副キャプテン 辰馬   作:匿名希望のぽっちゃり

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作者はENDLESS DREAMはうる覚えです。


ENDLESS DREAM

ENDLESS DREAM

 

観客席にて

 

河川敷の特設グラウンド。試合開始を前に、すでに観客席は熱気に包まれていた。全国大会で活躍した少年たちが一堂に会する特別試合とあって、サッカーファンだけでなく地元の人々も押し寄せている。

 

その中でもひときわ目を引く二人の少女がいた。

ひとりは南葛FCの応援団長として知られる中沢早苗。もうひとりは――辰馬の同級生で幼馴染、いつも凛とした雰囲気をまとったお嬢様然とした少女だった。

 

二人は並んで座り、試合開始を待ちながら談笑していた。

「辰馬くん、今日もきっとやってくれるよね」

「ええ。あの人はどんな強敵が相手でも怯まない。…私なんかが言うまでもないわ」

お嬢様の口調は落ち着いているが、その瞳には期待と誇らしさが宿っていた。周囲の観客も、彼女がいつも辰馬を応援に来ていることを知っている。けれど表立って騒がず、静かに背筋を伸ばして声を届ける姿が、かえって特別な存在感を放っていた。

 

 

招待状と再会

 

話は数日前に遡る。

辰馬のもとに届いたのは「南葛小対修哲小 再戦のお知らせ」。翼が呼びかけ、全国のライバルたちに送られた特別招待状だった。

 

東邦学園で練習していた日向や若島津、タケシと共にその話を広げる。

「へえ…翼がそんなことを考えるとはな」日向が不敵に笑う。

若島津は封筒を手にして、「辰馬さんも出るんですね。いやぁ、楽しみですよ」と嬉しそうに声をかける。

 

話の流れで、若島津は自分が辰馬の“繰り上がり”で推薦を得たことを明かした。

「本当は俺、一般入試のつもりだったんですけど……辰馬さんが特別推薦に上がったんで、その枠をいただけることになったんです」

「そうか。じゃあ…お互い頑張ろうぜ」辰馬は笑って背中を叩いた。

タケシも「キャプテン!俺も負けませんよ!」と拳を振り上げる。

 

その夜、辰馬の父・重次は仕事場でひとり考えていた。

――あいつは、いつか“海外に行きたい”って言う日が来るかもしれん。そのときは背中を押してやらなきゃならん。左官も農業も大変だが、親父としては胸張って送り出せるように頑張らんとな。

 

 

試合開始

 

試合は翼の提案通り、南葛小・修哲小の旧友を中心に、全国大会で名を馳せた選手たちが入り混じるドリームマッチとなった。

チーム分けは自由選択。辰馬はあえて日向と別チームに入り、周囲を驚かせた。

 

「辰馬、なんで小次郎と別れるんだよ?」

「だからこそ面白いだろ。俺はアイツからボールを奪う」

その言葉に、岬がにっこりと笑った。「やっぱり辰馬はそうでなくちゃな」

 

対戦相手のチームには、日向・若島津・タケシの明和組が固まる。一方で辰馬の側には翼、岬、松山、そして制限時間付きで三杉も名を連ねた。

 

 

見上コーチの視線

 

試合を見守る観客の中には、若林の指導者である見上辰夫コーチの姿もあった。

彼の眼差しは翼や日向だけでなく、辰馬にも注がれていた。

――やはり…あの少年は早く海外に出すべきだ。技術も戦術眼も、この世代で群を抜いている。ポテンシャルは源三や翼、岬、小次郎に決して劣らない。

 

 

辰馬のプレー

 

序盤、辰馬は日向と真っ向勝負となる。日向が豪快にドリブルを仕掛けるが、辰馬は冷静に読み切り、足元からボールを奪取。観客席がどよめく。

「小次郎! ここからだ!」

日向が苛立ちを隠さず叫ぶが、辰馬は無言で前へ運ぶ。

 

そしてゴール前――無回転シュートを放つ。

ボールは空中で揺れ動き、若島津が必死に伸ばした手をすり抜けてネットに突き刺さった。

 

「やったぁっ!」観客席から、お嬢様然とした彼女が思わず立ち上がった。

「辰馬っ! ナイスシュート!」

普段は控えめな彼女の声が、澄んだトーンで響き渡る。隣の早苗も手を叩き、「すごいよ辰馬くん!」と続いた。

周囲の観客が振り返り、二人の応援が試合の熱をさらに盛り上げた。

 

翼が笑顔で近寄り、ヒールリフトで辰馬に挑む。「さっきの仕返しだよ!」

同じ技で抜かれる辰馬。しかし笑いながら「やるじゃねえか、翼」と肩を叩いた。

そのプレーを見ていた観客の誰かが、「翼はサッカー小僧だな、すぐ人の技を真似る」と呟く。まさに的を射た言葉だった。

 

 

三杉との比較

 

三杉は持病のため十五分だけの出場だったが、その短い時間で技術の高さとキャプテンシーを存分に見せた。

ロベルト本郷も「完成されている」と絶賛する。

見上コーチは静かに評価を下す。

――技術では三杉が一歩上。統率力は互角。だが戦術眼においては、辰馬の方がさらに広いフィールドを見ている。

 

松山は日向と因縁があるが、今回その話題を蒸し返すことはなかった。ただ冷静にチームをまとめ、辰馬や岬と共に攻守を整えていく。

 

 

彼女の応援

 

後半、再び日向と激突した辰馬がボールを奪い、味方にスルーパスを供給した場面でも――

「ナイス、辰馬!」

と彼女の声が響いた。早苗も負けじと「行けー南葛!」と叫ぶ。二人の声はスタンドの中でもよく通り、選手たちを後押ししていた。

 

辰馬が一瞬スタンドを振り返る。目が合ったわけではない。だが彼女がそこにいることは、確かな力となっていた。

 

 

前半戦終了

 

試合は白熱し、南葛・修哲だけでなく全国の強豪が絡み合うことで、ただの再戦を超えたドリームマッチとなっていった。

 

翼は仲間たちと再び笑い合い、岬と辰馬も肩を並べる。

「やっぱり、こうして一緒にボールを蹴れるっていいよな」岬の言葉に辰馬はうなずいた。

「俺たちはライバルで、仲間だ」

 

そして観客席――彼女は早苗と顔を見合わせ、微笑みながら拍手を送っていた。辰馬のこれからがどんな未来へ向かうのか、胸を高鳴らせながら。

 

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