かつて、日本を破滅から救った三好将和。その将和もとうとう老いには勝てず、妻夕夏と共に永眠した。
「夕夏、あの世でもよろしく頼むよ」
「任されたわ貴方」
「暫くしたら私もそちらに行きますよ」
息を引き取った二人に美鈴は涙を流しながらそう呟くのであった。
老衰による静かな死――それは、三好将和にとって穏やかな終幕だった。
かつて日本軍人として太平洋戦争を講和で終わらせ、歴史を変えた男。
その功績は神々の目にも留まり、彼の魂は新たな世界へと導かれる。
「お前の功績、見事だった。褒美として、次なる世界での生を許そう」
神の声は、どこか人間味を帯びていた。
「因みにどの世界へ?」
「幻想郷だ」
「あっ(察し)。なるほど」
将和は目を細め、静かに問い返す。
「因みに弾幕ってのは、野球みたいにバットで打ち返せたりする?」
「理論上は可能だが、魔力や霊力の性質による。万能ではない」
「なら、ゼルダのリンクの装備一式をくれ。特にマスターソードは頼むぞ」
「銃火器はいいのか? そちらの方が使い慣れてると思うが」
「殺し合いは禁止のスペルカードルール、だろ? それに、弾薬の補充もできん。幻想郷に合った装備の方がいい」
神は笑いながら頷いた。
「よかろう。勇気のトライフォースもつけといてやる」
こうして、三好将和は二度目の転生を果たす。
目を覚ました先は、霧深き幻想郷――その境界に立つスキマ妖怪、八雲紫が待ち構えていた。
「幻想郷へようこそ」
「こちらこそ、八雲紫。俺は三好将和、見てのとおり人間だ」
「事情は聞いてるわ。よかったら…博麗の巫女、やってみない?」
「禰宜の間違いだろ。働き口に困ってたところだ。衣食住が保証されるなら、異変解決は請け負おう」
「契約成立ね」
その後、博麗神社に赴いた将和は、そこで一人の少女と出会う。
赤と白の巫女装束に身を包み、どこか気だるげな瞳をした少女――その名は博麗霊夢。
「あなたが新しい…巫女? いや、禰宜?」
「三好将和だ、よろしく頼む。共同生活になるらしいな」
霊夢は将和をじっと見つめ、ぽつりと呟いた。
「あんた…不思議な能力を持ってるのね」
「どんな能力なんだ?」
「それは…まだ、わからない」
こうして二人の生活は始まった。
朝の博麗神社は、静かで心地よい風に包まれていた。
境内の木々が揺れ、鳥のさえずりが響く中、将和は縁側で雑巾を絞っていた。
「霊夢、床拭き終わったぞ。次は…台所か?」
「うん、ありがとう。私は洗濯物干してくるから、炊事はお願いね」
霊夢は巫女装束の袖をまくり、洗濯籠を抱えて裏庭へ向かう。
その背中は、戦う巫女というより、どこか家庭的で柔らかい雰囲気を纏っていた。
(ま、異変がなきゃ家事が日常になるわな……)
将和は台所に立ち、薪をくべて火を起こす。
マスターソードは神棚に立てかけられ、まるで日常に溶け込んだように静かに佇んでいた。
「…でもまあ、戦場よりも、こっちの方が落ち着くな」
味噌汁の出汁をとりながら、将和はふと呟いた。
霊夢が戻ってくると、湯気の立つ朝食が並んでいた。
「…意外と手際いいのね。軍人って、料理もできるの?」
「戦地じゃ自炊が基本だったからな。あと、神社の生活は意外と性に合ってる」
霊夢は少し笑って、箸を手に取った。
「…悪くないわね、こういうの」
将和と霊夢は、お互いに家事を分担しあいながら順応した生活を送っていた。
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