朝焼けが幻想郷を染める頃、博麗神社の空は異様な紅に染まっていた。
空気は重く、視界は霞み、まるで世界が血の霧に包まれたかのようだった。
「これは…異変ね。久しぶりに来たわ」
霊夢は空を見上げ、眉をひそめる。
将和はその隣で、マスターソードを背に静かに立っていた。
「異変ってのは、こんな風に始まるのか」
「ええ。紅霧は吸血鬼の仕業。たぶん、紅魔館のレミリア・スカーレットね」
将和は霊夢の横顔を見つめる。
その瞳には、迷いも恐れもなかった。ただ、幻想郷を守る者としての覚悟が宿っていた。
「行こう。俺も一緒に行く。剣が必要なら、使ってくれ」
霊夢は一瞬、驚いたように将和を見た。
そして、ふっと笑う。
「…頼もしいわね。じゃあ、私の背中は任せたわよ」
二人は空へと舞い上がる。
霊夢の「空を飛ぶ程度の能力」を将和は共有させて貰ってるので、空中飛行は自由自在だった。
霊夢は御札を操り、将和は剣を構えて、紅霧の中を突き進む。
道中、妖精たちが霧に惑わされ、暴走していた。
将和は剣で弾幕を打ち返し、霊夢は札で浄化する。まるで、剣と札の舞踏のようだった。
「将和、右から来るわ!」
「任せろ!」
将和は霊夢の声に反応し、剣を振るう。
霊夢は弾幕が来ないその隙に、夢符『封魔陣』を展開し、敵を一掃する。
二人の連携は、まるで長年の戦友のようだった。
やがて、紅魔館の門が見えてきた。
その前に立っていたのは、銀髪のメイド――十六夜咲夜であった。
「おや、珍しい組み合わせですね。巫女と剣士。お嬢様が喜びそうです」
霊夢が前に出る。
「咲夜、レミリアに伝えて。異変を止める気がないなら、力づくで止めるって」
咲夜は微笑みながら、懐中時計を取り出す。
「では、少しだけ時間を止めさせていただきますね」
時が止まる。
だが――将和の剣が、時の狭間を切り裂いた。
「なっ…!? 時の停止を…破った…?」
「俺の剣は、時空を越える。ゼルダの世界で学んだ技だ」
鬼に金棒とはこういうことだろう。
ことに退魔の剣の異名は伊達ではなかった。
咲夜は驚きながらも、笑みを深める。
「面白い…では、全力でいかせていただきます」
紅魔館の門前で、激しい弾幕勝負が始まる。
霊夢と将和、そして咲夜――三者三様の美しい戦いが、紅霧の中で繰り広げられる。
咲夜との激戦が続く中、紅魔館の門が突如、轟音と共に開かれた。
「待ちなさい、咲夜さん! その戦い、私も加わります!」
紅 美鈴が駆けつけた。
その姿は、門番としての誇りと、仲間を守る強い意志に満ちていた。
「美鈴…来たのね」
霊夢が目を細める。
将和は剣を構え直し、二人の気配を読み取る。
「二対二か。面白くなってきたな」
美鈴は拳を握り、気を練る。
その周囲に、龍の気が渦巻き、地面がわずかに震えた。
「私は門番として、紅魔館を守る。それが私の役目!」
咲夜が時計を構え、霊夢が札を展開し、将和が剣を振る。
四者四様の戦いが、紅霧の空の下で始まった。
札とナイフが交差し、拳が風を裂き、剣が空を斬る。
幻想郷の美しさと激しさが、まるで舞踏のように織りなされる。
美鈴は将和に向かって突進する。
拳に宿る気は、龍の咆哮のように鋭く、重い。
「はああっ!」
将和は剣を構え、瞬時に踏み込む。
「見切った…!」
マスターソードが、美鈴の胸元をかすめるように斬った――その瞬間、彼女の動きが止まった。
「うっ…!」
だが、血は流れなかった。
美鈴は驚いたように、自分の体を見下ろす。
「斬られた…のに、痛くない…?」
将和は静かに答える。
「この剣は、悪しき心を持つ者しか斬れない。お前には…その心がなかった」
美鈴は目を見開き、そして――自分の衣服が斬れていることに気づいた。
「きゃっ…! ちょ、ちょっと…!」
胸元が露わになり、彼女は顔を真っ赤にして慌てて隠す。
霊夢は咲夜を倒した直後で、将和と美鈴の様子を見ていた。
そして、静かに――じと目を向ける。
「…何やってんのよ、将和」
「いや、違うんだ。狙ったわけじゃ…!」
美鈴は胸を覆いながら、そっと後ろに下がる。
咲夜も苦笑しながら、時計をしまった。
「ふふ…美鈴らしいわね。でも、助かったわ」
霊夢はため息をつきながら、札をしまう。
「異変はまだ終わってないけど…とりあえず、ここは収めましょうか」
将和は剣を納め、空を見上げる。
紅霧はまだ晴れていない。だが、確かな絆が、そこに生まれていた。
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