思い出の機体(仮)   作:AMRAAM

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二話

先輩二人の入部から一週間ほどして

 

「嶺也くんって模型始めたきっかけって何?」 

 

新城先輩が作業しながら声をかけてきた。夏希先輩は元気系って言えばいいのか、誰とでも会話して仲良くなるコミュニケーション能力の高い人だった。陰キャで顔にも自信が全くない自分にも、どんどん話を振ってくれる。

 

「自分は完全に祖父の影響ですね。スケールモデラーなのもそうです」

 

近場に住んでいた祖父はバチバチのスケールモデラーで、艦船を中心にミリタリーモデルを組んでいた。界隈ではちょっとした有名人らしく、展示会に一緒に参加すると高確率で参加者のおじ様方に声を掛けられ、自分も仲良くなったりしていた。 

コンプレッサーやエアブラシとかの専用の機器があったのも沼った原因だ。

 

「やっぱ、近くにそういう人がいると影響受けるよね」  

 

会話に入ってきた常磐先輩はクール系だった。距離感を掴むのが上手くて凄い美人なのに、一緒にいてもあまり緊張しなくて驚いた。

 

「先輩たちはどうして芸能活動を?」 

「私はまぁただ歌いたかったって感じかな?」

「あたしはダンスやっててスカウトされたんだ!」 

 

雑談しながらいわゆる素組をしていく。自分は手始めにHGジェスタ、新城先輩はフリーダム、常磐先輩はジャスティスだ。やっぱり二人はシナジーのある機体を選んでいるあたり、やっぱり仲がいい。 

しかし、ちょっとこの先どうしよう?

 

「すみません先輩」

「どうしたの?」

「このキットどこまで完成度あげる予定ですか?」

「「???」」

「えっと、ここ普通の教室なので少し出来る事限られてて……。塗装とか出来ないんですよ」

「「あ~」」

「いつもどうしてるの?」

「自分はいつも先ほどの祖父の家でやってます。いろいろ揃っているので。」 

 

しかし、芸能活動している先輩二人を連れていくのは素人考えでもかなりヤバイ。スキャンダルはヤバイ。

でも二人はなんでもないように続ける。

 

「じゃあそっちで作業するかんじ?」 

「夏希、お爺さんのお宅なら話を通して許可もらわないと」 

「そっか。嶺也くん大丈夫?」 

 

いやいや

 

「それ以前に家、というと少し違いますけど、男子と学校外で活動するって事務所やマネージャーに確認とか許可もらわなくて良いんですか?」

「それは平気だよ。」

「入部の前に事務所には部活で男子と関わるのは言ってあるし、元々私たち男性と関わらないような売り方じゃないから。確認してあるよ」 

 

なら良いんですけど。

 

 

 

二人を連れて自宅からさほど離れていない祖父の家のカギを開ける。

「あれ?」

「お爺さんいないの?」

「祖父は今年の年始からホームに入っちゃったので」 

 

実際はまだぴんぴんしているのだが、「俺の介護で家族に迷惑かけたくない」とか言って自分の貯金で早々に老人ホームに入っていった。このカギも「作業機器使って勝手にいいからついでに家の管理してくれ」と言われて持っているものだ。 

というか、ちょくちょく外出許可もらって戻ってきて、キット組んだり、向こうに持っていってる。事後連絡だから最初積みプラが減った時は盗まれたかと思ってヒヤヒヤした。

 

「じゃあ入ってください。お茶も出しますんで」

 

 

 

 

 

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