副キャプテン 辰馬   作:匿名希望のぽっちゃり

1 / 60
何となく妄想していたものを生成しました!
続くのか…続けて良いのか…


熱闘!明和FC
決勝!対南葛FC前夜


軍師 ― 決勝前夜

 

 明和FCの合宿所。

 夜はすっかり更け、窓の外には静かな月明かりが広がっていた。だが部屋の中は、明日の決戦を前にして眠れぬ空気に包まれている。

 

 「……辰、お前まだ起きてんのか」

 隣の布団から声がする。日向小次郎だ。明和の猛虎と呼ばれる彼が、珍しく寝付けないでいる。

 

 「当たり前だろ。明日は南葛との決勝だ。翼と岬のコンビにどう挑むか、考えないと」

 辰馬は布団の上で膝を抱え、ノートを広げていた。そこには相手チームの特徴やフォーメーションがびっしりと書き込まれている。

 

 チームメイトたちは彼をこう呼んだ。

 ――『軍師』。

 

 類稀な戦術眼と冷静な判断力で、猛虎を支える存在。

 辰馬の声がある限り、明和はただの力任せのチームではなくなる。

 

 

南葛の脅威

 

 「翼と岬のゴールデンコンビは、止めるのが至難だ。二人が中央で絡んだ瞬間、守備が一気に崩れる」

 「へっ、そんなの関係ねえ。俺が全部ぶっ壊してやる」

 日向は不敵に笑う。だが辰馬は首を横に振った。

 「違う。お前が前に突っ込めば確かに点は取れる。けど、それだけじゃ南葛には勝てない」

 

 彼はペンを走らせ、フォーメーションを描く。

 「俺が下がってアンカーに入る。沢田と組んで中盤を制圧する。小次郎、お前は自由に暴れろ。健(若島津)が最後尾で支えてくれる」

 「……辰。お前が言うなら従うさ。お前の読みはいつも当たるからな」

 

 小次郎の声には揺るぎない信頼があった。二人の絆は、過去の涙と誓いから築かれたものだ。

 

 

チームメイトとの夜

 

 別室では、沢田と若島津が小声で語り合っていた。

 「辰馬さん、まだ起きてるみたいですね」

 「だろうな。あの人はチームのことを一番に考える。俺たちが安心して戦えるのは辰馬さんがいるからだ」

 若島津健はそう言い切った。彼の声には副キャプテンへの深い信頼が滲んでいた。

 

 沢田は拳を握る。

 「僕も、辰馬さんに恥じないプレーをしたいです。日向さんの牙を、辰馬さんと一緒に研ぎ澄ますために」

 ――“虎の牙”と、それを操る“軍師”。

 明和の未来は、その二人を中心に動いていた。

 

 

思い出す父の影

 

 夜が更け、日向が寝息を立て始めても、辰馬はノートを閉じられなかった。

 ふと窓の外に目をやり、幼い日の記憶を思い出す。

 

 ――日向の父がまだ生きていた頃。

 収穫した野菜を笑顔で抱えて帰っていった姿。

 「辰馬、ありがとうな。小次郎を頼むぞ」

 その言葉が胸に響く。

 

 葬儀の日、日向と抱き合って泣いた記憶。

 あの時から、辰馬は自分の役割を理解したのだ。

 ――猛虎の牙を導く軍師であること。

 

 

決戦への誓い

 

 「辰……起きてんのか?」

 再び日向の声がした。目を閉じていたはずなのに、彼も眠れていなかったらしい。

 

 「小次郎、俺たちは明日、全国で最も注目されるチームと戦うんだ。勝てば明和の名は歴史に残る」

 「負ける気はねえ。お前が軍師なら、俺は猛虎だ。牙を剥いて暴れ回るだけだ」

 「そうだな。……でも、虎の牙は導く頭脳があってこそ鋭さを増す」

 

 静かな夜に、二人は握手を交わした。

 「明日は絶対に勝つ。お前と俺とで、南葛を倒す」

 「おう。辰、お前がいなきゃつまんねえからな」

 

 互いに笑い合い、布団へ潜り込む。

 その顔には、恐れではなく希望があった。

 

 

吉良監督の影

 

 廊下の奥、薄暗い明かりの下で吉良監督が佇んでいた。

 静かに部屋の様子を窺いながら、口元に笑みを浮かべる。

 

 「……あいつらならやれる。猛虎と軍師。あの二人がいる限り、明和に不可能はない」

 

 監督の胸に去来するのは、明日の戦いへの期待と誇り。

 南葛を倒す鍵は、日向小次郎の爆発力と友坂辰馬の戦術眼。その二つが噛み合ったとき、明和は最強となる。

 

 

夜明けへ

 

 窓の外に白い光が差し込み始めた。

 辰馬は最後にノートを閉じ、深く息を吐いた。

 「いよいよだな……」

 

 明和FCの軍師として。

 猛虎の相棒として。

 そして、一人のサッカー選手として。

 

 南葛との決勝戦前夜。

 辰馬の胸に燃えるのは、恐れではなく確信だった。

 

 「小次郎、明日は暴れろ。俺が必ず支える」

 

 静寂の中に放たれたその誓いは、やがて訪れる熱狂の舞台への序章となった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。