記憶喪失問題児と紅い実験者   作:Lan9393

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ケルベロス「ガウッ」(ガブッ

いたい!!

ヴェルディ「サンキュー。じゃあ戻ってくれ」
ケルベロス「♪」

・・・・なんであの子はヴェルディに優しいのだろう

ヴェルディ「さあな」
理桜「天使のオーラの違い、かな・・・」
ヴェルディ「うっさい。二十一話だ、いくぞ!」
理桜「へーへ。どーぞ!」


二十一話:苦悩なき少年と苦悩し続ける天使

理桜Side

 

  1、2、3で刀を振る。

リズム良く、舞うように振り上げ、振り下ろす。

感覚を知りたいと聞いたら、「それこそ蝶のように舞い、鉢のように刺す」と返されて困ったのは記憶に新しい。

 

「ワンテンポ遅れた」

「・・・」

「振りが大きい」

「・・・っ」

「雑」

「あーもーうるさいなぁ!」

 

俺はセツの小言が聞くに耐えず、叫ぶように言い放った。

それのせいか、俺の眼前にあの大太刀が抜き出る。

視線はぶつかる。冷徹な視線からは、「黙って続けろ」と言われているような威圧感。

・・・俺は黙って刀を構えなおす。

勝てやしない、なんてね。

 

「・・・いいや、休憩だ。お前のお姫さんがそこで見てる」

 

庭が一望できるそこを指差して、セツがそう言った。

 

「ひめっ!?・・・ああ、緋奈ちゃんか。一字違いだよセツ」

「さっさといけっ。始める時は呼びかけるからな」

「はいはい、わかったよ」

 

セツに背中を蹴られてよろけながらも、俺は緋奈ちゃんの元へ歩いていく。

まったく、痛いな・・・。

 

「あ、理桜。邪魔しちゃった?」

「ううん。丁度いいって顔してたから、よかったんじゃないかな」

「そっか・・・暇だったからきたんだけど」

「暇なの?一緒にやる?」

「い、いいや。理桜は大丈夫?」

「なにが?」

 

緋奈ちゃんがそこに座ったから隣に座ってみる。

すると、緋奈ちゃんが聞いてきた。

え?大丈夫って?大丈夫だよ、多分・・・なんてね。

キョトンとした顔で緋奈ちゃんを見つめると、緋奈ちゃんと目が合う。

紅の瞳は、こちらを見ていた。

ドキリ、と心臓が高鳴る。

・・・前言撤回、これはなにか違う。

 

「なにがって・・・。怪我とかはないの?」

「はは。ただの稽古だよ。怪我までしないよ」

「そっか。よかった」

「大袈裟だな」

 

緋奈ちゃんの頭を撫でながら笑ってあげる。

え?さっきの背中?何も言ってないよ。

 

「それで、暇を持て余したお姫様はすることあるの?」

「お姫様って、なに冗談言ってるの?・・・ボクは見てるよ」

「了解。緋奈ちゃんがそれでいいならいいんだけどさ」

 

よいしょ、と勢いをつけて立ち上がる。

 

「・・・」

「緋奈ちゃん?」

 

どうやら俺の行動を目で追いかけたらしい。

そんな不安そうな目で見ないでよ。

ふと庭を見やれば、セツがやるきまんまんでそこに佇んでいた。

大太刀を持っている・・・きっと、次は「実践」だの何だの言ってあの大太刀を振りかざしてくるだろう。

 

「あ、怒ってるかもな・・・」

「えっ」

「ごめんね緋奈ちゃん。いってくるよ」

 

・・・君を守るために、稽古しなくちゃいけない。

俺は半分だけだが、誓いを立てるために緋奈ちゃんのひたいに口付ける。

そのひたいには赤い血のあと。

目をパチクリと瞬く緋奈ちゃんに笑いかけ、「じゃあね」と声をかけてセツの元へ向かった。

 

「遅い」

「はいはい、話が盛り上がったの」

「・・・それにしても、随分騎士様気取りじゃないか。柄じゃないだろうに」

「いいだろ。こっちの好きで」

「・・・嫌われるぞ。変に期待させると」

「そうならないことを祈ってて?」

 

俺は肩を竦めて言ってみせた。

セツもセツで、「そうかい」と諦めたようにつぶやいた。

・・・再び、稽古が始まる。

 

——————————————————

 

ヴェルディSide

 

暗闇の中に身を投じる。はっきり言ってつかれた。

寝てしまってもいいが、もとよりここに人がいるため寝てない。

人、というよりは天使だろうか。

 

「やっ、ヴァル」

「・・・なんでここに」

「君が悩んでないかってさ」

「余計なお世話」

「じゃあ、ジルちゃんは僕がもらっていっていい?」

 

・・・意味がわからない。

こいつは、何故「ジルシーアをもらう」などと口にしたのか?

ぐるぐると思考が回る中、ぷふっと音が聞こえる。

天使・・・ノアが吹いた音だ。

 

「何でって顔をしているね。わからない?」

「・・・」

「君は悩みすぎだ」

「・・・」

「僕の手伝いをすると奮起していた天使の時の君は愛らしかった。少し過保護で少し野蛮な可愛い弟だと思っていた」

 

ノアはずいぶん前のことを引っ張り出してくる。

何年前の話だろうか。

 

「そのことをジルちゃんにいったら、いいなあと返されたよ」

 

・・・なんで言ったお前は。

そして、何故「いいな」なんだ。

 

「君がフランを殺そうとした時あったよね」

「・・・まあ、な」

 

そいつの名前を出されると少し胸が痛い。

 

「大丈夫」

 

ノアが俺の頭を撫でた。

撫でるなこの野郎と睨みを利かせる。

しかし、ノアは涼しい、顔。

嫌な予感しかしなかった。

 

「君がどうしようも無いロリコンだったなんて、ジルちゃんに言って・・・言ってぷふ、ない、ブフォォッ。ないよ・・・!」

「言ってんじゃねぇか!!」

「『そ、そんなはずないよ!ヴェルディがロリ、コ・・・なんて』って言ってたね」

「隠す気ないなお前は!」

 

俺はつい声を荒げる。

予想通り、と言わんばかりにノアは笑った。

ああしまった。俺は落胆する。

ノった。ノってしまった、俺は。

 

「用はそれだけか?」

「ううん。本題へいくよ」

「・・・」

 

今までのはただの茶番か。

 

「可愛らしい君は一途に僕の手伝いをする、しか言ってなかったよ。悩めばいいのになんて思っていたしまうまでに」

「・・・」

「少しは自分のしたいことをすればいいよ。君はまだ、『いつまで』フランドール・スカーレットを想っているんだい?」

「っ!?」

 

嘘。

俺はもうすでに、いや、元よりフランドールなんて愛してなかった。

なのに、ノアは何も言っているんだろう。

 

「もう一度言うよ」

「っ」

「ジルシーアをいただいちゃうよ。たとえ、君がジルシーアを好きでも。悩むな、クズが」

「ノ、ア・・・」

「じゃあね。考え直して、ジルシーアになにか言って嫌われるといいさ」

 

ノアが嘆息しながら踵を返し扉に手をかけた。

こぼれる光が暗い部屋に差し込んで、眩しい。

 

「なあ、聞いていいか」

「・・・」

「いいと思うのか」

「いいんじゃないかな。神様はお許しになる。神様はお茶目様だからね」

 

肩を竦めて見せたノア。

それで許されるものなのか。

俺はぼんやりとその背中を見て、「そうか」とつぶやいた。

光が完全に部屋にさし、そしてやがて光は遮断された。

静寂と暗闇の中で、俺は頭を抱えた。

 

「・・・・・・クソッ!」




ひたいにちゅーならいい理桜の本心がわからない。

理桜「誓いのためしかたない・・・あとさ」
ヴェルディ「?」
理桜「僕的にさ、緋奈ちゃんに首輪(と書いてしるしと読む)つけてるみたいで気分いいんだ♪」

ダメだこいつ!!早くなんとかしないと!!

ヴェルディ「・・・しるし、か」
理桜「うん♪」

緋奈さーーーーん!!!逃げて!!!!超逃げてぇえええ!!!!

理桜「失礼だなぁ・・・まあいいか!」
(こいつ、絶対べったりになるなこりゃ)
ヴェルディ「・・・ちなみに、俺のは何でああなった?」

授業中に思いついた(即答)

ヴェルディ「・・・・」

授業中に思いついた(二度目)


——ズガンッ!

(ぷしゅー・・・)

ヴェルディ「もういい、届けて来い!」
理桜「はいはい、了解だよ。じゃあ、ヴェルドールさん任せました~」
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