TS転生パルゥムがダンジョンで冒険する 作:とある社畜
にわかで申し訳ない、優しい方いらっしゃいましたらご教授お願いします。調べてもなかなか出てこんです…。
「ダラァ!」
拳を振りぬき、大人ほどの体格を持った人狼のようなモンスター、コボルトの胸をつぶしてぶっ飛ばす。さらに背後から放たれた爪による攻撃をいなし、カウンター気味に二体目に蹴りを放つ。腹からくの字に曲げて宙へと飛んだのち、地面に落ちて動かなくなった。
「これで…最後!」
そして次。俺が敵を倒したのを見計らったようなタイミングで降ってきた人一人分くらいの大きさの影に対して、横にずれて蹴りを入れて壁にめり込ませた。
ダンジョンリザード。奇襲が得意なモンスターだ。最初に奇襲を受けて押し倒されて顔面をよだれでべちょべちょにされたことへの恨みはしばらく忘れられそうにない。
「ふう…」
2日目のダンジョン探索。俺は朝からダンジョンに潜っていた。
朝、金の計算をして改めて気づかされたが、やっぱり金がない。明日食う飯の貯金すらないのはあまりにも心もとなすぎる。
そういうわけで活動場所についても徐々に深く潜っており、半日が経過した今は、狩場を5階層付近まで移動させていた。
その途中でダンジョンリザードに押し倒されたり糞ガエルに丸呑みにされかけたりとポカもやらかしたが、命に関わるようなことは一切なく、さらにこちらの攻撃は今のところ一撃で相手を殺し切っている。つまり割と余裕。
特に5階層からは群れの数が多くなり魔石集めの効率に拍車がかかっている状態だ。
とはいえ6階層から上は一癖あるモンスターが現れるらしいので、今日は5階層を終点として周回する予定。
唯一の懸念はさっきも言ったがカエルのモンスター、フロッグシューター。このロリボディが軽いせいで舌で軽々と引っ張られるし、パルゥムがすっぽり入りそうな口に飲み込まれそうになるしで生理的嫌悪感も強い。見つけ次第即座に殺すようにしている。
とまあ、数回目の群れを討伐し終わり、魔石を拾い集めていると、不意に視界の隅に赤い光を見つけてそちらに視線をやった。
『キシャアアア!』
「ウォーシャドウ!?」
でてきたのは『新米殺し』の異名を持つ影のモンスター、ウォーシャドウだった。影をそのまま人の形にしたようなモンスターで、指がナイフのように鋭いのが特徴だ。
見かけたらすぐ逃げろ、が定石。新米冒険者どころか、数年冒険者をやっているようなベテランでも状況次第で殺されることもある危険なモンスターである。
「お前が出てくるのは6階層のはずなんだけどな…近づきすぎたか?」
モンスターが階層を超えてやってくることもなくはない。隣接した階層ならなおのことだ。
逃げる…という選択肢は俺にはない。どうせいつかは越えなければいけない壁だ。単体のようだし、ちょうどいいのでチュートリアルとしゃれこむとしよう。
それに、せっかくスキルが優秀なのだ。悪い賭けではないはず。
『キシャッ…!』
「くるか…うおっ、速っ!」
コボルトとは比べ物にならない速度で振るわれる爪を避ける。速い、速いが…まだ見切れないほどじゃない。とはいえ一瞬でも気を抜いたら避けきれなくなるだろう。
すぱっ、と俺の二の腕に爪の切っ先がかすめて若干痛みが走る。当然だが相手の攻撃は普通に通るらしい。
でも、速度が上がったとしてもコイツも結局コボルトやゴブリンと同じだ。力任せ、持ち前の身体能力任せで攻撃を仕掛けているに過ぎない。
なら、と俺は攻撃の合間を縫って左手でジャブを仕掛けた。ウォーシャドウはそれに反応して切り払おうとしたが、それは当然フェイント。
引っ掛かったウォーシャドウが作った大きな隙に対して、右ストレートを放つ。ウォーシャドウが咄嗟に体勢を変え、爪刃の背に拳が当たり完全に爪を粉砕した。武器の片方を破壊することに成功し、俺は勢いのまま左拳を握りしめた。
「そこオ!」
放たれた左ストレートがウォーシャドウの顔面に突き刺さり、後方へと吹き飛ばす。ぴくりとも動かなくなったウォーシャドウは、すぐに灰になって消えていった。
「よっし!」
新米殺し、打倒完了。俺は呼吸を整えながら出てきた魔石を拾い上げた。
「おおっ、コボルトのよりも大きいな…ん?」
さらに、魔石の隣になにやら黒いナイフのようなものが落ちていた。ドロップアイテムだ。恐らくウォーシャドウの指刃だろう。
「うっひょー、臨時収入ゲット!」
ドロップアイテムは確率入手のため魔石よりも換金率が高い。俺は小躍りしながらそれを懐にしまい、身体の調子を確かめる。
「…二の腕、出血してるな」
格安ポーションで軽く治療を施し、拳を握る。
「問題なしっと…それじゃ、狩りの続きだ」
ポーチにはもうちょい容量がある。満タンになるまで俺の狩りは続いたのだった。