Re:ありふれた破壊者と魔王は世界最強   作:マサヒロ (旧名デイブレイク)

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八話 戦・士・誕・生

 

 

 

「「変身!」」

 

 

 

ハジメが上げた左腕を振り落とし、傾かせたジクウサーキュラーを回転させる。

それが一周すると同時に彼の背後で世界が一度回転する。

士もライダーカードを回転させてスロットに差し込み、サイドハンドルを押し込んだ。

 

【KAMENRIDE!DECADE!】

 

士を中心にライダーズクレストが展開され、士に向かってくる。

それと同時に銀色の幻影が重なり、士に全身を覆うアーマー『ディヴァインスーツ』が装着される。

更に、ドライバーからライドプレートが飛び出し頭に装着され、グレーのアーマーがマゼンタカラーに変化した。

 

【ライダータイム!】

 

ハジメの後ろの時計がライダーの文字だけを飛ばし、時計は分解される。

ジクウサーキュラーがハジメを中心にライドウォッチのデータを展開させる。

分解された時計、それこそがジオウの各種装備。

そして、周囲を取り囲むリングがハジメにアジャストライクスーツと腕時計を彷彿とさせる銀色の装甲を装着させる。

 

【仮面ライダージオウ!】

 

ハジメの額には『カメン』の文字があり、複眼に時計から飛ばされた『ライダー』の文字が収まる。

それらを意味するのは彼等が『仮面ライダー』であること。

 

「祝え!解放者の力を受け継ぎ、時空を超え、過去と未来をしろしめす時の王者!その名も仮面ライダージオウ!そして、世界を破壊し、世界を繋ぐ、世界の破壊者!その名も仮面ライダーディケイド!――まさに生誕の瞬間である!」

 

ウォズが逢魔降臨暦を片腕に抱えたまま士達を、いや王の誕生を祝福した。

 

「仮面、ライダー…?」

 

ウォズの祝福に天之河が呆然とした声で呟いた。

 

 

 

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天之河side

 

「仮面、ライダー・・・?」

 

俺は呆然とした、殆ど音のない声でそう呟いた。

 

 

何で……なんでなんだ!

何で勇者の俺じゃなくて無能(・・)の南雲と犬飼なんだ!

 

「……ど、どういうことなの」

 

「あの南雲っちと犬飼っちが仮面ライダーに……?」

 

「す、すごい…」

 

「どうして、南雲と犬飼が……」

 

皆も俺と同じ様に二人が仮面ライダーになった事に驚きを隠せないでいた。

オタクじゃない俺らでも名前は知ってる『仮面ライダー』

だけどその存在はテレビの中だけの物でこの世には存在しない正義のヒーロー(・・・・・・・)だ。

存在するのならその力は勇者である俺の方が相応しいはずなのに!

 

 

 

 

 

天之河side end

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「こいつは…」

 

士は体の芯から湧き上がる力に驚いた。

これなら自分の力に酔って、暴力に溺れてしまうのが分かる。

だが、大いなる力には大いなる責任が伴う。

力に溺れるなんて以ての外だ。

ハジメも同じような結論に至ったのか士の方に頷いてきた。

士も頷き返すと改めてベヒモスジャマトに向き直った。

 

「なんか、行ける気がする!」

 

ベヒモスジャマトは既に臨戦態勢を整えていて触手を不気味に蠢かせていた。

その巨体から発せられる威圧感は凄まじく、橋全体が震えるようだった。

ジオウが溢れる力のまま、ベヒモスに向けて駆け出した。

ディケイドは腰からライドブッカーを取り出しソードモードに変形させ刀身をシャリンと音が鳴るように撫で、ジオウと同じ様に突っ込んだ。

先行したジオウは突進するために脚に力を込めていたベヒモスジャマトの顔面を蹴りつけた。

ジオウの蹴りはベヒモスジャマトの予想を超える速度で炸裂し、その巨体がわずかに後退する。

普段のハジメならかすり傷を与えるどころか、逆に蹴りつけた足の方がダメージを受けてしまうだろう。

だが、ジオウリープシューズの先端に装着された金属装甲『グラフェニウムバイト』がキックの威力を増大させてベヒモスジャマトにダメージを与える。

ディケイドも続くように跳び上がって斬りかかる。

空中で弧を描くようにライドブッカーを振り下ろすと、触手の一本を正確に断ち切った。

しかしその直後、切断された触手の断面から新たな触手が噴水のように飛び出し、ディケイドを絡め捕ろうとする。

 

「チッ!」

 

ディケイドは空中で体を捻り、紙一重で触手の捕捉を避ける。

その隙にジオウがベヒモスジャマトの懐に潜り込み、拳を打ち込む。

 

「――はぁっ!」

 

「ジャァッ!?」

 

幾度となく繰り出される拳にベヒモスジャマトは地面を削りながら後方に押し出される。

怒りに燃えたベヒモスジャマトが咆哮と共に触手を鞭のようにしならせ、連続攻撃を仕掛けてくる。

 

「ジ、ジャァアアァァッ!!」

 

「くそっ…!」

 

ディケイドが咄嗟にライドブッカーをガンモードにして触手を撃ち落とす。

だが、触手のスピードが速く撃ち漏らした触手がジオウの身体を何度も叩き付ける。

ジオウは数本の触手に打ち据えられ、橋の床面に叩きつけられた。

 

「がっは…!」

 

ジオウの全身を覆うアジャストライクスーツがダメージを致命傷から苦痛まで引き下げるが、それでも衝撃はすさまじくアーマーから火花が散る。

ベヒモスジャマトの猛攻は止まらない。

触手が蛇のように蠢き、ジオウに襲いかかる。

 

「くっ……!」

 

ジオウは必死に回避しようとするが、足元がふらつく。

無数の触手が円錐状に束ねられ、ジオウの胴体を貫こうとする。

その瞬間、ディケイドがライドブッカーをソードモードに変形させ一枚のカードをドライバーに差し込んだ。

 

【ATTACKRIDE!SLASH!】

 

ディケイドが放ったマゼンタ色の斬撃が触手を切り裂き、ジオウは間一髪で窮地を脱した。

ベヒモスジャマトの動きが僅かに鈍り、その隙にジオウはバックステップで後退する。

そして、ディケイドのライドブッカーを見て何かを思いついたようだった。

するとジクウドライバーが発光し『ケン』の二文字が浮かび上がる。

その間にベヒモスジャマトが突進してきたがディケイドがライドブッカーをガンモードに変形させ、近づかないように牽制する。

 

【ジカンギレード! ケン!】

 

『ケン』の文字を中心にマゼンタ色の光が収束する。

剣であると自己主張するかのように、大きく『ケン』と書かれた直剣型の武装。

字換銃剣・ジカンギレードが所有者たるジオウの手に収まる。

その時、ベヒモスジャマトの角から青白い光が発生していた。

 

「来るぞ!」

 

ディケイドが警告を発する。

ベヒモスジャマトの角に集まったエネルギーが、光の渦を形成していく。

橋が振動し、空気が歪むほどの圧倒的なエネルギー量。

 

「ジャッ……アアアァァァァッ!!」

 

咆哮と共に放たれたのは、極太の光線だった。

石橋が光線と接触した瞬間、まるでガラスのように溶解していく。

ベヒモスジャマトの咆哮と同時に、ジオウはドライバーにセットされたジオウライドウォッチを分離させ、ジカンギレードのスロットに装填する。

腕時計のベルトを模したライドウォッチスロットから、ギレードエッジにライドウォッチの持つエネルギーが供給されていく。

 

【フィニッシュタイム!】

 

ジオウも迎え撃つかのようにジカンギレードを構える。

そして、光線に自ら突っ込んだ。

ベヒモスジャマトの光線とジオウのジカンギレードが激突し、拮抗した力が閃光を生み出す。

 

【ジオウ!ギリギリスラッシュ!】

 

「ジャアアア!?」

 

ジオウがジカンギレードのトリガーを握ると、時計の如き軌跡で光線ごとベヒモスジャマトの角を斬り飛ばす。

角から噴き出す黒い血しぶきに紛れて、ベヒモスジャマトが悲鳴のような唸り声を上げた。

その次の瞬間、血しぶきの影から触手がジオウとディケイドを捉えようと伸びてきた。

しかしジオウは即座にジカンギレードをジュウモードに変更し、伸びてきた触手を撃ち落とす。

 

「――はぁっ!」

 

ディケイドはライドブッカーで別の触手を斬り払いながらジオウに声をかける。

 

「ハジメ!一気に決めるぞ!」

 

「分かった!」

 

ジオウはウォッチをドライバーへと再装填し、ディケイドは一枚のカードをドライバーに叩きこみサイドハンドルを押し込む。

 

【フィニッシュタイム!】

 

【FINALATTACKRIDE!DE-DE-DE-DECADE!】

 

ジオウがジオウウォッチのスターターを押し込む。

続いてドライバーのリューズを叩き、再びジクウサーキュラーを回転させる。

回転運動により、ライドウォッチのエネルギーを加速して増幅させる。

ディケイドとベヒモスジャマトとの間に十枚の光のカードがズラリと並ぶ。

時をも砕き、全てを破壊する一撃の準備が今ここに整った。

 

【タイムブレーク!】

 

「「ハァァァアア!」」

 

ジオウの足の裏に書かれている「キック」の文字がベヒモスジャマトの動きを封じ込める。

跳躍したジオウの足へと収束していき、インジケーションアイの「ライダー」と共に「キック」の文字が光を放つ。

ディケイドの身体がカードを通過するたびに、速度が上がり、エネルギーが蓄えられる。

文字通り二人の『ライダーキック』が、ベヒモスジャマトの僅かな抵抗も許さず炸裂した。

 

「ジャァァァァァアアアアアアッッッ!!!!」

 

ベヒモスジャマトは悲鳴を上げながら大爆発を引き起こし、後には黒く焦げ、抉れた石橋しか残ってなかった。

 

「す、すごい…」

 

香織が呆然とベヒモスジャマトがいた場所を眺め、次いで着地した二人の仮面ライダーを見る。

香織に治療され、目を覚ましたメルド団長も信じられないという表情を浮かべていた。

 

「へへっ」

 

「やったな」

 

ディケイドがゆっくりとジオウの方に歩み寄る。

二人は互いに手を掲げ、空中で掌を合わせた。

 

「か、勝ったのか?」

 

「勝ったんだろ……」

 

「勝っちまったよ……」

 

「マジか?」

 

「マジで?」

 

クラスメイト達も皆、呆然とベヒモスジャマトがいた場所を眺めている。

 

「流石です、我が魔王に士殿。まさか初陣でベヒモス、しかもジャマトの寄生体を撃破するとは…」

 

ウォズが二人に近づきつつ、微笑みながらそう言った。

ようやく倒した実感が湧いたのか、ジオウの強張った身体から力が抜ける。

そして、ウォズと香織の方を向くと親指を立ててサムズアップした。

 

 

この時、この場に居た全員が油断していた。

ポーンジャマトは奈落に落とされるか倒され、ベヒモスジャマトも倒された。

この場に居た全員が後は階段を上って地上へ戻るだけだけだと考え、安心していた。

だからこそ、突然の襲撃に対処できなかった。

 

 

空間を裂きながら、天井の方から銀光を纏った何かが飛来する。

それは一直線に駆け抜け、無防備なジオウの背中を大剣で斬りつける。

 

「ぐあっ!?」

 

ジオウは痛みに呻きながら咄嗟に、襲撃者へと向けてジカンギレードをジュウモードに変形させ発砲するが、その弾丸はすべて空中で回避される。

ディケイドが謎の襲撃者を追おうと、ライドブッカーからゼロワンのライダーカードを取り出す。

 

「がァッ!」

 

だが、その直後襲撃者はもう一振りの大剣でディケイドの右手のライダーカードを弾き飛ばす。

両手に持つ白い鍔なしの大剣の強烈な突きでディケイドの身体はピンボールのように弾き飛ばされた。

弾き飛ばされたディケイドの身体が階段に激突し、鈍い衝撃音が響いた。

 

「がはっ…!」

 

そのあまりの衝撃に強制的に変身が解除され、意識を失う。

襲撃者は即座に標的をジオウへと変え、右手の大剣でジカンギレードを弾き飛ばす。

守るものを失ったジオウは銀色の魔力光を纏った二メートル近い大剣の連撃を叩き付けられる。

その衝撃でジオウは強制的に変身解除され、ハジメの体が橋の上から弾き飛ばされた。

そして、クラスメイト達の静止を振り切りその後を追うように香織が飛び降りる。

ハジメは香織を放さないようにしっかりと抱き寄せて、二人奈落に落ちていった。

 

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