記憶喪失問題児と紅い実験者   作:Lan9393

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ヴァース「バトンを届けにきたよっ!」

あ、お疲れ様ですー。

ヴェルディ「ペットだな」
理桜「ペットだね」

ペットですね。

狐火「え?!ぼ、僕はペットじゃないですよ!?・・・あ、でも霊夢様のだったら理由になるから・・・・ううーん・・・」

ま、まあありがとうございます。

ヴァース「では~」

・・・じゃあ、十五話、どうぞ!


十五話:気がつけば・・・

ヴェルディSido

 

「・・・あはは、思い切り現実突きつけられちゃったなぁ」

 

  部屋の外。人の少ない廊下で、ノアは壁に寄り添いながらズリズリと座り込んだ。

俺はその隣に立ち、壁に寄りかかってノアを見下ろす。

 

「苦しいか?」

「うん。レミィ・・・レミリアは、僕が天使だろうと気を良くして話してくれた子なんだよ?ただの部外者に・・・赤の他人だって言われたことにちょっとね」

 

笑いながら、ノアはそう言う。

笑うのか・・・苦しいのに。

ため息をつきながら、俺は投げやりに言ってやる。

 

「しかたないだろ。ここは俺らの知る幻想郷じゃない」

「知ってるよ。だからなおさら、ね。僕の大好きなレミリアはここにいないんだもん」

「じゃあ諦めろ。帰る方法探して、さっさと帰る方がお前にとっては希望のある道だ」

「あーあ、ヴァルに慰められちゃった。君も、フランの名前聞いて大丈夫なの?」

「・・・会えないんならいいさ。会わないほうがいい。今度こそ俺は殺そうとするだろうな」

 

自分の手を握りながら、それをみる。

ノアはまた苦笑した。

 

「ジルちゃんは殺さないくせに?」

「黙れッ!!」

 

つい、叫んでしまう。

あのうざったい妖精メイドとやらのいない廊下は静かで、俺の声はすぐ響いて消えた。

ノアの驚いた顔を見て、壁に寄りかかっていたのをやめる。

 

「・・・ついていけない」

「だろうね。ま、僕も君も状況は同じさ。そっち行ってどうするの?」

「ふん、お前には関係ない。優等生なお前には、な」

 

最後の一言が聞こえたかなんて気にする必要もない。

後ろから呼びかけるような、忠告するような声が聞こえたが、聞かなかったことにする。

これ以上、俺は声を荒げたくないから。

 

  ・・・俺は紅魔館の外へ出る。

ノアの心配をしている暇はない。

落ち着かない俺はトマホークを呼び出し、紅魔館の敷地内から出る。

 

「・・・この野郎!」

 

大地を穿つ投げ斧。

うまくいかないことへの怒りが込められた斧はブーメランのように俺の手元へ戻ってくる。

ノアならば、この怒りをどこか別のことで発散するのだろう。

たとえば、誰かをいじるだとか、仕事をするだとか。

優等生なら、何かを理不尽に傷つけることをよしとしないだろう。

 

———だからか、余計にイラついた。

 

「・・・フランの愛だって、所詮子供の勘違い。落ちこぼれな堕天使を好く奴などもう、居ないだろう。・・・あんなにいいやつがそばにいるのに、そっちに目が向かない方がおかしい」

 

つぶやくように俺は言った。

紅魔館前のえぐれた大地に立ち、ぼんやりと前をみる。

羽はもう痛くない。今なら飛んで冥界に行ける。

 

「・・・」

 

なんで、だろう。羽も足も動かない。

まるで紅魔館から離れたくないみたいに。

ふんわりと、光が暖かさをもつ。

 

「・・・光、か」

「ちょっとーーー!出て行くつもり?!」

 

また独り言をつぶやくと、タイミングがいいのか悪いのかわからない時にジルシーアが叫びながら俺の元へ来る。

ノアに俺が出たって聞いたんだろうか・・・?

どうせ、放っておけないとかじゃなく自分のためなんだろうが、わざわざ声をかけるとか・・・なんだか笑える。

 

「なんでお前来た。部屋に行ったんじゃ・・・」

「ノアが部屋の前でグチグチグチグチ言うからよ!追いかけろだのなんだの!」

「ほう。それは気の毒だったな」

「あんたのせいよっ!」

「それくらいでくるなんて、お前は大丈夫か?そもそもがノアを殴ってでも止めさせれば良かったろう」

「・・・あっ」

 

やっぱりノアか。あいつ、叫んだ俺に嫌がらせか・・・?!

なんでそもそも、ジルシーアを呼ぶ?あいつ、部屋知ってるのか?

・・・ジルシーア、か。なんで叫びながら来るんだか。

思えば、人のことをここまで意識するようになったのなんてノア以降だったか?フラン、は・・・まあ置いておこう。

今の俺は・・・なによりも暖かいジルシーアの笑顔が見たいなんて思ってしまっている。

しかし、俺はこいつを不愉快にさせているようだから願っても意味はないと思うが。

そうやって思考の中でどう考えていても、体は勝手に動いてしまうもので。

俺は近づいてくるジルシーアを抱き寄せた。

 

「・・・へ?きゃぁ?!な、なにすんの・・・よ?」

 

途端に藻掻くジルシーアがこちらを見上げる。

すると驚いたような顔をした。

 

「なんで泣いてんのよ」

「・・・は?」

「は?じゃないわよ、ほら」

 

すいっとジルシーアの手が伸びる。

その時気づいた、涙を、俺が流していることに。

これは・・・あれだな。ジルシーアが・・・。

ん?ジルシーア、が?

 

「っはは、嘘だろ・・・おい」

「知らないわよ。あんたが何を思ってたのか知らないけれど」

「・・・悪い」

 

俺は素直に謝る。

なんでだろう、ふと出た言葉がそれだった。

 

「きゅ、急に謝ってどうしたのよ?」

「お前にずっと嫌な態度をとってきた。だから・・・かな」

「・・・改めて謝られても」

「俺はできる限りお前のそばを離れないつもりだ。まあ、まだ冥界には行かない。償いというか・・・お前に許して欲しいから。笑って欲しいから」

「は?!」

「・・・」

 

・・・なんてことを言っているのだろう、俺は。

微妙に顔を赤らめたジルシーアに、俺自身も気恥ずかしくなり、そっぽを向く。

思ったことだだ漏れじゃねぇか・・・!

 

「あ、ヴェ、ヴェル・・・」

「いや、何も言うな。できる限り、だから紅燗緋奈にいったような四六時中とかではっ、ない!」

「え?あ、そう」

「ああ、うん。・・・・えっと、それじゃあな!」

 

どことなく焦りや羞恥が俺を紅魔館へと走らせる。

ああもう、俺はなにがしたいんだっ!

この世界にきて、俺は初めて顔が熱いと感じた。

これはきっと・・・なんて考えてそれを振り払う。

 

(ありえない!あいつに・・・あんな緊張するなど、ありえないのに!)

 

物置部屋へ入り、適当な場所に座り込む。

あぐらをかいて頭を抱える。

 

 

———その日は一睡もできなかった。

 

——————————————————

 

理桜Sido

 

  部屋のベッドにダイヴして、すぐに眠りについた俺は、変な夢を見ていた。

薄暗い小屋。寒い風が体を吹き付ける。

近くからは猛獣の声がする、のに嫌に落ち着いている。

それは左手に感じるぬくもりのおかげなのだろうか?

俺の隣には、俺と何処か似ている少年の姿があった。

 

『兄さん、大丈夫だよ。また兄さんが、兄さんの能力で頭を潰せばいいんだ。そうしたら、今日も熊肉にありつけるよ』

 

にっこりと、生気の感じさせない表情で少年は言った。

『兄さん』?

俺は、弟がいたのか?

 

『うん、そうだね~!りすとかうさぎとか、食べ飽きちゃったもんね』

 

口が勝手に動く。

そうじゃない、俺とは違う誰かがしゃべっているんだ。

まるで、俺とシルエットが重なっているかのような、そんな感覚。

自分から声は出ているのに、自分とは違う誰かの声。

自分から動いているように錯覚するのに、自分とは違う誰かの動き。

気味が悪かった。

 

『あはは、久しぶりの豪勢ができるよ』

『うんうん。さて、そろそろ来るよ、詩季~』

『りょーかい!いつもの通りにね!』

 

そうやって言葉を掛け合うと、俺らは・・・いや、彼ら二人は笑って立った。俺もつられて立つ。

俺と重なっていたシルエットはだんだん人の輪郭を持ち始める。

鏡でふと見た俺とそっくりなシルエットは、首にまいているのかバンダナで口元を覆うようにする。

そのバンダナも色が褪せていて薄汚い。ざっと見て一ヶ月、二ヶ月は洗っていないだろう。

よく見ると、彼らの手が赤く染まっていた。

『いつもの通り』なんて軽く言う少年らではあるが、その手を見るに、何匹も何匹も生物を殺していったんだろう。

心を塞ぎ切ったように笑みに喜びや楽しさと言った感情は一切見られない。

 

『さ、来たよ』

『おーけー!』

 

ぐちょっ

 

嫌な音は小屋中に響いた。

返り血というのか、赤黒い液体はこれまた塗り途中の赤いペンキが塗られた小屋に飛び散る。

勿論、そこにいるのだから、彼らもそれを浴びてしまう。

 

『よし!じゃあ剥ごう!剥いで新しい毛皮であったかくなろう!』

『それで、美味しい熊肉を食べよう!火なんてないから美味しいかわからないけど、食べよう!』

 

俺はその会話に吐き気を催した。

生で、肉を食べていたというのだ・・・。今の俺では考えつかない生活。

少年たちは、熊に手を伸ばし、皮を握り、一気に裂いたのだ。

そしてその中の肉にかぶりつく。

 

『兄さん、・・・リオ兄さん!』

『しっ』

 

熊の頭を潰した少年は『リオ』というらしい。

・・・俺の、小さいころの思い出、なのか?

 

『あれ?紳助さん、こんなとこに小屋なんてありましたっけか』

『いやあ、私の記憶にはないね。ちょっと入って見ようか———』

『うわ、すごい有様だな・・・あ、人!大丈夫かー?!』

『この熊、首がない・・・何をしているんだ?!』

『・・・見られちゃったなぁ・・・死んでよ』

 

そして、男たちに手を延ばして、男は銃を構えて——。

 

 

 

「っはぁ!」

 

ガバリ、と勢いよく起きた。

どうしようもなく怖くなる。背中が凍っているような感覚。

 

「・・・はぁ、はぁ・・・ダメだな、俺」

 

自分が、撃たれた?

服を脱ぎ捨てあちこちを見やる。

そんな跡はどこにもない。

くしゃりと前髪を握り、俯く。

ふと手を見ると、どうしても血に染まった手を思い出してしまう。

今現在も血に汚れている気がするのだ。

 

「・・・出ようかな。ここのじゃない空気吸いたい・・・ちがうな、寝たくない」

 

服をきて、外へ出る。

白玉楼前の階段に立ち尽くし、そこを降りるかどうか悩む。

 

(・・・ダメだよな)

 

はぁとため息ついて、階段に座り込んだ。

ここにいたら、またあの影がくるんじゃないか?

いいや、あれはまだこないとしても、別のやつが・・・・。

ぼぅっとしていれば、口が動く。

 

「・・・俺、どうすればいいんだろ」

 

何をしたいのか、全く決まっていなかった。

考えていたはずなのに、再びぼんやりしてしまう。

刹那、目の前の景色が違うものへ差し替えられる。

 

『あっはは!やっぱり緋乃くんって面白いなぁ~』

『おいこら理桜!ばっかやろ、そんなからかうな!』

『い~や~よ~♪』

 

・・・今の俺となんら変わりない男たちのふざけあう景色。

その中にはあの病院で話しかけてきた男も居て・・・。

はっと気がつけば階段からの景色に戻る。

 

「なんでこんな夢とか見るんだろう・・・」

 

見たくない夢。あんな凄惨なものを見せられるくらいなら、夢なんかでみたくなかった。

首を振って夢のことから意識を変える。

 

「うーん。話し戻そうかな」

 

俺のすべきこと、か。

そこで俺は緋奈ちゃんを思い出した。

 

「・・・緋奈ちゃんを、守る。緋奈ちゃんのそばにいる・・・かな。前者はわからないけど、後者ならできる気がする」

 

なぜかはわからないけど、強く、強くそれを願う。

もう、抱き寄せたりすることはできないだろうけど。

手を握って、ズボンのポケットに隠すように突っ込む。

 

「・・・寂しいなぁ、触れられないの」

 

誰かの手を、体を汚すわけにはいかない。

俺は今、そう決めた・・・。

 

「・・・緋奈ちゃん、か」

 

何で俺は緋奈ちゃんにこだわるのだろう?

本来であれば、記憶を取り戻す!というのが目標になるのではないか?

というか、あんな過去があるんなら、俺の思考が勝手にそれは知らない方がいい、なんて判断してるんだろう。

だから残った選択肢が——。

 

(本当に、そうなのか?俺は過去を知りたくないなんて理由で緋奈ちゃんの話題をあげてホッとしてるのか?・・・まったく、ここまで意識するとなるとはね。ん?まさか俺は———)

 

・・・ああ、うん。

自分で思っといて、恥ずかしくなるなんてバカみたいだろ、俺・・・。

体育座りのままうずくまる。

 

「・・・いつから、なんだろう・・・守りたいなんて思ったのは」

 

答えなんて出ない。気がつけばそう思っていたのだ。

彼女を守らなきゃ、そばにいなきゃ、なんて使命感。

・・・迷惑だろうに、家出しようとしたのに今もここにいる。

 

「まっ、深く考えないでいいか!」

 

立ち上がり、伸びをしてバランスを崩す。また座り込んでしまった俺は笑ってしまった。

追いかけてきたらしいセツが俺の肩を通過して、膝に着地した。

そのあと、セツの体を撫でた。 

純白の毛並みが、どこか赤くなった気がする。 




勢いで書いたらこうなった。

ヴェルディ「なぜ俺は・・・」

しかたないしかたない。

理桜「僕の記憶に関するのはいるのか」

はっきり言えばいらない。でもほら、血に汚れている手、さ。
仲良くなれるきっかけになりそうじゃない!?

理桜「ダメだこりゃ」
ヴェルディ「理桜はあからさまに避けるようになって紅燗緋奈が・・・みたいなのを想像したのか?バカバカしい」

ひどう!
まあ、今回の理桜のお話で大事なのは緋奈さんへの態度が変わる・・・(?)ってとこですね。
やや強引ですが・・・。

理桜「朝のテンションと夜中のテンションだからなぁ・・・ちゃんとおかしくないようにしてるよね?」

できる範囲でなら。
ヴェルディのお話をもうちょいと別なのにしても良かったんですけどね・・・。
これ結構いいなって思うとめんどくs・・・変えたくなくなって・・・。
ジルシーアさんが引っ張り出された理由をつけたしました(キリッ

ヴェルディ「ノアのセリフだけで動くか?なんて考えたのか?」

考えました。はい。
ま、そこらへんはノアさんの話術次第ですね。

ヴェルディ「・・・そんな設定あったっけか?」
理桜「無いねぇ」

・・・これ以上はやめてください(汗
じゃあ、バトンを渡しましょう!

ボゥッ(←バトンに火がつく)

「「「ぎゃぁあああああ?!」」」

狐火「・・・・運びますね」

え?あ、うんどうも・・・。


理桜「・・・怒ってる」
ヴェルディ「妖夢と同じくらい怖いな」
理桜「うう、ブルブル・・・」
ヴェルディ「じゃ、じゃあヴェルドールさん、任せたぞ」
理桜「では・・・ブルブル・・・」

あ、セリフ取られた・・・。
ヴェルドールさん、すいません!!
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