「おぉ、目覚めたかの?」
うぅ~ん、なに~……だれ~?
今さっき死んだからゆっくり寝ようと……ん!?
「っは! どこここ!? 僕は……山極緑!」
「うむ、記憶は問題ないみたいじゃな。時間が無いし、手短に説明するぞ」
目の前にいる神らしき存在曰く、どうやら転生させてもらえるらしい。
「それで、転生時のスキルじゃが……常時アクティブスキル・ゾイド? まあよくわからんが最初にお主が操作する必要があるらしいの、操作しとくれ」
そうして僕の前に近未来的なタッチパネルが現れる。
ゾイド! 戦う意志を持った金属生命体! それなら僕には十二分に知識がある!
えーっと何々? 最初に転生するゾイドを選んでください、か。
超大型ゾイドは今選択できないみたいだし、ここは戦闘力と汎用性を兼ね備えた中型ゾイドにしよう。
えーっと選択できる中で一番異世界に向いていて僕の好みに合うのは……四足歩行の獣型ゾイド、ライジングライガーかな!
金色の装甲が目立つけど、まあかっこよさと強さには敵わないね!
「よし、用意できたみたいじゃの。それじゃあ時間もないし早速転生させるぞ」
そうして僕は強い光に包まれ、意識を失った。
……っは、どうやら着いたみたいだ。
えっと、周りは森だな。
結構生い茂っているけどライジングライガーが歩けるくらいのスペースはあるな。
……うーん、この姿だと怖がられるだろうから、集落を探すわけにもいかないし……取りあえず歩くか。
そうして、僕はこの大地を踏みしめ、最初の一歩を踏み出した。
「あー何もない、めっちゃつまらん」
かれこれ数時間歩いたが特に何もなくてつまらないのでふて寝がてらにスキルの研究をしている。
動かな過ぎて体の至る所に鳥が止まっている始末だ。
しばらくスキルの内容を見たところ、どうやらスキルポイントとやらを使ってゾイドを解放するらしい。
小型ゾイドは必要スキルポイントが少なく、大型になるほど必要スキルポイントが増えるらしい。
やはり飛べた方がいいので、まずは初期のポイントで小型飛行ゾイドのクワガノスを解放する。
そして、余ったポイントで超小型のゾイドであるジークをアンロックする。
これで町に入れるかもしれない。
それと、余談だがゼログライジスやジェノザウラーなんて超大型ゾイドはとんでもない量のスキルポイントがいる。
まあそんな超生物を使う時は世界の終わりぐらいだからいらないだろうけど。
武装の追加装備、および弾薬は無限らしい、一体どういう仕組みなのやら。
でも弾薬が無限という事はあの強力な重力場を生み出すプラネタルサイト砲弾を撃ちだすグラビティキャノンやロングレンジバスターキャノンも撃ち放題という事になる!
さらには換装型荷電粒子砲なんてニッチな武器まであるので武装には困らなそうだ。
と思ったが、この三つの武器の解放にはたくさんのスキルポイントがいるらしい、そううまくはいかないか。
「さーて、研究も終わったことだしまた歩くかー」
そうだ、今更だけどどうやら僕は喋れるらしい。
まあ、この世界の住民が僕の知っている言語を使っているかどうかは謎だけど。
歩こうと起き上がると、体に止まっていた鳥が一斉に飛び立つ。
そうして、また長い長い時間歩く。
数時間歩くと、今度はどこからか戦闘音が聞こえてくるのをライガーの耳がキャッチした。
見ると、どうやら一人の人間と一体の悪魔っぽい奴が戦っているらしい。
「ハハハ、その程度の攻撃で我を倒そうとは、甘いぞ人間!」
何かムカつく喋り方しているな、あの悪魔っぽい奴。
そう思いながらなるべく警戒させないようにゆっくり近づき、声をかける。
悪魔っぽい奴に舐められそうなので口調はため口だ。
「……こんな場所で何やっているの?」
すると、戦っていた双方がこちらを見る。
人間側は明らかに人間ではない存在が喋ったことに驚き、悪魔っぽい奴は敵意をあらわにする。
「えぇい、邪魔をするな! エクスプロージョン!」
至近距離の攻撃かつ弾速が速かったため、避け切れずに被弾する。
「ハハハ、我の邪魔をする……バカな!? なぜ生きている!」
いや、こちとらゼログライジスのジ・エンドを数秒ながら耐えるライジングライガーだよ?
そんなへなちょこ攻撃じゃあゾイドワイルド界最弱のジャミンガすら満足に倒せないよ。
流石に攻撃を受けたのでA-Z機関砲で反撃する。
「クソ、なぜこんな化け——」
A-Z機関砲から巨大な鉛玉が発射され、砲口から硝煙が上がる。
一発撃っただけで悪魔っぽい奴はものの見事に消し飛んだ。
「あ、あなた? でいいのかしら……いったい誰?」
残った人間の女性が物怖じせずに声をかけてきた。
凄いな、普通あれだけのデカい火砲の音を聞いたらびびって腰を抜かしそうなものだけど、彼女は気丈にも二本の足で立っている。
「僕? 僕の名前は……」
うーんどうしようか、名前はゾイドによって変わるからライジングライガーって名乗るのもおかしいし、かといって死ぬ前の名前を名乗るのもなー。
「まあ、色々名前はありますが取りあえずはライガーって呼んで下さい」
「えっと、ライガーさん? 取りあえずよろしく、と言えばいいのかしら? 私の名前はハク。魔族から助けてくれてありがとうね」
取りあえず現地の人間とのファーストコンタクトは成功したらしい。
やっぱり喋れるのは偉大だね。
言葉も地球と同じみたいだし、取りあえずは一安心かな。
「ライガーさんはこれからどうするの?」
「うーん、願わくば町に行きたいですが……厳しいですよね?」
流石に全長8.7m、全高4.8mはデカいよな……。
「うーん……ライガーさんほどの大きさだと難しいわね。せめて半分くらいだったら大型魔獣という体で私の従魔という事にすれば入れるかもだけど……」
それなら、オーガノイドのジークの出番だね!
そう思い、二足歩行の超小恐竜型ゾイド、ジークに変化する。
「まあ、これだったら町にも入れそうね!」
「本当ですか⁉ よかった!」
確認も取れたのでライジングライガーに戻る。
ちなみに他のゾイドへの変化はコンマ数秒かかるが他には特に制限なくできるらしい。
「あとお願いなんだけど……もしよかったら乗せてもらえないかしら? 怪我をしていて歩きづらいのだけど……」
……なるほど、だが一つ問題がある。
「ハクさん……私……オスなんです……なのでハクさんが乗ると……その……足とかの感触が分かっちゃうというか……何と言うか……」
「それなら私は気にしないわ。案内するから行きましょう」
そうして僕はコックピットのハッチを消し、ゆっくりかがんでハクさんを乗せハッチを閉じる。
ハクさんの案内の元、木々が少なくなってきた森を走り、近くの町へと向かうのだった。