いたい!!
ヴェルディ「サンキュー。じゃあ戻ってくれ」
ケルベロス「♪」
・・・・なんであの子はヴェルディに優しいのだろう
ヴェルディ「さあな」
理桜「天使のオーラの違い、かな・・・」
ヴェルディ「うっさい。二十一話だ、いくぞ!」
理桜「へーへ。どーぞ!」
理桜Side
1、2、3で刀を振る。
リズム良く、舞うように振り上げ、振り下ろす。
感覚を知りたいと聞いたら、「それこそ蝶のように舞い、鉢のように刺す」と返されて困ったのは記憶に新しい。
「ワンテンポ遅れた」
「・・・」
「振りが大きい」
「・・・っ」
「雑」
「あーもーうるさいなぁ!」
俺はセツの小言が聞くに耐えず、叫ぶように言い放った。
それのせいか、俺の眼前にあの大太刀が抜き出る。
視線はぶつかる。冷徹な視線からは、「黙って続けろ」と言われているような威圧感。
・・・俺は黙って刀を構えなおす。
勝てやしない、なんてね。
「・・・いいや、休憩だ。お前のお姫さんがそこで見てる」
庭が一望できるそこを指差して、セツがそう言った。
「ひめっ!?・・・ああ、緋奈ちゃんか。一字違いだよセツ」
「さっさといけっ。始める時は呼びかけるからな」
「はいはい、わかったよ」
セツに背中を蹴られてよろけながらも、俺は緋奈ちゃんの元へ歩いていく。
まったく、痛いな・・・。
「あ、理桜。邪魔しちゃった?」
「ううん。丁度いいって顔してたから、よかったんじゃないかな」
「そっか・・・暇だったからきたんだけど」
「暇なの?一緒にやる?」
「い、いいや。理桜は大丈夫?」
「なにが?」
緋奈ちゃんがそこに座ったから隣に座ってみる。
すると、緋奈ちゃんが聞いてきた。
え?大丈夫って?大丈夫だよ、多分・・・なんてね。
キョトンとした顔で緋奈ちゃんを見つめると、緋奈ちゃんと目が合う。
紅の瞳は、こちらを見ていた。
ドキリ、と心臓が高鳴る。
・・・前言撤回、これはなにか違う。
「なにがって・・・。怪我とかはないの?」
「はは。ただの稽古だよ。怪我までしないよ」
「そっか。よかった」
「大袈裟だな」
緋奈ちゃんの頭を撫でながら笑ってあげる。
え?さっきの背中?何も言ってないよ。
「それで、暇を持て余したお姫様はすることあるの?」
「お姫様って、なに冗談言ってるの?・・・ボクは見てるよ」
「了解。緋奈ちゃんがそれでいいならいいんだけどさ」
よいしょ、と勢いをつけて立ち上がる。
「・・・」
「緋奈ちゃん?」
どうやら俺の行動を目で追いかけたらしい。
そんな不安そうな目で見ないでよ。
ふと庭を見やれば、セツがやるきまんまんでそこに佇んでいた。
大太刀を持っている・・・きっと、次は「実践」だの何だの言ってあの大太刀を振りかざしてくるだろう。
「あ、怒ってるかもな・・・」
「えっ」
「ごめんね緋奈ちゃん。いってくるよ」
・・・君を守るために、稽古しなくちゃいけない。
俺は半分だけだが、誓いを立てるために緋奈ちゃんのひたいに口付ける。
そのひたいには赤い血のあと。
目をパチクリと瞬く緋奈ちゃんに笑いかけ、「じゃあね」と声をかけてセツの元へ向かった。
「遅い」
「はいはい、話が盛り上がったの」
「・・・それにしても、随分騎士様気取りじゃないか。柄じゃないだろうに」
「いいだろ。こっちの好きで」
「・・・嫌われるぞ。変に期待させると」
「そうならないことを祈ってて?」
俺は肩を竦めて言ってみせた。
セツもセツで、「そうかい」と諦めたようにつぶやいた。
・・・再び、稽古が始まる。
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ヴェルディSide
暗闇の中に身を投じる。はっきり言ってつかれた。
寝てしまってもいいが、もとよりここに人がいるため寝てない。
人、というよりは天使だろうか。
「やっ、ヴァル」
「・・・なんでここに」
「君が悩んでないかってさ」
「余計なお世話」
「じゃあ、ジルちゃんは僕がもらっていっていい?」
・・・意味がわからない。
こいつは、何故「ジルシーアをもらう」などと口にしたのか?
ぐるぐると思考が回る中、ぷふっと音が聞こえる。
天使・・・ノアが吹いた音だ。
「何でって顔をしているね。わからない?」
「・・・」
「君は悩みすぎだ」
「・・・」
「僕の手伝いをすると奮起していた天使の時の君は愛らしかった。少し過保護で少し野蛮な可愛い弟だと思っていた」
ノアはずいぶん前のことを引っ張り出してくる。
何年前の話だろうか。
「そのことをジルちゃんにいったら、いいなあと返されたよ」
・・・なんで言ったお前は。
そして、何故「いいな」なんだ。
「君がフランを殺そうとした時あったよね」
「・・・まあ、な」
そいつの名前を出されると少し胸が痛い。
「大丈夫」
ノアが俺の頭を撫でた。
撫でるなこの野郎と睨みを利かせる。
しかし、ノアは涼しい、顔。
嫌な予感しかしなかった。
「君がどうしようも無いロリコンだったなんて、ジルちゃんに言って・・・言ってぷふ、ない、ブフォォッ。ないよ・・・!」
「言ってんじゃねぇか!!」
「『そ、そんなはずないよ!ヴェルディがロリ、コ・・・なんて』って言ってたね」
「隠す気ないなお前は!」
俺はつい声を荒げる。
予想通り、と言わんばかりにノアは笑った。
ああしまった。俺は落胆する。
ノった。ノってしまった、俺は。
「用はそれだけか?」
「ううん。本題へいくよ」
「・・・」
今までのはただの茶番か。
「可愛らしい君は一途に僕の手伝いをする、しか言ってなかったよ。悩めばいいのになんて思っていたしまうまでに」
「・・・」
「少しは自分のしたいことをすればいいよ。君はまだ、『いつまで』フランドール・スカーレットを想っているんだい?」
「っ!?」
嘘。
俺はもうすでに、いや、元よりフランドールなんて愛してなかった。
なのに、ノアは何も言っているんだろう。
「もう一度言うよ」
「っ」
「ジルシーアをいただいちゃうよ。たとえ、君がジルシーアを好きでも。悩むな、クズが」
「ノ、ア・・・」
「じゃあね。考え直して、ジルシーアになにか言って嫌われるといいさ」
ノアが嘆息しながら踵を返し扉に手をかけた。
こぼれる光が暗い部屋に差し込んで、眩しい。
「なあ、聞いていいか」
「・・・」
「いいと思うのか」
「いいんじゃないかな。神様はお許しになる。神様はお茶目様だからね」
肩を竦めて見せたノア。
それで許されるものなのか。
俺はぼんやりとその背中を見て、「そうか」とつぶやいた。
光が完全に部屋にさし、そしてやがて光は遮断された。
静寂と暗闇の中で、俺は頭を抱えた。
「・・・・・・クソッ!」
ひたいにちゅーならいい理桜の本心がわからない。
理桜「誓いのためしかたない・・・あとさ」
ヴェルディ「?」
理桜「僕的にさ、緋奈ちゃんに首輪(と書いてしるしと読む)つけてるみたいで気分いいんだ♪」
ダメだこいつ!!早くなんとかしないと!!
ヴェルディ「・・・しるし、か」
理桜「うん♪」
緋奈さーーーーん!!!逃げて!!!!超逃げてぇえええ!!!!
理桜「失礼だなぁ・・・まあいいか!」
(こいつ、絶対べったりになるなこりゃ)
ヴェルディ「・・・ちなみに、俺のは何でああなった?」
授業中に思いついた(即答)
ヴェルディ「・・・・」
授業中に思いついた(二度目)
——ズガンッ!
(ぷしゅー・・・)
ヴェルディ「もういい、届けて来い!」
理桜「はいはい、了解だよ。じゃあ、ヴェルドールさん任せました~」