donata?!
?「はい、渡しました!では~」
ヴェルディ「・・・というわけで、十六話。どぞ」
理桜Sido
「・・・りーおー?」
気がつけば朝だったようだ。
俺はとりあえず意識をはっきりさせようと、俺の肩を叩く手を掴もうとして———–甘噛みする。
その悲鳴が聞ければ目覚めるし・・・。
「うわっ!?理桜!?」
「ん~?あ~、緋奈ちゃんかぁ、おはよう~」
思考とは裏腹に、気の抜けたような眠たげな声が出る。
緋奈ちゃんの口元がヒクッと動いた気がした。
うん、何のことかわからないな。
「ふー。やっと朝かぁ」
「理桜、ずっと外にいたの?」
「んー・・・まあね。外で寝るのとか、座って寝ることなんて『慣れてる』しさ。むしろ、ベッドで寝るのが慣れないんだよ」
「え・・・」
「・・・まあ、ここは落ち着くから寝れるんだけどさ。危険もないし」
緋奈ちゃんの顔を見ながら、俺はケラケラと笑う。
緋奈ちゃんはなんだか困ったように眉を寄せると、口を開く。
「理桜、ご飯だよ」
「おお!そうだったね!朝食があった!」
「・・・理桜?なんか、変だよ」
「んー?あはは!そうだとしたら、昨日見た悪夢のせいかもね!じゃあ、食べに行こうか!」
(・・・聞かれても、答えてあげたくないけど)
俺は緋奈ちゃんに聞く暇も何も与えず笑って歩き出す。それに焦った緋奈ちゃんが俺の腕を掴む。
「・・・!」
咄嗟に俺はその手を振り払った。
急すぎて頭が追いつかない。
俺も緋奈ちゃんも、そのままの体制でストップしていた。
「え・・・あ、ご、ごめん」
「・・・行こう?」
戸惑う緋奈ちゃんに、俺は笑いかけた。
さっさと歩いて行く。
「・・・ごめんは、こっちのセリフなのに、なぁ」
そっと手を見やる。
赤い、赤い手。服の裾で隠しても、赤いのが裾に染み付いてしまったように見えて・・・。
俺は同じく赤に染まった手でその手を握る。
・・・きっと、きっと、この体自身が汚れてるのかもしれない。
緋奈ちゃんがどんな人であれ、俺が原因で血の匂いをつけてしまったら大変だ・・・。
「・・・緋奈ちゃんって安心するな」
さっきだって手を取ろうとしてしまった・・・。迂闊だった。
なぜか、俺は緋奈ちゃんに対してものすごく気を許している。だから、あんな失態を犯しかねない状況になったり、悪夢のことをポロリと口にしてしまうんだ。
あれは、いけない魔法でも使われているに違いない。
そうだから、守ったりとか思っちゃうんだ。多分。
・・・ん?手を取ろうとする前に、何かあったんじゃなかったか?
肩に触れた、ぬくもり・・・。
ハッとする。もしや、緋奈ちゃんの手はすでに————…。
「・・・!緋奈ちゃん!」
俺は咄嗟に振り返る。
首を傾げてなにやら考えていた緋奈ちゃんがびっくりしたようにこちらを見た。
「へっ?なに?」
「君の手は赤くなってない?!」
「な、なってない・・・と思うよ?!」
「・・・よかった」
俺はひどく安心したように息を吐いた。
緋奈ちゃんは未だ「?」を浮かべているようで、俺を見上げている。
「・・・」
「い、行かないの?」
「え?ああ、いくよー。でもね・・・今日はいいや」
「・・・え?理桜?」
「今日のご飯、丸っといらない~。そう彼女に言っておいて~」
「う、うん」
俺は白玉楼とは正反対の方向・・・つまり、階段を降りた。
その時に、俺の肩が掴まれる・・・前に、彼女の手がふわんと上へ伸びた。そこに俺の肩は無い。
「ごめんね、触らないで?・・・」
「でも、どこへ・・・」
「大丈夫、食事を調達するだけだからさ」
「・・・理桜、食べに行こう?」
「ダメだよ。もう、俺は必要最低限の物しか触れない」
「・・・」
笑って彼女の表情を見なかったことにする。
そんな顔、しないでよ。辛そうな顔をしないで。
「ただ・・・山へ行けば、同じ末路を辿った弟が居るだろうってだけなんだけどね!まあ緋奈ちゃんがそこまでいうなら仕方ない、また後日改めることにするよ」
「・・・理桜」
緋奈ちゃんの声が聞こえた。俺を呼ぶ声。
俺をただ呼ぶだけの声。止めるわけでもなく、誘うわけでもなく。
ただ音にしかならない声が俺の耳にまで届く。
「んー?」
「なんでもないや。あ!そろそろ怒られちゃう!」
「うひゃー。勘弁してよ~」
俺らは白玉楼へ向けて走り出した。
ただ俺がとても軽い気分でないまま緋奈ちゃんを一瞥したのは、何も意味はない。
朝食、食うべきなんだろうけどなぁ・・・。
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ヴェルディSido
朝、スッキリと目が覚めたが真っ暗闇で所在地がわからない。
たしか紅魔館の倉庫に転がり込んだと思うが・・・。
明かりや窓がないらしく、そこはただ暗いだけ。
懐中電灯やらがあればここでどうのこうの出来るんだろうけど、な。
俺はポワンと天力を集める。
天力はいわゆる気であるが、使いようによっては明かりとして使うことも可能・・・ということを今思い出した。ノアがそう使っていたのを知っている。
ドアを見つけ、俺はそちらへ歩いていく。
それを開けると何かがぶつかった音。
「・・・あっ」
「・・・」
そこには額を抑えるジルシーアがいた。
俺は冷や汗をかく。
目を閉じ、ふぅっと息を吐くとそいつを放ってスタスタ歩く。
すると、後ろから殺気とともに足音が聞こえた。
「まーちーなーさーいー!!」
「だが断る」
そもそもが、ジルシーアに合わせる顔がないっていうのに待ってられるか。
昨日のことを思い出すと今でも気恥ずかしくなる。
・・・離れない、だっけか。
早速違えるつもりはない。俺はくるりと振り返る。
「へっ」
「ほら」
手を広げて待ってやると、止まれなかったジルシーアが飛び込んでくる。
いや、まあ飛び込んでくるっていうよりは突撃してくるのほうが正しいか。
「なっ、なななななな!?」
「・・・どうした?」
「・・・べ、別に」
顔を赤くしたジルシーアがごそごそと動く。
・・・はっきり言ってウザったい。
逃げようとしてるんだろうが、それはあまり良くない。
殴られるから・・・というのが理由だ。
「それで、何の用だ?」
「・・・ああ、えっと、食事よ・・・・ってわかってるわね?!」
「まあ、この時間帯で食事じゃなければなんなのか知りたかったのでな。朝っぱらから追いかけっこじゃつまらないだろ」
苦笑しながら腕の中のジルシーアを見下ろして言う。
ジルシーアは一瞬言い淀んだが、特になにもなく言った。
「・・・そうね。ほら、離しなさいよ。動けないじゃない」
「・・・殴らないと誓えるか?」
「あなたは私を何だと思ってる訳?」
青筋を立てながらジルシーアが笑った。
俺は無言で首を振る。
下手したら殴られそうだな、この勢いは。
「それで、行くんだろ?・・・食堂」
「ええ。行くわよ。いかない、とかでも思ったの?」
「まさか・・・・ほら」
トン、とジルシーアの背中を叩き、行け、と促す。
ジルシーアはため息をついて歩き出した。
「・・・ふぅ。緊張するな」
頭を掻いて俺はジルシーアが離れた時、ボソリと呟いた。
その後、俺もまた食堂に向けて歩き出した。
あの後のお二人の態度がどう変わったか・・・ヴェルドールさん、お任せします。
ヴェルディ「おい、人任せかよ」
理桜「まあまあ。僕としてはそういう点じゃなくてね?」
「「??」」」
理桜「ハヤクボクハヒナチャンノケアヲシタイナァ・・・?」
ひぃっ!!ケア?!ケアって?!
理桜「ココロノケア・・・ソウイウノジャナクテモイイカラハヤクマモリタイヨ・・・」
う、うん!わかった!善処する!
緋奈さんがんばれーーー!!
理桜「・・・と、いうわけで、バトンは・・・はい、届けておいでヴァル!」
ヴェルディ「誰がその名で呼べと言った」
ノア(理桜)「え?僕だよ?」(顔を引き剥がすとノアが)
「「いやぁああああああ?!」」
理桜「ちなみにセリフは僕が言ってたよ~。じゃ、ヴェルディくん行ってら~」
ヴェルディ「あ、ああ・・・」(スタスタ…)
ノア「あ!そっち違う方向!ちょっと、ヴァル?!」
理桜「あっち!あっちだから!」
ヴェルディ「ん?ああ、すまない………」
「「そっちじゃなあああい!!」」
・・・楽しそうだなぁ。
えーっと、それじゃあお任せしますね、ヴェルドールさん。
では~!