ケルベロス「バウワウ!」
ヴェルディ「ああ・・・よーしよし、えらいぞー。お疲れ様」
理桜「・・・あ、何か紙がある」
『ケルベロ怖い』
理桜「・・・・」
ヴェルディ「・・・じゃあ、二十二話どうぞ」
理桜Side
『えぇ、そうよ。何も隠さずに言うわ。・・・蚩尤が幻想郷に進入したわ』
あのあと、俺たちも開放してもらえた。
セツに少々相談すると、ささっとどっかへ行ってしまう。
それを見て、俺は思案する。
・・・が、まあとりあえず緋奈ちゃんも暇そうなので部屋に連れて行こうかな。
一人は寂しいので。
紫さんの言っていたその蚩尤とやら。
俺は嫌な予感がしていた。
西行妖の前で見た影。
『まず、一番特徴的なのは背中から生えているとても大きな六つの悪魔の翼ね。それと、左眼に付いている眼帯。・・・それくらいかしらね、私の記憶では』
悪魔の翼が六つ。
それで、俺の中でほぼ確定してしまっただろうか。
どうしてもあの時の恐怖が自身を蝕もうとする。
殺気と緊張。
その中で圧倒的なほど存在を放つ恐怖。
ゾクリ、と背筋が寒くなる。
いけない、と首を振って我に返る。
すると、緋奈ちゃんがこちらを覗き込んでいた。
「・・・・緋奈、ちゃん?どうしたの?」
「ううん、いや・・・元気がないっていうか、顔色悪いっていうか」
構ってもらえなかったからさみしかった、と言ってもらえるかと内心期待してたので真面目な返答に少し困る。
そういう風に感じた時こそ、茶化して場を和ませて欲しいものなんだけど。
「普通じゃなかったっていう感じでいい?」
「うん。大丈夫?」
「へーきへーき」
なるべく笑顔を浮かべそう返す。
緋奈ちゃんは何も聞いてこない・・・少しホッとした。
掘り下げられるとこちらとしても少々キツイものがあるだけに、あまり言いたくないものだ。
実は見たことがあります、なんてそうそう言えない。
もっとも、緋奈ちゃんがあそこまで深刻そうな表情を浮かべていた。
その訳を考えるとなると、容易に言い出せない。
俺は、これをいつまで隠し続けるのだろうか。
「・・・」
「理桜、やっぱりどうしたの?」
隠すのはやめたい。
緋奈ちゃんがまたこちらを伺うので、俺は意を決して口を開いた。
「・・・ねえ、緋奈ちゃ」
『おっす、帰ったぞ・・・ん?どうした、理桜』
あっさりと帰宅したセツに遮られました。
俺はつい竹刀でセツをつつく。
瞬間、スパァアアアアアンッ、といい音が部屋中に響いた。
くう・・・頭が痛い。
「わ、見事」
『俺に腹いせとはどういう了見だ理桜』
「うっさい黙れ邪魔者」
『ほう?何を伝えようとしてたんだか。まあいい、理桜・・・続きをするぞ』
少年になりながら、セツはそう言った。
緋奈ちゃんが「おお」とこぼしていたのは聞かなかったことにして、俺はセツの急な発言に驚き、返答は叫びに変わった。
「はっ?!これ以上やるのかよ!」
『お前が自分から言ったんだろ?自分の発言に責任を持て小僧』
竹刀でひたいを小突かれる。
おおう、痛い。
ひたいをおさえながら、チラリと緋奈ちゃんを見やる。
暗い表情はしていない。その顔には笑顔が見えた。
これは安心だ。
「しかたない」と言いつつ、内心喜んでいる俺はセツについて行こうとする。
・・・としたんだ。
くいっと引っ張られた感覚。
セツは庭へ行ってしまう。
「・・・緋奈ちゃん?」
「その、理桜」
「なにかな」
「無理はしないでね。・・・気をつけて」
気をつけて、とは、なににだろうか。
気にしてもしかたないことだろうか。
俺はその頭を撫でようと手を延ばし・・・手を引っ込めた。
一度彼女の手を汚してしまったからいいや、じゃない。
だから、今度こそ最新の注意をはらわなければいけないのだ。
・・・黙ってその手を降ろすと、緋奈ちゃんは顔をしかめた。
「触りたくない?」
「・・・汚したくないから」
「汚れないよ」
「・・・いいでしょ。ともかく、俺は行くからね」
「あっ」
緋奈ちゃんといるとまたひたいにキスしそうで怖い怖い。
(最低な考えだな、こんなの)
(記憶がないんだから、緋奈ちゃんを愛してもしかたないなんて・・・)
(俺がいたらしい世界の妖夢さんに、失礼だろ)
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ノアSide
僕がふと外へ出ると、2人組がやってくる。
ジルちゃんと・・・誰、だろ。
「あんただれよ」
「こっちのセリフなんだけどな。僕はノア・アスファル。君は?」
「聖奈。ヴェルディはどこ」
「うわぁ、それ聞きますか」
・・・ヴァルにはああ答えたものの、イラついて仕方ない。
聖奈ちゃんというらしい彼女に、僕は何も答えず笑顔を浮かべる。
まあ、少しばかり背中を押してやったんだ。
あとは・・・ジルちゃんが頑張るだけかな。
「・・・聞いてるんだけど」
「さぁ、どこでしょう?なんてね。彼は今寝ているよ。無理に起こさなくていいんじゃない?」
「・・・ふぅん?あんた、女?」
「男だよ。今はね」
今は。
それを聞いた二人は目を見開く。
意味がわかったのか、驚愕か。
僕には理解できないけれどね。
「え?ちょ、ノア」
「ヴァルを起こさない方がいい。彼、寝起きは最悪な方だから」
僕はそう告げて、とっとと館へ引き返す。
なんだか外に出る気なくなっちゃった。
悩みすぎて寝てるであろうヴァルを思い浮かべ、くすりと笑ってやった。
いつか、君が傷つけた女は君をいじめてる男になったんだよ。
(・・・・なーんて、ね。ヴァル、今大丈夫なのかなぁ)
少しばかり不安を抱えながら、廊下を歩いた。
暗い部屋、ヴェルディがいる部屋。
近づかないようにして、自らが借りている部屋へ向かった。
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第三者Side
「緋乃とノアさんが帰ってこない」
「・・・あっちの世界でなにがあったんでしょうか」
琴羽は縁側でぐだーっとのんびりしながら妖真と言葉を交わした。
先日、理桜とヴェルディのことについてどうのこうの話した結果、紫が乱入し、緋乃とノアが出かけることになったのだ。
・・・ノアの場合は、少々違ったわけだが。
「心配だなぁ」
「紫様に言って回収はしていただけないのでしょうか・・・」
「回収って。ものじゃないんだから——」
「無理よ」
くぱぁ、と開いたスキマ。
二人はそのスキマから響いて聞こえた声に驚愕した。
「無理」。
その一言だけで、どれだけ絶望に陥ったか。
「・・・帰ってくる?」
「彼らが無茶してなければ、きっとね」
「無理ですね」
「無理だね」
「少しは信用してあげましょうよっ!」
紫の悲鳴に近い叫び。
二人を動かすことはない。
・・・紫はわかってやってたらしいが、どことなくその背中には哀愁が漂っている。
「・・・僕らにできることは、信じて待つことですよ、琴羽さん」
「うん・・・。待とっか。霊夢さん、そろそろ苦しいだろうな・・・」
「フランドール嬢に至っては理性が無くなりかけていると噂で聞きましたし、妖夢も幽々子様ともまともに会話しようとしません」
「レミリアさんも苛立ってるっていうし」
恋人がいなくなったことへの負担。
今、名前が上がった女性を苦しめてるのはそれだった。
琴羽と妖真は同時にため息をついた。
青空に雲がかかる。
「雨降りそう」
「じゃあ解散しますか。紫様、情報ありがとうございます」
「いいえ。じゃあね~」
ブゥゥン、と閉じたスキマを見つめてから、二人は同時に飛び立った。
・・・神社内から聞こえる破壊音を聞こえないふりをして。
あ、やべ一言でタイトル決まったww
理桜「あ、復活した」
そりゃあねえ!ケルベロ君いないし!
ヴェルディ「ほらよ」
ケルベロス「ヴーーガウ!!」
(退散
理桜「情けないなぁ。じゃあ、ケルベロスばいばい」
ヴェルディ「ヴェルドールさん。遅れてすまない。・・・それと、中途半端でごめん」
理桜「ヴェルっち敬語は?」
ヴェルディ「堅苦しいのは嫌いだ」
理桜(・・・あれ?)
ヴェルディ「じゃあ、ヴェルドールさんにバトン渡しにいってこい」
理桜「あいよ!じゃあね~!」