俺の推しを殺したのは誰? 作:匿名希望
ある日俺の推しが死んだ。
理由は事務所が明かさなかったから部外者の俺には調べようが無かった。絶望しながら、生きる為に水で飯を流し込み。その後に全く眠れなかったから薬を飲んで寝床についた。
で、目が覚めたら過去に戻っていた。何故かとかどうしてとかどうでも良い。ただ、もう二度と聞けないと思っていた推しの声がもう一度聞けて幸せだった。
ホッとしたところで一つの問題が出来た。それが推しの死だ。
過去に戻った所で何も解決出来てはいない。ただ先延ばしになっただけだが、その猶予を使って推しの命を救う事が出来る筈。
そう考えた俺は、推しが未来で所属していた事務所であるLive Worksに入社する事にした。きっと、推しの近くにいれば詳しい事や原因が分かるんじゃないかと思ったから。
そして、時はあっという間に過ぎ、Live Worksから初の配信者デビューの日になった。
「はい、それでは時間になりましたので始めさせて頂きます。今回は、タイトル通り本社Live Worksから出る新たな配信者についてのご紹介となります」
《コメント》
・キター!!!!
・Live Worksって今まで配信者居なかったよな
・どんな人が来るんだ
・ワクワク
・スタッフさんの声良いね
・"虹色の星屑"に勝てるかどうかだな
・可愛い女の子来い
コメント欄も盛り上がってるみたいで何よりだ。その方がMCの俺もやりやすいので大変助かる。
「それでは最初の配信者様準備を」
『は〜いはい!わたし、わたし!』
そう言ってアバターが飛び出して来る。幼い声、そして落ち着きの無い様子が少女の良いな立ち絵とマッチしている。
『わたしはヨーコ!好きな物は助六寿司の横に入ってる油揚げのヤツ!』
それを皮切りに他の配信者が顔を出して紹介して来る。
『ヨウリ。何でも大好き』
『シャレー・神戸・カラベラです。死なない程度に頑張ります』
とまぁ、残りの三人も軽く紹介して貰って。後は、一人だけ。彼女が登場して今後の話をして動画を〆る筈なんだけど。
「……」
おかしい。一向に最後の一人が姿を見せない。
一分が経ち、流石におかしいので採用担当の社長に連絡をした。どうなってるんだと尋ねると。
『あれ?七人揃ってなかった?誰がいない?』
「先生です」
『ああ、彼女は来ないよ』
はぁ!?何を当たり前の様に言っているんだろうか。報連相はどうした。知らないぞ俺は。
「俺……いえ、私は知らされていないのですが」
『あれ、そうだっけ?じゃあ君が代わりの先生やるのも知らない?』
知らないよ!?
「寝耳に水です。え、と言うか私に配信者になれと?」
『イエッサー★昔から君の声が好きだったんだよね。だから、いつか機会があれば配信してほしくてね』
「……それが今だと」
『そう、立ち絵はあるから後は君のやる気だけだね。さぁ、どうする時間も無いよ?』
「そんな事を言われましても」
『配信する準備を手伝ったりして、実は自分でもちょっとやりたいとか思ったりしたんじゃない?いざ自分で配信するとなると、軽く三桁は飛ぶよ?それなら、企業でやった方が良いと私は思うけどね』
「今回だけですよ。次は二度とありませんからね」
そう言って俺は携帯を切る。ここまで順調に行ってたせいでまさかこんなトラブルが起きるなんて思いもしなかった。だが、推しがデビュー出来なくなるよりはマシだ。
ざわつくコメント欄を見て、俺は覚悟を決めると立ち絵を表示してそれに合わせて声を出す。
「それでは皆さん集まったみたいですね。静粛に。これから皆さんには、十万人の生贄を集めて貰います」
《コメント》
・なんかデスゲーム始まった
・どう言う事なの
・イミフ
『しつもんっ!貴方は誰?』
「私は貴方達の教育係、いわば先生です。ご存知ないかもしれませんが貴方達は普通の人間ではありません。妖怪と人間のハーフです」
今回のグループのテーマはズバリ妖怪だ。彼女達は、全員何らかの妖怪で配信するのは人間を魅了して捕まえる為である。と言う設定で、その為にまずは全員で視聴者を奪い合い時には協力して十万人を目指すと言うストーリーだ。
「と言う事で、私からは以上です。それでは解散」
そう言うと順番に立ち絵が消えていき、最後に暗闇に変わり配信は終了した。