガソードとアサルトライフルを構えて突入する2人。

 

「誰だ!?」

 

「その武器……旦那、ここは俺が」

 

 傭兵のリーダー格らしいロボ市民が残り全員を押しのけて前に出る。

 その手には銀色のテガソードとユニバース指輪が握られていた。

 

「その指輪……テメェも指輪の戦士か!」

 

 吠もタワー奪還の後、事態が落ち着いてからリンたちに説明してもらったのだが、丁度この前暴れたワカモを筆頭とする特に共謀凶悪な生徒たち、七囚人が全員収監されたころからキヴォトスには銀のテガソードと指輪で赤い戦士にエンゲージする者たちが現れ始めたらしい。

 武器の携帯自体はキヴォトスでは何ら違法ではないのだが、彼ら彼女らの中にはその力でもって積極的に無法や後ろ暗いことを行う者たちも多く、連邦生徒会や各学園を大いに悩ませているということだ。

 

「まさか連邦生徒会が七囚人も返り討ちにする指輪の戦士を雇い入れたって噂は本当だったとはな。

 副業の運び屋も飽きてきたところだし、ここらでお前を倒して本業の傭兵でも名を売る事にしよう。エンゲージ!」

 

<センタイリング!>

 

 右下に構えたテガソードの甲の手首よりの場所を一回クラップ。

 続いて正面に手の甲が向くようにテガソードを右上に構えて平の方を二回クラップ。

 次にあげた左ひざを払うように一回クラップ。

 そして剣先で×の字を描き、右肩に担ぐようなポーズを取り頭の後ろで二回クラップ。

 

<ブンブンジャー!>

 

 レーシングスーツとタイヤを模した仮面を持つユニバース戦士へとエンゲージした。

 

「面白れぇ。テメエの指輪も……」

 

「ちょっとちょっと。

 今日のステージの主役はこの僕だよ?」

 

 吠たちが入ってきたのとは反対の入り口から若い男の声がした。

 見ると眉目秀麗と言う言葉がこれ以上なく似合う白いジャケットに黒いワイドパンツ姿の若い男が居た。

 

「誰だ?」

 

「この僕を知らないとはもぐりだね。

 言わずと知れた……「百夜(びゃくや)陸王(りくお)だぁあああ──ーッ!」

 

 傭兵のうち一人が歓声を上げた。

 

「百夜……」

 

「陸王?」

 

 スズミとタイヤ人間の疑問に答えるように興奮した様子の傭兵は捲し立てる

 

「ボス、知らないんですか? 

 つい先月キヴォトスに彗星のように現れたスーパーアイドル! 

 もうファンクラブやオンラインサロンは大盛況! 

 その証拠にリクオニストの数はこの短い間に万単位に上っている! 

 今最もアイドルナンバーワンに近い御方ですよ! 

 あああ、こんなところで逢えるなんて!」

 

「君もファン? 残念だなぁ。

 もし出会ったら今日じゃなったら、最高のファンサだけをしてあげたのに」

 

 そう言いながらもロボ傭兵の右肩に素早くサインを書き上げ、右手に嵌めた指輪を外す。

 

「その指輪……まさか!」

 

「エンゲージ!」

 

<クラップ・ユア・ハンズ!>

 

 陸王は金のテガソードに青い指輪をセット。

 吠と同じポーズでテガソードをクラップしていきエンゲージを実行する。

 

<ゴジュウレオン!>

 

「どんなハコでも手は抜かない。

 僕はみんなのゴジュウレオン! 

 百の夜を君と共に♪」

 

「言い値で買ったぜその勝負!

 バクアゲ傭兵団団長、ブ──ーンッレッドォ! 

 俺の暴走は止められねえ!」

 

 ゴジュウレオンは金のテガソードを、ブンレッドは専用武器のブンブンハンドルをロッドモードで構えて走り出す。

 

「俺らも行くぞスズミ! エンゲージ!」

 

「了解です!」

 

 スズミの閃光弾で視界を遮られる傭兵たち、その間に吠は自身の指輪能力、ナンバーワン嗅覚を使って位置を把握し、的確に無力化していく。

 

「全く、給料分の働きしかしない奴等め」

 

「この僕を前に余所見とは。

 もう少し見る目を養ったらどうだい?」

 

「ほざけチャラ男が!」

 

 ガンモードに切り替えたブンブンハンドルから発射される光線弾を避けながらゴジュウレオンは左人差し指に嵌めた指輪をゴジュウレオンリングに代わってテガソードにセット。

 蹴りも拳も銃撃も警戒に躱しながら右に二回、左に一回クラップ。

 

<レオンバスター50!>

 

 胸部のリングパーツから召喚された青い獅子を模したガトリングキャノンを構えるゴジュウレオン。

 

「さあ、そろそろクライマックスといこうか!」

 

 右腕に残していたテガソードで斬撃波を放ち距離を作るとゴジュウレオンが天井を破壊。

 降り注ぐ天井の残骸を加速して躱すブンレッドだが、ゴジュウレオンはある程度逃道を絞れればそれでよかったようだ。

 

<レオン! ガトリングバースト!>

 

「ぎゃああああああああ!!!」

 

 派手にまき散らされた青い光弾が全てとは言わないが十二分な量炸裂。

 致命的なダメージを受けたブンレッドはエンゲージを解除され、残った指輪がゴジュウレオンの元まで飛んで行った。

 

「良し。まずは一つ。

 それから……君もいくつか持ってるみたいだね」

 

「別に俺はここで喧嘩してもいいが……もうじきヴァルキューレの連中が来る手はずだ。なあ、スズミ」

 

「? ……ええ。そうですね」

 

「おっと、それは僕としても少し困るな。場所を変えよう」

 

「スズミ、悪りぃけど説明とコイツラの見張りで残ってくれ。

もう反撃してこねえだろうけど気を付けろよ」

 

「吠先生こそお気をつけて」

 


 

 陸王に先導される形で二人はD.U.の電車路線沿いのエリアに来ていた。

 

「吠君って言ったっけ? 

 ヴァルキューレを呼んであるって話、嘘でしょ?」

 

「流石にバレるか。じゃあなんで乗ったんだ」

 

「君の生徒に先生のカッコ悪いところを見せるのも、未来のファンに乱暴なところを見せるのも僕の主義じゃないってだけさ」

 

 そう言ってばちーん! と完璧なウィンクを決める陸王にあまり好きなタイプじゃないのを感じつつ、吠は周囲を見回す。

 

「そう言えば場所言変えようとか言った割に人の居るところに向ってるのはなんでだ?」

 

「君の指輪を貰うのは変わらないけど、それは少し先の話ってことだよ」

 

 そう言って陸王が指さす先には『テガソードの里』と看板を掲げる喫茶店があった。

 

「……なんだこれ」

 

「僕も初めて見た時そう思ったけどそうゆう物だと受け入れるしかないよ。さあ、入って」

 

 陸王に続き店の中に入る。

 眼鏡の店主の牧師のような恰好も相まって教会風のコンセプトカフェ……とも言い張れなくはない内装だった。

 

「いらっしゃいませ、お客さ……なんだ百夜か。

 ツケならこの前払い終わったぞ?」

 

「今日はこっちだよ。

 彼を新しく同盟に加えるのはどうかと思ってね」

 

 レオンの指輪を見せながらそう言われて、店主が吠を観る。

 吠も自身のウルフのリングを見せた。

 

「遠野吠だ」

 

「私は暴神(ばくがみ)竜儀(りゅうぎ)

 観ての通りテガソード様に仕える者だ」

 

 どの通りだよ、と喉元まで出かかった言葉を飲み込み吠はカウンター席に座る。

 

「お前らもその指輪ってことは、もしかしてこっちに指輪も持ってるのか?」

 

 そう言って吠がテガソードレッドの指輪を見せると他の2人も同じように指輪を見せる。

 

「ちょっとこのタブレットに触れてみろ」

 

「……触れて何になる?」

 

「試したいことがある。

 不意打ちして指輪奪うような真似はしねえから安心しろよ」

 

 一瞬怪訝そうな顔をした二人だが言われたとおりに指輪をカウンターに置かれたシッテムの箱に向ける。

 次の瞬間視界が切り替わり、崩れた壁から晴天がのぞく教室に三人は居た。

 

「これは、一体……」

 

「指輪能力? 

 でもさっきの戦闘から考えるに君の力は僕のと似た索敵系のはずだよね?」

 

「これは指輪と関係あるのか俺にもわからねえ。

 でもこっちの指輪の真の力は先生じゃないと発揮されないらしくてな。

 アロナ!」

 

「はーい!」

 

 吠が呼ぶと教室の外から小学生ぐらいの青い髪とセーラー服の少女が入ってきた。

 

「はじめまして、指輪の戦士の皆さん! 

 私はシッテムの箱に常駐しているシステム管理者であり、メインOS、そして遠野吠先生の秘書、アロナです! 

 宜しくお願いします!」




〇キャラクタープロフィール
名前:百夜陸王
学園:なし
部活:なし
学年:大人の為、なし
年齢:25歳
誕生日:?月?日(?座)
身長:183㎝
趣味:料理
演者:鈴木秀脩
所持指輪:ゴジュウレオン、テガソードブルー、49(第三話時点)
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