Re:ありふれた破壊者と魔王は世界最強   作:マサヒロ (旧名デイブレイク)

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佐賀らしんさん誤字報告ありがとうございます。
それではどうぞ!

追記 前回に描写を追加しました。確認してくれると嬉しいです。
ただ…人によってはキツイかもです


五話 月・下・宣・言

 

 

 

 

【オルクス大迷宮】

 

それは、全百階層からなると言われている大迷宮である。

『七大迷宮』と呼ばれる大迷宮の一つで、階層が深くなるにつれ強力な魔物が出現する。

俺達は、メルド団長率いる騎士団員複数名と共に、【オルクス大迷宮】へ挑戦する冒険者達のための宿場町【ホルアド】に到着した。

新兵訓練によく利用するようで王国直営の宿屋があり、そこに泊まる。

士とハジメは相部屋だ。

部屋に到着するとハジメは、士に木箱を手渡した。

 

「はい、これが頼まれていたやつ」

 

「おう、サンキューな」

 

士が木箱を開けるとそこにはつや消しブラックをベースにマゼンタのラインの入ったハンドガン『ベレッタ92』が納められていた。

そしてその横には弾丸の込められたマガジンが三つ納められている。

士が慎重にベレッタを取り出すとグリップの感触を確かめるように握りしめた。

金属の冷たさが手のひらに伝わり、確かな重量感が安心感を与える。

セーフティを解除し、トリガーガードに指をかけ、サイトをのぞき込むように構える。

 

「だけど…大丈夫なの?」

 

ハジメが心配そうな声で士に問いかける。

士は少し俯いたままセーフティを掛け直し、机にゆっくりと置く。

そして、口を開いた。

 

「この世界に、現代兵器を産み落とした事か?」

 

「……うん」

 

少しの沈黙の後に肯定する。

確かにこの世界に現代兵器が量産されれば戦争の激化は免れない。

 

「そうか…だがなハジメ」

 

士はベレッタを木箱に丁寧に戻しながら続けた。

 

「この世界にはすでに魔法がある。そして俺たちのクラスメイト達は異世界召喚で強力な魔法を使える奴らがいる。銃なんて、ただの道具にすぎない」

 

「単なる道具だとしても…もし、大量に作られたら…」

 

ハジメが不安そうに言葉を続ける。

 

「こいつは俺たちがただ生き残るために作ったんだ。俺の手で広めるつもりはないさ」

 

士はそう言ってハジメの肩を軽く叩いた。

 

「それにしても…あのウォズという女は何者だろうな?」

 

「さあ…」

 

ハジメは首を傾げた。

 

「だけど彼女は僕のことを『我が魔王』って呼ぶんだよね。それも妙に嬉しそうに」

 

ハジメは懐からブランクライドウォッチを取り出し、眺める。

その時、二人の会話を邪魔するように扉をノックする音が響いた。

もしや、檜山たちか?と緊張をあらわにしたが聞こえてきた声でその心配はなくなった。

 

「ハジメ君、起きてる? 香織です。ちょっと、いいかな?」

 

一瞬の硬直の後、ハジメが慌ててドアを開けるとそこには純白のネグリジェにカーディガンを羽織っただけの香織が立っていた。

士が恐らく香織はハジメと二人っきりで話したいことがあるのだろう、と自称IQ53万脳内CPUで予想するとポールハンガーからコートとアニールブレードを、木箱からベレッタを持ち出す。

 

「ちょっと夜の風にあたってくる。犬飼士はクールに去るぜ」

 

香織と入れ替わるようにコートを着て、アニールブレードとベレッタを装備して香織を部屋に押し込んだ。

 

「へっ?、っちょ、士君!?」

 

ハジメが士を呼び止めたような気がしたが意に介さず、ドアを閉めた。

 

 

 

 

 

とりあえず時間をつぶそうと思った士は、宿の敷地内にある訓練施設で剣の素振り、人形相手の訓練をしていた。

夜の訓練施設に金属音が静かに響く。

士が振るうアニールブレードが月光を反射して銀色に煌めいていた。

基本的な型を何度も反復するたびに汗が床に滴り落ちる。

 

「ふぅ…」

 

額の汗を拭いながら士は息を整えた。

遠くで聞こえる虫の声以外は静寂に包まれた訓練施設。

そこに不意に足音が響いた。

 

「あら、士じゃない」

 

士が振り向くと、そこには雫が立っていた。

夜の涼しい空気の中で、月明かりに照らされた彼女の姿は静かな湖面のように穏やかだった。

 

「どうした雫。眠れないのか?」

 

士は汗をコートの裾で拭いながら、アニールブレードを鞘に、ベレッタを革製のホルスターに仕舞う。

雫はゆっくりと歩み寄り、訓練用の人形の近くのベンチに腰を下ろす。

 

「ええ…ちょっとね」

 

雫の声は小さく、どこか遠くを見るような眼差しだ。

月光が彼女の黒髪を青白く照らし、普段の凛とした佇まいとは違う儚さを感じさせる。

士も雫の隣に腰を下ろし、星空を見上げた。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

雫side

 

私達がベンチに座ってから暫く黙っていたけれど、士が突然口を開いた。

 

「なぁ雫、お前無理してるだろ」

 

「っ!」

 

私の肩が小さく震える。

士の鋭い視線が肌を刺すように感じた。

いつも通りのクールな表情なのに、その奥には私の核心を突く洞察力が光っている。

 

「…何を根拠に?」

 

私は精一杯平静を装いながら、月明かりに照らされる訓練施設を見つめる。

 

「しいて言うなら経験と付き合いの長さ、だな」

 

士は腕を組み、まるで古い友人を見るような目で私を見つめた。

確かに士とは小学校からの幼馴染。

私が何を隠していても見抜く鋭さがあった。

 

「別に無理なんか…」

 

「嘘だな」

 

士の言葉が刃のように鋭く飛んできた。

私は息を飲む。

士がさっきまでの鋭く、全てを見通すような眼から誰かを優しく包み込むお母さんのような顔で続けた。

 

「泣いてもいいんだぞ?」

 

「えっ?」

 

私の肩が少し震えた。

月明かりが士の顔を青白く照らし出す。

 

「ここには、お節介を焼く必要のある幼馴染(天之河)も居ないし八重樫をお姉様と呼ぶ奴ら(ソウルシスターズ)も居ない。ここだけでもいいから思いっ切り泣いてもいいんじゃないか?」

 

士の言葉が闇夜に吸い込まれるように響いた。

まるで水の中に沈んでいくような静けさ。

士のその言葉に胸の奥が熱くなった。

溜めていたものが一気に溢れ出すような感覚。

 

「私…本当に、怖いの…」

 

最初は小さな声で呟くように。

言葉と一緒に涙が溢れた。

士の横顔を見るのが怖くて俯いたまま続ける。

 

「イシュタルさんに魔人族討伐を聞かされて本当に怖くなったの。初めて魔物を殺した夜は、誰にもばれないよう、ヒグッ、泣いたの。肉を切った感触が消えなくて、こびり付いた血が落ちていない気がして、ヒグッ、何度も、何度も拭ったの…ヒグッ、ウワァァァン!」

 

士は何も言わずにコートからクシャクシャになったハンカチを差し出した。

それが今の私には途轍もなく嬉しかった。

 

 

 

 

 

 

雫side end

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

夜の静寂が二人を包む。

月光が訓練施設の壁を青白く染め、断続的に続いた雫の嗚咽が次第に収まっていく。

士は黙って隣に座ったまま、月明かりに照らされた訓練人形をぼんやり見つめていた。

涙で濡れたクシャクシャのハンカチを握りしめながら、雫がようやく口を開く。

 

「…ごめんなさい。こんな姿、誰かに見せたくなかったのに」

 

「気にするな」

 

士は淡々と言いながらも、雫の方を向いた。

その腰にはネオディケイドライバーが巻かれていて、ライドブッカーが装着されている。

そして、ライドブッカーから一枚のカードを取り出す。

 

「…えっ?!それ、どういう原理!?と言うかなんで持ってるの?!」

 

「まぁその事は置いておいて、これ雫用のお守りだ」

 

雫が困惑した表情で差し出された一枚のカードを覗き込む。

月明かりに照らされたそれは、『仮面ライダー鎧武』のカメンライドカード。

雫は「ありがとう」と言って受け取り、少しスッキリした表情で部屋に戻った。

 




ハジメと香織の【絆装合体!】のシーンがあると思ったか!!
書くこっちのライダーゲージがゴリゴリ削られるんだよォ!!
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