副キャプテン 辰馬   作:匿名希望のぽっちゃり

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熱い試合の始まり…

全国中学サッカー選手権・決勝戦 キックオフ

 

スタジアムを揺らす大歓声の中、いよいよ決勝戦が始まろうとしていた。

ピッチ中央のセンターサークルには、東邦学園のキャプテン・日向小次郎と、小さなテクニシャン・沢田タケシが並んで立っていた。

 

ボールの前に立つ二人を、無数の視線と歓声が飲み込む。

 

沢田の胸が高鳴る。

(……久々に、日向さんと一緒にピッチに立てる)

公式戦で日向と並び立つのは、あまりにも久しぶりだった。

自分が何度も夢見た光景。

それが今、全国大会決勝という最高の舞台で実現している。

 

隣に立つ日向の横顔を、沢田は一瞬だけ見上げた。

その瞳に宿る闘志。

かつて毎日のように目にしていた、あの熱さ。

(これだ……! 俺はこの人と一緒に戦いたかったんだ!)

胸が震える。だが浸っている暇はない。

 

その少し後方、友坂辰馬はいつものポジションに立っていた。

ピッチの中央で、日向の背中を見つめる。

(こうして背中を見るのも……ずいぶん久しぶりだな)

懐かしさが胸をよぎる。

だがすぐに首を振った。

(浸るのは試合が終わってからだ。今は勝つことだけを考える……!)

辰馬の瞳もまた、鋭く研ぎ澄まされていく。

 

一方の日向は――久しぶりに味わう感覚に全身が熱を帯びていた。

(……この芝の感触……久しぶりのグラウンドだ)

芝を踏みしめる足裏から、確かに伝わってくる高揚感。

胸の奥に燃え上がるのは、抑えようのない「ゴールへの飢え」だった。

 

(頼むぞ、みんな。力を貸してくれ……)

心の中で仲間たちに呼びかける。

(俺はもう、負けたくない……!)

 

その瞬間、二度の決勝敗北の記憶が脳裏をよぎった。

苦い屈辱。泣き崩れそうになったあの瞬間。

観客の歓声にかき消されるように響く敗北の笛。

(あんな思いは……もう二度とごめんだ!)

 

日向の目がギラリと光る。

視線の先――南葛の大空翼。

(翼……! この中学最後の一戦で、必ず雪辱を果たしてみせる!)

 

その強い眼差しに気づいた翼が、ふと顔を上げる。

二人の視線が、センターサークルを挟んでぶつかった。

 

翼もまた、胸の奥に燃えるものを感じていた。

(……日向くん……!)

 

観客の歓声がさらに膨れ上がる。

今まさに、決戦の火蓋が切って落とされようとしていた。

 

 

 

全国中学サッカー大会・決勝戦 キックオフ

 

実況「さあ、いよいよ始まります! 全国中学サッカー大会、頂点を決める決勝戦! 注目はやはり――」

「この試合に勝てばV3、中学時代を無敗のまま卒業、そして卒業後はプロを目指してブラジルへと旅立つと宣言している、南葛の大空翼くん! 日本サッカー界の若きスーパースターです!」

 

観客が一斉に沸き上がる。

「翼ーー!!」

「V3だぁーーー!!」

 

実況「しかし! その翼くんの前に立ちはだかるのが――打倒・南葛、打倒・大空翼に燃える男! 東邦学園キャプテン・日向小次郎くん! 彼は三年連続得点王という栄誉をも捨て、この決勝に全てをかけてきました!」

 

スタジアムはすでに割れんばかりの熱気に包まれていた。

観客「日向ぁーーー!!」

「今日こそ決めろーー!!」

「東邦初優勝だーー!!」

 

審判がセンターサークルに視線を送る。

ピィィィィーーーーーーッ!!!

 

――試合開始。

 

センターサークル、日向が横の沢田に軽く渡す。

沢田は迷わず、すぐさま日向の足元にボールを返した。

その一連の流れは、まるで事前に打ち合わせていたかのように自然だった。

 

友坂(……小次郎、タケシ。やる気だな)

 

日向の動きが鋭く変わる。

ボールを止めた次の瞬間には、すでに右足を振り抜こうとしていた。

 

日向「くらえッ! これが俺の――タイガーショットだッ!!」

 

実況「は、はやい! 試合開始直後、いきなり日向くんのタイガーショットだーー!!」

記者たちも総立ちになる。

「うおおお! 出た! 日向小次郎の代名詞!」

「センターサークルから撃つなんて……!」

 

松山「翼が俺たちとの試合で決勝点を決めたときと同じだ! 日向はあの位置からでもゴールを狙えるんだ!」

 

低空で放たれた弾丸のようなシュート。

翼のドライブシュートのように舞い上がる軌道とは違う、ただ一直線にゴールを切り裂く暴力的な弾道。

 

南葛イレブン「は、速すぎる!!」

反応すらできず、視線で追うのがやっと。

動きを読んでいた翼でさえ――手を伸ばす間もなく通り抜けられる。

 

森崎「うわっ……!」

一歩も動けない。

 

観客全員が息を呑んだ。

(決まった……!)

 

――しかし。

 

ゴオォォンッ!!!

 

ものすごい衝撃音。

ボールはゴールポストに直撃したその瞬間、耐えきれずパァンッと破裂した。

 

観客「な、なにぃーー!?」

「ボールが……パンクしたぞ!!」

「すっげぇぇぇーー!!!」

 

スタジアムは悲鳴と歓声で揺れた。

 

日向(……ちっ! シュートの瞬間、わずかに翼が視界に入っちまった……あれがなければゴールだった……!)

悔しさに奥歯を噛む。

 

友坂が声を飛ばす。

「OK、OKだ! 小次郎! 翼のドライブシュートは俺たちが何度も見てきた! お前の“挨拶代わり”は十分伝わった! 切り替えろ!」

 

日向「おう! どんどん回せ! 次は決めるぞ!!」

 

東邦イレブンも興奮していた。

「見たか!? 森崎は一歩も動けなかった!」

「キャプテンにボールを渡せば勝てる!」

 

吉良「いいぞ、小次郎……!」

弟「兄ちゃん、すげぇ……!」

 

友坂は熱狂に流されないよう、すぐ手綱を引き締める。

「東邦! 次は相手のゴールキックだ! 切り替えろ! DF、マークをしっかり確認しろ! 若島津、相手のキーマンから目を離すな!」

 

若島津「分かりました!」

(相手のキーマン……翼だけじゃない。井沢、滝、来生……あいつらの連携は侮れん)

 

一方の南葛。

仲間たちの顔に浮かぶのは一瞬の不安。

だがそれを吹き飛ばしたのは石崎だった。

 

石崎「おい! 今年は翼だけに頼っちゃダメだろ! 俺たちがやらなきゃ勝てないんだ! まだ始まったばかりだぜ! 弱気になるな!!」

 

南葛イレブン「そうだ! 今年は俺たちがやるんだ!」

「日向を徹底マークだ!」

 

翼(……ありがとう、石崎くん。みんなの士気が一気に上がった!)

 

友坂はそのやりとりを横目に笑う。

「フッ、あのサル顔……思ってたより試合ってもんを分かってやがるな」

 

ゴールキックから始まった南葛の攻撃。

ボールはすぐに翼の元へ集まる。

 

翼(こい……負けるものか!)

東邦DF「翼を止めろー!」

 

翼はドリブルで切り込みながらパスを展開。

井沢、滝、来生――かつて修哲で共に戦った仲間たちのコンビネーションが光る。

 

滝・来生「いくぞ!」

鋭いパス回しで東邦の守備を崩しにかかる。

 

日向は戻ろうとするが、仲間から声が飛ぶ。

「キャプテンは前線にいてください! ボールは必ず届けます!」

日向「……わかった!」

 

南葛は元修哲トリオの連携で東邦ゴール前へ迫る。

井沢がシュート体勢に入るが、東邦DFはコースをあえて空け挑発する。

 

若島津「そこからなら撃ってこい! 止めてやる!」

 

怒る井沢。

だが後方の石崎の声で冷静さを取り戻す。

石崎「俺に寄こせ!」

 

井沢はスルーし、石崎が豪快にシュートを狙う!

しかし――

 

友坂「お前も東邦を舐めるな!」

 

友坂辰馬が鋭く割り込み、ボールをカット。

空振りに終わる石崎。

「うおお!? あれぇ……」

 

井沢「くそっ、友坂……!」

 

奪ったボールを沢田へ。

すぐ翼がマークにつく。

友坂(よし、翼とタイマンは避けたい……小次郎に繋ぐ!)

 

だが沢田の胸には別の想い。

(翼さん……! ゲームメイカーとしての憧れ! 今こそ勝負だ!)

 

沢田は仲間の声を無視し、翼に挑んでしまう。

だが横から飛び込んできた井沢のスライディングにボールを奪われる。

 

友坂(タケシ!? くっ……!)

 

南葛は翼の負担を減らすため、仲間たちが全力で走り回る。

井沢がゲームを組み立て、再び翼へ。

 

友坂「やばい……!」

全力でスライディングに入る。

「うぉらぁ!!」

 

翼はその動きを意識しながらも、足を振り抜いた。

 

――ドライブシュート。

 

ボールは急激に落下し、ゴールポストの角に直撃。

バァンッ!! 破裂音がスタジアムに響き渡る。

 

実況「ドライブシュートによって……またもやボールが破裂ーー!!」

観客「うおおおお!!!」

 

若島津(……落ちるなんてもんじゃない。あれは下に向かって“伸びて”くる……!)

翼(……友坂くんのプレッシャーでタイミングを外された……しかも足も万全じゃないのに……!)

友坂(……やっぱり。負担の大きいドライブシュートは外れたか……だが、若島津でも止めるのは至難の業だ)

 

東邦イレブンはざわついた。

「若島津でも止められないなんて……」

「速さは日向さんのタイガーショットと同じだ……!」

 

日向は若島津を気遣う。

「若島津……」

 

だが若島津は迷わない。

昨夜、日向に頼み込んで何度もタイガーショットを受け続けた。

一度も止められなかった。

だが、その悔しさが今の彼を奮い立たせている。

 

若島津(必ず止めてみせる……翼のドライブシュートを! この試合の中で!)

 

――前半わずか5分。

日向小次郎のタイガーショット。

大空翼のドライブシュート。

互いに一歩も譲らぬ“超中学生級”の応酬。

 

実況「試合はまだ序盤! しかしこの両雄の撃ち合い……一瞬たりとも目が離せません!!」

 

 

ボールがパンクしたため、東邦学園のゴールキックから試合は再開された。

 

友坂辰馬はすぐさま前線のキャプテン・日向小次郎に声を飛ばす。

「小次郎、少し下がれ!ボール受けてくれ!タケシ、両サイド、いつでも上がれるように準備しろ!」

 

ピッチ全体を見渡し、すでに攻撃の布石を打ち込む。

 

若島津が大きく蹴り上げたゴールキックは、高く弧を描いて日向の足元へ。

普段は最前線に構える男が、MFの位置まで下がってボールを受けた。

 

直後、南葛DFの石崎と高杉が厳しいプレッシャーをかけに飛び込む。

その瞬間、日向の瞳に光が宿る。

「お前らがここまで上がってくるってことは……ゴール前は手薄ってことだよな!」

 

タイガーショットを完全に自分の武器とした日向は、ロングレンジからでもゴールを狙える存在となっていた。

南葛MF陣の井沢がすぐに声を張る。

「俺たちがボールを奪う!お前たちは下がれ!」

 

指示の返事が響くよりも早く──日向は素早く前線へパスを通す。

ボールを受けたのは沢田タケシ。

 

ベンチで吉良監督が目を細めた。

(MF小次郎……。タイガーショットをマスターしたことで、奴が中盤に下がっても南葛は必ずマークに動かざるを得ない。その分、必ずどこかが空く……。それをいち早く理解し、組み立てを仕込んだのは辰馬か。まったく……相変わらずのサッカーIQの高さじゃ)

 

タケシはドリブルで鋭く突破を仕掛け、南葛DFを一人かわす。

翼が素早くマークに寄せる。

(さっきの二の舞にはならない……!)

タケシは翼が来る前に横の反町へパスを流した。

 

反町一樹──かつて日向の不在時、東邦のエースストライカーを担った男。

今大会では得点王をほぼ手中に収めている。

 

前半7分。

反町の渾身のミドルシュートが南葛ゴール左隅を襲う!

しかしGK森崎がここで意地を見せ、体を投げ出してパンチングで防いだ!

 

弾かれたこぼれ球を井沢と日向が追いかける。

だが、日向は瞬時に判断を変え、コースを逸らして横から飛び込んできた友坂に託す。

 

友坂はスライディングでボールを収め、そのままライン際に走り込んでいた日向へパスを送る!

「小次郎!」

 

日向が走り抜け、ボールを受ける。

南葛DF陣は慌てて声を掛け合い、タケシや反町にマークを集中する。

──だが、その意識の裏をかくかのように、角度のないライン際から日向は振り抜いた!

 

「俺のタイガーショットは……ゴールさえ見えれば撃てるんだ!!」

 

稲妻のごときシュートが放たれ、誰一人反応できぬまま、ボールはサイドネットぎりぎりに突き刺さった!

 

スタジアムが揺れるような歓声に包まれる。

「うおおおおお!!」「入ったぞ!」「すげぇ!!」

 

先取点は東邦学園!

イレブンたちは飛び跳ね、抱き合い、歓喜に包まれる。

 

日向自身も久しぶりに得点を決め、胸を張った。

その背後から、友坂辰馬が勢いよく抱きつく。

「小次郎!!やったなー!さすが俺たちのキャプテンだぜ!!」

 

普段は冷静な相棒の、あまりに感情的な喜びように日向は一瞬戸惑う。

だが、友坂の瞳に光るものを見て息をのんだ。

それは、日向が抜けた後、ただ一人で東邦を背負い続けてきた男の安堵の涙だった。

 

「辰馬……」

 

他の東邦メンバーも次々と抱き合い、エースストライカー日向の帰還とゴールを心から喜ぶ。

スタンドでは家族も声を張り上げ、宗像尚美も恋人・辰馬と日向の姿を見て、胸の奥から熱いものが込み上げていた。

 

吉良監督も腕を組んだまま頷き、北詰監督もまた「よくやった」と口元を緩める。

 

ベンチ外から試合を見守る三杉淳がつぶやいた。

「先手は……東邦か」

 

すぐさま松山が鋭く返す。

「だが、これで終わる南葛じゃないぜ!」

 

翼は仲間に振り返る。

「みんな、日向くんをフリーにしてはダメだ!各ポジションで徹底的にマークしていこう!時間はまだまだある。ここから反撃だ!」

 

「おう!!」南葛イレブンの声が響く。

 

前半7分──。

全国中学サッカー大会、決勝戦。

日向小次郎のタイガーショットが炸裂し、試合はついに動き出した。

だが、これはまだ序章にすぎない。

 

これから先、幾度も火花を散らす、超中学生級の死闘が待っていた。

 

 

──前半10分

 

スコア:東邦学園 1 - 0 南葛中学

 

失点直後の南葛ボールで試合が再開された。

 

ゲームメイカー・大空翼がボールを受け、誰もが次のパスの行方を注視する。

翼が選んだのは意表を突くコースだった。

オーバーラップして駆け上がってきたのはDF石崎了。

 

「行けぇ、石崎!」

観客席からもどよめきが上がる。まさかのDFの突撃に、東邦イレブンも一瞬対応が遅れた。

 

石崎は先陣を切ってドリブルで切り込む。

「うおぉぉっ!」と雄叫びを上げながらも、冷静に3人のマークが迫ってくるのを確認し、素早くパスを選択──。

 

だが、そのパスコースを読んでいた男がいた。

MFの位置まで下がっていた日向小次郎だ。

「そこだッ!」

鋭い読みと強靭なフィジカルでカット。

 

直後、翼が猛然とマークに寄せる。

日向も迎え撃つ姿勢を崩さず、互いに火花を散らす。

スタジアムの空気が張り詰め、二人の衝突を誰もが予感した──。

 

「行けー!勝負だ小次郎!」

友坂辰馬が叫び、観客の期待を煽る。

 

だが、翼はギリギリのところで身を翻し、接触を避けた。

──怪我を抱える自分の足を守るための決断。

 

その瞬間、ボールは日向の足にだけ当たり、前方へ転がる。

井沢が素早くトラップし、南葛の攻撃へとつなげた。

 

「キャプテンから逃げたな!卑怯者め!」

「それでも王者・南葛のキャプテンか!」

東邦イレブンの口からは容赦ない罵声が飛ぶ。

 

「なにぃ!?」翼の瞳が怒りで揺らぐ。

 

だが井沢がすかさず声を張り上げた。

「翼!マイボールになったんだ、今は攻めようぜ!」

 

「……うん、分かってる!」

翼は自らを律し、冷静さを取り戻す。

(卑怯と言いたければ言え。俺が考えるのは勝負じゃない。この試合に勝つことだけだ!)

 

友坂はその姿を見て口元を歪めた。

(熱くなるかと思ったが……冷静に判断したか。あそこで無理に勝負を選ぶなら、勝ちはもらったと思ったがな。クソッ、やっぱり楽しませてくれるぜ)

 

再びボールが翼の元へ。

彼は華麗なドリブルで東邦の選手を抜き去っていく。

「本当に足を怪我しているのか……!?」観客から驚嘆の声。

 

日向も目を細める。

(そうだ……翼は逆境にこそ強い男。リードされてからの方が本当の力を出してくる。俺との勝負を避けたのは怪我をかばってのことだろうが……奴の本質は変わらない)

 

友坂も同じく心中で呟く。

(あいつの勝利への執念……並大抵の覚悟じゃ気圧されるぞ)

 

その直後、沢田タケシが背後から反則スレスレのスライディングを仕掛ける!

「翼さん!」

だが石崎の声を聞いた翼は寸前で察知し、ひらりとかわした。

 

東邦DF陣が立ちはだかり、シュートブロックを構える。

しかし翼は迷わなかった。

「行くぞ!」

 

渾身の力で振り抜いた一撃──ドライブシュート!

ボールは急激な回転をまとい、ゴールに向かって落下していく!

 

「若島津が構えた!」松山が叫ぶ。

 

若島津はゴールラインぎりぎりに立ち、落ちてくるボールを冷静に見極める。

「来い……止めてやる!」

読み通りのコースに飛び込み、左手一本でワンハンドキャッチを狙う。

 

その瞬間。

 

「若島津!弾け!!」友坂が怒鳴る。

 

「えっ……!?」

 

掴んだはずのボールが、凄まじいドライブ回転と威力により制御できない。

衝撃はそのまま若島津の体ごとゴールに叩き込み、ネットを揺らした。

 

ゴォォォォールッ!!

 

前半10分、南葛の同点弾!

スコアは 1 - 1。

 

観客は総立ちになり、割れんばかりの歓声を送る。

「すげぇぞ翼!」「ドライブシュートだ!」

 

翼は拳を握りしめ、仲間と共に喜び合う。

東邦イレブンは信じられない表情で若島津を見つめる。

 

「ドライブシュート……あれを抑えるのは、やはり至難の業か」

額の汗をぬぐいながら友坂が小さく呟いた。

 

試合は振り出しに戻った。

全国大会決勝戦──超中学生級の死闘は、まだ始まったばかりだった。

 

 

 

 

 

 

 

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