副キャプテン 辰馬 作:匿名希望のぽっちゃり
東邦学園・入学
東邦学園入学後エピソード(後日談)
時は流れ、桜が満開を迎えた春。
日向小次郎、友坂辰馬、若島津健は東邦学園へと進学した。
新たな環境での生活が始まり、毎朝の朝練から学園の厳しい空気を肌で感じていた。
校庭をぐるぐると周回しながら、部員全員で掛け声を合わせる。
「東邦ーファイオ!ファイオ!」
声を張り上げながら走り込む光景は、さながら軍隊のようだ。
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朝練後の会話
朝練が終わると、息を切らしながら日向、辰馬、若島津、そして新しい仲間・反町一樹が集まっていた。
「はぁ、しんどいな……」若島津がタオルで汗をぬぐう。
「でも小次郎は元気そうだな」辰馬が笑いかける。
「新聞配達で毎朝走ってるからな、慣れてんだよ」日向が肩をすくめた。
「オレも早く試合に出てぇな。先輩たちに混じってでもゴール決めてやる」反町が拳を握る。
「そうだな」辰馬もうなずいた。「ここからが本当の勝負だ」
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室内トレーニング場にて
夕方の練習後。
日向、若島津、反町の三人は自主練を続けていたが、辰馬の姿が見当たらなかった。
「なあ……辰馬はどうした?」反町が辺りを見回す。
「そういえば、いねぇな」日向も首を傾げる。
ちょうど通りかかった上級生が答えた。
「友坂なら室内トレーニング場にいたぞ。変わった練習してた」
三人は顔を見合わせ、「行ってみようぜ」と室内へ向かった。
――そこにいたのは、二つのバランスボールの上に片足ずつを乗せ、スクワットを繰り返す辰馬だった。
「なんだあれ……すげぇバランスだな」反町が目を丸くする。
「おれでも無理だな……辰馬さん、やっぱすごい」若島津も感嘆する。
「フン、あいつらしいぜ」日向が口元を吊り上げた。
ちょうどその時、北詰監督が現れた。
「……流石だな。松本スカウトが認めただけのことはある。天性の両利きに加え、全身の筋肉のバランスも見事だ」
監督は辰馬に声をかける。
「友坂、練習には慣れたか?」
「はい、先輩方とも上手くやれています」
「そうか。なら今度の練習試合、日向と一緒にAチームで出てみろ」
辰馬は驚きつつも笑みを浮かべ、力強く答えた。
「……はい!頑張ります!」
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仲間とのやり取り
そこへ日向たち三人が駆け込んでくる。
「おい辰!そろそろあがろうぜ」日向が声をかける。
「休憩してからな。……そうだ小次郎、監督が今度の練習試合で俺らを出してくれるってさ」
「マジか!?よし、ゴール決めて早くレギュラーになってやる!気合い入れるぜ!」日向の目がぎらつく。
「応援してるぞ、辰馬さん」若島津が真剣に言い、
「オレも負けねえからな」反町が笑った。
辰馬は仲間を見渡し、少し真剣な顔になる。
「小次郎、監督やチームに認められるにはゴールだけじゃ足りないんだぜ」
「なんだと?エースストライカーはゴールを量産してこそだろ」
「確かにそうだ。だが“信頼”されなきゃエースにはなれない。無理に突っ込まず、楔になって周りを活かすプレーも必要だ。世界を目指すならな」
一瞬言葉を失った日向だったが、やがて不敵に笑った。
「……世界を目指す、か。面白え。だが点を取るのは俺だ。エースストライカーになるのは俺しかいねぇ」
「それでいい。ただ、選択肢を増やせってことだ」辰馬は笑みを返す。
「選択肢か……オレも守備から前線に絡んでみるか」反町が頷き、
「おれはGKだけど、積極的に攻撃参加するかな」若島津も負けじと言う。
「はは、さすがだな」辰馬は笑った。
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手紙の正体?
ふと若島津が辰馬の手元を見てニヤリとする。
「それ、彼女さんからですよね、辰馬さん」
「さあな……とにかく、飯食いに行かねえと寮母さんに怒られる」辰馬は苦笑しながら走り出す。
「おい待てよ!」日向たちも慌てて追いかけていった。
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練習試合、そして夏へ
――そして後日の練習試合。
日向小次郎はハットトリック、友坂辰馬は1ゴール2アシストの活躍を見せる。
二人のパフォーマンスを見た北詰監督は迷わず彼らをレギュラーに抜擢。
熾烈なスタメン争いの幕が切って落とされた。
日向のポストプレイはまだ不発だったが、それを課題により強く練習に励む日々が始まる。
そして迎えた夏の大会。
日向小次郎、友坂辰馬はスタメンとして。
若島津健、反町一樹はベンチメンバーとして。
――それぞれの戦いが、ついに始まろうとしていた。