ブルアカ×ゴジュウジャー キヴォトスナンバーワンバトル! 作:伊勢村誠三
アロナ。
吠も自分の秘書を自称するこのAIだか何だかわからない存在と最初に出会った時は大層驚いた。
なにせシッテムの箱を起動したと思ったらさっきまで居たはずのシャーレ部室ではなく、崩て天井吹き抜けになった教室でどこかで会ったことがあるようなないような少女に説明されるままに指紋認証したと思ったらシャーレの機能が復活していたのだから。
しかも傍に居たリン曰く、傍目からはシッテムの箱を操作している様にしか見えず、どこかに転移させられたり何かと話している様子もなかったそうで、今でもアロナがなんなのか理解できているとは言い難い。
だが、不思議と味方だとは思えた。
「つまり、彼女が君を先生足らしめているってことかな?」
「まあ、権限云々はそうみてぇだ」
「それで、結局彼女とこっちの指輪の真の力とは?」
「俺に指輪を渡して来たローブ野郎曰く、俺たちのこっちの指輪の能力は先生が生徒を指揮することで能力が発揮されるらしい。
ならお前らも『シャーレの先生』になればこの指輪の力が使えると思ってな。
どうだ? お前らもバイトでやってみねえか?」
吠の提案に陸王と竜儀は驚きに眼を丸くする。
ここ一か月でシャーレの権限や活躍を聞き及んでいるからだ。
「いいのか?
私としてはテガソード様より賜った指輪が真の力を発揮できるようになる以上、断る理由はないが……」
「同盟に誘った僕が言うのもなんだけど、あきらかに僕らにだけ有利な提案なんじゃない?」
「近々シャーレでデカい出張があってな。
今後も似たような事が起きるなら指輪の戦士の戦力があればだいぶコトを楽に運べる」
「なるほど。
本命は指輪の戦士としてではなく、シャーレを円滑に回す為ということだな?」
「ああ。それで、どうすんだ?」
「もちろん、乗らせてもらうよ。
シャーレの権限を使えば他の指輪の戦士の情報も集められるだろうし」
「指輪の真の力を引き出し、テガソード様に報いるためなら先生だろうとなんだろうとやってみせよう」
「だってよ。アロナ、構わねえよな?」
「はい! ではお二人とも指紋認証をお願いします!」
アロナが差し出した左右の人差し指に陸王と竜儀がそれぞれテガソードブルーとテガソードイエローの指輪の嵌った指を差し出す。
「ふふふ、吠先生の時も思いましたけど、なんだか指切みたいですね」
「アロナちゃんは秘書も詩人も出来るなんて、本当にスペシャルだね」
「なんでもいいが、これで終わりか?」
「いえ! あと指紋を目視で確認して……これで大丈夫です!
今この時からお二人はシャーレの副顧問となりました!
宜しくお願いします!
百夜陸王先生、暴神竜儀先生!」
「よろしくね、アロナちゃん」
「ところで、勝手に人為を増やして大丈夫だったのか?」
「……学校によっちゃ生徒会に問題児ぶち込んで監視も兼ねてるとかやってるし、大丈夫だろ」
「その学校もシャーレも本当に大丈夫なのかい?」
思い切り利用しておいてなんだがシャーレという組織に一抹の不安を覚える陸王と竜儀だった。
元のテガソードの里に戻った三人は今後連帯することがあるからとそれぞれ今持つ指輪を見せ合っていた。
「全員三個づつか」
「百夜、お前いつの間に手に入れたんだ?」
「ついさっき吠君と出会った時にね」
「まあ、互いに実力は信頼していいと考えてよさそうだな」
等と話していると入り口のドアが開く。
「いっらしゃいませ、お客様。
申し訳ありません、ただいまアイドルタイムのじか、んで……」
その客が誰か分かった瞬間、竜儀の表情が凍り付いた。
なにせそこに居るのは黒岩層のような制服を着た狐面の少女なのだから。
手配書で見た姿と寸分違わない。
「お前、この前遠野が捕まえ損ねた……」
「はい……あなた様の、遠野吠様の狐坂ワカモですわ!」
まるで飼い主を待ちわびた大型犬のように吠の胸に飛び込むワカモ。
不意を突かれながらもなんとか受け止めた吠はどうにか彼女をテーブル席に座らせる。
「暴れるだけ暴れて逃げ出したと思ったら、ここ一か月どこで何やってたんだ?」
「あなた様のお役に立つ方法を探していたのです。
随分時間がかかってしまいましたが、あなた様はこれを集めていると知り持ってきました!」
そう言ってワカモは47番、ドンブラザーズのセンタイリングを吠に差し出した。
「ユニバース
「一人でユニバース戦士を倒したのかい? すごいね」
「ええ、D.U.のハズレの方で名を売っていたガチャガチャヘルメット団なる者たちの頭目が持っていました」
「そうだったのか」
そう言って吠は差し出された指輪を一度テーブルに置くと、ワカモの細い手首に取り出した手錠をかけた。
「「「え?」」」
「何驚いてんだ。
こいつ今先公の前でカツアゲ自白したんだぞ。
補導だ補導」
「もしもしヴァルキューレ?」
「ああ! そんないけずな! あなた様ー! あなた様ー!」
陸王の通報から5分とかからずやってきたヴァルキューレに連行されていくワカモを見送り、三人は残ったドンブラザーズリングに目をやる。
「騒がした迷惑料ってことでもいいぜ?」
「貰い物をそのまま他人に渡そうとするな」
「女の子の好意を無碍にするものじゃないよ」
そう言われて吠は若干気乗りしなかったが、証拠品の押収と理由をつけて指輪を持って帰った。
余談だが、その後ワカモに指輪を奪われたと思しき生徒から『もう痛い思いも怖い思いも散々だから返さなくていい』と連絡があり、ドンブラザーズリングはそのまま吠が所持することとなった。
連邦生徒会に許可なく所属生徒どころか副担任を増やした件に関しては問題にされかけたが、ルールの文面では『人員の増減に関しては顧問の先生に一任する』とされていた為、今後は教員を増やす場合は連邦生徒会に相談すると確約し、おとがめなしとなった吠は実質シャーレ第二のカフェスペースと化したテガソードの里にて当番のハスミと共に昼食に来ていた。
「意外ですね。
吠先生がそんな抜け道のような手を使うなんて」
「昔バイト先でこっちの学歴がねえからって足元観て来た奴らがいてな。
こっちも貰うもん貰わねえと生活になんねえからあんま好きじゃねえけど粗探しみたいなことは出来るっちゃ出来るんだ」
「そうですか……」
「お待たせいたしました~♪
ご注文の『ワカモの愛情たっぷりあなた様の為のテガソード様デミオムライス』でございまーす♡」
「狐坂ぁ! 勝手にメニューを変えた挙句伝票をすり替えるなぁ!」
吠が注文したはずのテガソードの里の看板メニュー、テガソード様オムライスよりも少しだけ良いお値段(そしてなぜかメニューにない要素+……だったのだが味が好評だったための地にメニュー入りを果たした)が出され、カウンターから店長の怒号が聞こえてくる。
メニューを持ってきた生徒……ワカモの服装はいつもの和装ではなく割烹着であった。
「……副担任の件は兎も角なぜ彼女がここで仕事を?」
「ヴァルキューレに突き出した後、『あの御方に与えられた物を取りあげていいのはあの御方だけです』とか言って俺がかけた手錠を外されんの嫌がって暴れて手が付けられねえから捕まえたシャーレでどうにかしろとか言われてな」
なんでもどんな物であろうとあなた様がワカモにくれた者を勝手に外す権利は他の何人にもないなどと言って両手が塞がっているにも関わらず取り押さえようとした保安官が5人返り討ちにあったらしい。
「かと言ってシャーレ部室に置いとくわけにもいかねえから一先ずこの店の二階の空き部屋をシャーレで借り上げて『矯正局脱走とその後の暴動とカツアゲに関する罰当番』ってことでここで店番やらせてる」
「あなた様と同じ屋根の下で暮らせるとなれば断る理由もありませんし」
「勤務時間内だ特定の客とべたべたするな!
全く……大変失礼しました。
お客様、ご注文の『赤い海賊の鉄板ナポリタン』でございます。
裏メニューの『カラフルサンデー』は食後にお持ちしますね。
ほらこっちだ」
「あ~~あなた様~~!」
吠にくっついたワカモは竜儀に引っ張られてバックヤードに連れていかれた。
それをため息交じりに見送った吠はシッテムの箱を取り出す。
「悪りぃけど今日はちょっと仕事多いからな。
デザートもう一品頼んで良いぞ」
「ええぇ!?
それはその……非常に悩ましくも嬉しいのですが、どうしてそんなに本日に詰め込んだのですか?」
「明日から出張になったんだ。
なんでも一回連邦生徒会が救援要請突っぱねたアビドスって学校がいよいよ本格的にヤバいらしくてな」
そう言ってシッテムのは弧とは別に手書きの手紙を見せる吠。
新たに副担任を迎えたシャーレの喧騒は暫くやみそうになかった。
痛いほどの熱線が降り注ぐ砂漠の大地……というより、現代都市が砂漠にそのまま埋まってしまったような場所に、これより吠たちが向かおうとしているアビドスに珍しい人がいた。
ヘイローを持たず、普通の人間の男性の姿をした十代半ばの少年だ。
ゴテゴテした印象を与えるチェック柄のツーピースを着こんでおり、右手の人差し指には吠たちの指輪に似た緑色の指輪をはめている。
「夢の始まり……人生の終わり……。
さて! 次の学校見学もチャララっといこうか!」
そう言って務めて明るく歩き出した彼は
指輪の戦士……その中でも特別な指輪とテガソードを与えられたゴジュウジャーの1人である。
〇キャラクタープロフィール
名前:暴神竜儀
学園:連邦生徒会
部活:連邦捜査部S.C.H.A.L.E(副顧問)
学年:大人(副顧問)の為、なし
年齢:30歳
誕生日:?月?日(?座)
身長:180㎝
趣味:テガソード様を賛美すること
演者:神田聖司
所持指輪:ゴジュウティラノ、テガソードイエロー、?(第四話時点)