どうしても、私をモンスター扱いしたいのですね。裸でも見ますか?――人間だと勘違いしているユニークモンスター、その可愛さにバズってしまう――   作:なーん!

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イレギュラーシナリオ『報酬なき竜宴』

「野宿も疲れてきたし、近くに村でもあればいいけど――」

 

 新しい弟子と別れた後、私はモンスター狩りを続けながら旅をしていた。

 幼いころから森の中で生活していたこともあって、野宿はそこまで苦ではない。だが、さすがに長く続けば気が滅入る。

 だから、人の気配が感じる方へ歩みを進め、陽が傾きかけたころに小さな村を見つけた。

 

 人ひとりがやっと通れるほどの細い道、その両脇には背丈ほどの雑草が生い茂っている。

 ようやく見えた村の景観は、質素というよりも荒れ果てているといった方が正しい。

 

 家は木と土で作られており、萱葺の屋根は所々が抜け落ちていた。周囲の柵は傾いているようで、近くの畑も雑草に浸食されている。

 どこか、時代に取り残されたような場所。唯一、中央に流れている小川だけが、底の小石すらはっきり見えるほど透き通っていた。

 

 

「お侍……さん?」

 

 その声に振り返ると、道の端に小さな影があった。

 お世辞にも綺麗とはいえないその服は、所々縫い直されており、色の判別ができないほど汚れていた。

 私の腰ほどしかない身長に、小川のように澄んだ大きな瞳、しかしその体はあまりにも細くて頼りない。

 

 

「こんなどころでどうしました? お父さんやお母さんは?」

 

 目の前の小さな女の子に、私はできるだけ優しく声をかける。

 突然のことに戸惑っているのか、女の子は視線を反らしてうつむいていた。

 

「その……お願いがあるんです。

 近くの山にドラゴンが現れて、冒険者さんに退治を頼んだんです。でも、まだ帰ってこなくて――」

 

 女の子はうつむいたまま、その声も震えていたように思う。

 自分の服を握りしめながら、何度も唇を嚙んでは飲み込んでいました。

 そして、ようやく絞り出した言葉は、少し途切れてはいましたが、それでも状況を理解するには十分でした。

 

 

「あの……私の宝物でよければ、あげます。

 だから、冒険者さんたちが無事か……その、見てきてくれると嬉しくて――」

 

 言葉を吐きだすたびに息を吸い、小さな体で必死に伝えようとする。

 ポケットの中に手を入れたかと思えば、その手には綺麗な色の石が握られていました。

 魔力を感じないので、本当に綺麗なだけの石なのでしょうが、それでも私にとっては十分すぎるほどです。

 

 

「わかりました、お姉さんが見てきてあげます」

 

 女の子から冒険者の特徴を聞いて、トカゲがいるという山を目指しました。

 どうやら、その山にはトカゲどもの巣があるそうで、定期的に山を下りては周辺を荒らしているそうです。

 本来であれば、その巣も含めて処理すべきですが、そこまでの依頼料は用意できないとのこと。

 

 だから、山から下りてきた個体が現れたときに、村のみんなで近くのギルドに依頼を出すそうです。

 ただ、最近は依頼の頻度も多くなったそうで、依頼料を用意することが難しかったみたいですが。

 

 

「依頼料も受け取りましたし、せっかくだから山の奥まで行ってみましょう」

 

 しかし、『とある冒険者パーティ』が善意で引き受けたらしく、あの子もその人たちを心配していました。

 定期的に依頼を受けてくれる彼らに、村の人たちも同じ気持ちだったとのことで、最終的には村長さんからもお願いされました。

 おそらく、残っていたお金を集めたのでしょうが、提示された依頼料は丁重に断りしました。

 

 だって、私は既に依頼料を受け取っています。

 気がつけば日も落ちて、辺りは暗くなっていましたが、この程度であればなんとかなるでしょう。

 明かりは彼ら(トカゲ)が用意してくれる。だから、私はまっすぐ教えられた場所へと向かいました。

 

 

――――――――

 

 

――――――

 

 

――――

 

 

――

 

 山奥にある洞窟の中に巣はありました。周辺の空気は熱と硫黄の匂いで満たされ、反響する低い咆哮がその存在を教えてくれる。

 月明かりに照らされた無数のトカゲは、私が生まれ育った森の個体よりも、かなり小さいように感じました。

 全身が深紅の鱗に覆われ、長く伸びた首と厚く隆起した翼、その爪や牙が触れればひとたまりもないでしょう。

 

 

「まあ、この程度であれば問題ありませんね――」

 

 まずは、小手調べから始めましょう。私に気づいたのか、群れの中でもひときわ大きなトカゲが、炎を吐きながら咆哮をあげる。

 しかし、その声が洞窟に響くよりも早く、私の剣技がその首を切り落とました。

 桜花流一ノ型『鞘鳴り』――血潮と鱗片(りんぺん)が洞窟内を満たし、その巨体が力なく倒れると同時に、残りのトカゲによって洞窟内が混乱に包まれる。

 

 

 桜花流二ノ裂く型『雷桜』――私はトカゲたちの間を駆け抜ける。斬り払う瞬間に雷鳴が響き、刀身が空気を裂くとともに火花が散る。

 トカゲたちの翼や鱗を貫いて、洞窟内が熱気と血の臭いに支配されました。

 次々と大きな首が跳ね飛ばされ、その翼が痙攣したかと思えば、力を失った巨体によって岩が砕ける。

 

 血潮が天井まで跳ねあがり、蒸気となったそれが赤黒い煙となっている。

 腹部を割かれたトカゲが、翼をばたつかせている姿に、少しばかり申し訳ない気持ちになりました。

 血と蒸気が混ざり合って、気がつけば洞窟全体が赤黒く染まっています。

 

 

「さて、羽織が汚れる前に終わらせましょう」

 

 トカゲの群れが怒り狂い、その鋭い爪と巨大な炎で反撃するが、私の姿が見えているとも思えません。

 『鞘鳴り』による的確な斬撃と、『雷桜』が織りなす広範囲の無差別技。

 血潮の飛び散る音と、激しい地鳴りがその数を増し、それと比例するように気配が消えていく。

 

 

 巻きあがった蒸気と熱気、トカゲたちの体液によって空気も赤く染まる。

 しかし、それでも私は動きを止めませんでした。連続する雷鳴と閃光が、どこまでもトカゲたちを追いつめる。

 一部の個体は逃げようとしましたが、そんなことを許すはずがありません。

 

 申し訳ないですが、既にあの子から報酬は受け取っています。

 依頼は冒険者たちの捜索ですが、先に障害となりそうなものを排除するのは当然です。

 だから、ここから逃がすつもりはありませんでした。

 

 

「全く、数だけは一人前ですね」

 

そして最後の一匹が倒れた瞬間、洞窟内に静寂が訪れました。

炎と血の臭いが漂う中、私は無数の死体の上で刀を下し、少しだけ乱れた呼吸を整えます。

いつの間にか洞窟の天井が崩れて、月明かりが私の顔を照らしてくれる。

 

一応、目障りな存在は駆除しましたが、本来の依頼は冒険者の捜索です。

少しばかり疲れましたが、ここにいても時間の無駄でしかありません。

 

私は、気がつけば月を眺めながら、その冒険者のことを想像していました。

無償でトカゲ退治を引き受けるような人です。きっと、私が想像する以上に間抜けなのでしょう。

 

 

「えっ、どうなってんの? さっきの地響きといい、こっちの方から凄い炎が見えたけど――」

 

「おい! レッドドラゴンの群れが全滅してるぞ!」

 

「待って! リッ…リーダー、あれってもしかして――」

 

 

【クラン名・幼女騎士団様】

・ノーマルシナリオ『報酬なき討伐』がユニークシナリオの開放により変化しました

 イレギュラーシナリオ『報酬なき竜宴』が一時的にアンロックされます。

※本シナリオは、フィード内にいるプレイヤーのみが参加できる強制型となります。

 ログアウトした場合、再度本シナリオに参加することはできない為、ご注意いただければと思います。

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